メルマガ読者20万人以上!
OBC 360のメルマガ登録は
こちらから!
メルマガ登録 お役立ち資料

月額変更届(被保険者報酬月額変更届)とは?随時改定の要件・書き方・手続き・注意点を解説

このエントリーをはてなブックマークに追加
pic_post112_main

月額変更届(被保険者報酬月額変更届)は、昇給や降給などによって固定的賃金が変動し、その変動月以降継続する3ヵ月間の報酬平均を基に算定した標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合に必要となる手続きです。給与形態や手当の種類によって随時改定の要件に該当するかどうかが異なるため、人事労務担当者は要件を正確に把握しておくことが求められます。提出漏れや判定ミスがあると、社会保険料の差額精算や遡及処理、従業員対応が発生する場合もあるため注意が必要です。本記事では、随時改定の要件や対象外となるケース、届出の書き方、提出時の注意点を解説します。

【この記事でわかること】

  • 月額変更届(被保険者報酬月額変更届)の意味と提出が必要な理由
  • 随時改定の対象になる3つの要件と対象外となるケース
  • 月額変更届の書き方と手続きの流れ
  • 月額変更届を提出しない場合の罰則・リスク
  • 手続き時に押さえておきたい注意点
新規CTA

目次

月額変更届(被保険者報酬月額変更届)とは?

月額変更届(被保険者報酬月額変更届)とは、固定的賃金の変動によって標準報酬月額を見直す際に行う「随時改定」の手続きで使用する書類です。以下のような場合に届出が必要となります。

  • 昇給や降給により、固定的賃金が変動した場合
  • 変動後の標準報酬月額に一定以上の差が生じた場合
  • 定時決定(算定基礎届)を待たずに、実際の給与水準を社会保険料に反映させる必要がある場合

●月額変更届とは、随時改定の際に届け出る書類

月額変更届(被保険者報酬月額変更届)とは、昇給や降給、手当変更などによって固定的賃金が変動し、報酬額が一定以上変わった際に提出する書類です。定時決定(算定基礎届)を待たずに標準報酬月額を見直す「随時改定」に使用され、実際の給与水準を社会保険料に反映させる目的があります。
随時改定は、固定的賃金の変動後に要件を満たした場合に行われます。降給時も届出対象で、固定的賃金が変動した後の3ヵ月について、支払基礎日数がすべて17日以上あることも要件です。改定後の標準報酬月額は、変更後の報酬を最初に受けた月を起算点として4ヵ月目から適用されます。
例えば4月昇給の場合、定時決定では9月から反映されますが、随時改定を行うと7月から新しい標準報酬月額が適用されます。また、6月までの随時改定はその年の8月まで、7月以降の改定は翌年8月まで適用されます。さらに、7~9月に随時改定予定がある場合は、算定基礎届に記載することで定時決定を省略できるケースがあります。

●月額変更届に関連する用語

標準報酬月額とは、健康保険料や厚生年金保険料を計算する際の基準となる金額です。従業員ごとの給与額を一定の等級に区分し、その等級を基に社会保険料を算出します。
健康保険は50等級、厚生年金保険は32等級に区分されており、給与額そのものではなく、該当する等級によって保険料が決まる仕組みです。原則として毎年7月に行う定時決定で見直しが行われます。

算定基礎届は、毎年7月に実施される定時決定の際に提出する書類です。7月1日現在の被保険者および70歳以上被用者を対象として、4月・5月・6月に支払われた報酬を基に標準報酬月額を決定し、その年の9月から翌年8月までの社会保険料に反映します。
一方、月額変更届は、特定の従業員について固定的賃金が変動し、随時改定の要件を満たした場合に提出する書類です。定期的に行う手続きではなく、標準報酬月額に一定以上の差が生じた際に臨時で実施されます。
両者はどちらも標準報酬月額を見直す手続きですが、対象者や実施時期、算定対象となる報酬期間が異なります。月額変更届については、残業代などの非固定的賃金の増減だけでは随時改定の対象とならないため、基本給や各種手当などの固定的賃金に変動があったかを確認する必要があります。

月額変更届(随時改定)が必要となる要件

随時改定は、固定的賃金が変動したからといって、必ず行う手続きではありません。月額変更届の提出は、以下3つの要件をすべて満たす場合に行います。

  • 固定的賃金に変動がある
  • 標準報酬月額に2等級以上の差が生じる
  • 支払基礎日数が一定日数以上ある

残業代などの非固定的賃金のみの増減では随時改定の対象とならないため、固定的賃金の変動に該当するかを確認する必要があります。ここでは、随時改定の対象となる具体的な要件を整理します。

<随時改定を行う条件>
  1. 昇給・降給などによって、基本給や手当といった固定的賃金に変動があった。
  2. 給与が変動した月から3ヵ月間に支払われた給与(残業手当ほか固定的賃金以外の手当も含む)の平均月額に当てはまる標準報酬月額とこれまで使用していた標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
  3. 給与が変動した月から3ヵ月間の全てにおいて支払基礎日数が17日(特定適用事業所で勤務する短時間労働者は11日)以上ある。

出典:日本年金機構 「随時改定(月額変更届)

●固定的賃金に変動があった場合

固定的賃金とは、毎月一定のルールで支給される給与や手当を指します。基本給のほか、通勤手当や家族手当、住宅手当、役付手当、勤務地手当なども含まれます。
固定的賃金が変動するケースとして、以下のような例が挙げられます。

  • 基本給自体が昇給(ベースアップ)・降給(ベースダウン)した場合
  • 給与体系が変更された場合(日給制から月給制への変更など)
  • 日給や時給の基礎単価が変更された場合
  • 請負給や歩合給の単価、歩合率が変更された場合
  • 住宅手当や役付手当などの支給額が変更された場合

また、一時帰休によって、通常の報酬よりも低額の休業手当などが継続した3ヵ月を超えて支払われた場合や、一時帰休終了後に通常の報酬支払いが継続した3ヵ月を超えて行われた場合も、一般的には随時改定の対象となります。

出典:日本年金機構 「随時改定(月額変更届)

一方で、残業代などの非固定的賃金のみが増減した場合は、随時改定の対象外です。基本給が据え置きのまま残業代が増加し、結果として標準報酬月額に2等級以上の差が生じても、固定的賃金に変動がなければ月額変更届は提出しません。

●標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合

固定的賃金に変動があった場合、その後3ヵ月間に支払われた報酬を基に標準報酬月額を算出し、従前の等級と比較します。この際、2等級以上の差が生じた場合に随時改定の対象となります。

例えば、22等級から24等級へ変更となる場合は対象です。一方、22等級から23等級への変更は対象外となります。該当する等級区分については、改定時点の保険料額表で確認します。
さらに、昇給をさかのぼって実施した場合は、昇給差額が支給された月を「固定的賃金が変動した月」として扱います。この場合は、昇給差額分を除いて3ヵ月平均を算出し、従前の標準報酬月額と2等級以上の差が生じた場合に随時改定の対象となります。

●支払基礎日数が17日以上ある場合

随時改定では、固定的賃金が変動した後の3ヵ月すべてについて、支払基礎日数が17日以上あることも要件です。なお、特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、11日以上とされています。

支払基礎日数とは、給与計算の対象となる日数のことです。日給制や時給制の場合は出勤日数、月給制や週給制の場合は暦日数で計算するのが一般的です。3ヵ月のうち1ヵ月でも支払基礎日数が不足した場合、随時改定の対象とはなりません。日数不足の月を除外して平均額を算出するわけではないため、判定時には各月の日数確認が求められます。

●1等級の変更だが、標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更があった場合

標準報酬月額等級表の上限・下限付近で等級変更が生じた場合は、2等級以上の変更がなくても随時改定の対象となります。
標準報酬月額には上下限が設けられているため、最高等級または最低等級に区分されている場合は、報酬が増減しても通常の2等級差が生じないケースがあります。そのため、最高等級または最低等級から1等級分変動した場合に、月額変更届の提出が必要です。一般的な2等級差による判定とは異なる取り扱いとなるため、上限・下限付近では保険料額表を確認しながら判断します。

【厚生年金保険の場合】

ケース 従前の標準報酬月額 報酬の平均月額 改定後の標準報酬月額
昇給の場合 31等級・620千円 665千円以上 32等級・650千円
1等級・88千円で報酬月額83千円未満 93千円以上 2等級・98千円
降給の場合 32等級・650千円で報酬月額665千円以上 635千円未満 31等級・620千円
2等級・98千円 83千円未満 1等級・88千円

【健康保険の場合】

ケース 従前の標準報酬月額 報酬の平均月額 改定後の標準報酬月額
昇給の場合 49等級・1,330千円 1,415千円以上 50等級・1,390千円
1等級・58千円で報酬月額53千円未満 63千円以上 2等級・68千円
降給の場合 50等級・1,390千円で
報酬月額1,415千円以上
1,355千円未満 49等級・1,330千円
2等級・68千円 53千円未満 1等級・58千円

出典:日本年金機構 「随時改定(月額変更届)

新規CTA

月額変更届(随時改定)の提出が不要なケース

月額変更届は、給与額が変動したすべてのケースで提出するわけではありません。例えば、休職給の支給や残業代の増減のみの場合は、随時改定の対象外です。対象外となる代表的なケースには、以下のようなものがあります。

  • 休職による一時的な給与減額
  • 残業代や休日手当など非固定的賃金のみの変動
  • 固定的賃金と非固定的賃金の変動方向が逆となるケース

ここでは、月額変更届の提出が不要となる代表的なケースを整理します。

●休職による休職給を支給している場合

休職時に支給される休職給は、一般的には随時改定の対象となりません。休職給は、会社の就業規則や制度に基づいて一時的に支給されるものであり、基本給などの固定的賃金そのものが変更されるわけではないためです。
例えば、病気休職などによって休職給が支払われた場合でも、固定的賃金の体系自体に変更がなければ、月額変更届は提出しません。
一方で、一時帰休(レイオフ)により、継続して3ヵ月を超えて通常の報酬よりも低い休業手当が支払われた場合は、随時改定の対象となります。また、一時帰休終了後に継続して3ヵ月を超えて通常の給与が支払われるようになった場合も、一般的には随時改定の対象とされています。

●非固定的賃金のみの変更があった場合

残業手当や日直手当、休日勤務手当、能率手当など、支払額が毎月変動する手当は固定的賃金には含まれません。主な非固定的賃金としては、以下のようなものがあります。

  • 残業代
  • 深夜手当
  • 休日手当
  • 出張手当
  • インセンティブ

これらの非固定的賃金のみが増減した場合は、標準報酬月額に2等級以上の差が生じても、随時改定の対象外です。例えば、繁忙期の残業増加によって給与総額が増えた場合でも、基本給や各種手当などの固定的賃金に変動がなければ、月額変更届は提出しません。

●固定的賃金と報酬全体の増減方向が一致しない場合

固定的賃金に変動があっても、固定的賃金の変動方向と、最終的な標準報酬月額の変動方向が一致しない場合は、2等級以上の差が生じても、一般的には随時改定の対象となりません。
例えば、基本給が上がった一方で残業代などの非固定的賃金が大きく減少し、結果として標準報酬月額が下がるケースがあります。反対に、基本給が下がっても残業代が増加したことで、標準報酬月額が上がる場合もあります。
このようなケースでは、2等級以上の差が生じても、一般的には随時改定の対象とはなりません。

新規CTA

月額変更届の書き方

月額変更届には、標準報酬月額や給与支給月、支払基礎日数など、随時改定の判定に必要な情報を記載します。特に、遡及支払額や現物給与の記入漏れは等級判定の誤りに直結するため、各項目の記入内容を確認しながら作成する必要があります。記入時に特に確認が求められる項目として、以下が挙げられます。

  • 支払基礎日数
  • 通貨・現物による報酬額
  • 遡及支払額の有無

ここでは、被保険者報酬月額変更届の各項目の書き方を整理します。

▼本文
<被保険者報酬月額変更届の見本>

出典:日本年金機構PDF「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届

月額変更届に記入する項目は、算定基礎届と共通しています。記入方法については、書き方を解説したホワイトペーパーをご用意していますので、ダウンロードしてマニュアルとしてご活用ください。

以下では、月額変更届の各項目の記載内容を説明します。各小見出しの番号は、図「被保険者報酬月額変更届」の記入欄番号と連動しています。

●①被保険者整理番号

資格取得時に割り当てられた番号を記入します。健康保険証や資格取得届の控えなどで確認できます。

●②被保険者氏名

被保険者である従業員の氏名を記入します。資格取得時と同じ表記で統一します。

●③生年月日

生年月日は和暦で記入します。元号にはコードが定められているため、誤記入に注意が必要です。

●④改定年月

改定後の標準報酬月額を適用する年月を記入します。変動月から起算して4ヵ月目の年月を確認して記載します。

●⑤従前の標準報酬月額

改定前に適用されていた標準報酬月額を記入します。現在適用中の等級と金額を保険料額表などで確認します。

●⑥従前改定月

従前の標準報酬月額が適用された改定年月を記入します。直近の定時決定や随時改定の時期を確認して転記します。

●⑦昇給(降給)

固定的賃金が増額された場合は「昇給」、減額された場合は「降給」として記入します。基本給や各種手当の変更内容と整合しているかも確認します。

●⑧遡及支払額

昇給をさかのぼって適用した場合の差額支給額を記入します。等級判定では、遡及支払額を除いて平均額を算出します。

●⑨給与支給月

報酬を支払った年月を記入します。給与の対象月ではなく、実際に支払った月を記載します。

●⑩給与計算の基礎日数(支払基礎日数)

給与計算の対象となった日数を記入します。日給制・時給制の場合は出勤日数で算出します。月給制・週給制の場合は、一般的には暦日数を基準に算出します。

●⑪通貨によるものの額

基本給や各種手当、残業代など、現金や振り込みで支払われた報酬額を記入します。

●⑫現物によるものの額

食事や住宅など、現物支給した報酬額を記入します。現物給与の算入漏れがないか確認します。

●⑬合計

「通貨によるものの額」と「現物によるものの額」を合算した金額を記入します。各月ごとの報酬総額を記載します。

●⑭総計

対象3ヵ月分の合計額を記入します。各月の「合計」欄との整合を確認しながら集計します。

●⑮平均額

総計を対象月数で割った平均額を記入します。標準報酬月額の判定基準となる金額です。

●⑯修正平均額

遡及支払額がある場合に使用する欄です。差額支給分を除外して平均額を算出し、等級判定を行います。

●⑰個人番号(基礎年金番号)

70歳以上被用者に該当する場合のみ、個人番号または基礎年金番号の記入が必要です。被保険者の個人番号または基礎年金番号を記載内容に誤りがないか確認のうえで記入します。

●⑱備考

二以上事業所勤務など、補足説明が必要な事項がある場合は、備考欄に記入します。

提出の際、添付書類は基本的にありません。ただし、残業が一定期間に集中するなどで3ヵ月平均でなく年間平均で手続きをする場合は、以下の書類が必要となります。

(様式1)

年間報酬の平均で算定する申立書(随時改定用)

(様式2)

健康保険厚生年金保険被保険者報酬月額変更届・保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(随時改定用)

※様式のダウンロードは、日本年金機構「報酬月額関係届書」を参照ください。

また、年間報酬の平均で算定する申立てを行う場合は、所定の申立書類(様式1・様式2)の添付が必要です。
加えて、例年同じ時期に固定的賃金の変動や繁忙による報酬の増減が見込まれるかどうかを確認するため、必要に応じて賃金台帳などの資料提出を求められることがあります。
添付書類の要否や追加資料の提出依頼は事案によって異なるため、最新の届書案内を確認しながら対応しましょう。

月額変更届の手続きの流れ

月額変更届は、固定的賃金の変動後に随時改定の要件を確認し、対象となる場合に作成して提出します。また、提出後は改定後の標準報酬月額がいつから適用されるかを確認し、給与計算に反映する必要があります。具体的な手続きは、以下の流れで進めます。

  • 随時改定の要件確認
  • 月額変更届の作成と提出
  • 標準報酬月額変更後の反映時期

●Step1. 随時改定の要件を確認する

まず、固定的賃金が変動した従業員について、随時改定の要件に該当するかを確認します。固定的賃金が変動した月から3ヵ月間の報酬を確認し、従前の標準報酬月額との間に2等級以上の差があるかをチェックします。また、3ヵ月すべてで支払基礎日数の要件を満たしているかも確認します。

●Step2. 月額変更届を作成する

随時改定の対象となる場合は、被保険者報酬月額変更届を作成します。届出書には、改定年月や従前の標準報酬月額、支払基礎日数などの必要事項を記入します。
遡及昇給がある場合は、遡及支払額の記入漏れに注意が必要です。各項目の記入方法については、「月額変更届の書き方」を確認してください。

●Step3. 書類を提出する

月額変更届は、事業主が速やかに提出することとされています。提出漏れに気づいた場合は、管轄の年金事務所などに連絡したうえで、速やかに提出することが求められます。提出が遅れた場合、従前の標準報酬月額で社会保険料を納付している可能性があるため、保険料の納付状況も確認しておく必要があります。

提出方法には、以下の種類があります。

  • 電子申請
  • 郵送
  • 窓口提出

算定基礎届と同様に、紙の届出書を管轄の年金事務所に郵送または持参する方法に加え、電子申請も可能です。電子申請に対応したシステムを利用しない場合は、電子政府の総合窓口(e-Gov)から申請できます。e-Govを利用した申請方法については、日本年金機構「電子申請(e-Gov)」を参照してください。

●Step4. 標準報酬月額の変更を反映させる

改定後の標準報酬月額は、給与が変動した支給月から4ヵ月目以降に適用されます。社会保険料は、一般的には当月分を翌月支給の給与から控除するため、給与計算上、どの月の給与から新しい保険料額で控除を開始するかを確認しておく必要があります。給与から社会保険料を控除する際は、年金事務所での処理状況にかかわらず、改定後の標準報酬月額に基づいて処理します。このため、手続きが遅れると、給与から控除した保険料額と実際の納付額に差が生じる場合があります。差額精算の事務負担を抑えるためにも、月額変更届は早めに提出する必要があります。

月額変更届を提出しないとどうなる?

月額変更届を提出しないまま放置すると、法令違反による罰則を受けるだけでなく、社会保険料の遡及徴収や従業員対応が発生する場合があります。特に、「次回の定時決定で修正される」と考えて届出を行わないケースや、判定ミスによる未提出には注意が必要です。主なリスクは以下のとおりです。

  • 法令違反による罰則
  • 年金事務所による是正指導や遡及処理
  • 従業員とのトラブル

●法令違反として罰則の対象になる

正当な理由がないまま長期間にわたって月額変更届を提出しなかった場合は、法令違反として扱われる可能性があります。意図的な未提出だけでなく、随時改定の判定ミスによって届出漏れが生じた場合も、是正指導や遡及処理の対象となるリスクが考えられます。
具体的に、健康保険法208条および厚生年金保険法102条では、6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。また、虚偽の内容で届出を行った場合も、同様の罰則の対象とされています。

参照:
e-Gov法令検索「健康保険法 第208条
e-Gov法令検索「厚生年金保険法 第102条

●年金事務所から是正指導・遡及処理を求められる

年金事務所の調査などで月額変更届の未提出が発覚した場合は、是正指導が行われることや遡及処理を求められることがあります。一般的には、最大で過去2年分まで遡って標準報酬月額の修正や社会保険料の再計算が行われます。
社会保険料の不足があった場合は、会社と従業員の双方で追加納付が必要です。一方で、保険料を過払いしていた場合は、翌月以降の給与で還付や精算を行うケースもあります。提出遅延が長期化すると、差額精算や給与修正の事務負担が増える点にも注意が必要です。

●従業員との信頼関係が損なわれる

月額変更届は、毎月の社会保険料や従業員の手取り額に直接関係する手続きです。そのため、届出漏れによって保険料控除額に誤りが生じると、従業員への説明や差額精算への対応が発生する場合があります。
また、標準報酬月額は将来受け取る年金額や傷病手当金などにも影響します。月額変更届の未提出によって従業員に不利益が生じた場合は、労使間のトラブルにつながる可能性があります。

月額変更届の手続きを行う際の注意点

月額変更届の手続きでは、届出書の提出だけでなく、提出タイミングや従業員への決定通知まで含めて対応する必要があります。特に、決定通知の共有漏れや保険料控除開始月の認識違いがあると、給与控除額の誤りや従業員対応の負担につながる場合があります。主な注意点は以下のとおりです。

  • 届出遅延による遡及処理や差額精算
  • 決定通知の共有漏れ
  • 保険料控除開始月の設定ミス

●月額変更届はできるだけ早めに提出する

月額変更届を長期間提出していない場合、法令違反や遡及処理の対象となる可能性があります。また、社会保険料の差額精算や従業員対応が発生し、事務負担が増える場合もあります。
固定的賃金の変動後には要件を確認し、随時改定の要件に該当する従業員がいる場合は、できるだけ早く月額変更届を提出することが求められます。

●決定通知は速やかに従業員へ共有する

事業主が従業員に通知すべき事項は、主に以下のとおりです。

<事業主が従業員に通知すべき事項>
  1. 被保険者の資格取得または喪失
  2. 標準報酬月額の決定または改定
  3. 標準賞与額の決定
  4. 適用事業所以外の事業所が認可を受けて適用事業所となったこと
  5. 上記(4)の適用事業所が認可を受けて適用事業所以外の事業所となったこと
  6. 適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者が認可を受けて厚生年金保険の被保険者となったこと
  7. 上記(6)の被保険者が認可を受けて被保険者の資格を喪失したこと

日本年金機構から届く決定通知については、事業主が被保険者または被保険者であった従業員に通知する義務があります。標準報酬月額の改定内容は、毎月の社会保険料控除額や将来の年金給付額にも関係するため、速やかに通知する必要があります。
正当な理由なく通知を行わなかった場合は、6ヵ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

出典:日本年金機構「被保険者への通知

●新しい保険料額の適用タイミングをあらかじめ確認しておく

随時改定と定時決定では、改定後の標準報酬月額が適用される時期が異なります。そのため、給与計算時には、現在反映すべき保険料額がどちらの改定結果に基づくものかを確認する必要があります。
また、給与締日や支払日の設定によっては、決定通知書の内容と給与計算ソフト上の控除設定に差が生じる場合があります。控除開始月に誤りがないかを確認したうえで処理を進めましょう。

月額変更届も、電子申請対応の給与システムで効率化を!

月額変更届は、随時改定の要件確認から届出書の作成、社会保険料額の反映まで、複数の確認作業が発生する手続きです。特に、固定的賃金の変動有無や、変動月から3ヵ月間の報酬平均額の確認、標準報酬月額の等級判定などを手作業で行う場合は、確認漏れや届出遅延につながる可能性があります。

給与奉行iクラウド」では、月額変更届の作成から電子申請まで一貫して対応可能です。昇給・降給が行われた変動月から3ヵ月間の給与支給データを基に、月額変更届が必要な従業員をピックアップできるため、随時改定の要件確認から届出作成までの作業を効率的に進められます。また、電子申請にも対応しているため、郵送書類の準備や年金事務所等への移動時間を要さずに手続きを進められます。テレワーク環境でも届出業務を行いやすく、社会保険手続きの効率化を検討している企業に活用いただける給与システムです。

新規CTA

 

被保険者報酬月額変更届に関するよくあるご質問

月額変更届とは?

月額変更届とは、固定的賃金の変動によって標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合に提出する届出書です。改定後の標準報酬月額を社会保険料額に反映するために提出します。

随時改定の対象になるケース・ならないケースは?

随時改定の対象となるのは、固定的賃金が変動し、変動後3ヵ月間の報酬平均額と以前の標準報酬月額の間に2等級以上の差が生じた場合です。一方で、残業代などの非固定的賃金のみが変動した場合は、随時改定の対象となりません。

月額変更届の書き方と手続き方法は?

月額変更届には、改定年月や従前の標準報酬月額、支払基礎日数、報酬額などを記入します。随時改定の要件を確認したうえで届出書を作成し、年金事務所などに提出します。

月額変更届の訂正が必要になった場合は?

提出後に訂正が必要な項目が見つかった場合は、速やかに管轄の年金事務所または事務センターに連絡します。そのうえで、訂正した届書を再提出します。報酬額や支払基礎日数などの記載誤りは、標準報酬月額の判定結果に影響する場合もあるため、早めに対応することが求められます。

役員報酬が変更になった場合にも月額変更届の提出が必要?

役員報酬が変更となった場合でも、随時改定の要件を満たす際は、月額変更届の提出が必要です。例えば、株主総会などで役員報酬の改定が決定され、標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合は、一般的には随時改定の対象となります。

関連リンク

こちらの記事もおすすめ

メルマガ読者20万人以上!
OBC 360のメルマガ登録はこちらから!
メルマガ登録

新規CTA