ミスが起こると会社の経営や信頼に影響を及ぼしてしまう、入金や支払いの管理。数が増えれば増えるほど業務量が増える請求書業務をミスなく進めるには、どうすれば良いでしょうか。
今回は、社員数80名ほどの保険会社で経理を務めるHさん・Nさん・Yさんに、請求書処理の進め方や工夫についてお聞きしました。
――まずは、御社の経理体制について教えていただけますか?
経理部長を含めて4人体制、うち3人で実務を担当し、部長が伝票の承認などを行っています。実務内容に関しては、3人がほぼ同レベルの作業を担当しています。
――ありがとうございます!今回のテーマは「請求書」です。まずは、御社から出す「発行請求書」から伺っていきたいと思います。請求書の発行から送付までの流れについて、教えていただけますか?
請求書の作成はExcelで行っており、一か月あたり発行するのは全部で20枚程度です。保険料のお支払いはクレジットカードや口座振替等で頂いているため、この中には含まれていません。請求書発行の流れとしては、各部門より発行依頼をいただいたら経理部のExcelオリジナルフォーマットで作成をし、依頼部門にお渡ししている形です。
――経理部で作成されているんですね。
少し複雑なのですが、当部で作成まで行う場合と、請求書番号の採番だけ行う二つのパターンがあります。
というのも、専用のフォーマットを使っている部門が2つあります。この2部門の請求書に関しては、こちらでは作成していないため、この部門から依頼を受けた場合のみ請求書番号の採番だけをしています。
採番を経理部で行っているのは、請求書を管理するうえで「送付先・金額・内容・入金予定日」まで確認したうえで採番する必要があることと、こちらで請求情報を管理するためです。
――部門指定のフォーマットを経理部で作成されないのはなぜですか?
こちらで把握しきれない対応が必要となってくるからです。というのも、請求書がお客様への個別事情のご案内を兼ねているケースがありまして、請求内容以外にご案内する内容が都度変更となるため、各部門に専用フォーマットを使って作ってもらっています。
――そのお客様の部門担当の方が作成されるということですね。
おっしゃる通りです。
――内容に応じて作成を分担されていらっしゃるんですね。ちなみに、番号の採番や請求書作成の依頼時、情報はどのように経理部に届くのですか?
各部門からメールで依頼がきます。その内容に従って、こちらで請求書作成や番号の採番をしています。作成した請求書はそのまま電子データとして保管されます。また、採番した情報はエクセル管理しておりますので、入金管理もそこで行っています。
――保管は経理部にて行われているのでしょうか?
電子請求書発行システムを使っていまして、そこに請求書のPDFデータをアップロードし、電子保存しています。そのシステムには経理部長の承認ボタンがあり、承認されたら各部門に請求書が発行されたことを伝えるメールが届き、各部門がそのシステムにログインして請求書をダウンロードします。経理部でも請求情報は別途管理していますが、請求書データの管理はシステム上で一元管理しています。
――なるほど。経理部長に承認されたのちに送付されるということですね。
そうです。送付自体は各部門にゆだねており、メールや郵送をしてもらっています。
――仕訳はどのタイミングで起票するのでしょうか。
請求書を発行した時点で、会計システムに発行月の末日で取引先ごとに、未収入金として立てて管理しています。
――そちらは手入力で?
はい。手入力で起票しています。その後、入金があったタイミングで未収を消して、入金があった取引先の残高が0円になっていることを確認しています。経理部では採番を管理するExcel表もあります。そこに入金日を入力し、入金漏れがないか等をまとめて把握しています。
――請求書データとは別でExcelで管理されているんですね。
お金の話になりますので、経理部として正確に管理しておきたく、Excelを作成しています。このExcelに請求書番号や送付先、入金予定日、部内の担当者など、入金管理に必要な情報がすべてまとまっており、このExcelを確認すれば状況がすべてわかるという状態にしています。
――では、続いて御社が受け取る「受領請求書」についても同じく流れを伺いたいと思います。
最初に先方から請求書を受け取るのは該当する各部門の方で、そこから経理部に提出してもらう流れを採っています。そのため、毎月25日ぐらいに、各部門に請求書の提出期日のメールをすることでアナウンスをかけます。この依頼をかけることで、翌月の第3営業日までの提出協力をしていただいています。
――請求書を受け取ってからはどのように処理を行うのですか?
各部門から請求書を受け取り後、Excelで作成している請求書到着リストに受取日、金額、支払日を入力します。毎月受け取っているものであればいいのですが、今月だけといった単発の請求書の場合は、稟議がきちんとついているのかなどを確認しながら受け取っています。だいたい月100~120件くらいの請求書が届きます。
――形式は電子と紙、両方ともになりますか?
両方あります。徐々に電子の割合が増えていますが、現状(2025年11月時点)で電子が約6割、紙が約4割ですね。紙で受け取ったものは各部門が押印(承認)した状態で経理部に提出され、私たちがスキャンをして債務管理システムにデータを入れるという流れになります。電子で受け取ったものは経費精算システムを通じて支払依頼と同時に受け取りし、電子保存されます。
――受領方法に応じて管理されているんですね。その後、支払いまでの流れについてはいかがでしょうか。
経理部内で請求書毎に担当者が決まっているため、自身の担当の分については請求書到着リストに口座引き落としなのか銀行振込なのかまで入力するルールになっています。そのリストを用いて支払い管理を行っています。
支払のためにインターネットバンキングで使用する送金ファイルは、2つのシステムから出力しています。経費精算システムで受け取ったものは、経費精算システムから送金ファイルを出力し、債務管理システムにデータを入れたものに関しては、そのシステムから送金ファイルを出力します。2つの送金ファイルを使って送金依頼をかけています。
――2つの送金ファイルを作成されるうえで気を付けていることはありますか?
重複が出ないように整合性は取るようにしています。基本的に前月に未払計上したものを送金ファイルに含めているため、月次決算時に作成している未払金明細の一覧と送金ファイルの金額が合致しているのかを確認しています。
――続いて未払を計上するタイミング、流れについても教えてください。
どちらのシステムでも、請求書を受領したら未払が立つよう設定しています。経費精算システムは会計システムへの仕訳連携時に未払が立つようにしていますし、債務管理システムの方でも請求書をアップロードして仕訳を入力する際に未払が立つようにしています。どちらでも請求書を受領したら未払が自動で立ち、かつ送金ファイルが作れるような形です。
――未払の計上は完全にシステム化されているんですね。
そうですね。最終的には計上されている未払の金額と実際の支払データを合致させていくことで整合性を取っています。
――ありがとうございます。ちなみに、保険金の支払い手続きに関しては別のプロセスになるんでしょうか。
保険金の支払いは基幹システムから送金ファイルが出る仕組みを作っており、別で動いています。損害サービス部がお客様とお話し、被害金額を精査し、基幹システムで確定されたのち、経理部に「この金額を支払ってください」と情報が共有されます。そのため、経理部として何かをするというわけではなく、依頼があったものを支払う形になります。
――お金の支払い関係は経理部が一手に担っていらっしゃるということですね。
そうですね。支払は当部で行うものの、支払内容によって送金ファイルを出すシステムが違うということになります。保険に関わる支払いは基幹システムから、取引先に支払う費用に関しては債務管理システムや経費精算システムから送金ファイルを出力する。混ぜるとわけがわからなくなってしまうこともあり、立て付けで分けている状態です。
――確かに、保険金の支払いと取引先への支払いがある保険会社様ならではの事情かもしれませんね。ありがとうございました!