経理の畑

「このやり方、いつまで続けるんだろう」──“当たり前”を少しだけ整えてみた経理担当者の話

作成者: 豆知識|Nov 19, 2025 12:46:42 AM

 

「前からこうやってるから」「特に問題は起きてないし」──そんな理由で続けている経理業務、ありませんか?
今回は、ある中小企業で経理を担当するCさんに、日々の業務の中で感じた違和感と、それをきっかけに行った“ちょっとした見直し”についてお話を伺いました。
「業務改革プロジェクト」のような壮大な取り組みではなく、「気づいたから、少しだけ整えてみた」。
そんな自然な改善のプロセスから、業務の質と安心感を高めるヒントが見えてきました。

業務の当たり前を整えたら安心が得られた

―― 業務の“当たり前”を見直そうと思ったきっかけは?

Cさん:きっかけは、月末の振込準備のときでした。
毎月、支払先の口座情報をExcelの一覧表で確認し、振込データを作っているんですが、ふと「この口座情報、毎回確認してるけど、変わってないよな…」って思ったんです。
でも当然、万が一の間違いがあってはいけないから、この確認作業を省くわけにはいかない。
そこで、よく使う取引先の情報だけでも別シートにまとめておけば、毎回探し出す手間が減るんじゃないかと思って、リスト化してみたんです。

―― それは、どんな変化につながりましたか?

Cさん:すごく小さなことなんですけど、振込準備の時間が10分くらい短くなりました。
それに、毎回「間違ってないかな」って不安だったのが、リストですぐに確認できるようになって、気持ち的にも楽になりました。
「このやり方、いつまで続けるんだろう」って思っていた作業が、やり方をちょっと整えただけで、安心できるものになったんです。

“当たり前”は、最初は最適だった。でも、今もそうとは限らない

Cさんのように、経理業務では「前任者から引き継いだ方法」や「昔からの慣習」がそのまま続いているケースが多くあります。
それは、業務が安定している証でもありますが、環境が変わっても見直されないままだと、知らないうちに非効率や不安を抱えてしまうことも。

Cさん:「Excelのファイルも、前任者が作ったものをそのまま使ってるんですけど、関数が複雑で、何を計算してるのか分からない部分があって…。
それで、よく使う関数だけでもメモしておこうと思って、簡単な説明をつけたら、後輩にも説明しやすくなりました。」

こうした“ちょっとした工夫”は、業務の効率化だけでなく、「このやり方で大丈夫」という安心感にもつながります。
前任者にとってはきっと最適だったやり方。
でも、自分が関わっている今のタイミングで少しだけ整えてみることは、業務の質を高めるだけでなく、引き継ぎや教育の場面でも役立つ工夫です。
今この記事を読んでいるみなさんの中にも、日々の業務の中で同じように感じることがあるのではないでしょうか?

たとえば──

昔は「共有フォルダに入れておけばOK」だったけど…
今は「どこに何があるか分からない」

<こんな心当たり、ありませんか?>
  • ・フォルダ構成が複雑で、前任者しか分からないルールが残っている
  • ・「あのExcel、どこにあるんだっけ?」と探す時間が増えている

昔は「マニュアルを作成して属人化を防止」してたけど…
今は「結局誰かに聞くしかない」

<こんな心当たり、ありませんか?>
  • ・作成した人にしか説明できない手順や独特の言い回しがある
  • ・マニュアルが更新されていないから、そのまま使えない部分がある

その他にも、「昔はそれでよかった。でも、今はちょっと違うかも?」
そんな気づきが、意外とみなさんの日常の中に潜んでいるかもしれません。

“当たり前”は、気づいたときに少し整えるだけで、業務の質と安心感が高まる

このインタビューから見えてきたのは、「変えること」が目的ではなく、「気づいたから、少しだけ整えてみた」という自然な流れです。
“当たり前”は、最初は最適だったかもしれません。でも、環境や働き方が変われば、最適ではなくなることもある。
だからこそ、違和感に気づいたときに、無理なく整えることが、業務の質と安心感を高めることにつながるのです。

Cさん:「全部を一気に変えるのは無理ですし、日々の業務もある中で、できるとも思ってないです。
でも、気づいたところから少しずつ整えるだけで、業務が楽になったり、後輩にも説明しやすくなったりするんですよね。
それに、『いつまでこのやり方続けるんだろう』というモヤモヤというか、自分の中でちょっと気になっていたことを解消でき、安心感や軽い達成感も得られました。」

実践のヒントは、「小さな整えから始める」こと

今回、Cさんが実際に行った見直しは、

  • ・よく使う口座情報を別シートにまとめた
  • ・複雑なExcel関数に簡単な説明をつけた

といったものでした。
どれも「業務改革プロジェクト」のようなものではなく、「ちょっと気になったからやってみた」程度の取り組みです。
でも、それが業務の効率化だけでなく、精神的な安心にもつながったといいます。

気づいたときが、整えるタイミング

経理業務は、正確さと継続性が求められる仕事です。
だからこそ、「変えること」には慎重になるのは当然です。
でも、“当たり前”が最適でなくなっているかもしれないと気づいたとき、少しだけ整えてみることは、業務の安定と安心を高めることにつながります。
Cさんのように、「変えたいわけじゃない。でも、ちょっと気になる」。
そんな気持ちを大切にすることが、経理の未来を少しずつ良くしていく第一歩になるのかもしれません。