システムやフォーマットの活用で賢く仕組み化&管理徹底。 80名規模の保険会社の経理に聞く「月次決算」の進め方

月末月初の経理の仕事、月次決算。御社では、どのようにして期日までに業務を進めていますか?今回は、社員数80名ほどの保険会社で経理を務めるHさん・Nさん・Yさんに、月次決算の進め方や工夫についてお聞きしました。

毎月8営業日目までに月次決算を完了

――まずは、御社の経理体制について教えていただけますか?

経理部長を含めて4人体制、うち3人で実務を担当し、部長が伝票の承認などを行っています。

――実務の役割分担はどのようにされているんですか?

全員、ほぼ同レベルの作業をしています。

――まさにワンチームで動かれているんですね。経理にはいろいろな作業がありますが、今回は「月次決算」について伺いたいと思います。まずは数字を確定させるまでの流れについて教えてください。

月末で売上を締め、翌月の第4営業日には当社の基幹システムを通じて仕訳データが出力されます。そのデータの整合性を確認し、数字を確定させるという流れです。

――スピード感を持って処理していく必要がありそうです。

そうですね。さらに費用関連については、電子で届く請求書に関しては第3営業日までに経費精算システムを通じて取引先の請求書支払いデータを各部門に入力してもらっています。
また、原本で届く請求書の場合も同様に当部に提出をしていただいております。
原本に関しては当部が会計システムに電子保存のためスキャンで取込んだ後に仕訳入力をしております。

――各部門担当も巻き込みながら、様々なシステムをうまく連携させて処理を進めているんですね。

経費精算システムと会計システム・基幹システム、それぞれのデータをCSV連携で会計システムに取り込んでいます。会計システムおよび経費精算システムに関してはAPI連携を行うことにより、月次の数字の内、PLは第5営業日、BSは第7から8営業日には数字が確定していますので、第8営業日にはほぼ月次決算が終わっている状態になります。

――なるほど。この流れを毎回同様の形で進めていらっしゃる。

このスケジュールは四半期、期末決算でもほぼ同じです。

――同じなんですか。月次と同じスケジュールで四半期決算をされるのは、結構な業務量になりませんか?

月次決算を毎月行っていることにより四半期も期末決算も、月次決算の少し延長みたいな感じです。皆さんも慣れた感じで仕事を回しています。ただ、四半期や期末決算には税金の確定があるため、数値を確定させるスケジュールが少し延びることはありますが、決められたスケジュールから遅れることはありません。

――そうなんですね。基幹システムで数字を確認して合わせていくというお話でしたが、月次決算でどの程度まで合わせているのでしょうか。

会計システムと預金残高は必ず合致していることを前提として進めています。

――確認方法についてはいかがですか?

月末の2日間で、預金残高と会計システムの残高金額に乖離がないかを確認しています。そこで誰が何を入力していないのか、未入力の数値をある程度確認できますので、不一致になる原因を把握するようにしています。
また、入金があった際は都度、何の入金なのかまで確認するようにしています。利用している会計システムには銀行の入出金明細を取得する機能が付いているため、そちらも活用して入金仕訳を起票し、預金残高とシステムの残高が合わなければ原因確認するといった具合に、細かく見ている感じです。

――月次にまとめてではなく、入金があったら都度、確認しているんですか?

そうです。不明金が出ないよう、入金日に何の入金があったのか把握しています。
「あれ?」と思ったらデータを確認しにいく癖を皆さんにつけてもらっていて、「わからないからいいや」という状態にしないようにするため、常に声をかけるようにしております。

――そこは実務担当が3人でいらっしゃるからこその工夫なんでしょうか。

そうかもしれませんね。経理部の人数が増えると「誰かがしてくれるだろう」といった気持ちが芽生えるかもしれないですよね。ミニマムだからこそのメリットかもしれません。

立替経費の精算は月2回。「領収書67日ルール」を浸透させ、抜け漏れなく進行

――立替経費の精算の確認はどうされていますか?

社員が立て替えてくれたものを月2回精算するようにしています。費用の計上はキャッシュベースでおこなっており、「費用/預金」という立て方をし、「立替金」という形では立てていません。ですので、社員が請求したものを期日に支払うという流れです。

――出金に関して、経費として計上している理由はありますか?

抜け漏れを無くすためです。未払を立替で立ててしまうと、「これが精算できていない」とか「経理部が払い漏れている」というのが出てくるかもしれませんが、社員の経費に関してはそれをしていません。

――社員からの申請をもとに費用を立て、月2回精算をされていると。

そうですね。ただ、一定の締め日は設けております。電子帳簿保存法の67日ルールを徹底してもらっています。67日以内に必ず経費精算をしてもらうようにお願いしているルールで、皆さん抜け漏れすることなく、きっちりと守っていただいている印象です。

――経費精算の漏れがないというお話は他者様からもあまり聞いたことがないです。かなりの徹底ぶりですね。

立替経費は社員の方が、一旦自己負担していただいているものなので、社員本人も精算しないと戻ってこないという認識があるのかなと。

――なるほど。皆さんきっちりルールを守ってくださっているというお話でしたが、そうなるまでに苦労はありましたか?

はい。電子帳簿保存法を運用するためには、67日以内に領収書を出してもらうというルールを定着させるまで、何度もアナウンスをしました。

――振込の具体的な日程を教えていただけますか。

15日と末日です。21日から5日までに経理部に申請されたものが15日支払。6日から20日までに経理部に申請されたものを末日に支払っています。申請された内容は経理部でチェックを行い、承認したものについてまとめてお支払いしている形です。

――ちなみに経費といっても様々ですが、ガソリン代のような交通費宿泊費など、すべて含んで月2回精算しているのでしょうか。

そうですね。社員が使ったものはすべて月2回の支払いに含まれます。

――15日支払いの締め日に間に合わず、末日支払いの締め日にまとめて出されるということもあるんでしょうか。

ありますが、領収書の67日を超えていなければ問題ないという判断をしています。

――なるほど。67日のルールがここで生きてくるわけですね。

そうですね。経理以外の方からすると、申請の内容は複雑だと後回しになりがちだと思っています。なので、なるべく仕組みで整えるように工夫しています。
例えば、使用した経費がどの勘定科目で起票されるのか。経理以外の人からすると、「書籍購入は教育研修費になるんだよ」と言われたところで、なかなか把握して対応するのは難しいと思います。インボイスもありましたので、かなり裏側で費用内容と勘定科目の紐づけ設定を行い、交通費であれば、裏側で旅費交通費が立つ、書籍だったら教育研修費が立つといった具合に、裏ですべて仕組みを整えています。営業の方が精算で悩むことがないようにしています。

――いやあ、大変だったんではないですか?

そうですね(笑)。インボイスは大変でした。

――そうですよね。ちなみに、社員の方が経費を使う際、事前の申請は必要なのでしょうか。

営業活動における交通費は不要ですが、出張費や書籍の購入などについては事前稟議が必要となります。いつどこに何をしに行くのか。当社は1円稟議なので、稟議がないと経費精算ができません。精算時には、その稟議の承認ナンバーを入力してもらっています。

――1円稟議を通していらっしゃるので、無駄や不正な経費利用がないことは確認が取れるようになっている体制ということですね。

おっしゃる通りです。

売上高は基幹システムを使うことで「ズレる」ことなく管理可能

――受領請求書と買掛金、発行請求書と売上高との確認はどうやってされているんですか?

受領請求書は基本的に毎月来るものなので、各担当者があらかじめ請求書到着一覧表を作っていまして、請求書を受け取ったら、その一覧表に受取日と金額、支払い日を入力してもらっています。そこで受領する請求書に抜け漏れがないようにしています。

受領請求書はすべて未払金を立てていますので、2025年11月分であれば、11月に費用の未払金を立て、12月末に支払うという方法を採っています。

流れとしましては、届いた請求書を担当者が会計システムに入力し、仕訳起票者とは別の者がダブルチェックをし、上長の最終確認後、承認を得るという複層的なチェック体制を敷いています。それにより、費用を立てる受領請求書の抜け漏れを防げているのだと思っています。

――毎月のものではない請求書についてはいかがですか?

単発で来るものについては事前稟議の承認フローの中に経理も入れていただいており、一覧表にあらかじめ請求書が届きそうな時期を入力してチェックしていますね。
請求書が今月届いていないから大丈夫だという話ではなく、なにが届いていないのかがわかる体制を取っています。

――売上高についてはいかがですか?

当社は保険料が主な売上高になるので、当社のPLになる売上は、お客様からの保険料になります。ただ、保険料を何でも売上に上げられるわけではなく、たとえば11月の売上とするには、保険の開始日と保険料のお支払い日、申込書が当社に届いている日付の3要件のうち、一番遅い日が11月である必要があります。

――どれか違う月がある場合は?

もし、このお客様の申込書が届いている月が12月であれば、12月の売上になります。このように、申込書をいつ出すのか、保険の開始日はいつなのか、保険料のお支払いのタイミングはいつなのかによって、売上の認識が変わります。

――複雑ですね。

複雑ではありますが、すべて基幹システムに組み込んでいるので、判断はシステムで行えます。

――なるほど。であれば、今月分の売上もすぐデータとして出せると。

そうです。会計仕訳として出せるので、それで確認できます。保険という物理的なモノではないものを商品として販売しているため、ちょっと特殊だと思います。

――基幹システムにすべて組み込んでいるため、ズレるという考え方がそもそも生まれない?

そうですね。基幹システムを組むときに何度もテストをして、要件通りの仕訳が出ていることも確認済みです。
また、毎月出てきたデータについても売り上げの3要件を満たしているかをExcelで式を組んで整合性を確認しています。

――基幹システムが重要な役割を担っているんだなと思ったのですが、請求書の発行もこの基幹システムでやられているんですか?

いえ、基幹システムは保険を申し込むためのものでして、保険会計に関するものです。販管費などは別の話になります。基幹システムは保険の申し込みや解約返戻金、支払保険金の情報がプールされる場所で、その情報を元に会計データが出てくるという感じです。

毎月の報告は8件ほど。Excelフォーマットを活用し、効率的に報告書の作成を可能に

――最後に、月次決算後の報告書の作成についてお聞きしたいです。いつ、どんな形で作成されていらっしゃいますか?

大体8営業日ぐらいに完成させ、提出しています。当社はグループ子会社なので、社内の各種会議用資料だけでなく、親会社に報告するための予算対実績や前年対比の報告書、関連当事者取引の集計などを毎月行っています。

――社内の会議用資料はどのようなものを?

各部門長に報告するための各保険商品別の収支表、拠点別の収支表、部門別販管費予算対実績を作って毎月報告しています。

他には、親会社との連結決算を行うためのシステムに毎月のPL・BSを入れていまして、その締め日が第10営業日頃となっています。当社のPL、BSが締まったら、一部科目を連結用に組み替えてシステムにデータを入力して提出しています。

――非常に作成物が多い印象です。

あとは、監督官庁への決算モニタリングに関する報告を月次と中間・期末で行っています。という感じで、毎月の報告が8つぐらいある感じです。

――8つもあると大変な印象を受けますが、どの程度の作業なのでしょうか?

Excelで関数を使うなどしてフォーマットを整えているので、ちょっと入れれば簡単にできる仕組みを整えています。毎月1からすべて作成するのではなく、1度作ったものを引用、引用という形で進めています。

――ありがとうございました!