クラウド会計やDXといった言葉を耳にする機会が増え、経理のシステムを取り巻く環境は、この数年で大きく変わってきました。
一方で、日々の業務に向き合う経理担当者の立場からすると、
と感じることもあるのではないでしょうか。
「クラウド化が進んでいる」「これからはクラウドが当たり前」と言われる一方で、現場では必ずしも単純に割り切れない事情もあります。
そこで今回、経理の現場の“今”のシステム事情を知るため、経理担当者500人を対象に、現在利用している会計システムの形態や、導入の背景、実際に使ってみて感じていることについてアンケートを実施しました。
本記事では、その結果をもとに、「今、他社の経理ではどのようなシステムが使われているのか」を、できるだけありのままの形でご紹介します。
今回の調査では、クラウド型の会計システムを利用している担当者が半数を超える結果となりました(51.9%)。数年前まではセキュリティへの懸念から敬遠されがちだったクラウドですが、今や経理の「スタンダード」になりつつあることが伺えます。
●根強いオンプレ派も一方で、インストール型の会計システム(オンプレミス会計システム)を継続的に利用している企業も一定数存在します(27.5%)。カスタマイズ性の高さから、使い続けている企業もいるようです。
導入のきっかけとして最も多かった回答は、なんと「分からない」でした(22.3%)。
これには経理担当者の複雑な立ち位置が関係しているようです。経営層やIT部門主導で導入が決まり、現場には「来月からこれを使って」と事後報告に近い形で伝わるケースや、転職したらすでにクラウドだった、あるいはPC入れ替えのタイミングで自然に切り替わったなど「自らの意思で進んでクラウド化したわけではない」という実態が浮き彫りになりました。
「わからない」に次いで多かったのが電帳法・インボイス制度などの法対応やデータの一元管理のためにクラウド化したという声です(10.2%)。クラウド会計ソフトの多くは法改正に合わせて自動でプログラム更新されるため、担当者にとって安心できそうです。
最も多かった回答は「特にない」でした(32%)。一定数の方が、クラウド会計システムに対して大きな不満を感じることなく利用できていることが分かります。
一方で、「気になる点がある」と回答した方の中では、次のような声が目立ちました。
特に、「思っていたほど自動化できていない」「結局Excelで調整している」といった回答からは、システムそのものよりも、運用面でのギャップに戸惑いを感じている様子が読み取れます。
また、セキュリティに関する不安が一定数挙がっている点も、クラウドならではの特徴として、導入後も気になり続けるポイントと言えそうです。
最も多かった回答は「特にない」でした(25.7%)。この結果からは、「クラウドに強い抵抗がある」というよりも、現状のシステムで大きな問題を感じていないケースが多いことが読み取れます。
「理由がある」と回答した方の中では、価格や操作性に関する理由がありましたが、「その他」と回答した人の中には以下のような意見もありました。
これらの回答を見ると、クラウドに否定的というよりも、自社の事情や立場上、簡単には切り替えられないという現実が見えてきました。たとえば、原価計算が複雑な業種では、長年かけて作り込んできた計算ロジックや運用をクラウド標準の仕様に合わせること自体が負担になるケースもあります。
また、親会社の方針や、会計事務所との連携を重視している場合、現場だけの判断でシステムを変えられないことも珍しくありません。
こうした状況を考えると、「今は無理にクラウドにしなくてもいい」という判断にも納得です。
今回の調査から、クラウド会計システムを利用している人が多いという結果が得られました。一方で、オンプレ会計システムを使っている人も一定数います。
ただ、オンプレ会計システムを選び続けている企業は、クラウドに否定的というわけでなく、今の業務や体制や変えることで生じる負荷やリスクを考えた結果、オンプレ会計システムを存続させるという判断をしているようです。
オンプレ会計システムを選択する理由として
などがあります。
クラウドかオンプレかは、「どちらが主流か」で決めるものではなく、「自社の業務に合っていて、運用として回るのはどちらか」で決まります。今回の結果が、「では、うちはどうだろう?」と自社の最適解を考えるきっかけになれば幸いです。
クラウド会計ソフトは、うまく使えば業務改善につながる一方で、導入前に知っておかないと「思っていたのと違った」と感じてしまうポイントも少なくありません。
「自社に合うかどうか」「どこを確認すべきか」を、もう少し具体的に知りたい方は、
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