株式会社divは2012年3月の創業。同社は、短期集中型エンジニア養成スクールとしての「TECH::EXPERT(テックエキスパート)」、テクノロジー領域に専門特化した実践的なテクノロジースクールとしての「TECH::CAMP(テックキャンプ)」、法人向けIT人材育成サービス「TECH::CAMP(テックキャンプ)研修」を手掛けている。右肩上がりで売上が伸長するなか、経理部門の業務量は年々増加してきた。こうしたなか、経理部門の生産性向上が喫緊の課題となってきた。同社経営企画グループの佐藤哲平氏が語る。
「当社はもともと、他社のクラウド会計システムを導入していました。しかし、そのクラウド会計システムは使い勝手が悪く、とにかく起票に多くの時間がかかっていました。というのも、過去の仕訳データの複写ボタンの場所がわかりづらい、行の挿入ができないため明細の並び替えに時間がかかる、摘要欄が狭くて入力文字が見えにくいなど、起票の処理能力が低く、当社の経理業務の実態と合わない部分が目立っていたからです。このことは、月次決算の遅れを招く一因にもなっていて、当社が目指す“理想の業務スタイル”に合わない会計システムでした」
“理想の業務スタイル”とはどのようなものか。同グループマネージャーの伊藤美樹氏が説明する。
「我々が目指しているのは、起票のような作業時間を徹底的に削減し、管理会計や財務分析のような”人にしかできない業務に時間を投じる”という業務スタイルです。この業務スタイルを実現できるクラウド会計システムが必要でした。経営企画グループでは、経営に寄り添った頭を使う仕事に時間を使い、会社を変えていける存在になりたいと考えています。」
起票に代表される単純作業の時間削減による生産性向上と“理想の業務スタイル”の具体化。この二つを同時に実現できるクラウド会計システムを当社は求めていた。
同社がクラウド会計システムの選定において最も重視したのは、起票の処理能力が高く、“理想の業務スタイル”を実現するための生産性向上を図れるかどうかだ。同社の経理業務における最大のボトルネックは起票であった。起票に多大な時間を要していたため、生産性が低下していたのだ。伊藤氏は「勘定奉行クラウドは経理担当者に寄り添った形で作られているから起票スピードが圧倒的に速い。だから生産性向上に役立つ」と力を込める。
「過去の仕訳の複写や行挿入がショートカットキーで容易に行えるほか、摘要欄の見える範囲が広くて見やすいことなどが魅力です。当社の場合、経費関係の仕訳を中心に毎月同じ仕訳を繰り返し計上することが多い。そのため、前月の伝票情報を活用して最短の時間で起票できる仕組みが必要でした。また、シンプルな画面設計にも惹かれましたね。他社のクラウド会計を何社か比較しましたが、さまざまな設定ができることを売りに出したいのか、入力項目が多すぎて複雑でした。これだと経理担当者は混乱ししてしまい、かえって仕事を進めにくくなるのではないでしょうか。勘定奉行クラウドもさまざまな設定ができますが、必要な項目だけに絞った見やすい画面構成となっているため、とてもシンプルです。そのため、経理担当者が迷わずに使える仕様になっているんです」(伊藤氏)
佐藤氏はこう付け加える。
「コード管理ができるのも勘定奉行クラウドのメリットです。補助科目などはコードではなく文字で検索しなければならず、起票に時間がかかる原因となっていました」
伊藤氏はクラウド会計システムの選定にあたり、同社のようなベンチャー企業5社から意見を収集したという。
「すると圧倒的に勘定奉行クラウドを推す声が多かったんです。勘定奉行はもちろん、さまざまなクラウド会計システムを使用した経験のある人たちの意見だから信憑性が高い。だからこそ“勘定奉行クラウドなら間違いない”そう確信したんです」(伊藤氏)
生産性向上に直結する起票の処理能力が高いクラウド会計システムであることに加え、高い評判も導入の後押しになった。
こうして2019年1月に勘定奉行クラウドを導入。約半年経過(取材は2019年7月に実施)してどのような効果が出ているのか。佐藤氏は「想定以上の効果が出ている」と驚きを込めて語る。
「起票にかかる時間を50%削減できました。そのおかげで月次決算の早期化も実現できています。以前は月次決算に10日以上かかることもありましたが、起票時間が短縮できた分、社内のルール化や事業部側との連携など、業務フローの改善に着手することができ、現在では5日程度まで短縮することができています。現在は正確性を保ちつつ、もう1営業日の短縮も目前。クラウド会計システムを入れ替えることで月次決算がこんなにも早くなるなんてビックリです」(佐藤氏)
勘定奉行クラウドを導入して業務時間を削減したことで、これまで出来ていなかった管理会計に着手できるようになった。
「拠点別損益など、経営管理に必要不可欠な資料を作成するための時間を捻出できています。勘定奉行クラウドを活用すれば、我々の望む形で合計残高試算表を加工、出力できるので分析もはかどります。人にしかできない業務に時間を投じる。まさに我々の目指す“業務スタイル”の実現に向けて、勘定奉行クラウドがとても役に立っています。」(伊藤氏)
起票の処理スピードが向上し、起票と月次決算にかかっていた時間を大幅に削減。業務時間の削減により、これまで出来ていなかった付加価値の高い仕事に時間を使えるようになった。
IPOを目指して業況を拡大する同社。今後拠点数をさらに増加させる予定という。こうしたなか、経理部門はどのような存在になるべきか。
「経理は一般的に“守り”のイメージがありますが、“攻め”に転換していくべきです。経理には会社の数字がすべて集まっており、工夫次第で経営に有益な情報を発信して会社を変えていけるからです。経営陣に対して“気づき”を与えられるのが経理部門なんです」(伊藤氏)
佐藤氏は「今こそPL脳からBS脳へ転換するタイミング」と言う。
「会社全体の数字を把握できる経理部門は中長期的な視点で、経営陣に提案できる存在になるべきです。そのためには、BS脳であることが必須。そして管理会計や財務分析をフル活用できなければなりません。勘定奉行クラウドには経理業務のパラダイム転換を図るために必要なものがそろっています」(佐藤氏)
伊藤氏そして佐藤氏は声を揃えて「勘定奉行クラウドを導入したことで生産性を向上させることができました。“理想の業務スタイル”の実現に、確実に近づいています」と語る。
「起票の効率化や月次決算の早期化はあくまで通過点。勘定奉行クラウドの導入によって生産性を向上させた今、私たちは新たなステージに来ています。起票のような作業は勘定奉行クラウドの力を借りて業務時間を削減しつつ、経営に寄り添った分析を駆使して、“今後どのような会社を作っていくべきか”という視点で物事を考え、実行することです」(伊藤氏)
同社では、さらなる生産性向上を図るために、金融機関とのデータ連携による入出金仕訳の自動起票の活用も視野に入れている。
“理想の業務スタイル”を実現し会社の未来を創造する。経営企画グループのミッションに、勘定奉行クラウドが大きく貢献していくのは間違いないだろう。