OBC 360° |【勘定奉行のOBC】

【2026年施行】子ども・子育て支援金制度とは?給与計算への影響と企業の対応ポイント|社会保険・労働保険|OBC360°|人事労務システムの総務人事奉行クラウド|人材・人事管理・総務システムのOBC

作成者: 人事給与|2026年05月19日

2026年4月から「子ども・子育て支援金」制度が施行されました。子ども・子育て支援金は健康保険制度を通じて徴収される仕組みのため、会社員の場合は健康保険料とあわせて給与から控除されます。社会保険料の徴収タイミングによって異なりますが、多くの企業では5月支給給与から控除が開始されます。
この制度対応は一過性のものではないため、給与計算の実務では、継続的に処理できる体制が整えられているかという点がもっとも重要になります。
そこで今回は、子ども・子育て支援金制度についてあらためて整理し、被用者保険(会社員等)の給与控除について、給与計算実務への影響と、企業として押さえておくべき対応ポイントを具体的に解説します。

目次

子ども・子育て支援金制度の概要(徴収・計算方法、負担額等)

子ども・子育て支援金制度は、少子化対策の財源を安定的に確保することを目的に創設された、新たな仕組みです。
これまでの少子化対策は、単年度ごとの施策に依存する傾向があり、継続的な効果を発揮しにくいという課題がありました。そのため、子育て支援を社会全体で支えるための恒常的な財源確保が求められてきました。その対応策の一つとして導入されたのが、子ども・子育て支援金制度です。

この制度は、2026年4月に施行され、健康保険制度を通じて徴収されることになりました。制度の本質は、特定の個人に負担を求めるものではなく、子ども・子育て施策を社会全体で支えるという考え方に基づいて設計されています。しかし、子どもの有無にかかわらず被保険者が広く負担することになるため、一部では「独身税」と表現されることもあります。

徴収された子ども・子育て支援金は、児童手当の拡充や妊娠・出産支援、保育サービスの充実などに活用されます。これらの施策を安定的に継続するための財源であり、少子化対策以外の用途に使われることはありません。

●「健康保険料とあわせて徴収」という仕組みとは

子ども・子育て支援金制度の最大の特徴は、「健康保険料とあわせて徴収する」という仕組みです。2026年4月分の健康保険料および介護保険料(40歳以上65歳未満)から、支援金の徴収も開始されます。
これは「税負担が増える」という話ではなく、あくまで「これまでの健康保険料・介護保険料に加え、子ども・子育て支援金という新たな構成要素が増える」改正と捉えることが大切です。

●支援金率と計算方法、負担額

会社員等の場合、支援金は給与・賞与から控除される健康保険料および介護保険料とともに天引きされます。支援金額は、次のように標準報酬月額または標準賞与額に支援金率を乗じて算出します。

<支援金額の計算方法>

(給与)
毎月の支援金額 = 標準報酬月額 × 支援金率

(賞与)
賞与にかかる支援金額 =標準賞与額 × 支援金率

この計算式で算出された支援金額は、健康保険料と同様、企業と従業員で折半することになっています。
つまり給与計算では、従来の健康保険料に加えて、次の作業が必要になります。

  • 従業員負担分(毎月の支援金額の1/2)の控除
  • 会社負担分(毎月の支援金額の1/2)の計上

支援金率は、2026年度は0.23%ですが、2028年度にかけて0.4%程度まで段階的に上がることが想定されています。そのため、将来的な負担増も見据えた対応が求められます。
※2028年度以降の支援金率は、制度見直しの影響等を受け変更される可能性があります。

例えば、年収200万円の場合、上記の計算式に当てはめると、2026年度の従業員負担額は月額192円となり、別途、企業も同額を負担します。なお、年収に応じた従業員負担額は次のようになります。

年収 被保険者一人当たり(月額)
200万円 192円
400万円 384円
600万円 575円
800万円 767円
1,000万円 959円

子ども・子育て支援金制度で企業に求められる対応

被用者保険の場合、子ども・子育て支援金の徴収主体は協会けんぽや組合健保です。そのため、実務上は企業が支援金を「代行徴収」する形となります。

出典:こども家庭庁 PDF「事業主向けリーフレット

具体的には、企業側で次の処理を担うことになります。また、社会保険料は翌月徴収が一般的であるため、多くの企業では2026年5月支給給与から控除が開始されます。
※当月控除方式を採用している企業は、2026年4月給与から控除が開始します。

  • 支援金額の計算
  • 従業員負担分の給与控除
  • 会社負担分の計上
  • 健康保険料との合算集計
  • 保険者への納付

一見すると、この対応は、従来の社会保険料と同様の流れに見えるかもしれません。しかし実際には、単なる料率変更ではなく、健康保険料の内訳に新たな区分が追加される改正であるため、給与計算の実務では複数の処理に影響が及ぶことを押さえておく必要があります。

子ども・子育て支援金制度に対する給与計算実務の対応ポイント

子ども・子育て支援金制度への対応で重要なことは、こうした処理が日常業務の中で継続的に正しく運用できる状態になっているかという点です。
ここでは、給与計算実務における対応ポイントを整理します。自社の設定や運用に抜け漏れがないか、あらためて確認しておきましょう。

1. 自社の社会保険料の控除方式(当月控除/翌月控除)の確認

子ども・子育て支援金は、社会保険料と同じ控除方式で処理されます。
社会保険料の控除タイミングは、一般的に翌月控除が多いですが、企業によっては当月控除を採用しているケースもあります。
そのため、まずは次の点を確認しておくことが重要です。制度開始直後は問い合わせが発生しやすいため、控除開始月を正確に把握しておくことが、スムーズな運用につながります。

  • 自社の社会保険料が当月控除か翌月控除か
  • 支援金がどの給与から控除されるか
  • 給与システムの料率設定が適切な月から反映されているか

2. 支援金率の登録と計算ロジックの確認

子ども・子育て支援金制度は、給与計算上では新たな保険料区分を追加する形で処理することになります。
そのため、次のような観点で計算ロジックを確認しておく必要があります。

  • 支援金率が正しく登録されているか
  • 標準報酬月額・標準賞与額に正しく連動しているか
  • 労使折半の計算が正確に反映されているか
  • 端数処理が健康保険料と整合しているか

特に注意したいのが、健康保険料と支援金を合算表示しているケースです。内訳が見えにくくなるため、設定の誤りに気づきにくい構造になりがちです。
総額だけで判断するのではなく、内訳単位で検証する視点を持つことが重要です。

3. 給与明細への表示方法と問い合わせ対応

支援金は、従業員負担が発生する以上、給与明細に表示するかどうか判断する必要があります。
表示方法については、法令上の明確な指定はありませんが、従業員から「健康保険料が増えたのはなぜか」といった問い合わせが発生する可能性があります。
そのため、給与明細への表示方法は「従業員が内容を理解できる状態になっているか」が重要になります。
例えば、次のような点を事前に確認しておきましょう。

  • 明細項目の名称が分かりにくくなっていないか
  • 支援金額が正しく反映されているか
  • 問い合わせ時に説明できる資料が整っているか

給与明細の設計は単なるレイアウトの問題ではありません。制度改正時の対応品質や、従業員との信頼関係にも影響する重要なポイントです。

4. 賞与計算への反映と設定漏れの防止

子ども・子育て支援金は、毎月の給与だけでなく賞与にも適用されます。そのため、賞与計算時の計算ロジックも忘れずに見直す必要があります。

実務で特に多いのが、給与と賞与で計算ロジックが分かれているケースです。給与側では対応済みでも、賞与は発生頻度が低いため、不備に気づきにくい傾向があります。制度開始時だけでなく、賞与支給前にも改めて確認することが重要です。
具体的には、次の点について確認しておきましょう。

  • 賞与計算時にも支援金率が正しく反映されているか
  • 労使折半の計算が正確に行われているか
  • 健康保険料との合算にずれが生じていないか
  • 法定帳票や保険料集計への反映に誤りがないか

5. 月額変更・算定基礎との整合確認

社会保険料は、標準報酬月額に基づいて算定されます。そのため、月額変更届や算定基礎届の処理と支援金額が正しく連動しているかも、押さえておきたいポイントの1つです。
制度開始時に問題がなくても、昇給や報酬改定のタイミングで不備が表面化するケースは少なくありません。単発の対応で終わらせず、既存の業務フローの中で正しく機能しているかを継続的に確認することが重要です。
標準報酬月額が変更された際には、次の点を確認しておきましょう。

  • 支援金額が自動的に再計算されるか
  • 会社負担分との整合が取れているか
  • 過去分の再計算や修正が発生していないか

制度対応で見えてくる給与計算業務の課題

子ども・子育て支援金制度への対応を進める中で、自社の給与計算の仕組みや運用体制について、改めて課題が浮き彫りになった企業も多いのではないでしょうか。
これは、今回に限った問題ではなく、制度改正に対応する給与計算業務の構造そのものに関わる課題でもあります。実際、今回の制度対応では、給与計算の運用方法によって対応負担やリスクの大きさに差が出やすくなります。
ここでは、制度対応を通じて見えてきた代表的な課題を整理していきます。

●Excel運用に内在する構造的リスク

給与計算のシステム化は進んでいるものの、中小企業の中には、Excelでの給与管理を続けている企業も少なくありません。
Excelは、柔軟に計算式を組める一方で、制度改正時には計算式の修正や項目追加を手作業で行う必要があります。今回の子ども・子育て支援金制度においても、料率の入力や計算式への組み込み、内訳項目の追加などの作業が発生するため、Excelではすべてを手作業で行う必要があります。
このような運用では、改正のたびに処理手順が増え、作業フローが複雑化していきます。結果として、改正対応が一時的な負担にとどまらず、業務構造そのものの負担として蓄積されることになります。

●設定漏れ・計算ミスが発生しやすい構造

制度改正時に実際に起こりやすいのは、設定漏れや計算ミスといった実務上のトラブルです。例えば、今回の制度対応では次のようなミスが発生しやすくなります。

<制度対応で発生しやすいミス例>

  • 料率の設定漏れ
  • 賞与計算側の更新忘れ
  • 内訳追加による計算式の複雑化
  • 参照セルのずれや式崩れ
  • 明細表示と控除額の不整合

これらは単なる注意不足ではなく、計算ロジックの複雑化によって構造的に起こりやすくなる問題です。
従来は健康保険料のみで完結していた計算に支援金が加わることで、計算式は長くなり、参照項目や処理工程も増えます。その結果、「どの設定がどの計算結果に影響しているのか」が把握しづらくなります。
さらに、給与と賞与で計算ロジックが分かれている場合、片方だけ設定が更新されていないといった不整合も発生しやすくなります。
このように、制度改正のたびに計算ロジックの安定性が揺らぎ、結果としてミスが起こりやすい状態が常態化してしまう可能性があります。

●属人化・ブラックボックス化の進行

制度改正のたびに担当者が個別に設定や計算式を修正している場合、その変更内容が十分に共有・記録されないまま運用が続くことも少なくありません。その結果、「なぜこの計算式になっているのか分からない」「設定意図が共有されていない」「担当者が変わると再現できない」といった状態が生まれやすくなります。
このような状況では、設定内容が徐々にブラックボックス化し、給与計算業務そのものが特定の担当者に依存する体制へと変わっていきます。
制度改正への対応が“個人の経験や勘”に依存する状態は、長期的に見て大きなリスクです。特に改正が継続的に発生する環境では、この傾向がさらに強まります。

制度改正に強い給与計算体制はシステム化で実現できる!

子ども・子育て支援金制度だけでなく、今後も制度の新設や改正は継続的に発生していきます。そのたびに個別対応を繰り返すのでは、業務負担やミスのリスクを繰り返すことになってしまいます。
これからの給与計算実務においては、こうした変化する制度に即応し、効率的かつ正確性を維持できる体制をどのように整えているかが重要です。

では、具体的にどのような点を押さえておくべきでしょうか。
給与計算において、制度対応で備えておくべきポイントには、主に次の3点があります。

① 制度対応を“作業”にしない設計になっているか

Excelのように制度が変更するたびに計算式を書き換える運用では、対応負担が増え続けるだけでなく、ミスのリスクも高まります。
給与システムであれば、料率変更や控除区分の追加が発生した場合でも、マスタ設定を更新することで処理に反映されるため、個別に計算式を書き換える必要はありません。
実務においては、制度対応を個別の作業として処理するのではなく、仕組みの中で吸収できる設計になっているかが重要です。

② 設定変更が可視化され、属人化しない運用になっているか

制度改正への対応が積み重なると、変更範囲や影響箇所が見えにくくなり、確認作業が担当者の経験や記憶に依存しやすくなります。このようなブラックボックス化を回避するためには、設定変更の内容が可視化されていることが重要です。
変更履歴が記録され、内容を追跡できる環境であれば、次のような対応もスムーズに行えるようになります。

  • 改正対応の振り返り
  • トラブル発生時の原因特定
  • 担当者変更時の引き継ぎ

制度改正は一度で終わるものではなく、今後も繰り返し発生します。だからこそ、設定変更の履歴を“資産”として蓄積できる体制が求められます。

③ 制度変更に即応できるシステムが整備されているか

制度改正に即応できる体制を整えるうえで、給与システムの活用は有力な選択肢となります。特にクラウド給与システムは、法改正や料率変更に応じたアップデートが提供されるため、自社で計算式を組み直す必要がありません。制度追加や料率改定も、標準機能の更新として反映されるため、対応が個別作業になりにくいという特徴があります。
こうした仕組みにより、制度内容を都度調べたり、設定を手作業で作り込んだりする負担も軽減されます。

例えば給与奉行iクラウドの場合、社会保険料率や控除区分をマスタで管理し、給与・賞与・関連帳票まで一貫して連動する設計となっています。協会けんぽ・組合健保の両方に対応しており、複数拠点・事業の社会保険料計算も可能です。
子ども・子育て支援金制度にも対応しており、支援金率はマスタに組み込まれ、標準報酬月額および標準賞与額に基づいて自動計算されます。計算結果は、従業員負担分・企業負担分の折半処理まで自動で行われ、そのまま給与明細や賞与明細、関連帳票に反映されます。
明細への表示も、設定により柔軟に対応できるため、制度変更時の運用負担を抑えることが可能です。奉行Edge 給与明細電子化クラウド使用している場合なら、ダウンロードしたPDFに印字した状態で表示されます。

また、奉行Edge 給与明細電子化クラウドは、標準報酬改定通知書の形で自動的に公開・配信できるため、子ども・子育て支援金を含む改定内容を適切なタイミングで従業員に一斉通知することができます。

おわりに

子ども・子育て支援金制度への対応は、単なる料率の追加にとどまるものではありません。制度改正が今後も継続していくことを前提に、給与計算業務そのものを安定的に運用できる構造になっているかが問われています。

制度改正に即応できる仕組みを備えることは、担当者の負担軽減だけでなく、企業としての安定的な業務運営にも直結します。給与奉行iクラウドのようなクラウドサービスを活用し、「今後も継続して対応できる」体制を整えることは、将来的な業務負担やリスクを大きく左右するポイントとなるでしょう。

ぜひこの機会に、自社の給与計算業務のあり方をあらためて見直してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

子ども・子育て支援金制度とは何?

子ども・子育て支援金制度は、少子化対策の財源を確保するために創設された制度です。健康保険料に上乗せして徴収され、子ども・子育て施策を社会全体で支える仕組みとなっています。

子ども・子育て支援金の負担額はいくら?

2026年度は、標準報酬月額および標準賞与額に0.23%を乗じて算出し、労使折半で負担します。例えば年収200万円の場合、従業員負担額は月額約192円、年収400万円の場合は月額約384円となります。

子ども・子育て支援金は本当に“独身税”?

子どもの有無にかかわらず被保険者が広く負担する仕組みであるため、そのように表現されることがあります。ただし、実際には税ではなく、健康保険料に上乗せして徴収される社会保険料の一部です。

関連リンク

こちらの記事もおすすめ