従業員が結婚したら?社会保険・雇用保険の変更手続きと社内の情報更新業務のポイント

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「従業員が結婚する」というのは、同じ職場の同僚としてもうれしい祝いごとですが、人事労務担当者としては結婚に伴い忘れてはならない手続き業務があります。 今回は、従業員が結婚した際に行うべき手続きに関して、その内容や注意点などについて解説します。 正確かつ迅速に対応して、従業員の新たなスタートをともに祝ってあげましょう。

目次

従業員が結婚!その時に確認しておくべき事項とは?

結婚に伴う社会保険・雇用保険の変更手続きの進め方

結婚に伴う社内の対応業務

効率的にミスなく情報収集できる仕組みで、もっと業務を快適に!

おわりに

従業員が結婚!その時に確認しておくべき事項とは?

従業員から結婚の報告を受けたら、各手続きに必要な情報を収集する必要があります。
少なくても、以下の5項目については確認しておきましょう。

  1. 入籍日
  2. 姓の変更の有無
  3. 配偶者が被扶養者になるかの確認
  4. 住所変更の有無/通勤経路の確認
  5. 結婚退職の有無

例えば、配偶者の戸籍に入って姓が変わる場合、雇用保険や社会保険等にも影響しますが、社内において結婚後、新姓・旧姓のどちらで仕事をするのかも大事な要素です。仕事上の呼称も変更する場合は、社内に周知する必要もあります。
また、配偶者が被扶養者に入るかどうかによって、配偶者の健康保険証を発行する手続きや、扶養手当を支給する業務などが必要になります。
新たに新居を構える場合も、住所変更の情報は社内で管理する名簿類にも反映させなければなりません。通勤経路も変わってしまうと、通勤手当にも影響する可能性もありますので、変更した住所だけでなく通勤経路も確認しておく必要があります。
さらに、結婚を機に退職を希望する場合はその準備も必要になります。
このように、結婚によって雇用保険や社会保険等や社内の各種変更手続きなど、様々な業務が発生することになるため、必要な情報はまとめて確認しておくことが重要です。

結婚に伴う社会保険・雇用保険の変更手続きの進め方

従業員が結婚した際には、社会保険と雇用保険の情報について変更手続きが必要になります。しかし、最近は行政に関わる業務の簡略化が進み、手続き自体も簡素化の傾向があります。
ここでは、2020年現在の各種手続きの進め方や注意点についてご紹介しましょう。

■社会保険(健康保険、厚生年金保険)に関わる変更手続き

従来、社会保険において、結婚に伴う氏名変更や住所変更がある場合は届出が必要でしたが、マイナンバーと基礎年金番号が紐付いている従業員であれば、届出は原則不要となりました。
ただし、何らかの理由でマイナンバーと基礎年金番号が結びついていない従業員や、マイナンバーを有していない海外赴任者などの場合は、「被保険者氏名変更届」と「被保険者住所変更届」を速やかに届け出る必要があります。
マイナンバーと基礎年金番号が紐付いているかどうかは、日本年金機構から届く「マイナンバー未収録者一覧」で確認することができます。これは、事業主の事務簡略化や被保険者の利便性向上等を図るためのもので、マイナンバーと基礎年金番号が紐付いていない従業員のみが記載されています。その他、本人も「ねんきんネット」近隣の年金事務所で確認することができるようになっています。

扶養する家族が増える場合は、「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を日本年金機構に提出します。
ただし、健康保険組合など協会けんぽ以外の健康保険の被保険者が配偶者として被扶養者になる場合は、「国民年金第3号関係者届」を提出することになります。

※出典:日本年金機構「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき」関連書類

いずれの場合も、被扶養者として認定されるためには収入要件が大きな壁となることがありますので、従業員にしっかり確認しておきましょう。
届出は、「事実発生から5日以内」に所轄の年金事務所へ郵送か窓口持参、または電子申請により提出できます。パートナーが退職をして被扶養者になる場合は、退職日の翌日から5日以内となります。
届出には、届出書の他に、続柄確認ができる戸籍抄本と、収入要件が確認できる書類が必要になります。同居の確認は日本年金機構で行うため原則書類の添付は不要ですが、確認できない場合は住民票の提出を求められることがあります。
届出書を提出する際には、新姓となった印鑑での押印、マイナンバーもしくは基礎年金番号の記載漏れがないか、しっかり確認しておきましょう。
新姓の健康保険証が届いたら、旧姓の健康保険証は回収して日本年金機構へ返却します。

■雇用保険に関わる変更手続き

雇用保険については、これまでは、氏名変更がある場合にのみ「雇用保険被保険者氏名変更届」を速やかに所管するハローワークに届け出る必要がありましたが、2018年3月30日の官報にて「各号に掲げる届出又は当該被保険者が当該事業主を経由して行う支給申請手続きの際に提出」することとなりました。
そのため、2020年6月1日以降は、「雇用保険被保険者氏名変更届」を提出しなくてよくなっています。
現在は、以下の手続きを行う際に、同時に届出をすればいいとされています。

  • 被保険者資格喪失届
  • 転勤届・個人番号登録変更届
  • 下記の給付金の支給申請
  • 育児休業給付金・介護休業給付金
  • 高年齢雇用継続基本給付金
  • 高年齢再就職給付金

住所変更については、そもそも雇用保険では住所の登録がされていないため、手続きは発生しません。

結婚に伴う社内の対応業務

従業員の結婚は、給与面や税務関係、従業員情報の管理の面でも様々な影響があります。
ここでは、社内で発生する「結婚に伴う対応業務」について整理しましょう。

(1)労働者名簿・社員名簿・緊急連絡先名簿等の更新

従業員情報に変更があった場合、労働者名簿の更新は遅滞なく速やかに行う必要があります。(労働者名簿の取り扱いについては、コラム「労働者名簿とは?記載事項や保存期間、書き方、管理方法を詳しく解説」も参照ください)
他にも、社員名簿や緊急連絡先名簿など、社内にある様々な名簿類についても、合わせて更新しておきましょう。配偶者の連絡先なども管理している場合は、配偶者の情報についても確認し、漏れなく記載します。
氏名変更に関しては、労働者名簿は戸籍上の氏名を記載することになっています。仕事上での呼称を旧姓で通す場合、労働者名簿以外の名簿類の更新については「呼称以外は新姓記載」「名刺のみ旧制可」「社員名簿には旧姓併記」などの社内ルールに則って対応しましょう。

(2)「扶養控除等(異動)申告書」の更新

配偶者が扶養親族になる場合は、「扶養控除等(異動)申告書」の修正も必要になります。「扶養控除等(異動)申告書」は、翌年の所得税の課税区分を決める重要な役割を担っているため、毎年年末には翌年用の書類を提出するよう呼びかけます。基本的には、年末調整の際に「扶養控除等(異動)申告書」の記載情報に変更がないかどうかを確認することになりますが、結婚を機に配偶者の扶養に入るなど、「扶養控除等(異動)申告書」の内容に変更が生じた場合は、所得税の再計算が必要になります。年末調整時に所得税の再計算を行うケースもありますが、年の途中で結婚の報告を受けた場合は「扶養控除等(異動)申告書」の記載内容を忘れないように修正してもらう必要があります。

(3)通勤手当など諸手当の見直し

結婚は、各種手当にも影響します。例えば、結婚で新居を構えたことで通勤区間が変わると、通勤手当の見直しが必要になります。配偶者が扶養に入る場合には、扶養手当や家族手当などが追加されることもあります。こうした手当の変更は、社内規定に則って月単位で行われるのが通例です。届出の時期によっては適用される支給額の開始時期が遅れる可能性もあるので、従業員には適切に説明しておくことも大事です。
速やかに各種手当を見直し、正しい給与額で支払えるよう対応しましょう。
また、手当は固定的賃金にあたるため、場合によっては月額変更届(随時改定)が必要になることもあります。社会保険料が確定する定時決定の時期以外に結婚された従業員がいる場合は、特に注意しておきましょう。

※月額変更届については、コラム「被保険者報酬月額変更届とは? 8、9月は社会保険料の随時改定を忘れずに!」を参照ください。

効率的にミスなく情報収集できる仕組みで、もっと業務を快適に!

多くの企業では、「結婚届(身上異動届)」や「住所変更届」などの書類が用意されているでしょう。担当者は、従業員の結婚報告を受けるたびに、書類を配布し提出をするよう促すことが通例となっています。
しかし、紙の書類で提出してもらうということは、給与計算システムなどに「従業員の新しい情報を入力する」という手作業が発生することになります。手書きの書類を見ながらでは、入力ミスが発生する不安は拭えません。
2020年には多くの企業が在宅勤務やテレワークに働き方をシフトしており、紙の書類で情報を収集することがだんだんと難しくなってきています。

例えば、奉行Edge労務管理電子化クラウドのような従業員情報をデジタルデータで収集する“仕組み”があれば、情報をミスなく適切に各システムに反映させることができるので、担当者としては安心して業務を進めることができます。従業員はスマートフォンからいつでもどこでも申請することができるため、従業員にとっても利便性が上がります。

奉行Edge労務管理電子化クラウドの結婚手続きフォームでは、入籍日などの婚姻情報だけでなく、婚姻後の氏名や職場で使用する氏名の使用有無についても収集できるようになっています。また、住所変更が生じる際の通勤経路変更の有無のほか、配偶者が被扶養者になる際に必要となる扶養情報(配偶者のマイナンバー等)についても同時に収集することが可能です。奉行Edge労務管理電子化クラウドでは「健康保険被扶養者(異動)届 国民金第3号被保険者関係届」帳票にも対応しているので、転記なしで書類作成し電子申請まで行えます。

さらに、給与奉行クラウドと一緒に使えば、扶養情報をもとに家族手当等を自動算出し、給与明細に反映することも可能になります。情報がシステム間で共有されることで、ミスなく、漏れなく、正しく給与計算を行うことができるのです。 他にも、奉行Edge年末調整申告書クラウド総務人事奉行クラウドなど、連携している他システムと最新の従業員情報を共有できるので、業務時間の削減に大いに貢献できるでしょう。

おわりに

結婚後も仕事を続けたい従業員もいれば、結婚退職を希望する従業員もいます。その他、続ける意思はあっても、パートナーの扶養に入るため雇用条件を見直すことになる従業員もいるでしょう。よく「結婚は、人生の節目」と言われますが、文字通り、多くの人が結婚を機に新しい働き方・生き方を模索することになります。
総務部門は、そうした個人個人の事情に合わせて、適切に対応しサポートしていかなければなりません。
一人総務時代といわれるほどの人材不足の中、本来人事労務業務であるべき“きめ細かな対応”を維持するためにも、負担なく、正確に、業務を遂行できる「最新データが集まる・溜まる・活用できる」仕組みをうまく利用してはいかがでしょうか?

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