経理担当者は日々の仕訳から決算に関わる会計書類の作成など、企業の財務活動を支える重要な役割を担っています。時には経営判断を左右する数字を扱う仕事であるがゆえに、小さなミスが大きな問題に発展するリスクが存在します。経理担当者にとって、重大な問題には至らなかったものの、一歩間違えれば大きなトラブルになっていたかもしれない「ヒヤリミス」は珍しくありません。
そこで、400名の経理担当者を対象に「ヒヤリミス」の実態を調査したところ、77%もの経理担当者が何らかのヒヤリミスを経験していることが判明しました。また、管理職と現場では同様のヒヤリミスが起きていることも本調査からわかりました。
ここでは、調査から見えた経理担当者が実際に経験した「ヒヤリミス」を紹介します。経理担当の方々はもちろん、経営者や管理職の方々にとっても、経理体制や日々の業務で気を付ける点を見直すきっかけとなるでしょう。
「経理業務において、過去に経験したことのある『失敗』や『ヒヤリとしたミス』を教えてください」という質問に対し、「特にない」と答えた経理担当者は23%でした。つまり、77%の経理担当者が何らかの失敗やミスを経験していることを意味します。
具体的に「経理業務において、過去に経験したことのある『失敗』や『ヒヤリとしたミス』を教えてください」の質問から見えた経理現場で発生したヒヤリミスのTOP3は以下となりました。
これらのミスは経理業務の基本的な部分に関わるものであり、日常的に発生しやすい傾向があるといえるのではないでしょうか。それぞれの詳細を見ていきましょう。
最も多く報告されたのが「金額の入力ミス」で、全体の半数がこのミスを経験しています。
ゼロの桁間違いや、金額の誤入力などが挙げられます。
具体的な事案として、「発行請求書で売り上げを上げる時に金額が一桁多いまま送ってしまった」、「123と入力すべきところ、132と入力し支払い遅延利息が発生した」などの回答がありました。
2番目に多いのが「伝票の仕訳ミス」で、44.5%の経理担当者が経験しています。具体的には、勘定科目の選択ミスや、仕訳ルールの誤りなどが挙げられます。
具体的には「仕訳の科目を反対に計上してしまった」、「消費税の申告漏れ」、「低価法の計算ミス」といったような回答がありました。
3番目に多いのが「支払い漏れ・遅延」で、35.8%の経理担当者が経験しています。請求書の紛失や、支払期日の勘違いなどが主な原因です。
「振込先の間違い」というミスが非常に多く、その他にも「給与の払い忘れで現金支給」や「給料の振込で同じ苗字の人が2人いて間違っていた」といった回答がありました。
経理現場で発生したヒヤリミスを管理職と現場で比べたところ、どちらも同じ結果となりました。
管理職の場合、最終チェックや承認の責任を負うことが多く、その段階で発見するヒヤリミスが多くなるのかもしれません。
一方、現場では実務作業が多いため、入力ミスや処理漏れが発生しやすい状況にあります。特に決算期や月末月初の繁忙期は業務量が一気に増えるため、見直しなどの時間が取りづらく、ヒヤリミスが発生しやすくなる可能性があります。
今回の調査で明らかになったように、経理業務におけるヒヤリミスは決して珍しいものではなく、77%もの経理担当者が何らかのミスを経験しています。特に「金額の入力ミス」「伝票の仕訳ミス」「支払い漏れ・遅延」は発生頻度が高いことがわかりました。経理の皆さんは、そんなヒヤリミスからどんな学びがあったのか。
別の記事では、具体的な失敗談とそこから学んだ具体的な対策方法についてまとめたのでぜひご覧ください。