用語集|OBC 360° |【勘定奉行のOBC】

労働保険 とは|用語集|OBC 360° |【勘定奉行のOBC】

作成者: 人事・総務(人事給与)|2018年11月02日

労働保険とは労災保険と雇用保険を総称した名称です。
労災保険(労働者災害補償保険)とは、従業員の業務中、通勤中の事故や災害などによる傷病や障害、死亡などに対して保険金が給付保険給付を行う制度で、管轄官庁は労働基準監督署が担当します。また雇用保険は、失業した従業員や育児休業や再就職先が決定していないなどで継続して働けない従業員に対して保険給付を行う制度で、管轄官庁はハローワークとなります。

ほとんどの企業が労災保険と雇用保険をセットにして適用される(一元適用事業所)ため、保険料の申告納付はまとめて都道府県労働局に行います。ただし、建設業や農林、水産、畜産、養蚕、港湾運送業などの事業は、労働保険の適用要件や保険料の算定方法が雇用保険と異なる(二元適用事業所)ため、保険料の申告・納付を別々に行います。

労働保険の対象者、保険料は以下のようになります。

労災保険

対象:企業の業種や規模、雇用形態に関わらず全ての人
ただし、代表権、業務執行権をもつ役員は対象外となります。

保険料 = 被保険者となる全従業員の賃金×労災保険料率
保険料は事業主が全額負担します。保険料率は業種ごとに過去の業務・通勤災害の発生率などを元に定め、2.5/1000〜88/1000の間で支払います。

雇用保険

対象:雇用形態に関わらず、以下の要件に全て該当する場合

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

ただし、4ヶ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人や昼間学生、65歳以上で新たに雇用される人などは対象外です。

保険料 = 被保険者となる従業員の賃金×雇用保険料率
保険料は事業主と従業員が折半し、保険料率は業種によって3つに分かれます。

事業の種類 保険料率 事業負担率 被保険者負担率
一般の事業 9 / 1000 6 / 1000 3 / 1000
農林水産・清酒製造の事業 11 / 1000 7 / 1000 4 / 1000
建設の事業 12 / 1000 8 / 1000 4 / 1000

厚生労働省ホームページより (平成29年4月1日改正)

OBC360° Check Point
<労働保険>年度更新で注意しておきたいポイント

労働保険は、年度ごとに概算で保険料を前払いし、年度末に確定した賃金で精算するという「年度更新」の手続があります。年度更新では、前年度の保険料を精算するための申告・納付と、新年度の概算保険料の申告・納付の手続が必要です。一般的な企業では、労災保険・雇用保険の保険料をセットで計算して「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(年度更新用)」を提出することになっています。

申告書は、毎年6月1日から7月10日(土日の場合は次の開庁日)までに都道府県労働局に提出することが必須となっています。受付期間が限られている上に短期間のため、手続が遅れてしまうと、保険料、拠出金は政府に決定され、追徴金(納付するべき保険料の10%)が発生することもあります。申告書作成にはスケジュールに余裕を持った作業を心がけましょう。

年度更新の手続に当たり、注意しておきたいポイントがいくつかあります。

●従業員の賃金の総額を適切に把握しておこう
納付する保険料は、従業員に支払った賃金総額に定められた保険料率を乗じて算出します。そのため、もとになる賃金総額を正しく把握しておくことが肝心です。ただし、雇用保険では高年齢労働者、学生アルバイトなどは保険料が免除されるため、労災保険に係る保険料と区別して正しく算出する必要があります。
また、建設業など工事期間、活動期間を区切って活動している「有期事業」の場合、原則元請負人のみを事業主として適用しますので、保険料の算定には自ら使用した労働者の他に下請負人が使用した労働者の賃金も含みますので注意が必要です。また、賃金総額を正確に把握することが難しい事業の場合は、労災保険に限り賃金総額の特例による保険料の算定が認められています。

●手続き前に書類の印書内容をチェックしておこう
年度更新を行う申告書・納付書には、あらかじめ労働保険番号、事業所の所在地、名称、保険料率等が印書されています。最初に印書内容に誤りがないかどうか確認し、疑問がある場合は訂正せずに所轄の都道府県労働局に問い合わせてください。

●二元適用事業の場合の申告書は、別々に作成しよう
「二元適用事業」は労災保険と雇用保険の保険料を別々に申告・納付するのと同じように、年度更新でも個別に作成する必要があります。ただし、工事期間、活動期間を区切るものの1年を通して活動している「一括有期事業」に該当する場合は、一般企業と同様に年度更新の手続ができます。その際、「一括有期事業報告書」を(建設業の場合は「一括有期事業総括表」も加えて)添付する必要があります。

●算定基礎額となる賃金総額の支払期間に注意しよう
年度更新で納付する労働保険の保険料は、すべての従業員に1年間で支払った賃金総額に、その事業時応じて定められた保険料率を乗じて算出します。そのため、「算定基礎額」は、前年4月1日から今年3月31日までの賃金を記入することになりますので、間違えないようにしましょう。なお、記載時は1,000円未満切り捨てとなります。

●一般拠出金の計算間違いに注意しよう
「一般拠出金」は「石綿による健康被害の救済に関する法律」の規定に基づき企業が負担することになっています。算定方法は、「従業員に支払った賃金総額×一般拠出金率(0.02/1000)」となりますが、申告書では納付額の計算間違いが多いので、特に注意しましょう。

その他、手続上の注意点、申告書記入時の注意点については厚生労働省ホームページでもご確認いただけます。
また、毎年厚生労働省が「労働保険年度更新申告書の書き方」リーフレットを発行しています。厚生労働省のホームページからもダウンロードできますので、詳しい書き方についてはリーフレットを参照ください。

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