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令和8年度(2026年)の税制改正ポイントを解説|電帳法|OBC360°|会計ソフト・人事・総務クラウドのOBC

作成者: 会計|2026年02月16日

昨年12月19日に「令和8年度税制改正大綱」が公表されました。令和8年度税制改正は、所得税の基礎控除引上げ等による物価上昇対応、生産性向上のための投資促進税制の創設、中小企業支援、防衛力強化の財源確保などが盛り込まれています。主要な改正点をお伝えします。

目次

法人課税

◆賃上げ促進税制の見直し

◇概要

賃上げ促進税制について、大企業向け措置が廃止され、中小企業向け措置に特化した制度に再編されます。

◇内容

  • 全法人向け措置(大企業向け)は令和8年3月31日をもって廃止
  • 従業員2,000人以下法人(中堅企業)向け措置は令和9年3月31日をもって廃止(1年間のみ見直し適用)
  • 中堅企業の令和8年4月〜令和9年3月開始事業年度:原則控除率の要件を賃上げ3% → 4%以上に
    上乗せ措置は5%以上で5%加算・6%以上で15%加算
  • 教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止
  • 中小企業向け措置は継続(教育訓練費上乗せは廃止)

出典:令和7年12月 経済産業省「 令和8年度 経済産業関係 税制改正について

※1 従業員数 2,000 人以下の企業(その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある法人の従業員数の合計が1万人を超えるものを除く。)が適用可能。ただし、資本金10億円以上かつ従業員数1,000人以上の企業は、マルチステークホルダー方針の公表及びその旨の届出が必要。

※2 中小企業者等(資本金1億円以下の法人、農業協同組合等)又は従業員数 1,000 人以下の個人事業主が適用可能。

※3 継続雇用者とは、適用事業年度及び前事業年度の全月分の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険の一般被保険者に限る)。

※4 全雇用者とは、雇用保険の一般被保険者に限られない 全ての国内雇用者。

※5 税額控除額の計算は、全雇用者の前事業年度から適用事業年度の給与等支給増加額に税額控除率を乗じて計算。ただし、控除上限額は法人税額等の20%。

※6 繰越税額控除をする事業年度において、全雇用者の給与等支給額が前年度より増加している場合に限り、適用可能。

◇適用時期

  • 令和8年4月1日以後開始事業年度から適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 大企業・中堅企業は賃上げによる税額控除が受けられなくなることへの対応
  • 中小企業者に該当するかの判定(資本金1億円以下等)の確認
  • 教育訓練費上乗せ廃止に伴う税額控除額への影響試算

◆特定生産性向上設備等投資促進税制の創設

◇概要

生産性向上を通じた経済成長を促進するため、大規模な設備投資に対して即時償却または税額控除の選択適用ができる新たな税制優遇措置が創設されます。

◇内容

  • 対象設備:機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェア(一定規模以上)
  • 投資額要件:35億円以上(中小企業者・農業協同組合等は5億円以上)
  • 投資利益率要件:年平均15%以上
  • 税制措置:即時償却(取得価額100%)または税額控除7%(建物等は4%)の選択適用
  • 税額控除上限:法人税額の20%、控除限度超過額は3年繰越可
  • 大企業の適用制限:当期の所得が前期の所得を超え、かつ、賃上げ1%以上(大規模法人は2%以上)かつ国内設備投資30%超(大規模法人は40%超)の両方が必要

◇適用時期

  • 産業競争力強化法改正法施行日から令和11年3月31日まで

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 投資計画の策定と経済産業大臣の確認手続きの準備
  • 即時償却と税額控除のどちらが有利か、資金繰り・税負担のシミュレーション

◆研究開発税制「戦略技術領域型」の創設

◇概要

AI、量子技術、半導体等の重点産業技術に係る研究開発を促進するため、高い税額控除率が適用される新たな制度が創設されます。

◇内容

  • 対象:令和11年3月31日までに重点研究開発計画の認定を受けた法人
  • 対象技術:AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙
  • 税額控除率:重点産業技術試験研究費の40%(共同研究等は50%
  • 控除上限:法人税額の10%、控除限度超過額は3年繰越可
  • 認定から5年間(計画期間が短い場合はその期間)適用可

◇適用時期

  • 認定日から5年を経過する日まで

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 自社の研究開発が重点産業技術に該当するか確認
  • 重点研究開発計画の認定取得に向けた準備

◆研究開発税制(一般型)の見直し

◇概要

研究開発投資の促進を継続するため、一般試験研究費に係る税額控除制度について、控除率の算式見直しと控除上限の特例延長が行われます。

◇内容

  • 税額控除率の算式を見直し(増減試験研究費割合に応じた新算式)
  • 控除上限の特例(法人税額の最大35%)を3年延長
  • 試験研究費割合10%超の場合の控除上限上乗せ措置を3年延長

◇適用時期

  • 令和9年4月1日以後開始事業年度から新算式適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 戦略技術領域型との選択判断
  • 試験研究費の定義・範囲の再確認

◆少額減価償却資産の取得価額引上げ

◇概要

中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例について取得価額基準が引き上げられます。

◇内容

  • 取得価額基準:30万円未満 → 40万円未満に引上げ
  • 年間合計限度額:300万円は維持
  • 対象法人:常時使用する従業員の数が400人を超える法人を除外

◇適用時期

  • 適用期限を3年延長

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 30万円以上40万円未満の資産取得時期の検討(改正後に取得するメリット)
  • 従業員数400人超の法人は本特例の適用対象外となることに注意

◆大企業の特定税額控除規定の適用除外規定の見直し・延長

◇概要

所得金額が対前年度比で増加しているにもかかわらず、投資や賃上げに消極的な企業の行動変容を促す観点から、特定の租税特別措置の適用を停止する措置(特定税額控除規定)について、要件が一部見直され、適用期限が2年間延長されます。

◇内容

  • 特定税額控除規定に重点産業技術試験研究費の額に係る措置が追加
  • 継続雇用者給与等支給額に係る要件 継続雇用者比較給与等支給額を超えること → 増加割合1%以上
  • 一定規模の法人の継続雇用者給与等支給額に係る要件の上乗せ措置 増加割合1%以上 → 2%以上
  • 地域未来投資促進税制、カーボンニュートラル投資促進税制の適用除外要件は、継続雇用者給与等支給額に係る要件及び国内設備投資額に係る要件のいずれかに該当しないこと(現行:いずれにも該当しないこと)に改正

◇適用時期

  • 令和8年4月1日以後に開始する事業年度

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 特定税額控除規定の適用検討にあたり、改正後の適用除外要件に該当しないかのシミュレーション

◆オープンイノベーション促進税制の延長・拡充

◇概要

事業会社とスタートアップの協業の更なる促進やスタートアップの出口戦略の多様化を後押しする観点から、取得価額要件、M&A型のマイノリティ取得の対象化、合併時の特別勘定取崩方法の見直しが行われた上で、適用期限が2年間延長されます。

◇内容

  • 増資特定株式の取得価額要件:中小企業者以外は1億円以上 → 2億円以上に引上げ
  • M&A型(議決権過半数取得)の取得価額要件:5億円以上 → 7億円以上に引上げ
  • 段階的取得も対象化:3年以内に議決権過半数の取得見込みの株式取得を新たに対象追加
    (取得価額要件3億円以上、上限200億円)
  • 所得控除:取得価額の25%(段階的取得は20%)を損金算入

◇適用時期

  • 2年延長

◇今後検討すべき実務ポイント

  • スタートアップ出資戦略の見直し(取得価額要件引上げへの対応)
  • 対象となるスタートアップ企業の要件確認

◆企業グループ間の取引に係る書類保存の特例の創設

◇概要

企業グループ間で行われる取引への課税関係の適正化の観点から、関連者との間で行われる一定の取引(特定取引)につき、その特定取引の内容、支払対価の額の算定方法を明らかにするための書類の取得・作成及び保存義務が課せられます。

◇内容

  • 特定取引に係る取引関連書類等に、その特定取引に係る支払対価の額を算定するために必要な事項の記載・記録がないときは、その事項を明らかにする書類の取得・作成及び保存義務が課される
  • 関連者は移転価格税制における関連者と同様の基準により判定
  • 特定取引とは、工業所有権等の譲渡・貸付け、研究開発・広告宣伝等の事業活動、専用資産を使用させる行為及び専用資産の維持・管理、経営指導等をいう
  • 取引関連書類等とは、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類(電磁的記録を含む)をいう
  • 上記の明らかにする書類の保存が法令の定めに従って行われていないことは、青色申告の承認の取消事由等となる

◇適用時期

  • 大綱に記載なし

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 特定取引に該当する取引の洗い出し
  • 取引関連書類等の記載・記録事項の確認
  • 取引関連書類等で必要事項が充足できない場合、その事項を明らかにする書類の取得・作成方法の検討

所得課税

◆基礎控除・給与所得控除の引上げ(課税最低限178万円対応)基礎控除額の引上げ

◇概要

物価上昇による実質的な税負担増加への対応と、三党合意を踏まえた「年収の壁」問題への対応として、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられます。これにより給与所得者の課税最低限は178万円に引き上げられます。

◇内容

【物価連動による引上げ(恒久措置)】
  • 基礎控除の本則:58万円 → 62万円(4万円引上げ)
  • 給与所得控除の最低保障額:65万円 → 69万円(4万円引上げ)
  • これにより恒久措置部分の課税最低限は168万円(62万円+37万円(基礎控除特例)+69万円)
【178万円への引上げ(令和8年・9年の時限措置)
  • 基礎控除の特例:37万円 → 42万円(5万円引上げ)、対象者を給与収入475万円相当まで拡大
  • 給与所得控除の最低保障額:69万円 → 74万円(5万円引上げ
  • これにより課税最低限は178万円(62万円+42万円(基礎控除特例)+74万円)

◇適用時期

  • 令和8年分以後の所得税について適用
  • 給与等の源泉徴収は年末調整から適用(令和8年中の源泉徴収は従来どおり)
  • 時限措置は令和8年分・令和9年分の2年間限定

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 源泉徴収税額表の改訂対応(年末調整時の給与計算システム更新)
  • パート・アルバイトの年収調整ライン変更の従業員への周知
  • 時限措置であることの認識(令和10年以降は課税最低限168万円に戻る可能性)

◆住宅ローン控除の延長

◇概要

住宅取得支援の継続のため、住宅ローン控除の適用期限が5年間延長されます。

◇内容

  • 適用期限:令和7年末 → 令和12年末まで5年延長
  • 借入限度額:認定住宅5,000万円、ZEH水準省エネ住宅4,500万円、省エネ基準適合住宅4,000万円など(新築中古等により金額の上限に違いあり)
  • 控除率:年末残高の0.7%(13年間または10年間)
  • 子育て世帯・若者夫婦世帯向け借入限度額上乗せ措置を継続

◇適用時期

  • 令和12年12月31日までの入居者に適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 住宅の省エネ性能による借入限度額の違いの把握
  • 子育て世帯要件の確認(19歳未満の扶養親族等)

◆青色申告特別控除の見直し

◇概要

電子申告等を利用した青色申告者への控除額が引き上げられます。

◇内容

  • 現行の控除額:55万円 → 65万円(10万円引上げ):期限内にe-Taxで提出
  • 優良電子帳簿による控除額:65万円 → 75万円(10万円引上げ):e-Tax提出 + 優良電子帳簿or電子取引データの帳簿との自動連動保存
  • 簡易帳簿による控除額:10万円 → 0円(控除不可に):前々年の収入金額が1,000万円超の不動産、事業所得者

◇適用時期

  • 令和9年分以後の所得税について適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • e-Tax未利用者への電子申告移行の推奨
  • 優良電子帳簿の要件確認と対応

◆ふるさと納税の見直し

◇概要

ふるさと納税制度について、高所得者の特例控除額に定額上限(キャップ)が導入されるとともに、募集経費基準の厳格化と指定取消要件の強化が行われます。

◇内容

【特例控除額の定額上限の導入】
  • 現行では所得に応じて上限なく増える特例控除額について、定額上限(給与収入1億円相当)を導入
  • 特例控除額の控除限度額を、「個人住民税所得割額の2割」と「以下の定額」のいずれか低い金額とする
  • 道府県民税:77万2千円(指定都市は38万6千円)
  • 市町村民税:115万8千円(指定都市は154万4千円)

◇適用時期

  • 特例控除額の定額上限:令和10年度分以後の個人住民税

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 高所得者(給与収入1億円超相当)は、ふるさと納税の税額控除に上限が生じる
  • 寄附限度額シミュレーションの見直し(令和10年度以降は定額上限に注意)

◆特定暗号資産の分離課税導入

◇概要

一定の暗号資産の譲渡益について、申告分離課税制度が導入されます。

◇内容

  • 対象:一定の暗号資産(詳細は法改正で規定)
  • 税率:20%の申告分離課税(現行は総合課税で最高45%)
  • 損益通算:特定暗号資産間での損益通算可、損失繰越:3年間の繰越控除可

◇適用時期

  • 金融商品取引法の改正法の施行日の翌年1月1日から適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 対象となる「特定暗号資産」の範囲の確認
  • 取得価額の計算方法・記録の整備
  • 法改正前の含み益の実現タイミングの検討

◆極めて高い所得への負担適正化

◇概要

極めて高い所得を有する者への課税が強化されます。

◇内容

  • 基準所得金額:3億3,000万円超 → 1億6,500万円超に引下げ(対象者拡大)
  • 税率:22.5% → 30%に引上げ

出典:令和7年12月11日 税制調査会 「 マル政等処理案概要(個人所得課税①(所得税))」

◇適用時期

  • 令和9年分以後の所得税について適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 高額所得者の税負担増加額の試算
  • 所得の種類による影響の違い(株式譲渡益等)の分析

◆防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の見直し

◇概要

防衛力強化のための財源確保を目的として、所得税額に対する付加税として防衛特別所得税が創設されます。これに伴い、復興特別所得税の税率が引き下げられ、課税期間が延長されます。両者を合わせた付加税率は現行の2.1%が維持されます。

◇内容

【防衛特別所得税(新設)】

  • 税率:所得税額の1%
  • 課税期間:令和9年以後当分の間

【復興特別所得税(見直し)】

  • 税率:2.1% → 1.1%に引下げ
  • 課税期間:令和19年末 → 令和29年末まで延長(10年延長)

【付加税率の合計】

  • 防衛特別所得税1%+復興特別所得税1.1%=合計2.1%(現行と同率)

◇適用時期

  • 令和9年分以後の所得税について適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 源泉徴収税額表の改訂対応・給与計算システムの更新(付加税の内訳変更)

◆NISA口座開設年齢の下限撤廃

◇概要

未成年者の資産形成を支援するため、NISA口座開設の年齢下限が撤廃されます。

◇内容

  • 未成年者(18歳未満)もつみたてNISAが利用可能に
  • 年間投資上限:60万円、累計投資上限:600万円
  • 成長投資枠は成人後に利用可能

◇適用時期

  • 関連法令の改正後に適用

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 子供・孫への資産移転と長期投資の組み合わせ検討
  • 教育資金一括贈与非課税終了後の代替手段としての検討

消費課税

◆インボイス経過措置の見直し(免税事業者からの仕入れに係る税額控除):買い手側

◇概要

免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置について、最終的な適用期限を2年延長した上で、控除割合が段階的に縮減されます。また1事業者からの課税仕入れの上限規定も引き下げられます。

◇内容

    • 令和8年10月 〜 令和10年9月:70%控除(7割)
    • 令和10年10月 〜 令和12年9月:50%控除(5割)
    • 令和12年10月 〜 令和13年9月:30%控除(3割)
    • 令和13年9月末で経過措置終了(2年延長)
  • 上限額の見直しとして、1事業者からの課税仕入れ上限:10億円 → 1億円に引下げ(租税回避防止)

◇適用時期

  • 上記スケジュールに沿って段階的に実施

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 免税事業者との取引継続可否の再検討(控除率低下の影響)
  • 1億円上限への対応(大口取引の場合)

◆インボイス3割特例の創設(2割特例の後継措置):売り手側

◇概要

現行の2割特例(売上税額の2割を納税)が終了した後、個人事業者向けに新たな経過措置として「3割特例」が2年間限定で創設されます。

◇内容

  • 対象:個人事業者で、課税事業者を選択してインボイス発行事業者となっている者
  • 納税額:売上税額の3割(現行2割から引上げ)
  • 適用期間:2年間限定(令和9年・令和10年)
  • これまで2割特例の対象だった個人事業者も対象

◇適用時期

  • 令和9年分・令和10年分

◇今後検討すべき実務ポイント

  • 3割特例終了後の課税方式の選択(簡易課税への届出特例を活用するか否か)
  • 法人は対象外であることに注意

これらの改正内容は、現時点での与党税制改正大綱の段階であり、今後、政府税制改正大綱の策定と国会審議を控えています。本資料は現時点で公表されている情報に基づくものであり、今後の動向により変更される可能性がある点にご留意ください。

アクタス税理士法人

藤田 益浩(ふじた ますひろ)氏

中小企業と経営者への税務コンサルティングを中心にサービス提供を行っている。経営者の身近なアドバイザーとなる親身なコンサルティングを信条としている。その他、税務会計に関するセミナー講師も多数行っている。