経理の畑

現場経理担当者必見! 現場経理に聞いた、実際に発生した失敗談とその対策法とは?

作成者: 月次決算|Jun 19, 2025 6:08:15 AM

企業の財務活動を支える経理業務は、正確性と確実性が求められる重要な役割を担っています。しかし、日々の膨大な業務の中で「ヒヤリ」としたミスを経験した経理担当者は少なくありません。ほんのわずかの不注意や確認不足が、大きな問題を引き起こす可能性があります。実際に400名の経理担当者を対象に実施したアンケート調査によると、77%もの人が「ヒヤリ」としたミスを経験していることがわかりました。

ここでは、実際に経理現場で起きたヒヤリミスと、その対策を紹介します。経理の現場で発生しているヒヤリミスの事例を知ることで同様のミスを未然に防ぎ、正確で効率的な経理業務の実現に役立ててください。

自分の失敗を活かして対策をとっている人は約72%

「失敗経験を活かして続けていること(=対策法)はありますか?」という質問に対して、72.1%の経理担当者が「ある」と回答しました。これは、多くの経理担当者が過去の失敗から学び、再発防止の具体的な対策を実践していることを示しています。

失敗は誰にでも起こり得るものですが、重要なのはその経験をどう活かすかです。アンケート結果から見えた具体的な対策として「ダブルチェック体制の導入」「確認作業の徹底」「チェックリストの活用」「システム化の推進」などが挙げられました。

また、「急ぎの仕事はしない」「余裕を持って事務処理をする」といった時間管理に関する対策や「属人化の排除」「マニュアル化」などの組織としての取り組みもありました。組織としてヒヤリミスを共有し、再発しないための対策を練ることは、経理部門全体の業務品質向上につながるでしょう。

実際にあった失敗談と対策法

アンケート結果から、経理現場で実際に発生した「ヒヤリミス」の具体的な内容と、その対策法を紹介します。これらの事例は自社でも起こる可能性があるため、社内で対策をとる参考にしてください。

振込先ミス

振込先の誤りは、経理現場で頻繁に発生するミスの1つではないでしょうか。取引先が振り込みを確認できなかった場合、信頼関係に影響を及ぼす可能性もあります。また、誤った振込先から返金を受けるのにはお互いに手間がかかり、場合によっては返金されないリスクもあります。

経理の方たちの回答から、振込先ミスへの対策として、複数人による確認体制をとることが効果的と言えそうです。また、振込先情報の定期的な更新や、取引先コードなどの識別情報を活用した対策も有効でしょう。

給与の支払い漏れ

給与に関するミスは、社員の生活やエンゲージメントに直結するため、特に注意が必要です。1回のミスだけでなく「何年も手当を出していなかった」というような長期にわたる見落としも報告されており、定期的に確認をとることが重要だといえるでしょう。

調査結果から、給与関連のミスを防ぐためには、複数人によるチェック体制に加え、給与計算システムの導入が対策法となりそうです。システムを導入すれば単純な計算ミスといった人的ミスも防げます。

金額間違い

金額の入力ミスは、ケアレスミスであっても金額が大きい場合は重大な影響を及ぼします。また、二重払いのような過払いは返金手続きの煩雑さに加え、一時的な資金不足を招く恐れもあります。

金額間違いへの対策としては、複数人による確認はもちろん、過去データとの比較やシステムによる確認機能の活用が効果的です。特に高額な支払いには、通常よりも厳重に確認するルールを設けておくと良さそうです。

仕訳ミス

会計処理の基本となる仕訳のミスは、財務諸表の正確性に影響します。借方と貸方の取り違えや勘定科目の間違いなどは、発見が遅れると修正作業が複雑になる可能性があります。

調査結果から、仕訳ミスを防ぐための対策は、チェックの徹底に尽きると言えそうです。その他には、会計知識の継続的な学習と定期的な試算表との照らし合わせや、複雑な取引や不確かな処理については、上司や税理士などの専門家に相談して進めるのがおすすめです。

請求の計上漏れ

請求の計上漏れは、キャッシュフローの管理や正確な財務状況の把握に支障をきたします。特に紙ベースの請求書管理では、紛失や見落としのリスクが高まってしまうでしょう。

請求管理のミスを防ぐためには、受領した請求書の即時処理や、システム化による一元管理が効果的という回答がありました。定期的な支払いについては、カレンダーやスケジュール管理ツールを活用すれば支払い漏れを防げるでしょう。

まとめ

経理業務における「ヒヤリミス」は、多くの経理担当者が経験する共通の課題です。本調査では、77%もの経理担当者が何らかのミスを経験し、その経験を活かして72.1%が具体的な対策を講じていることが明らかになりました。

アンケートから見えた主な失敗としては、「振込先ミス」「給与の支払い漏れ」「金額間違い」「仕訳ミス」「請求の計上漏れ」などが挙げられます。これらのミスは、少しの不注意や確認不足から生じることが多く、どの担当者でも起こり得るものです。

調査結果から、ミスを防ぐための対策としては、「複数人によるチェック」「システム化の推進」「確認作業への意識付け」などが効果的といえるでしょう。大切なのはミスを個人の問題として捉えるのではなく、組織の課題として認識し、改善に取り組むことです。経理担当者一人ひとりがミスに気をつけながら日々の業務に取り組むことが、企業全体の健全な財務管理につながります。