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75歳以上の社会保険はどうなる?保険料や手続きなど担当者が押さえておくべきポイント|社会保険・労働保険|OBC360°|人事労務システムの総務人事奉行クラウド|人材・人事管理・総務システムのOBC

作成者: 人事給与|2026年06月17日

高齢者雇用の拡大に伴い、定年後も働き続けることを希望する従業員は年々増えています。
令和7年「高年齢者雇用状況等報告」によると、企業においては「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」といった対応はほぼ実施されており、さらに70歳までの高年齢者就業確保措置に取り組む企業も着実に増加しています。
こうした環境の変化の中で、人事・労務担当者が直面しやすいのが、「高齢従業員の社会保険をどのように取り扱うべきか」という実務上の課題ではないでしょうか。特に、75歳になると健康保険から後期高齢者医療制度へと移行することになり、手続きや取扱いの判断に迷う場面も少なくありません。

そこで今回は、高齢従業員、とりわけ75歳以上の社会保険について基本的な仕組みを整理するとともに、実務担当者が押さえておきたい手続きや判断のポイントを、実務目線で分かりやすく解説します。

目次

なぜ75歳以上の社会保険はわかりにくいのか
(75歳以上の社会保険の全体整理)

65歳以降は、医療保険・年金制度ともに取り扱いが変化し、さらに75歳で医療保険制度が大きく切り替わります。年齢に応じて制度の取り扱いが段階的に変化するため、実務上の判断が複雑だと感じやすくなります。この要因を整理するためには、まず65歳以上の社会保険制度の全体像を把握する必要があります。
ここでは、65歳・70歳・75歳という3つの節目に着目し、それぞれのタイミングで制度の取り扱いがどのように変化するのかを整理していきます。

●65歳以上の医療保険制度

医療保険制度については、75歳の誕生日までは、基本的にそれまで加入していた健康保険が継続されます。定年を迎えた場合でも、再雇用などにより加入要件を満たせば、引き続き健康保険の被保険者となります。
ただし、75歳に到達すると、それまで加入していた健康保険の被保険者資格は喪失し、後期高齢者医療制度へ移行します。後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を対象とした独立した医療保険制度で、都道府県単位の広域連合が運営主体となっています。

●65歳以上の厚生年金制度

厚生年金は、医療保険とは異なり、原則として70歳までが適用対象となります。そのため、70歳に到達すると被保険者資格は喪失します。
ただし、70歳以降も就業を継続している場合には、在職老齢年金の仕組みによって、給与と年金のバランスに応じて受給額が調整されるケースがあります。
このように、医療保険は75歳で切り替わる一方で、年金制度は70歳で区切りがあるため、制度ごとに年齢基準が異なる点が、実務を複雑にする一因となっています。

●65歳以上の雇用保険制度

雇用保険は、年齢にかかわらず、労働者として雇用されている場合に適用されます。
ただし、加入の可否は、31日以上雇用する見込みがある場合で、週の所定労働時間が20時間以上であるかどうかによって判断されるため、実際の適用は働き方に大きく左右されます。
なお、65歳以上の被保険者は「高年齢被保険者」として区分されますが、加入要件自体は変わりません。

●65歳以上の社会保険まとめ

これらをまとめると、65歳以上の社会保険の取り扱いは、次のようになります。

< 65歳・70歳・75歳で社保制度が変わる>

高齢従業員の社会保険のポイント
  • 健康保険:75歳で資格喪失、後期高齢者医療制度へ移行
  • 厚生年金:70歳で資格喪失
  • 雇用保険:労働者か、週20時間以上働いているかどうかによる

ただし、実務においては、継続雇用の有無や扶養の状況などによって対応が異なります。そのため、従業員本人からの問い合わせ対応が発生しやすい領域でもあります。
実務担当者としては、単に手続きをこなすだけでなく、制度そのものの理解を深めておくことが重要です。

75歳到達時の健康保険の手続きと流れ

75歳到達時の手続きは、働き方にかかわらず、健康保険の資格喪失手続きが中心となります。
すべての手続きは75歳になる誕生日の当日が起点となり、実務では事前準備から本人対応までを一連の流れとして整理し、手続き漏れや対応のばらつきを防ぐことが重要です。

① 対象者の事前把握(年齢到達の管理)

後期高齢者医療制度の適用は、75歳の誕生日が起点となります。そのため、75歳到達時にスムーズに切り替えられるよう、事前に「誰が」「いつ」対象となるかを把握しておく必要があります。
特に実務では、月末締め・月初処理など、処理タイミングのずれが給与計算など後続業務に影響を及ぼす可能性があります。対象者の把握が遅れると、本人説明や各種手続きが後手に回り、問い合わせ対応の増加につながるため、75歳に到達する従業員を少なくとも1〜2か月前には把握し、給与締め日や資格喪失日との関係も踏まえて、「いつ処理するか」までを含めたスケジュールで管理するとよいでしょう。

② 扶養の有無確認

後期高齢者医療制度では、本人のみが被保険者となり、扶養家族は被扶養者として扱うことができません。
そのため、それまで健康保険の被扶養者として加入していた家族については、従業員本人が75歳に到達することで、別制度への加入手続きが必要になります。
手続きを行う前には、当該従業員に対して扶養の有無を確認し、必要な対応をあらかじめ案内しておくと問い合わせ対応にもなります。

③ 健康保険の資格喪失届の提出

75歳に到達した従業員について、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を日本年金機構の事務センターまたは管轄の年金事務所に提出し、健康保険の資格喪失手続きを行います。提出期限は、75歳の誕生日から5日以内です。
この手続きは退職時の手続きと類似しているため、社内では「退職処理」と混同されることがあります。誤って雇用終了の処理を行ってしまわないよう、人事・給与・社会保険の各担当間で認識を揃えておく必要があります。
また、資格喪失の処理が遅れると、本来発生しない保険料控除が行われるなど、給与計算への影響が生じる可能性があります。そのため、到達日ベースで確実に処理できる体制を整えておくことも求められます。

④ 資格確認手段の整理(保険証・マイナ保険証への対応)

これまで加入していた健康保険の資格喪失に伴い、健康保険証や資格確認書などにも対応が必要になります。
従来は保険証の回収が中心でしたが、現在はマイナ保険証の利用が主流となっており、対応方法が変わってきています。具体的には、次のように整理すると分かりやすいでしょう。

  • 紙の保険証・資格確認書がある場合:回収のうえ返却が必要
  • マイナ保険証を利用している場合:回収は不要(資格情報の紐づけが自動的に切り替わる)
  • 資格確認書がWeb等で発行されている場合:返却は不要(資格喪失により無効となる)

このように、現在は「一律に回収する」というよりも、「どの確認手段を利用しているかに応じて対応を分ける」ことが実務上のポイントとなります。
従業員側では「引き続き使えるのではないか」と誤解するケースもあるため、事前に取扱いを明確に案内しておきましょう。

⑤ 給与処理の変更

資格喪失後は、給与から控除する健康保険料等の設定も見直す必要があります。
健康保険料は、75歳の誕生日が属する月の前月分までが給与からの徴収対象となるため、それ以降の給与控除は停止しなければなりません。
この処理が漏れると、誤徴収につながる可能性があるため、資格喪失手続きとあわせて、給与システム上の設定変更を確実に行いましょう。「資格喪失手続き」と「給与システムの更新」をセットで管理すると、対応漏れを防ぐことができます。

75歳以上の社会保険料(後期高齢者医療保険料)の計算

75歳以上になると、医療保険は後期高齢者医療制度へ移行し、保険料の負担構造も大きく変わります。

後期高齢者医療制度における保険料は、原則として本人が負担する仕組みとなっており、健康保険のように事業主が保険料の一部を負担することはありません。そのため、給与からの天引きではなく、本人が直接納付するか、年金からの天引きによって徴収される点を押さえておく必要があります。

後期高齢者医療制度の保険料は、加入者全員が等しく負担する「均等割額」と、前年の所得に応じて負担する「所得割額」を合計して算出されます。

年間保険料 = 均等割額 + 所得割額

均等割額は、被保険者全員が定額で負担する金額で、居住する都道府県によって異なります。また、毎年改定されるため、詳細は各自治体にて確認する必要があります。
一方、所得割額は所得に応じた負担となり、次の計算式で算出されます。

所得割額 =(前年の総所得金額等 − 基礎控除43万円)× 所得割率

※総所得金額等には、公的年金収入や給与収入なども含まれます。

※所得割率は都道府県ごとに設定されています。

また、保険料には上限が設けられているほか、所得が低い世帯や、制度加入直前まで家族の扶養に入っていた場合には、軽減措置が適用されます。例えば、世帯の所得に応じて均等割額が7割・5割・2割軽減されるほか、被扶養者であった場合には、加入から一定期間、均等割額の軽減や所得割額の免除といった措置が設けられています。

なお、厚生年金については原則として70歳までが適用対象であり、75歳時点では一般的に保険料の徴収は行われません。雇用保険については、年齢にかかわらず計算方法は共通であり、働き方に応じて保険料が算出されます。

75歳以降の働き方別:手続き・事務処理ポイント

75歳到達時の社会保険の対応は、その後の働き方によって手続きや事務処理が一部異なります。ここでは、3つの働き方別に、実務上のポイントを整理します。

●フルタイムで継続雇用の場合

定年後に再雇用している場合、厚生年金は70歳到達時点で被保険者資格を喪失します。その後、75歳以降もフルタイムで勤務を継続する場合は、健康保険を後期高齢者医療制度へ切り替える必要があります。
※厚生年金では、75歳以降に新たな手続きが発生することは原則ありません。

保険料徴収については、健康保険料・介護保険料は、75歳到達月をもって給与からの天引きがなくなりますが、雇用保険は(週20時間以上の勤務などの要件を満たす場合)引き続き加入が継続され、保険料の天引きも継続されます。

■継続雇用の場合の社会保険料
  • 健康保険料・介護保険料:原則として本人による直接納付となるため、給与天引きは停止
  • 厚生年金保険料:70歳到達時に資格喪失済のため、給与天引きはなし
  • 雇用保険料:要件を満たす場合は給与天引きを継続

●短時間勤務に切り替える場合

75歳を機に、正社員からパート・アルバイトなど短時間勤務へ切り替える場合、健康保険および厚生年金の取扱いは継続雇用の場合と同様です。
雇用保険については「週の所定労働時間が20時間以上かどうか」が判断基準となります。
週20時間以上で勤務を継続する場合は、「高年齢被保険者」として引き続き加入するため、給与からの保険料天引きも継続されます。週20時間未満となる場合は、引き続き雇用している場合であっても資格喪失となり、「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークへ提出する必要があります。

■短時間勤務の場合の社会保険料
  • 健康保険料・介護保険料:原則として本人による直接納付となるため、給与天引きは停止
  • 厚生年金保険料:70歳到達時に資格喪失済のため、給与天引きはなし
  • 雇用保険料:
     └週20時間以上:給与天引きを継続
     └週20時間未満:資格喪失となり給与天引きを停止

●役員になる場合

75歳以降に役員として報酬を得て働く場合も、健康保険は後期高齢者医療制度へ移行するため、健康保険料および介護保険料の給与天引きは停止します。また、75歳到達時には資格喪失届の提出が必要となり、資格確認手段の整理もあわせて行います。
厚生年金については、70歳到達時点で被保険者資格を喪失しているため、75歳時点で新たな手続きが発生することは原則ありません。

一方、雇用保険は役員の区分によって取扱いが異なります。
専任役員の場合は労働者に該当しないため、雇用保険の適用対象外となりますが、取締役兼営業部長などの兼務役員の場合は、労働者性が認められる限り、例外的に雇用保険に加入しているケースがあります。この場合は、引き続き「高年齢被保険者」として加入が継続されます。
なお、75歳を機に専任役員へ変更する場合は、雇用保険の資格喪失手続きが必要となり、「雇用保険被保険者資格喪失届」をハローワークへ提出します。

■役員の場合の社会保険料

(専任役員)

  • 健康保険料・介護保険料:原則として本人による直接納付
  • 厚生年金保険料:70歳到達時点で資格喪失済
  • 雇用保険料:適用対象外

(兼務役員)

  • 健康保険料・介護保険料:原則として本人による直接納付
  • 厚生年金保険料:70歳到達時点で資格喪失済
  • 雇用保険料:
     └週20時間以上:給与天引きを継続
     └週20時間未満:資格喪失

75歳以上の社会保険手続きでケアしておくべきこと

ここまで見てきたように、75歳以上の社会保険に関する企業側の対応は、主に「健康保険の資格喪失手続き」「給与天引きの停止」「(必要に応じた)雇用保険の対応」となります。しかし実務では、これらの手続きに加えて、制度変更に伴う従業員本人への説明やフォローも欠かせません。
特に、「なぜ保険証が変わるのか」「会社での保険料の扱いはどうなるのか」といった点は誤解されやすく、個別対応に時間を要するケースも多く見られます。そのため、あらかじめ説明内容を整理し、事前案内として伝えておくことが求められます。
また、「フルタイム勤務を継続する場合」「役員になる場合」「扶養家族がいる場合」など、従業員の状況に応じて説明内容を整理しておくことも有効です。
ここでは、従業員の事情ごとに、実務上の対応ポイントを整理します。

●フルタイム勤務の場合

75歳到達後も雇用が継続している場合、「在籍している=社会保険も継続している」と誤認されやすい傾向があります。これまでどおり給与から保険料が天引きされていると、その傾向はさらに強まります。
そのため、当該従業員には「雇用の継続」と「社会保険の適用」は別であることを明確に説明することがポイントです。
具体的には、次の点を整理して伝えておくことで、制度への理解を促すことができます。

  • 75歳到達後は、健康保険ではなく後期高齢者医療制度へ移行すること
  • 保険料は、給与天引きではなく本人が納付すること

●役員になる場合

中小企業では、形式上は「役員」であっても、実態は従業員に近い働き方をしているケースも多く見られます。また、役員報酬が支払われていることから、「社会保険の対象になるのではないか」と誤解されるケースも少なくありません。
実務では、役員という立場だけで判断するのではなく、実際の働き方や報酬体系などを踏まえて取扱いが決まることを丁寧に説明しておく必要があります。

●扶養家族がいる場合

後期高齢者医療制度には「扶養」という概念がないため、本人が75歳に到達すると、それまで被扶養者として加入していた家族も会社の健康保険から外れることになります。
75歳未満の家族については、次のいずれかの対応が必要になります。

  • 他の家族の被扶養者になる
  • 国民健康保険に加入する
  • 扶養家族自身の勤務先の健康保険に加入する

国民健康保険に加入する場合は、資格喪失日から14日以内に、市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。この際、企業が発行する「資格喪失証明書」が必要となるため、実務では速やかに発行・送付できる体制を整えておきましょう。
また、後期高齢者医療制度は個人単位で保険料が算定される一方、国民健康保険は世帯単位で算定されるため、世帯全体の所得状況によって保険料が変動します。均等割の軽減判定が変わるケースもあるため、詳細については居住する市区町村へ相談するよう案内しておくとよいでしょう。

<被扶養者の対応イメージ>

実務でよくあるミスと注意点

75歳以上の社会保険手続きは、制度自体はシンプルであるものの、「制度の切り替え」と「雇用の継続」が同時に発生するため、実務では思わぬミスが生じやすい領域です。制度理解に頼った対応や属人的な運用になっている場合は、判断ミスや手続き漏れにつながる可能性があるため注意が必要です。
ここでは、実務でよく見られる代表的なミスと、その発生要因、対応のポイントを整理します。

●資格喪失手続きの漏れ

75歳到達時に最も多いミスが、健康保険の資格喪失手続きの漏れです。
雇用が継続していることから、「退職していない=手続きは不要」と誤認してしまうケースが多く見られます。また、対象者の把握が遅れると、手続きのタイミングを逃す要因となります。
このようなミスが発生すると、本来不要である健康保険料が給与から控除されるなど、給与計算の誤りにつながる可能性があります。後から修正対応が必要となることで、確認や差戻し対応が発生し、担当者の負担が増加するケースも少なくありません。

このミスを防ぐためには、年齢到達による手続き発生を前提とした管理が必要です。具体的には、誕生日ベースで対象者を事前に把握し、定期的にチェックする仕組みを整えておくことが有効です。

●保険料の誤認・誤処理

これまで給与から控除していた健康保険料や会社負担分の保険料はいずれも発生しなくなりますが、「給与が発生している=これまでどおり控除する」と誤って処理してしまうケースが見られます。また、後期高齢者医療制度の保険料は本人負担となるため、「会社で何らかの処理が必要ではないか」といった誤解も生じやすくなります。
実務では、「どの保険料を会社が処理するのか」を明確に切り分けておくことがポイントです。特に、給与システムの控除設定が自動化されている場合には、設定変更の漏れにも注意しましょう。

●継続雇用時の対応ミス

継続雇用されている従業員について、「働いている=社会保険も継続している」という認識で処理してしまうケースも少なくありません。
75歳到達時には医療保険は別制度へ移行するため、社内では「雇用の継続」と「社会保険の適用」は別軸であることを共通認識として持っておくことが重要です。

●従業員への説明不足

制度の切り替えによって、従業員も「なぜ保険証が変わるのか」と不安に感じやすくなります。
「会社での保険料がなくなる理由」などについて、共通の案内資料やテンプレートをあらかじめ用意し、従業員の理解を深めるよう努めることが、対応のばらつきを防ぎ、業務の効率化にもつながります。

手続きミスを防ぐための管理のポイント

75歳以上の社会保険対応では、個別の判断や手続きの正確さだけでなく、それらを安定して運用できる体制を整えることが求められます。

●年齢到達を起点とした管理の重要性

例えば、75歳という年齢に到達してはじめて手続きが発生するため、実務としては「いつ75歳に到達するか」を正確に把握できているかどうかが、すべての起点となります。
しかし実務では、誕生日の管理が不明瞭な場合や、担当者の記憶や手作業に依存しているケースも少なくありません。対象者を適切に把握できていない場合、資格喪失手続きの漏れや保険料の誤控除といったミスにつながる可能性があります。
そのため、年齢到達を自動的に把握できる仕組みを整え、「気づいたときに対応する」のではなく、「事前に把握して計画的に対応する」運用へ切り替えていくことが重要です。

●属人化によるミスのリスク

もう一つ、業務の属人化も課題となります。
社会保険手続きは専門性が高く、特定の担当者に依存しやすい業務と言われています。「このケースはこの人しか分からない」「判断に迷ったときは特定の担当者に確認する」といった状態になりやすく、担当者の不在時や引き継ぎの際にミスも発生しやすくなります。また、対応内容が担当者ごとに異なることで、従業員への説明にばらつきが生じるといったリスクもあります。
特に、75歳以上の社会保険のように制度の切り替えが伴う領域では、判断の前提となる知識が曖昧なまま運用すると、誤った処理が定着してしまう可能性もあります。
こうした属人化を解消するためには、判断や手続きを個人に依存させるのではなく、仕組みとして管理することが不可欠です。

●システムによる情報の一元管理と手続きの電子化で業務の標準化を

75歳以上の社会保険手続きをミスなく進めるためには、年齢到達を起点とした情報管理を行い、対象者を事前に把握できる仕組みが有効です。
システムを活用して、人事・給与・社会保険に関する情報を一元的に管理し、手続きの流れを標準化すれば、判断ミスや対応のばらつきを防ぐことができます。

例えば奉行Edge 労務管理電子化クラウドの場合、雇用・再雇用の情報を一つの社員情報として管理でき、定年後再雇用者の管理にも対応しています。総務人事奉行iクラウドと連携することで、誕生月や年齢条件による対象者の抽出が可能となり、対象者の見落とし防止や、事前準備の早期着手につなげることができます。

さらに、資格喪失届の作成から電子申請まで奉行Edge 労務管理電子化クラウド1つで完結するため、処理状況の可視化や履歴管理が可能となり、手続き漏れや差戻しの防止にもつながります。e-Govとの連携により電子申請にも対応しているため、手続きの効率化と正確性の向上を同時に実現することができます。

また、資格確認書等の回収が発生する場合は、システム上で従業員へ通知できるため、やり取りの効率化と対応漏れの防止に寄与します。

こうした仕組みを整えることで、個々の対応に依存することなく、ミスや業務負担を継続的に抑えることが可能になります。

おわりに

高齢者の労働力は、今後ますます企業にとって重要な存在となっていきます。75歳以上の社会保険対応も、特別な対応ではなく、日常業務の一部として求められる場面が増えていくことでしょう。
従業員が安心して働き続けられる環境を整えるうえでも、社会保険手続きを含めた労務管理の整備は欠かせません。
奉行Edge 労務管理電子化クラウドのような仕組みを活用し、早い段階から安定した労務管理体制を構築していくことが、今後は強く求められていくと思われます。
ぜひこの機会に、自社の運用体制を見直し、今後の高齢者雇用に対応できる基盤づくりを進めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問

75歳以上でも健康保険に加入することはある?

75歳に到達すると、それまで加入していた健康保険の被保険者資格は喪失し、原則として「後期高齢者医療制度」へ移行します。そのため、75歳以上で会社の健康保険に加入し続けることはありません。なお、働き続けている場合でもこの取扱いは変わらず、「雇用の継続」と「医療保険制度の適用」は別である点に注意が必要です。

75歳到達時に会社で必要な手続きは?

主な対応は、健康保険の資格喪失手続きと、給与に関する処理の見直しです。具体的には、次のような対応が必要になります。

  • 健康保険の資格喪失届の提出(誕生日から5日以内)
  • 健康保険料および介護保険料の給与天引き停止
  • 資格確認手段(保険証・マイナ保険証等)の整理

あわせて、扶養家族がいる場合は、その取扱いについての確認や案内も行っておくと、後のトラブルを防ぐことができます。

扶養に入っている家族はどうなる?

後期高齢者医療制度には「扶養」という仕組みがないため、本人が75歳に到達すると、それまで被扶養者であった家族も会社の健康保険から外れることになります。そのため、家族は次のいずれかの方法で、新たに保険へ加入する必要があります。

  • 他の家族の被扶養者になる
  • 国民健康保険に加入する
  • 自身の勤務先の健康保険に加入する

特に国民健康保険へ加入する場合は、資格喪失日から14日以内の手続きが必要となるため、事前に案内しておくことが重要です。

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