株式会社アクワイアは1998年の設立。親会社は東証一部上場企業のガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社である。家庭用ゲームソフトおよびスマートフォンゲームの受託開発を中心に自社開発も手がけている。同社が給与奉行クラウドを検討したきっかけは2つある。
一つ目は「法令改正の度に発生する更新作業の効率化」である。管理部経理財務スーパーバイザーの石井朋子氏が語る。 以前の給与システムの場合、法令に対応するために自社で社会保険料率のアップデートを行う必要があった。しかし、アップデートが漏れてしまい、料率にズレが生じてしまったことも。
「このようなミスが起こるのは自社で完結しようとするから。法令改正のように頻繁に行われるアップデートは、自社で行うよりもクラウドの自動更新を活用したほうが効率的でしょう」
二つ目は「給与明細の印刷・封入作業の効率化」である。
「紙の給与明細の印刷・封入といった単純作業が毎月生じており、手間と時間がかかっていました。クラウド化で、このような単純作業を少しでも削減できればいいと考えたんです」
また、「コストの固定化」にも期待があった。管理事業本部長の桜井克彦氏が説明する。
「一般的な給与システムの場合、導入にかかる多額の費用を一括計上しなければなりません。それに加えてシステムを維持するためには相応の投資が必要です。しかし、クラウドの場合は毎年固定の利用料のみで原則済むわけです。ゲーム開発は多額の費用を投じて行うものだけに、なるべく会社に資金を残しながらシステムを運用していきたいという想いがありました」
導入の決め手は業務効率化を図れることだ。
「給与奉行クラウドによって、煩雑なシステム更新作業を効率的に行えるようになります。社会保険料率の更新のように、法令改正に対応したアップデートが自動的に行われるからです」
システムの拡張性も導入の後押しになった。
「給与明細電子化クラウドを給与奉行と連携させることで、労働時間が削減可能だったのも決め手の一つでした。毎月時間をかけてコツコツ行っていた給与明細の印刷・封入作業が電子化によって一掃できるとわかったからです。」
それでは実務担当者の声からシステムの効果について探ってみよう。まずは石井氏からだ。
「クラウド化によって毎日のデータのバックアップ作業とサーバーメンテナンスがなくなり、年間44時間削減できています。定期的に行う作業が一掃されてシステム運用に手間がかからなくなったほか、作業ミスなどを心配する必要がなくなりました」
システムが自動的に法令対応になったことも大きい。
「社会保険料率が自動更新されるのはとても助かります。特に、子ども・子育て拠出金のように毎年変更されるとは限らない料率なら、なおさらです。このような料率の場合、更新されたことにさえ気づかずにそのまま業務を行ってしまう恐れがありますからね。しかし、これからは自動更新されるので安心して業務を行えます」(石井氏)
同社は給与明細電子化クラウドの導入後は「ペーパーレス化」を実現できている。管理部の四ノ宮徳子氏が語る。
「以前は、給与明細の印刷・封入作業を2人で分担して毎月3.5時間かけて行っていました。月次の繁忙期に取られる3.5時間は貴重だったのでこの時間がゼロになり、1人は給与明細に従事せずに済むようになったのは非常に助かっています。給与明細の印刷・封入作業は単純ですが、ミスは許されないもの。それだけに多少なりともプレッシャーを感じていたので今はとても気が楽になりました。また、長期間休んでいる従業員に対し、郵送で個別配付する手間が省けているのもうれしいですね」
同社では人事総務業務全般において「業務効率化」が実現できているようだ。
給与奉行クラウドを利用する前は手作業で行っていたシステム更新や給与明細の配付作業が自動化され業務効率化を実現。
価値ある事に時間を投資できるよう変化した。
「業務効率化」の先にあるものは何だろうか。石井氏、四ノ宮氏、そして同部の兼清明子氏は声をそろえてこう話す。
「単純作業に忙殺されることがなくなり、心に余裕ができました。そうなると景色がだいぶ変わってきますね。“こうしたらいいんじゃないか”という改善案などの立案に時間を使うことが多くなってきたんです。空いた時間を新たな価値ある仕事に振り分けてさらに会社に貢献したいと考えています」
桜井氏は「クラウド化は柔軟なワークスタイルを実現するきっかけになるでしょう。例えば東京だけでなく地方や海外にも開発拠点を設けることになればクラウドは心強い」と語る。
「システムはセキュリティ対策がしっかりと施されており、社外でも使えることがわかりました。クラウドを活用すればリモートワークを実現することはそう難しいことではないでしょう。今後、遠隔地勤務や家庭の事情などから毎日会社に来られないメンバーが出てくるかもしれない。そのときにクラウドが役立つでしょう」
同社では総務人事奉行クラウドの導入を検討中だ。人事周りのシステムをクラウドにそろえることでデータ連携を加速させ、業務効率化を促進しつつ、企業成長につなげるという。