経理の畑

年度末こそ見直したい!年々増える紙の書類の整理方法

作成者: 豆知識|Feb 24, 2026 12:49:44 AM

経理の仕事に携わっていると、毎日のように新しい書類が手元に届きます。請求書、領収書、契約書、申請書、稟議書、そして決算書類。どの書類も業務に必要不可欠ですが、気づけば棚やキャビネットはぎっしりと詰まってしまいます。年度末に整理しようと思いたっても、量がありすぎるが故に「どこから手をつければいいのかわからない」という迷いの声が多く聞かれます。実際、経理の畑にも「保存期間が分からず捨てられない」「電子化したいが手間がかかる」「前任のやり方を引き継ぐだけで精一杯」といった悩みが寄せられています。
しかし、書類整理は“面倒な後回し業務”ではなく、経理の仕事をより効率的に、そして安心して進めるための基盤づくりです。一度仕組みを整えるだけで、翌年以降の負担は確実に減り、余計な書類を抱え込んでしまう不安からも解放されます。
本コラムでは、年度末に取り組むことで業務と気持ちがスッキリする、書類整理の考え方と実践方法を、“リアルな視点”でお届けします。

整理の前に押さえておきたい「法定保存期間」

経理担当者の多くがつまずくポイントが、「どれを残し、どれを捨てていいのか判断できない」という問題です。判断軸が曖昧なまま整理をしようとしても、結局は“不安だし、全部残しておこう”となりがちです。ここで重要なのが、法定保存期間を正しく理解することです。

実は、経理書類の保存期間はひとつの法律で決まっているわけではなく、主に「法人税法」「消費税法」「会社法」の3つが影響しています。この違いを正しく押さえることで、「何年保存すべきか」が明確になり、書類整理の判断も迷わなくなります。

① 法人税法
法人税法では、税務上の根拠資料を残す目的で保存期間が定められています。主に税務調査の備えの役割を果たします。
●基本ルール

保存期間:7年
対象書類:帳簿書類(仕訳帳・元帳など)
取引書類(請求書・領収書等)
決算関係書類
棚卸表 など

● 例外

青色申告の欠損金(赤字)が発生した年度、申告漏れや災害損失金がある年度については、10年の保存が必要

② 消費税法
仕入税額控除(売上の消費税額から仕入の消費税額を差し引いて納付する消費税額を計算する制度)を適用するための根拠として保存が必要です。インボイス制度が導入されたことで、消費税にまつわる書類の保存はさらに重要度が増しました。
●基本ルール

保存期間:7年
対象書類:請求書
領収書
契約書
見積書 など
※仕入税額控除に必要な「適格請求書(インボイス等)」

●電子取引データの場合

PDFなどで受領した電子取引の場合は、電子帳簿保存法に基づき、電子データのままでの保存が必要

③ 会社法
会社法は、税務目的ではなく、会社の経営責任・財務の透明性を確保するための保存義務を定めています。ガバナンスや株主保護の役割を果たします。
●基本ルール

保存期間:10年
対象書類:財務諸表/計算書類(貸借対照表・損益計算書等)
会計帳簿
附属明細書 など

● ポイント

法人税法よりも長い「10年」の保存が基準。実務では、安全性と管理のシンプルさのために「会計関連書類は10年で統一」の企業も多い。

法定保存期間を過ぎた書類は、原則として廃棄できるため、一番保存期間が長い会社法に基づき、10年を過ぎた書類は廃棄できると言えます。とはいえ、「後で必要になるかもしれない」「廃棄するのは不安」と感じられる経理担当者が多いのも実情です。そんなときに対応方法として考えたいのが、電子化による保存です。紙のまま抱え続ける必要がなく、棚の圧迫を防ぎながら検索も容易になります。過去のものをすべて電子化はしなくとも、これからの書類を電子化していくだけでも、数年後の書類の量は減らすことができます。

「永久保存すべき書類」も存在する
書類ごとの法定保存期間を認識すると、原則10年保存したら廃棄してもいいのかと考えてしまいがちですが、実は企業運営には法律とは別に、リスク管理の観点から長期保存すべき書類が存在します。
▼ 永久保存が望ましい代表的な書類
  • 会社の権利・財産に関する文書(不動産の権利証など)
  • 長期にわたる契約書(基本契約、賃貸借契約など)
  • 人事/総務におけるトラブルに備える書類(労務関連の重要書類)

これらは、万が一紛失すると企業リスクが非常に大きい文書です。そのため、法律で定められている保存期間を超えていても安易に廃棄せず、「会社の存続に必要か?」という視点で判断する必要があります。
また、こういった永久保存が必要な書類こそ、電子化によって“検索性”を高めておくことが重要です。いざという時にすぐ取り出せる状態をつくることが、経理の安全運用にも直結します。

すぐに実践できる!経理書類整理の4ステップ

年度末の書類整理は、「今年こそは行いたい」と思いながらも、どこから始めればいいのか分からないことを原因に後回しになりがちな業務です。複数の経理担当者の声をもとに、今日から取り組みはじめられる4ステップをご用意しました。

STEP 1:書類を3つに分類する
  1. 法定保存期間内 → 保管
  2. 保存期間超過 → 廃棄 or 電子化
  3. 会社存続に関わる文書 → 永久保存
なによりも最初に分類しておくことが最も重要です。前半でご紹介した法定保存期間や
永久保存が必要な書類を参考に、書類を分類しましょう。書類ごとの立ち位置が明確になるだけで整理の迷いが激減します。
STEP 2:保存期間を“見える化”する
書類を保存しているスペースに、それぞれの保存期間を記載しておきましょう。「今年まで保管」「◯年保存ゾーン」などを記載しておくと、誰が見ても判断できる状態になり、引き継ぎもスムーズになります。
STEP 3:電子化のルールを決める
電子化を行う場合は、どのように電子化するのかの運用ルールを定めましょう。
思いついた時だけ電子化を行ってしまうと、後から探しづらくなってしまいます。
 <定めておくべき運用ルール>
  • スキャン対象の書類基準(領収書/受領請求書/発行請求書 など)
  • 保存フォルダ構造(部署単位/取引先単位 など)
  • ファイル命名ルール(日付、金額、取引先 など)
運用ルールを明確にし、部内や社内で共通認識を持つだけで、ファイル迷子になることがなくなり、管理の質が上がります。運用ルールを定めるのは労力がかかりますが、今後管理をし続けることを考え、はじめに時間を取って定めましょう。
STEP 4:安全に廃棄する
廃棄の際は機密保持の観点が欠かせません。シュレッダーをして廃棄するなど、会社のルールに沿って処理しましょう。

書類整理に掛かる作業時間は業務効率化への投資

経理にとって書類整理は、ときに“雑務”として扱われがちです。しかし実際には、書類整理が行き届いているかどうかは、日々の業務のスピードとミス防止に直結する極めて重要な要素です。

  • 判断の迷いが減り、業務が前に進む
  • 探す時間が減り、コア業務に集中できる
  • 残すべき書類が明確になり、リスクを避けられる
  • 翌年以降の整理負担が大幅に減る

書類整理は手間がかかるものですが、来月や来年の安心と効率化のための投資だと捉えて、少しずつ取り組んでいきましょう。
また、この機会に電子化が可能かも併せて検討していきましょう。電子化は紙を捨てるための手段と認識されることも多いですが、電子化を行うことで、検索・共有が効率的に行えるようになり、経理業務において大きなメリットがあります。一度仕組みを__作れば、その後の運用が圧倒的に楽になるため、年度末という絶好のタイミングを活かしてまずは“捨てられない書類を電子化しておく”という第一歩から始めてみてください。