社会保険料とは?標準報酬月額の決め方や納付のタイミングを解説

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日本には、さまざまなリスクに備えるための保険制度として、社会保険制度があります。その社会保険制度を維持するためのお金が社会保険料です。企業では、従業員が負担する社会保険料を、企業負担分とともに納付しなければなりません。企業の担当者は、社会保険料について正しく理解しておく必要があるでしょう。
この記事では、社会保険料の概要と計算方法のほか、標準報酬月額の決め方などについて解説します。

目次

従業員と企業が負担する社会保険料

社会保険料は、健康保険、厚生年金保険、介護保険、労災保険、雇用保険の5つの社会保険(広義の社会保険)を維持するために納付するお金です。
その中で、健康保険、厚生年金保険、介護保険の3つを狭義の社会保険といいます。この狭義の社会保険料は、従業員の給与に応じて決まるもので、従業員と企業とが半分ずつ負担します。

社会保険料の納付期限

社会保険料は、当月の翌月末日までに、従業員負担分と企業負担分をまとめて日本年金機構に支払います。翌月末日が土曜日、日曜日、祝日の場合は翌営業日が期限です。

もし、社会保険料を納付期限までに支払えないことが予想される場合は、できるだけ早く年金事務所に連絡して、納付計画を伝えるようにしましょう。年金事務所に通知することなく納付期限までに納付しなかった場合は、企業に督促状が郵送されてきます。さらに、督促状に記載された期日までに納付できない場合は、延滞金が加算されます。

従業員から徴収するタイミング

企業が従業員の給与から社会保険料を控除するのは、社会保険料が発生する翌月の給与を支払うタイミングです。なお、社会保険料には日割り計算はなく、入社時が月末だったとしても1ヵ月分の社会保険料が徴収されます。月末まで在籍することなく退職した場合は、最後の月の社会保険料は徴収されません。

社会保険料の計算方法

社会保険料は従業員の給与に応じて決まりますが、給与は月によって変動することが多く、計算がしにくくなってしまいます。そのため、計算しやすいよう標準報酬月額を設定して、それをもとに社会保険料を算出します。

標準報酬月額は、企業から従業員に支払われる給与の4月から6月の3ヵ月間の平均支給額です。なお、これには通勤手当や時間外手当、残業手当、役職手当、住宅手当といった各種手当を含みます。出張時の旅費や年3回以下の賞与、退職金などは含まれません。

標準報酬月額に該当する等級によって各種保険料が決定しますが、標準報酬月額の等級や各種保険料は、都道府県によって異なります。例えば、東京都で標準報酬月額が30万円だった場合、下記の表のとおり厚生年金保険料は5万4,900円となり、企業と従業員がそれぞれ半分の2万7,450円を負担することになります。

■東京都での2021年3月分からの標準報酬月額と社会保険料(抜粋)

出典:全国健康保険協会

標準報酬月額が決定される時期と方法

社会保険料を決める標準報酬月額は、どの時期に決まるのでしょうか。決まる時期と方法は、大きく分けて下記の4つがあります。

資格取得時決定

資格取得時決定とは、新たに従業員を雇用したときの標準報酬月額の決定方法を定めたものです。企業は、入社日から5日以内に標準報酬月額も記載した「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を年金事務所に提出します。
入社時点では給与の実績がないため、過去の給与から標準報酬月額を算出できません。そこで、基本給に通勤手当などを含めた1ヵ月あたりの見込み報酬から「標準報酬月額」を算出します。このときに決まった標準報酬月額は、翌年8月まで適用されます。

定時決定

定時決定とは、毎年4月から6月の3ヵ月間に支払った給与の平均にもとづいて決定する方法を定めたものです。4月から6月のうち、支払基礎日数(給与計算の対象となる労働日数)が17日未満の月は除外して算出します。
この標準報酬月額を記載した「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」を、毎年7月1日から10日のあいだに管轄の年金事務所に届出すると、その年の9月1日〜翌年8月末まで適用されます。

なお、定時決定は7月1日時点での被保険者全員が対象となりますが、下記にあてはまる人は対象となりません。

<定時決定の対象とならない人>
  • 6月1日以降に資格取得した人
  • 7~9月に月額変更届を提出する予定の人
  • 6月30日以前に退職した人

随時改定

随時改定とは、昇級や降格などによって給与が大幅に変更になったときの改定方法を定めたものです。給与が多くなった場合は給与に対して社会保険料が少なくなり、給与が少なくなった場合は給与に対して社会保険料が多くなってしまうため、次の定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。 随時改定を行うのは、下記3つの条件をすべて満たすときです。

<随時改定を行う条件>
  • 基本給などの固定的賃金が著しく変動したとき
  • 著しく変動があった月から連続した3ヵ月間の標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額に2等級以上の差があるとき
  • 支払基礎日数が3ヵ月とも17日以上であるとき

なお、この固定的賃金には、通勤手当などの各種手当も含みます。そのため、随時改定は昇級や降格のタイミングだけでなく、引越しなどによって通勤手当が変更になったときにも発生する可能性があります。

育児休業等終了時改定

育児休業等終了時改定とは、育児休業などから復帰後3ヵ月の平均給与に変更があったとき、下記の条件にあてはまった場合に行う改定です。

<育児休業等終了時改定を行う条件>
  • 育児休業前の報酬月額と、休業終了後3ヵ月間の平均額を算出した報酬月額に1等級以上の差があるとき
  • 育児休業終了日の翌日が属する月以降3ヵ月のうち、最低1ヵ月は支払基礎日数が17日以上であること

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山本 喜一

■監修者
山本 喜一

特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。

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