事例インタビュー

INTERVIEW
西部ガス情報システム株式会社様

勘定奉行への仕訳入力の時間が5分
RPAを活用して仕訳入力の時間を劇的に減らす方法とは?

人手不足や生産性向上をキーワードに近年話題となっている「RPA(Robotic Process Automation)」。福岡県福岡市に本社を置く西部ガス情報システム株式会社では勘定奉行への仕訳入力を、ロボットを活用して行っているという。インタビューをして見えてきたのは「主体的に業務プロセスを変えようとする姿勢」だ。同社管理本部経営企画部長の松中伸征(のぶゆき)氏および同部経理グループマネージャーの向(むかい)美智郎(みちろう)氏、同社ソリューション本部副本部長の友田剛氏にロボット活用のポイントや作成の勘所などについて聞いた。

西部ガス情報システム株式会社様

向 美智郎 氏

管理本部 経営企画部
経理グループ マネージャー

松中 伸征 氏

管理本部 経営企画部長

友田 剛 氏

ソリューション本部 副本部長
兼 グループ営業部長

大量の仕訳入力を依頼されて「えっ、こんなに入力しないといけないの(汗)」

管理本部 経営企画部長
松中 伸征 氏

-西部ガスグループ並びに御社の事業内容について教えてください。

松中西部ガスグループはエネルギー事業を中心に食や住まい、介護、レジャーなど、生活に関するさまざまな分野で事業を展開しています。当社は西部ガスグループの情報システム会社。ガスという公益性の高いライフラインを提供する西部ガス株式会社の情報システムをサポートするなかで培ってきた高品質なサービスが強みです。そこで蓄積された質の高いソリューションをグループ外のお客さまにも提供しています。業務システムや社内ネットワークの設計・構築から運用・保守まで、お客さまのニーズに沿ったシステム提案を行っています。

―ご担当者それぞれの経理業務歴はどれくらいですか。

松中私は経理を担当して25年超ですね。

経理業務歴は3年です。以前は営業をやっていましたが、数字を使って会社を変えていける経理に憧れて異動してきたんです。しかし、経理の実態は私の理想とかけ離れていました。経理はクリエイティブな仕事だと思っていたのですが、単純作業ばかり。あまりの入力作業の多さに愕然としたんです。

-いったいどういうことですか。

当社の場合、定期異動が4月に行われます。4月といえば決算の真っ只中ですよね。異動してきて最初に松中から与えられた業務が仕訳入力。「とりあえずこれ入力しておいて」と言われて。正直なところ、言われたことの意味がわからなかったんです。「なんでこんなことしなきゃならないんだ」と。「こんな単純作業は誰かにやらせてよ」ってそう思いました。そうして入力に終始するうちに3か月があっという間に経過。その間、していることは単純作業であって、私としては何の進歩もないわけです。しかし、長時間残業を余儀なくされ、疲れ果てていました。「これが経理の実態なのか!」と驚き落胆したわけです。

松中私からすると、経理にとって仕訳入力は必要最低限のスキル。まず、やってみて覚えていくのが当たり前と思っていましたが、彼の場合は営業を経験していることもあって、違う視点から仕訳入力を“課題”として認識してくれたようです。

営業ではお客さまに効率化の提案をしているのに経理の現場ではアナログなことを依然としてやっているわけです。「こんな状況は絶対におかしい」そんな問題意識を持つようになったんです。

―そんななか、世間ではロボットを活用したバックオフィス業務の効率化が話題となってきました。そこで、単純作業である仕訳入力にロボットを活用したらどうかという話が出てきたわけですね。

そうなんです。ロボット活用のきっかけは社長からの指示によるRPAワーキングの発足(2017年)。すでに述べた通り、決算期の作業時は仕訳入力に伴い、長時間残業を余儀なくされて猫の手も借りたい状態でした。だから「ロボットでもなんでもいいから手伝ってほしい」と切実な想いを抱いており、ロボット活用に前向きに取り組むことにしたんです。また、仕訳入力から解放されて「もっと意味のある仕事をしたい」という気持ちもありました。

友田自社でロボットを活用するのは、経理業務の効率化のみならず、グループ内外のお客さまに対するソリューションとして展開する目的もありました。ロボットを活用した成功体験がないと、お客さまに自信を持って提案できないからです。だからこそ、自社がまずロボット活用に取り組んでみるべきという声があがったんです。

勘定奉行への仕訳入力の時間を劇的に減少させたRPA化
「仕訳入力と入力後のチェックに要する時間が4時間から5分になりました」

管理本部 経営企画部 経理グループ マネージャー
向 美智郎 氏

―ロボットを導入するために何を始めましたか。

まずロボットでできそうな作業を挙げていきました。例えば、「配賦の計算」「月割り計上」といった具合ですね。あまり深く考えず、思いつくままにリスト化していくと、それぞれに共通する作業があったんです。それが「仕訳入力」です。仕訳入力をロボットに任せることができれば劇的に仕事が楽になるんじゃないかと気づきました。

-では具体的にどのようにロボットを作成したのですか。

ロボットツールメーカーが実施する短期間の研修を受け、作成ノウハウを身に付けていきました。ロボットを作成するには高度なプログラミングの知識が必要で難しいと思うかもしれません。しかし、実際はほとんど苦労しなかったんです。作成にかかった期間はたったの1日(3人で作業)ですよ。

友田エクセルでマクロレベルの関数を使った経験があって、if文やループ処理のような基礎的なプログラミングの知識をロボットツールの研修で身に付ければ十分だったね。システム開発経験がない人でもまったく問題ないと思います。

こうして生まれたのが「メロン1号」 です。“メロン”というのは私たちがつけたロボットのニックネームのこと。「メロン1号」は一部の入力作業だけへの活用に留まりましたが、省力化に貢献してくれました。このとき「ロボットは役に立つ」そう実感したんですね。「メロン1号」のノウハウを反映させて作ったのが「メロン2号」です。

―「メロン2号」はどんなロボットですか。

エクセルの定型フォーマットに入力された仕訳起票のための内容を勘定奉行に仕訳入力するロボットです。実際に使ってみると、劇的に業務時間数を削減できました。ロボット活用前は、間接費のほか、部門費用の計上や按分など、四半期決算に伴う300以上の仕訳入力と入力後のチェックに4時間かかっていましたが、今では5分で済んでいます。しかも、入力ミスはゼロです。

業務単位でロボットを活用して「小さく始めて大きく育てる」

ソリューション本部 副本部長 兼 グループ営業部長
友田 剛 氏

―経理は正確性とスピードの求められる仕事です。

松中そうですね。決算書は会社の外に出ていくもの。成績表として、説明がしっかりとできるものを出すのが経理の責務です。効率を追求してロボットを使うのはいいんですが「正確性は担保されるのか」そんな心配はありました。それに入力のスピードはロボットに負けない自信がある(笑)。

部長はエクセルじゃなくて電卓で計算していますね。確かに、電卓や勘定奉行への入力のスピードはめちゃくちゃ早い! ロボットに負けてないですよ(笑)。

松中今思えば「業務プロセスが変わること」に対して、怖れを感じていたんだろうなぁ。「今までと同じやり方をしていたほうが確実だ」という意識が根底にあったのかもしれない。実際にロボットを使ってみると、早いし正確だし、メリットがとても多いね。常識がガラリと変わったよ。

今回うまくいったのは仕訳入力という経理の“一部分”にロボットを適用したからだと思うのですが、どうですか。

松中そうだね。例えばいきなり「全自動化」と言われたら、絶対に反対しただろう。経理のミッションである正確性を担保できなくなる恐れがあるからね。“一部分”だったからこそ気軽に試せたんだろう。いきなり業務プロセスをガラリと変えることに抵抗を覚えるのは誰もが同じ。だからこそ、“一部分”言い換えれば業務単位でロボットを活用するのがスムーズだと思う。「小さく始めて大きく育てる」そんな気持ちでロボットを使うといいかもしれないね。

―ロボットを実際に使ってみてどんなことに気づきましたか。

声を大にして言いたいのは「ロボットは魔法のツールではない」ということです。

松中ロボットを活用すれば「人間は何もしなくていい」と思いがちですが、決してそうではないんです。ロボット活用のポイントは「人間とロボットの役割分担を明確にする」ことだと思います。

―最後に、今後の展望について教えてください。

松中ロボットを使って浮いた時間は高付加価値な仕事に投入します。具体的には、集計する経理から、分析し評価する経理への転換を図ります。

現在は「メロン7号」まで作成しており、徐々に省力化できています。ロボットのおかげで年々帰る時間が早まっています。今後は連結決算資料や各部門月次データ、各種明細などの入力もロボットを使って自動化していきたいですね。

―ありがとうございました。

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