経理担当者が転職すると、転職先と前職で業務の進め方や使用するシステムなどの違いに悩む人が多いようです。実際に転職を経験した経理担当者200名に「転職した際に業務進行において苦労を感じたことはありますか?」とアンケートをとったところ、51.5%の人が「ある」と答えました。
こちら の記事では、転職した経理担当者が具体的に悩んでいる業務とその理由を紹介しました。ここでは、転職した経理担当者が悩みを解決した方法などについて紹介します。
経理担当者が転職後に最も苦労した業務は「月次決算」
転職先で苦労を感じた経理担当者103名に「転職して苦労を感じた具体的な業務内容を教えてください。」と聞いたところ、最も苦労を感じている業務は「月次決算」だとわかりました。
これら3つの業務の他には「電子帳簿保存法/インボイス制度」「小口現金/立替精算管理」「固定資産管理」が挙げられました。
苦労を感じた業務の34.1%が未解決
転職先で苦労した業務を挙げた91名に「最も苦労を感じた業務は現在解決していますか?」と質問したところ、34.1%の人の悩みがまだ解決していないことがわかりました。
つまり、転職先で具体的な業務について悩みを感じた経理担当者のうち、約3分の1が解決できずにいる状態です。悩みを解決した方は、どのように解決をしたのでしょうか。
悩みを具体的に解決した方法
実際に転職先で悩みを解決できた人がとった行動は、大きく次の3つに分類されます。
●業務を理解する
●体制やシステムを変える
●経験を積んで慣れる
ぜひ、これから転職する可能性のある経理担当者は参考にしてみてください。
業務を理解する
転職先の業務内容や電子帳簿保存法・インボイス制度といった法制度そのものなどを理解し、自分の中に落とし込んでいく方法をとっている人が見られました。
理解の方法は自分で調べて学ぶだけでなく、税理士やSEなどの専門的な知識を持った人に聞くケースもありました。もし社内に相談できる部署や人がいた場合は、相手の都合も考慮しながら相談するのもよいでしょう。
体制やシステムを変える
転職先の業務内容の違いに悩んでいる場合、業務の進め方が非効率になっている可能性もあります。そこで、他の人も業務を進めやすくするために提案をする人も見られました。
転職先の業務を理解するだけでなく、システム導入や体制の強化など業務をより効率化するために動く人もいました。その結果、経理部門全体で業務を進めやすくなれば、周りのメンバーの悩みの解決にもつながるかもしれません。
経験を積んで慣れる
悩みを解決するためにとにかく経験を積んで慣れたという人も多く見られました。
ただし、転職先の業務に慣れるためには時間がかかってしまうケースもあります。経理転職者200名に「転職先の経理業務に慣れたと感じたのはどのくらいからですか?複数回転職を経験している方は現職に転職した際についてお答えください。」と質問したところ、最も多い回答は「1年以上」となりました。
転職先に慣れるまでには時間がかかってしまう可能性もあるため、転職者を受け入れる企業はサポート体制を構築し、転職者からも業務改善の提案などを行うとよいでしょう。
転職者以外の経理担当者が取り組んでいる悩みの解決方法
転職者以外でも、経理担当者で悩みを抱えている人は多いようです。経理担当者208名に「悩みの解決に向けて対策を行っていますか?」と聞いたところ「行っている」と答えた人が59.6%にのぼりました。
また、具体的な解決に向けた対策は以下のような内容が挙げられました。
経理転職者と同じように、システム導入や知識のある人への相談といった対策が挙げられました。また、ダブルチェックの徹底や社内での情報共有などが転職者にはない取り組みとして見えてきました。
まとめ
経理転職者が転職先で感じた悩みについて、解決できていない人は34.1%にのぼります。転職先の業務に慣れれば解決されると回答した人もいましたが、転職先の業務に慣れたと最も感じるのは1年以上経ってからだという結果も出ています。
そこで、できるだけ早く転職先に慣れるためには、自発的に学んだり税理士などに相談したりして「業務を理解すること」や、メンバーの増員やシステム導入を提案して「体制やシステムを変えること」が実例として挙げられています。転職者を受け入れる企業のサポート体制も大切ですが、経理転職者自身が積極的に働きかけることによっても、より働きやすい環境を作ることができるでしょう。