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【2027年】労働基準法改正に向けた検討内容とは?担当者が押さえておくべきポイントと今からできること

作成者: 人事給与|2026年02月25日

近年、テレワークや副業・兼業など、働き方の多様化が進む一方で、従来の働き方を前提とした法制度では現場の実態と合わない場面が生じています。そこで今、厚生労働省を中心に労働基準法の見直しに向けた検討が進められています。その内容は、連続勤務や休日の取り扱い、勤怠管理のあり方など多岐にわたるため、メディアでは「約40年ぶりの大改正になるのでは」と話題になっています。
2026年2月時点ではまだ議論中ですが、どのような審議が行われ、何が変わろうとしているのか、今から対策を考えるべきなのかと、不安に感じている担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「労働基準法改正」に向けた動きについて、どのようなテーマが議論されているのかを整理するとともに、企業実務への影響について概観します。

目次

なぜ労働基準法の見直しが議論されているのか

労働基準法は、労働時間や休日、賃金など、働く上での基本的なルールを定める法律です。長年にわたり企業実務の基盤となってきましたが、社会や働き方の変化に応じて、これまでも継続的に見直し・改正が行われてきました。最近では、働き方改革関連法の施行により、時間外労働の上限規制など一定の制度見直しが行われています。

しかし、働き方を取り巻く環境は年々変化し続けています。
特に近年は、テレワークの普及や副業・兼業の広がりにより、働き方そのものも大きく変化しました。働く場所や時間の柔軟性が高まり、必ずしも「決まった場所で、決まった時間働く」というスタイルを前提としない働き方も増えています。一方で、企業には人材を重要な経営資源として捉える「人的資本」という考え方が広がっており、「従業員が働きやすい職場環境作り」は以前にも増して重視されるようになってきています。

こうした働き方を巡る変化は、働き方の選択肢を広げる一方で、労務管理の面で新たな課題を生じさせています。例えば、テレワークの場合、労働時間の把握や業務と私生活の区切りの付け方、連続して勤務することによる負担への配慮など、従来の制度設計では整理しきれない対応が必要になっています。また、副業や兼業を認める場合、それぞれの仕事にまたがる労働時間の扱いや、健康確保の考え方なども課題として意識されるようになっています。

このような背景を踏まえ、現在の働き方の実態に即した法制度となるよう、労働基準法の見直しに向けた検討が進められているのです。

2025年1月に、労働基準関係法制研究会によって報告書が公表され、これをもとに現在は労働政策審議会・労働条件分科会(以下、「分科会」)で具体的な制度設計が検討されています。2026年2月時点では、まだ改正に向けた議論が続いている段階であり、法案の国会提出時期についても未定です。また、検討されている改正内容も未確定のため、現時点で「直ちに対応が必要」というわけではありません。
しかし、労働基準法が早晩見直される可能性自体は高く、企業としては、今後の政府の動向を注視しておくことが重要です。

見直しが検討されている主なテーマ

労働基準法の見直しに向けた検討は、幅広い論点を対象として進められています。その中でも、人事・労務担当者が実務の観点から押さえておきたい論点はいくつかに整理できます。
特に、労働時間管理や働き方に直接関わるテーマでは、主に次のような内容が検討されています。

  • 労働時間制度の運用に関する論点 ―多様な働き方を前提に、制度をどう整理するか

    1.テレワーク・在宅勤務における労働時間の捉え方

    2.フレックスタイム制の運用を巡る論点

    3.在宅勤務を含む多様な働き方と労働時間制度の関係

  • 休息・休日の確保に関する論点 ― 働きすぎを防ぐための「区切り」をどう考えるか

    4.連続勤務に関する論点

    5.勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)の確保

    6.法定休日の位置づけと明確化

    7.業務時間外の連絡対応の扱い(いわゆる「つながらない権利」)

  • 副業・兼業を前提とした論点 ― 複数就業という働き方をどう捉えるか

    8.複数の仕事を行う場合の労働時間の扱い(割増賃金計算のための労働時間通算)

    9.副業・兼業時の健康確保に関する論点

1. テレワーク・在宅勤務における労働時間の捉え方

テレワークや在宅勤務では、業務の開始・終了時刻が従来ほど明確に把握しづらいのが現状です。
分科会では、こうした働き方を前提とした場合に、「業務時間と私的時間の区別をどのように考えるのか」「労働時間に該当する範囲をどこまでとするのか」「現行の労働時間管理の考え方との整理が必要ではないか」など、労働時間をどのように捉え、把握するべきかが議論されています。
具体的には、業務上の連絡への対応や自宅での作業時間の扱いについて、どの時点から労働時間に該当すると考えるのか、また業務と私的時間の切り分けをどのように行うべきかといった点を、より明確に整理するための法制度の見直しが検討されています。

2. フレックスタイム制の運用を巡る論点

フレックスタイム制は、一定の清算期間における総労働時間をあらかじめ定めたうえで、労働者自身が始業時刻・終業時刻を決められる制度です。多くの場合、1日の労働時間帯の中で勤務すべき時間帯(コアタイム)と、同時間帯の中であればいつ出退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)を設けて運用されます。
この制度は、柔軟な働き方を支えるものとして広く活用されていますが、分科会では、始業・終業時刻の決定方法や労働時間管理の在り方が、現在の働き方の実態に合っているのかが検討されています。例えば、現行制度ではフレックスタイム制を部分的に適用することはできないため、テレワーク日と通常勤務日が混在する場合にはフレックスタイム制を導入しづらくなっています。そこで、柔軟な働き方に対応するため、テレワーク等でも特定の出勤日にフレックスタイム制を活用できるようにする案などが議論されています。

3. 在宅勤務を含む多様な働き方と労働時間制度の関係

在宅勤務やテレワークが一時的な対応ではなく、継続的な働き方として定着しつつある中で、既存の労働時間制度との関係をどのように整理するかも検討テーマとなっています。
分科会では、在宅勤務を前提とした働き方について、特定の制度単体の見直しにとどまらず、現行の労働時間制度の枠組みをどのように組み合わせて活用していくべきかという観点から、論点整理が進められています。例えば、在宅勤務を導入した場合でも、業務上必要な出社日や連絡対応が求められる時間帯をどのように設定するか、通常勤務日やフレックスタイム制を適用する日とどのように切り分けるかといった点について、制度横断的な整理が必要ではないかとされています。
このように、在宅勤務という働き方を前提とした場合に、複数の労働時間制度をどのように設計・運用するかが、検討の対象となっています。

4. 連続勤務に関する論点

働き方の柔軟化が進む一方で、一部に長期間の連続勤務が生じていることが問題視されています。特に、シフト制や変形労働時間制を採用している場合、休日の取り方や勤務の組み方によっては、結果として連続勤務日数が長くなるケースも見られます。
こうした状況を受け、分科会では、勤務が長期間にわたって連続することと、労働者の健康や十分な休息確保との関係について議論が行われています。
具体的には、「13日を超える連続勤務をさせない」といった案も示されており、一定日数を超える連続勤務に対してどのように区切りを設けるべきかが検討されています。

5. 勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)の確保

連続勤務の長期化を防ぐ議論とも関連し、休息を確保する仕組みをどのように制度上位置づけるかが検討されています。
例えば、近年はテレワークやフレックスタイム制の広がりにより、終業時刻が遅くなった翌日に早い時間から業務が始まるなど、勤務と勤務の間の休息時間が短くなりやすい傾向が見られます。そこで分科会では、労働者の健康確保や十分な休息の観点から、勤務終了後から次の勤務開始までの間に、どの程度の休息時間を確保することが望ましいかについても議論が進められています。
現行制度では、勤務終了後から次の勤務開始までに一定時間(例:11時間程度)を確保するという、いわゆる勤務間インターバル制度が企業への「努力義務」とされていますが、義務化の是非も含め、制度上の位置づけの見直しが論点となっています。

6. 法定休日の位置づけと明確化

連続勤務と合わせて、休日の確保も重要な検討テーマの一つとなっています。
現行制度では、法定休日は原則として「毎週1日」または「4週4日」を確保することとされています。一方で、実務では所定休日と法定休日が同じ「休日」として扱われ、どの日が法定休日に当たるのかが運用上あいまいになるケースがあります。特にシフト制などでは、勤務表の組み方次第で休日の位置づけが見えにくくなりがちです。
このため分科会では、法定休日を実務上も分かる形で明確にする必要があるのではないかという観点から議論が行われています。具体的には、従業員ごとに法定休日をあらかじめ特定し、その日付を明示しておく案などが検討されています。

7. 業務時間外の連絡対応の扱い(いわゆる「つながらない権利」)

テレワークの広がりなどにより、業務時間外であっても連絡が入りやすい環境が生まれています。その結果、勤務時間外の対応が常態化し、労働からの解放や休息の確保という観点から課題が生じる場面も見られます。
分科会では、こうした業務時間外の連絡や対応について、労働からの解放や休息確保の観点から、どのように位置づけるべきかが議論されています。勤務時間外の連絡に対して対応を求める場合、どのような連絡までを許容し、どのような場合には対応を求めない(または拒否できる)と整理するのかなど、業務の進め方や顧客対応の在り方も含め、社内ルールとして整備する必要があるとされています。そのうえで、こうした話し合いを促進するための方策として、ガイドラインの策定等も含めた整理が検討されています。

8. 複数の仕事を行う場合の労働時間の扱い(割増賃金計算のための労働時間通算)

副業・兼業を行う労働者が増える中で、複数の仕事にまたがる労働時間をどのように整理するかが論点となっています。
現行制度では、労働基準法第38条に関する通達に基づき、事業主が異なる場合であっても労働時間を通算し、割増賃金を支払うこととされています。そのため、副業・兼業を行う場合の割増賃金の計算方法や実務上の対応が課題として指摘されています。
こうした現状を踏まえ、割増賃金の算定に係る労働時間の通算については、通達解釈で整理するのではなく、通算を要しない形とする制度改正も選択肢として検討が進められています。
また、グループ会社をまたいだ働き方など、名目上は別事業者であっても実態として同一の指揮命令系統で働くケースにおいて、割増賃金規制を免れる行為が生じないよう、制度設計上どのような整理が必要かについても議論されています。

9. 副業・兼業時の健康確保に関する論点

副業・兼業の場合、複数の仕事の就労実態が分散しやすく、労働時間や負担の全体像を把握しにくいという課題があります。その結果、本人の申告がないまま長時間労働や過重な負担が積み重なるリスクが想定されます。
そのため、健康確保の観点から、複数の仕事にまたがる就労の実態をどのように把握しどう対応すべきかが議論されています。具体的には、副業・兼業の有無や就労状況の確認方法、本人からの申告を前提とする場合の限界、申告が不十分な場合も含めた考え方などが論点として挙げられています。
また、副業・兼業を前提とした場合でも、過重労働を防ぐための健康管理や安全配慮をどのように位置づけるかについて、現行制度との関係を踏まえた整理が進められています。

実務に影響しそうなポイントと今からできる対策とは

今回の研究会報告書および分科会での論点を踏まえると、今後の制度見直しの内容によっては、企業の勤怠管理・シフト運用・休日設計など、「これまでの前提」に影響がおよぶ可能性があります。特に実務担当者としては、日々の運用のどこに“見直しの余地”が生じやすいかを先に押さえておくことが重要です。

●実務で影響が出やすいポイント

テレワークや在宅勤務を含む労働時間管理については、現場の運用と制度の考え方との関係が改めて問われる場面が出てくることも考えられます。始業・終業時刻の捉え方や、業務時間と私的時間の切り分けについて、これまでの運用が制度の考え方と整合しているかを確認する必要が生じるかもしれません。

また、フレックスタイム制を導入している場合、制度の使われ方や労働時間管理の方法について、運用ルールの見直しを迫られる場面も想定されます。例えば、特定の日は出社や会議参加を求めつつ、他の日は始業・終業時刻を本人に委ねるといった運用を想定する場合には、制度との関係を意識して点検しておく必要が出てくることも考えられます。

さらに、休息確保の点で、連続勤務の上限管理や勤務間インターバル制度への対応が求められる可能性もあります。勤務間の休息が不足しやすい勤務パターンでは、シフト作成や勤務変更の段階で調整(始業の繰り下げ等)が必要になることも考えられます。

特に、近年増えつつある副業・兼業を認めている企業では、複数の仕事にまたがる労働時間の管理や、健康確保の考え方についても運用の見直しが必要となることも考えられます。

●まずは自社の勤怠把握で影響度を可視化しよう

労働基準法の改正内容はまだ検討段階であり、現時点で直ちに対応が必要となるわけではありません。しかし、改正後「どこから手を付ければよいか」と慌てないためには、今のうちからできる対策はしておくことが肝心です。

現時点から取り組んでおける備えとしては、自社の運用実態を把握し、論点になりやすい部分を可視化しておくことが有効です。自社にどう影響するかが見えていれば、改正内容がほぼ確定した段階で、それを土台に就業規則・給与規定・休暇制度等の見直しをスムーズに開始できます。

例えば、勤怠実績を一定期間(例:直近数か月)で振り返り、連続勤務日数や勤務間の休息時間、休日の配置など、休息確保に関わる実態を把握しておくと、現状の課題が見えやすくなります。シフト制・変形労働時間制の職場では、勤務の組み方によって連続勤務が長期化しやすいため、管理者が定期的に確認できる形にしておくのもよいでしょう。
また、就業規則やシフト運用についても、法定休日の位置づけや連続勤務への考え方などを改めて整理し、どのような運用が考えられるかを検討しておくことは有効です。合わせて勤怠管理の方法や、社内での情報共有のあり方についても見直しておくことで、今後の検討内容を社内で共有・説明する際の土台を整えることができます。

●クラウド勤怠管理システムで「法改正に強い体制」整備を

とはいえ、現状把握をすべて人手によって行おうとすると、担当者の負担は決して小さくありません。勤務形態が多様化する中では、属人的な管理だけでは限界があります。
そこで重要になるのが、人の目や経験に頼るのではなく、仕組みとして管理できる体制を整えていくという視点です。
連続勤務日数や勤務間インターバル、休日の区別といった要素を、勤怠データに基づいて自動的にチェックできる環境があれば、日常業務の中で無理なく管理を行うことができます。勤怠管理や労務管理にクラウドサービスを活用するのも、こうした管理体制を整えるための一つの選択肢となります。
例えば奉行Edge 勤怠管理クラウドの場合、さまざまな打刻方法を使い分けられるため、従業員の働き方に応じて勤務実態を正確に把握することができます。

また、従業員は休暇申請や残業申請などを、いつでも・どこからでも簡単に行うことができます。担当者も、届出書から出勤簿へ転記する必要がなくなるため、正確な勤怠データを管理することができます。労働時間や残業時間は1分単位で正確に管理し、時間外労働の上限規制や有給休暇取得を含む休日管理など法改正対応機能も充実しています。

また、奉行Edge 勤怠管理クラウドのようにクラウドサービスであれば、今後法改正が行われた場合にも設定や運用を見直すことで対応しやすく、管理面の業務負荷はExcelや紙の管理に比べて大幅に改善されます。

おわりに

労働基準法の改正については、当初「2026年中に法案提出・2027年4月施行」が想定されていましたが、2025年末に2026年通常国会への法案提出が見送られました。その後、法案の国会提出時期や施行時期は「未定」となっています。しかし、分科会での議論は続いており、「中止」ではなく2027年以降に「先送り」の可能性が高いと考えておくのが妥当でしょう。
現時点では、法改正の有無や時期に一喜一憂するのではなく、今のうちから自社の勤怠管理やシフト運用、休日・休息の確保状況を点検し、必要に応じて運用ルールや管理体制を整えておくことが、結果としてスムーズな対応につながります。

OBC360°では、今後も分科会での議論や制度の動きを継続的に追い、企業実務に役立つ観点で整理してお届けしていく予定です。法改正の動向を見据えながら、奉行Edge 勤怠管理クラウドのような仕組みも活用し、制度変更に振り回されにくい「管理の土台」を整える視点を、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

2027年に労働基準法は本当に改正される?

現時点では改正に向けた検討が続いており、「2027年に必ず改正される」と断定できる段階ではありません。とはいえ、働き方の変化を背景に見直し議論が進んでいるため、企業としては改正の可能性を前提に、今後の動きを継続的に注視しておくことが重要です。

2027年4月施行と言われているが、もう決まっている?

施行時期についても、現時点では確定していません。法案提出や審議の状況によってスケジュールは変わり得るため、「2027年4月施行」はあくまで見通しの一つとして捉え、確定情報は公表資料で随時確認する必要があります。

今から対応しなければならないことは?

現時点で直ちに対応が必要ではありませんが、改正の議論で挙がっている論点は、企業の労務管理実務と重なる部分が多いため、早めに自社の運用実態を点検しておくことが有効です。勤怠実績の可視化や運用ルールの整理に加え、クラウド等を活用して連続勤務・休息時間・休日区分などを自動的にチェックできる「管理の土台」を整えておくと、制度変更があってもスムーズに対応しやすくなります。

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