AI活用を進めたい!けど、どう始めればいいの?
生成AIが話題となり、「経理にもAIを入れればもっと効率化できるのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。経理担当者を対象とした調査では、経理業務でAIを活用している人は1割のみでした。AI技術の進歩はしていますが、実務で活用できている人はまだまだ少ないようです。しかし、AI導入を実際には導入していないものの、興味・関心を持つ人が3割いることから、経理業務におけるAI活用への注目度も上昇していると考えられます。
一方で、現場からは「本当に便利になるの?」という疑問の声や、「何から始めれば良いのか分からない」といった戸惑いの声も聞こえてきます。そこで今回は、実際にAIを導入している経理担当者の皆さんに、その「リアルな活用術」を聞いてみました!
「うちではこう使ってます!」現場の活用術をご紹介
- 1. 月末の残業時間を大幅カット:AI-OCRと仕訳自動化
- 以前は月末になると、デスクに積み上がった請求書の山を見てため息をつくのが恒例でした。手入力だとどうしても『0』の数を間違えたり、会社名を打ち間違えたりといったミスが避けられず、その確認作業にまた時間がかかるという悪循環……。
AI-OCRを導入してからは、スキャンするだけで日付・金額・登録番号まで一瞬でデータ化されます。予想以上に読取の精度が高く、一気に手作業が減りました。
また、過去の処理を学習して『この請求書ならこの勘定科目ですよね?』と仕訳候補まで提示してくれるんです。入力ミスという概念自体がほぼなくなり、精神的な負担が激減しました。
一方で、あえて苦労した点を挙げるなら、“手書きの請求書”や“取引先ごとにフォーマットが違うパターン”ですかね。手書きは読み取りミスが出ますし、取引先が独自の書き方をしているものは再学習が必要なこともありました。結局、最後のチェックは人が必要ですね。
でも“入力が主業務→チェックが主業務”に変わったことで、精神的にも余裕ができたと感じます。(製造業・経理担当)
- 2. 担当者の属人化を解消:入金消込のマッチング
- 弊社で最も時間がかかっていたのが入金消込の作業でした。請求書との突合せ作業が大変なのはもちろん、入金日がずれたり、入金金額がわずかに相違したり、顧客名が略称だったり…。“完全一致しない入金”は毎月必ず出るので、ベテラン担当者しか判断できないケースも多かったです。
AIの自動マッチングを導入すると、まず感じたのは“類似値の判定が思った以上に優秀”なことです。今までは1件1件人が判断するしかなかったのですが、AIが自動で判別してくれるため、消込作業は以前の半分以下の時間で終了しています。当たり前ですが、お金の管理はミスが許されないものです。今までの精神的な負担も軽減された気がします。
ただし、まだ完全にAI任せにはできない場面もあります。部分入金、合算入金などはAIで完全に判断できるわけではないので、担当者間で確認しあっています。それでも、大分時間が削減されたので、業務における負担が削減されたと感じています。(ITサービス・経理マネージャー)
- 3. 「見逃し」というリスクをゼロに:経費の不正・異常検知
- 営業活動の増加により、経費申請が増えたことで経理部門への負担が増加していました。数千、数万とある従業員の経費申請を、人間の目で隅々までチェックするのは物理的に不可能です。膨大な経費申請データの中に、一見普通だけれど実は重複している申請や、社内規定からわずかにはみ出した金額が紛れ込んでいても、繁忙期は見逃してしまうリスクがあったんです。
今はAIが全件を自動チェックしています。例えば『同じ領収書が2回申請されている』『近接した日付で同じ区間のタクシー代が請求されている』といった不自然な動きを、AIが瞬時に見つけ出します。また、週末の不自然な利用など、個人のバイアス(思い込み)が入らない忖度のない目で異常をピックアップしてくれるので、内部統制のレベルが格段に上がりました。不正の芽を事前に摘めるようになったのは、会社にとって大きな安心材料です。(小売業・経理担当)
- 4. 作業時間は1/10へ:生成AIを活用した財務分析レポートの効率化
- これまでは、月次決算の数値が固まってからが大変でした。Excelからグラフを何枚も作り、前月比や予算比の差異を調べレポートとしてまとめる必要がありました。資料が完成する頃には、月次決算確定からさらに3~4日経過してしまうこともありました。
今は、決算数値が固まった瞬間に生成AIにデータを読み込ませ、財務分析レポートのドラフト(下書き)を一気に作成させています。『前月比で旅費交通費が15%増加した主な要因は……』『現在のキャッシュフローの推移から予測される来月のリスクは……』といった、人間が1時間かけて考えていた叩き台を、AIはわずか10秒で出力してくれます。
もちろん、そのまま提出はしません。AIが作った下書きをベースに、経理ならではの『現場の肌感覚』を加味して微調整するだけ。報告のタイミングが劇的に早まったことで、経営陣との議論がより新鮮な数字ベースでできるようになりました。何より、作業に追われるのではなく、「数字をどう読み解くか」という本来の仕事に時間を使えるようになったのが最大の収穫です。(商社・経理部長)
「まずはやってみる」が大事!案外スムーズに効率化できることも
これまで「手作業でやるしかない」と諦めていたことでも、いざAIに投げてみると、驚くほどスムーズに処理してくれるケースが増えています。「この業務、どうにかならないかな?」と感じているその違和感こそが、AI活用の絶好のチャンスです。「無理だろう」と決めつけずに一度任せてみることで、意外なほどあっさりと解決策が見つかることが多いのが、今のAIの凄さです。
「AIを導入する」という言葉は、システム全体を入れ替えるような大ごとを想像しがちですが、実は「この業務、もっと楽にならないかな?」という現場の小さな悩みを解消することから始まります。自動仕訳やマッチング、OCRといった「定型的な大量処理」において、AIは人間を凌駕するスピードと正確性を発揮し、強力なサポート役となってくれます。
勿論、AIは万能ではありませんが、経理業務を支援してくれる心強いアシスタントになり得ます。「まずはやってみる」という小さな一歩が、数ヶ月後のあなたにゆとりをもたらしてくれるはずです。