経理の畑

2027年4月の消費税1%改正に備えよう! 経理担当者が振り返る「過去の消費税改正で本当に大変だったこと」とは?

作成者: 豆知識|Nov 5, 2026, 2:54:09 AM

2027年4月から、飲食料品を対象に消費税率が1%に引き下げられる可能性が報じられています。
経理担当者の中には、「また改正対応か……」と思った方もいるのではないでしょうか。

消費税改正というと、まず思い浮かぶのはシステムへの対応です。
「今使っている会計システムは対応できるのか」
「税率の設定はどう変わるのか」
「仕訳起票や請求書作成への影響はあるのか」
こうした確認は、もちろん欠かせません。

一方、2019年の軽減税率導入時を振り返ってみると、本当に大変だったのは、システムの対応を完了させることそのものではなかったという声も聞かれます。
今回は経理担当者の声を交えながら、過去の消費税改正で何が大変だったのかを振り返り、そこから次の改正に向けて準備できることは何かを考えてみます。

経理の声①
「施行日までにシステムはおそらく対応できると思っていた。
でも、いつ・どのような対応になるのかが読めないことに困った」

システムについては、「ベンダーから対応プログラムが提供されるだろうから、最終的には何とかなりそう」と考えていた担当者もいたのではないでしょうか。
それでも困るのは、具体的な対応時期や内容が見えないことです。

Aさん(製造業・経理部門責任者)

「最終的には対応してもらえるだろうとは思っていました。ただ、いつ対応方針が決まるのか、どんな対応になるのかが分からない。早めに準備したくても、こちらも具体的には動けないんですよね」

「対応できるか分からない」のではなく、「いつ・どう対応するのかが、まだ分からない」。対応プログラムはいつ提供されるのか。アップデートだけで済むのか。その後、自社で設定変更や動作確認が必要なのか。そこが見えてこなければ、自社として「いつ、誰が、何をするか」も決めにくくなります。
最終的には何とかなると思っている。けれど、その「何とかなる」までの道筋が見えない。制度改正への対応では、そんな時間が続くことがあります。

経理の声②
「今すぐ作業するわけではない。
でも、ずっと頭の片隅で気にはなっていた」

対応方針が決まっていないからといって、経理担当者が完全に「待ち」の状態になれるわけでもありません。
目の前には月次決算や支払い、請求といったいつもの業務があります。当然、それらを止めるわけにはいきません。その一方で、頭の片隅には「消費税対応」が残り続けます。

Bさん(製造業・経理部門責任者)

「今すぐ何か作業できるわけではないんですけど、だからといって何もしなくていいとも思えなくて。特に月末月初は目の前の仕事で手いっぱいなのに、『そろそろ何か準備した方がいいかな』と、ずっと気になっていました」

制度の詳細や対応方針が決まったら考えればいい、と完全に割り切ることもできない。かといって、現時点で何かを決められるわけでもない。
だから、ベンダーから新しい情報が出ていないか確認したり、制度に動きがないか調べたりする。それでもまだ決まっていなければ、具体的な対応には進めません。
通常業務を抱えながら、「まだ決まっていない仕事」が頭に残り続けることも、制度改正ならではの負担だったのではないでしょうか。

経理の声③
「会計システムだけ見ておけばいいのか?
自社への影響範囲が見えなかった」

さらに難しいのが、どこまで確認すればよいのか分からないことです。
消費税改正と聞けば、まず会計システムへの影響を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実際に確認し始めると、会計システムだけでは話が終わりません。

  • 販売管理システムはどうか
  • 請求書発行はどうか
  • 経費精算はどうか
  • システム間で受け渡しているデータはどうか

消費税に関係する業務やシステムは、自社のさまざまなところに存在します。

Cさん(卸売業・経理担当)

「最初は会計システムを確認すればいいと思っていました。でも確認していくと、『販売管理システムは?』『会計システムに取り込むデータは?』と、だんだん気になるところが増えていきました」

一つ確認すると、別の確認事項が見つかる。さらに、その業務やシステムが自分の管轄でなければ、別の担当者への確認も必要になります。
ここで難しいのは、制度を理解することと、「自社の場合はどうなるのか」を把握することは別だということです。
制度そのものは理解できても、自社への影響範囲が見えていなければ、「では、何を準備すればいいのか」という次の段階には進めません。
自社の業務やシステムを一つひとつたどっていくことに、思った以上の時間がかかったという担当者もいるのではないでしょうか。

経理の声④
「自分たちも確認中。それでも社内からの問い合わせには対応しなければならなかった」

そして、経理担当者を悩ませるのが従業員や経営者からの問い合わせです。
「請求書の形式は変わるの?」
「経費はどのように申請すればいいの?」
「システムは変わるの?」
「うちは問題なく対応できるよね?」
税制に関することだからこそ、自然と経理に質問が集まります。
しかし、自分たちもまだ情報を集め、確認している途中です。

Dさん(製造業・経理担当)

「聞かれても、まだ分からないことがあるんです。でも『分かりません』だけの回答はしづらくて、そのたびに何か新しい情報がないか調べていました」

自分たちも答えを探している側なのに、社内からは“答えを持っている側”として見られる。
問い合わせを受ければ最新情報を確認し、必要に応じてベンダーにも問い合わせる。そのうえで、「現時点ではここまで分かっています」と社内に説明する。そして、新しい情報が出れば、また自社への影響を確認する。
一つひとつは大きな作業には見えなくても、こうした確認や説明が通常業務に少しずつ上乗せされます。自分たちも分からないまま旗振り役を担わなければならない状況がストレスとなっていた様子もうかがえます。

4人が語る話の共通点は、「まだ分からない」が多かったこと。
情報がそろっていない中でも、準備や確認を止めるわけにはいかない

ここまでの4つの声には、共通点があります。
システムは対応してくれそう。でも、具体的な時期や方法は分からない。
何か準備した方がよさそう。でも、まだ具体的には動けない。
制度は分かってきた。でも、自社のどこまで影響するのか分からない。
自分たちも確認中。でも、社内からの問い合わせには答えなければならない。
つまり、経理担当者を悩ませていたのは、単に「税率が変わること」だけではありません。
情報がそろっていない中でも、準備や確認を止めるわけにはいかない。
これこそが、制度改正対応の大変さだったのではないでしょうか。
では、次の制度改正でも、すべてが決まるまで待つしかないのでしょうか。
実は、そうとは限りません。

今できるのは、「自社のどこに影響するか」を整理すること

制度の詳細や、システムの具体的な対応方法は、すぐには決まらないこともあります。経理担当者だけで、それを先回りして決めることもできません。
一方、自社への影響範囲を整理しておくことであれば、詳細が決まる前から始められます。
例えば、

  • 自社では、どの業務で消費税を扱っているのか
  • それぞれの業務で、どのシステムを利用しているのか
  • システムについて誰に確認すればよいのか
  • 経理以外に影響しそうな部署はどこか

といったことです。
これらが整理できていれば、正式な情報が出たときに、
「さて、何から確認しよう」
ではなく、
「では、ここを確認しよう」
から始められます。
制度の詳細を先回りして予想したり、経理担当者が最初からすべての答えを持ったりする必要はありません。
今できるのは、答えが出たときに、自社への影響を判断できる状態にしておくことです。

制度が決まってから慌てないために、まずは「影響範囲の把握」からはじめませんか?

過去の消費税改正では、最終的にはシステムが対応し、いつものように業務を続けられるようになった企業も多いでしょう。「前回も何とかなったから、今回も何とかなる」と思える部分もあるかもしれません。
でも、経理担当者にとって制度改正が大変なのは、改正内容そのものだけではなく、「まだ分からない」中でも準備や確認を進めなければならないことにあります。

制度の詳細が決まっていなくても、自社の業務やシステムを棚卸しして、「どこを確認すればいいのか」を整理することはできます。「分からないこと」が多い今だからこそ、「影響範囲の把握」を進めることが今からできる備えとなるのではないでしょうか。