複数の子会社やグループ会社を持つ企業では、法人ごとに会計ソフトや勘定科目、業務フローが異なることで、データ収集や転記、確認作業が増え、決算の遅延や業務の属人化につながりやすくなります。
こうした課題を解決し、複数法人の会計業務を効率化するには、各社の日常会計を標準化し、目的に応じて管理・連結の仕組みを整えることが重要です。本記事では、「勘定奉行iクラウド」を中心に、複数法人の会計基盤を共通化する考え方や、目的別のサービス選定方法、導入事例などについてわかりやすく解説します。
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複数法人の会計業務が複雑になりやすい主な原因として、「法人ごとに会計環境が異なる」「Excelやメールによるデータ収集に時間がかかる」「子会社の経理業務が属人化しやすい」「グループ全体の数字を把握するまで時間がかかる」の4つが挙げられます。
こうした状況が重なると、親会社の経理部門にデータの確認・加工業務が集中します。その結果、月次・連結決算の遅延や、特定の担当者に依存した業務運用につながりやすくなります。ここでは会計業務を複雑にする4つの原因について説明します。
子会社は、設立された時期や業種、M&A前に利用していたシステム、顧問税理士などがそれぞれ異なります。そのため、利用する会計ソフトだけでなく、勘定科目や補助科目、部門コード、会計処理なども法人ごとに異なるケースがあります。
各社から受け取ったデータをそのまま合算できなければ、親会社では勘定科目の組み替え、部門・事業コードの変換、消費税区分の確認、集計フォーマットの修正などが必要です。不明な仕訳があれば、子会社の担当者へ問い合わせなければならないこともあります。
連結財務諸表の作成でも、会計方針の違いには注意が必要です。企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」では、「同一環境下で行われた同一の性質の取引等」について、親会社と子会社が採用する会計方針は原則として統一する必要があるとされています。そのため、法人ごとに処理方法やデータ形式が異なれば、グループ集計や連結処理に入る前の確認・変換作業が増え、決算早期化の妨げになる可能性があります。
出典:企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計基準第22号 連結財務諸表に関する会計基準」
子会社から試算表や月次決算資料をExcelで受け取り、メールで親会社へ提出する運用では、法人が増えるほど管理が複雑になり、さまざまな問題が起こりやすくなります。例えば、「子会社ごとの提出状況を個別に確認する必要が出てくる」「速報版・修正版・確定版など複数のファイルが発生し、最新版のファイルが判別しにくくなる」「親会社の集計フォーマットへコピー・転記する作業が発生する」などが挙げられます。
さらに、各社でExcelの列やデータ形式が違えば、親会社側で形式を修正しなければなりません。数字の詳細がわからなければ、子会社へメールや電話で確認する必要もあります。Excelは分析や資料作成には便利ですが、複数法人から会計データを回収する基幹的な仕組みとして使い続けていると、ファイル管理や転記作業などに時間がかかり、月次・連結決算のボトルネックになりやすい点に注意が必要です。
中小規模の子会社では、専任の経理担当者を配置できず、営業・総務・店舗運営などの担当者が経理を兼務しているケースもあります。特定の担当者だけが会計処理やシステム操作を把握している場合、その担当者の繁忙や休職、退職などによって月次業務が停滞するおそれがあります。
また、親会社から子会社の会計システムへアクセスできない環境では、「どこまで処理が終わっているのか」を親会社側で把握できません。必要に応じて親会社が代わりに入力するといった支援も難しくなります。金融庁が公表している「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」では、職務の分掌を明確化し、権限や職責を担当者に適切に分担させることが示されています。特定の担当者だけに業務を依存せず、複数人が状況を把握できる環境を整えることは、業務継続と内部統制の両面で重要です。
出典:金融庁 PDF「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」
子会社の会計データを回収した後に、変換・照合・修正作業に時間がかかっていると、親会社がグループ全体の業績を把握するタイミングも遅くなります。また、経営会議で確認できる数字が数週間前のものであれば、資金配分や追加投資、人員配置、事業の見直しなどの意思決定にも影響します。
情報処理推進機構(IPA)のDX推進指標では、DXの成果を確認する定量指標の例として、「データの鮮度や決算処理スピード」が挙げられています。会計システムやデータが法人ごとに分断されている状態は意思決定のスピードと質を低下させます。グループの数字を早く確認できる仕組みに変えることは、経理業務の効率化だけでなく、経営判断の迅速化にもつながります。
出典:情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標のご案内」
複数法人の会計業務を効率化するには、まず「何を行いたいか」「何を改善したいか」といった目的を明確化し、整理することが重要です。例えば、各法人の会計基盤を標準化して効率化したい企業と、本部による子会社支援やグループ横断分析まで行いたい企業とでは、必要となるシステムの仕組みが異なります。
複数法人を管理する企業の場合、主な目的・ニーズとして次の5つが挙げられます。自社がどこに課題を抱えているかを明確にすることで、必要なシステムや機能を判断しやすくなります。
1つ目は、各法人の日常的な会計業務そのものを効率化・標準化したいケースです。
例えば、法人ごとに仕訳入力やチェック、帳票作成に手間がかかっている場合は、まず各法人の月次業務を見直す必要があります。また、グループ各社で異なる会計ソフトや操作方法を利用していると、親会社から子会社へ業務を引き継いだり、担当者を変更したりする際にも負担が生じます。
そのため、各法人で共通の会計環境を整え、仕訳入力や確認作業を効率化するとともに、操作方法や基本的な業務フローを揃えることが重要です。各法人の月次決算を早期化できれば、グループ全体の業績を把握するタイミングの早期化にもつながります。
2つ目は、国内法人だけでなく、海外現地法人の会計も共通の基盤で管理したいケースです。
海外法人では、利用する言語や通貨が異なります。現地から送られてくるExcelや会計資料を本社側で翻訳・換算していると、確認作業に時間がかかり、海外拠点の業績把握も遅くなりがちです。多言語・多通貨に対応することはもちろん、日本本社から海外現地法人の会計情報をタイムリーに確認・共有できる環境を整えておくことも求められます。
3つ目は、グループ各社のシステムを共通化し、本部から子会社の経理業務を支援・代行したいケースです。
特に中小規模の子会社では、専任の経理担当者を確保できないことがあります。その場合、子会社側だけで経理業務を完結させるのではなく、本部側から入力状況を確認したり、必要に応じて親会社が処理を代行したりできる仕組みが有効です。
また、法人が増えるほど、利用者やアクセス権限、システム環境の管理も複雑になります。本部から複数法人の状況を把握し、担当法人や権限をまとめて管理できることも重要な要件です。
4つ目は、各法人の数字を個別に確認するだけでなく、グループ全体を一つの経営単位として分析したいケースです。
グループ経営では、各法人の売上や利益を単純に確認するだけでなく、共通の部門・事業・管理項目などを軸に横断的に比較することで、グループ全体の経営状況を把握しやすくなります。
また、経営管理を目的として各社のデータを合算・調整する「管理連結」が必要になる企業もあります。その場合は、複数法人のデータを集約し、共通の分析軸で利用できる仕組みが必要です。
5つ目は、各社の会計システムをすぐには統一できないものの、連結会計に必要なデータ収集や内部取引の照合を効率化したいケースです。
M&A直後のグループでは、買収先が従来利用していた会計システムをそのまま使い続けることも珍しくありません。また、海外法人を含む場合は、国内外で複数の会計システムが混在するケースもあります。こうした企業では、システムの完全統一を急ぐよりも、まず各システムから連結会計に必要なデータを収集し、内部取引の照合や差異確認といった負担の大きい作業を効率化することが有効です。
複数法人の会計業務を効率化する際は、目的に応じて利用するサービスを選ぶことが重要です。OBCでは、前述した目的に応じた各サービスを提供しています。主な目的と対応するサービスを整理すると、以下のとおりです。
なお、複数法人の統合管理において、「安価な小規模向けクラウドでは機能が足りないが、大企業向けの導入費用が非常に高額なERPシステムはオーバースペックである」という壁に突き当たる企業は少なくありません。OBCの各サービスは、必要な機能やモデルを柔軟に組み合わせてスモールスタートできるため、コストを抑えながらグループ基盤を段階的に拡張したい中小・中堅企業にとって最適な選択肢となります。
| 目的・ニーズ | 対応するOBCの サービス |
主な役割 | おすすめの 企業規模・フェーズ |
|---|---|---|---|
| 各法人の日常会計を効率化・標準化したい | 勘定奉行iクラウド | 各法人の日常会計、個別帳簿・試算表の作成、管理会計、連結会計システムへのデータ連携 | 単体導入したい企業、グループ標準の会計基盤づくりをしたい企業 |
| 海外法人の会計も共通基盤で管理したい | 勘定奉行クラウドGlobal Edition | 海外法人の会計管理、多言語・多通貨対応 | 海外拠点・現地法人を持つグローバル展開企業 |
| 複数法人のシステムを共通化し、本部から子会社を支援したい | 奉行iクラウド Group Shared Model | 各社の会計基盤を共通化し、本部からリアルタイムに参照・入力・支援 | 子会社が数社~数十社ある企業、子会社経理を一括支援したい親会社 |
| グループ横断分析や管理連結まで行いたい | 奉行V ERPクラウド Group Management Model | 共通分析軸による横断分析、データ合算、管理連結、連結精算表 | 中堅・大手グループ、高度な管理連結やグループ経営分析を行いたい企業 |
| 異なる会計システムを残しつつ、連結会計の収集・照合を効率化したい | 奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド | 国内外・他社システムを含むデータ収集・合算、内部取引のAI照合、相殺仕訳の起票支援 | M&A直後などで国内外で会計システムが混在するグループ、内部取引の照合を効率化したい企業 |
各法人の日常会計を効率化・標準化したい場合は、「勘定奉行iクラウド」がおすすめです。自動仕訳、仕訳のチェック・承認、帳票作成、管理会計などを利用でき、各法人の月次業務の効率化に役立ちます。
海外現地法人まで共通基盤で管理する場合は、「勘定奉行クラウドGlobal Edition」が適しています。国内版と同一基盤で利用でき、多言語・多通貨や為替換算に対応するほか、日本本社から海外現地法人の会計情報をリアルタイムで確認できます。
本部から子会社の経理業務を支援・代行したい場合には、「奉行iクラウド Group Shared Model」が向いています。複数法人のシステムを共通化し、本部から各社のデータを参照・入力できるほか、担当法人やアクセス権限なども管理できます。
グループ横断分析や管理連結まで行いたい場合には、「奉行V ERPクラウド Group Management Model」を検討するとよいでしょう。グループ各社のデータ合算や共通分析軸による比較、管理連結などに対応しています。
また、M&A直後などで異なる会計システムを残しつつ、連結会計の収集・照合を効率化したい場合は、「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」の利用がおすすめです。AIによる内部取引の照合などを通じて、連結会計の収集から照合までを支援するサービスです。
なお、ここで紹介するサービスだけで制度連結のすべてを完結するわけではありません。連結財務諸表の作成までシステム上で完結したい場合は、専用の連結会計システムと併用しましょう。
各法人の日常会計を効率化し、グループ内の会計業務を標準化したい場合は、「勘定奉行iクラウド」が選択肢となります。
取引データからの自動仕訳、仕訳のチェック・承認、元帳・試算表などの会計帳票作成、管理会計など、日常の会計業務から月次・決算まで幅広く対応しています。帳票上の数字から元帳や仕訳伝票までさかのぼって確認できるため、入力・チェックや数字の根拠を調べる作業の効率化にもつながります。
グループ各社で同じサービスを利用すれば、操作方法や帳票形式、基本的な処理手順も揃えやすくなります。子会社ごとに異なる会計システムを使う場合と比べて、親会社が各社の業務を把握・支援しやすくなり、業務マニュアルや教育方法の共通化、担当者変更時の引き継ぎ負担の軽減も期待できます。各子会社の月次業務が早く正確に完了すれば、親会社がグループ全体の数値を確認できるタイミングの早期化にもつながります。
また、会計以外の業務についても、固定資産管理の「固定資産奉行iクラウド」、債権管理の「債権奉行iクラウド」、債務・支払管理の「債務奉行iクラウド」など、法人ごとの業務範囲に応じて必要なサービスを組み合わせられます。すべての法人へ一度に同じ機能を導入するのではなく、まず日常会計を共通化し、必要な法人から対象業務を広げることも可能です。
さらに、CSVファイルによるデータ連携や各種サービスとのAPI連携にも対応しているため、販売管理などの既存システムを残しながら、必要な会計データを「勘定奉行iクラウド」へ取り込めます。既存システムから売上・入金・経費などを連携することで、二重入力を減らしながら、会計基盤を段階的に共通化できます。なお、CSVの自動連携など一部の機能は、契約内容によって追加サービスや料金が必要になる場合があります。
海外子会社まで含めて会計基盤を共通化したい場合は、「勘定奉行クラウドGlobal Edition」が選択肢となります。
「勘定奉行クラウドGlobal Edition」は、国内の「勘定奉行クラウド」と同一基盤で運用できる海外現地法人向けの会計サービスです。日本本社から海外現地法人の会計情報をリアルタイムで確認できるため、国内外の会計情報を共通基盤上で管理しやすくなります。
海外法人の会計で必要となる多言語・多通貨にも対応しています。日本語と英語の切り替えに加えて、摘要などの自動翻訳機能を備えているため、現地担当者と日本本社の双方が内容を確認しやすくなります。多通貨管理では、日々の取引情報を取引通貨から機能通貨へ換算できるほか、現地通貨や連結通貨で各種管理資料を確認できます。日本本社側で別途Excelなどを使って換算・集計する作業の削減につながります。
また、海外現地法人で必要となるVAT・GSTなどの付加価値税に対応した国別標準マスタや、インボイス単位での債権・債務管理にも対応しています。海外現地法人のデータを1ドメインで統合管理できるため、海外拠点の業績把握だけでなく、グループ全体のガバナンス強化にも活用できます。
海外法人ごとに独立した会計システムを管理するのではなく、国内外を共通の基盤で管理したい企業に適したサービスといえるでしょう。
複数法人で会計基盤を共通化し、本部から子会社の業務まで支援したい場合は、「奉行iクラウド Group Shared Model」が選択肢となります。「勘定奉行iクラウド」を各法人に個別導入するだけでも各社の日常会計は効率化できますが、本部側から複数法人のデータや利用状況を一括して管理したい場合には、複数法人向けの管理機能が必要です。
「奉行iクラウド Group Shared Model」は、グループの複数企業でシステムを共通化し、各社の業務環境を標準化するためのモデルです。本部から各社の業務を支援・代行できる環境も構築できます。
例えば、子会社の経理担当者に急な欠員が生じた場合でも、本部が同じシステム上で状況を確認して業務を支援できます。中小規模の子会社で経理人材の採用・育成が難しい場合には、子会社の人員状況に応じて、一部の経理業務を親会社側で引き受けるといった柔軟な役割分担も可能になります。
また、「グループ管理コンソール」を利用することで、グループ各社のデータを一括管理し、本部からリアルタイムに参照・入力できます。本部スタッフごとに担当法人を割り当てたり、データの入力・参照といった権限を設定したりすることも可能です。ライセンス状況も一覧で確認できます。
そのため、「グループ各社で同じシステムを使いたい」だけでなく、「親会社が各社の経理を直接支援したい」「複数法人のシステム運用管理まで一元化したい」という企業に向いています。
グループ全体のデータ合算や横断分析、管理連結まで行いたい企業では、「奉行V ERPクラウド Group Management Model」が選択肢となります。グループ各社のデータを合算するだけでなく、共通の分析軸でグループ全体を横断的に比較・分析できます。法人ごとの数字を個別に見るのではなく、グループ全体の経営状況を把握し、意思決定に活用したい企業に適しています。
会計面では、各社の情報を収集し、管理会計上の連結処理を行う「管理連結」に対応しています。個別単純合算、連携仕訳、合算データ、連結精算表などの機能を利用できます。また、グループ全体で利用するサービスや利用者、データ、権限などを一元管理できます。法人数、ユーザー数、データ量などのライセンスリソースをグループ内で配分・再配分できるため、新会社の設立や組織再編などにも対応しやすい仕組みです。
「奉行iクラウド Group Shared Model」と「奉行V ERPクラウド Group Management Model」のどちらが適しているかは、企業がどこまでの管理を求めるかによって異なります。
各社のシステムを共通化し、本部が日常業務を支援・代行することが主目的であれば「奉行iクラウド Group Shared Model」のほうが適しています。一方、グループ全体のデータを共通の軸で分析し、管理連結まで行いたい場合は「奉行V ERPクラウド Group Management Model」を検討するとよいでしょう。
なお、両者は必ずしも段階的に導入するサービスではありません。将来的な移行順序ではなく、自社が必要とする管理範囲に応じて選択することがポイントです。
連結会計における子会社データの収集や内部取引の照合を効率化したい場合は、「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」が選択肢となります。
連結会計では、各社からデータを集めた後にも、グループ会社間の内部取引の残高確認や明細照合、差異の原因調査といった作業が発生します。「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」は、こうしたデータ収集から照合までの工程を支援するサービスです。
AIがグループ会社間の内部取引を明細単位で照合するため、膨大な伝票から差異の原因を探す負担を軽減できます。差異の確認や相殺仕訳の起票を支援するほか、実行結果をレポートとして確認できるため、担当者の経験に依存しやすかった収集・照合作業の標準化にもつながります。
また、「勘定奉行iクラウド」などOBCの会計システムだけを対象とするわけではありません。他社の会計システムを利用している企業や海外法人についても、CSVやExcel形式のデータを取り込んで収集・合算できます。そのため、M&A直後で子会社が従来の会計ソフトを利用している場合や、国内外で複数の会計システムが混在している場合にも活用できます。
ただし、「異なる会計ソフトを残せること」は、このサービスの主目的ではありません。あくまで、さまざまな会計システムからデータを収集できる柔軟性を備えつつ、連結会計における収集・照合というボトルネックを効率化するサービスと捉えるとよいでしょう。
また、「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」は主に収集から照合までを支援するサービスであり、連結キャッシュ・フロー計算書の作成機能はありません。制度連結をシステム上で完結させたい場合は、専用の連結会計システムとの併用が推奨されています。
【主な導入成果】
複数法人の会計基盤を共通化し、業績把握の早期化につなげた事例として、佐渡汽船株式会社のケースを紹介します。
みちのりグループの一員である佐渡汽船グループは、佐渡汽船と連結子会社7社で構成されています。導入前は子会社ごとに異なる会計ソフトを利用しており、会計情報を親会社が直接取得できる環境も整っていませんでした。そのため、連結資料の作成や監査対応では、詳細を電話やメールで確認する必要がありました。また、子会社ごとに勘定科目や仕訳・記帳方法も異なっていたため、連結決算時には勘定科目の組み替えや連結修正仕訳など、多くの修正作業が発生していました。こうした作業の影響もあり、グループ全体の業績把握には約1か月かかっていました。
そこで同社は、「勘定奉行iクラウド」を含む「奉行iクラウド Group Shared Model」を導入し、親会社と子会社が同じ会計基盤を利用する環境を整えました。
これにより、親会社から一度のログインですべての子会社の会計情報を確認できるようにするとともに、勘定科目や仕訳ルールも共通化。子会社ごとに必要な情報については補助科目で管理する運用に変更し、連結決算時の修正作業を減らしています。また、すべての業務を一度に統合するのではなく、まず会計業務から始め、固定資産管理や債務管理などについては各子会社の状況に応じて段階的に対象範囲を広げました。加えて、現場業務で忙しい子会社の経理を、親会社側で支援できる体制も構築しています。
その結果、以前は約1か月かかっていたグループ全体の業績把握を約15日まで短縮しました。システム基盤や勘定科目、業務ルールを共通化したことで、決算早期化だけでなく、子会社間で業務のやり方を横展開しやすくなる効果も生まれています。
この事例からも、複数法人の会計業務を効率化するには、単に同じ会計ソフトを導入するだけではなく、システム、勘定科目、業務ルール、本部と子会社の役割分担まであわせて見直すことが重要だということがわかります。
参考:導入事例『子会社経理担当者の人手不足で表面化した人材面の課題 経理部門統合を目指した先に見えてきた「グループ一体経営」』
複数法人・グループ会社の会計業務を効率化するには、まず自社が「何を改善したいのか」を整理することが重要です。
各法人の日常会計の効率化・標準化が目的であれば「勘定奉行iクラウド」、海外法人まで共通基盤で管理する場合は「勘定奉行クラウドGlobal Edition」が選択肢となります。
さらに、本部から子会社の業務を支援・代行したい場合は「奉行iクラウド Group Shared Model」、グループ横断分析や管理連結まで行いたい場合は「奉行V ERPクラウド Group Management Model」、異なる会計システムからのデータ収集や内部取引の照合を効率化したい場合は「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」を検討できます。
大切なのは、すべての機能を一度に導入することではなく、自社の課題と必要な管理範囲に合った仕組みを選ぶことです。
複数法人の日常会計を共通化するところから始める場合は「勘定奉行iクラウド」、さらに本部から各社を一元管理・支援する必要がある場合は「奉行iクラウド Group Shared Model」や「奉行V ERPクラウド Group Management Model」などを活用することで、グループ全体の会計業務の標準化や業績把握の早期化につなげられるでしょう。
「勘定奉行iクラウド」は、複数法人の管理に向いているサービスの一つです。特に各法人の日常会計を効率化し、グループ内で会計業務を標準化したい企業に向いています。理由は、自動仕訳、仕訳のチェック・承認、帳票作成、管理会計などを利用でき、グループ各社で同じサービスを使うことで操作方法や基本的な業務フローを揃えやすいためです。一方、本部から複数法人のデータをまとめて参照・入力し、子会社の経理業務まで支援・代行したい場合は、「奉行iクラウド Group Shared Model」の利用を検討するとよいでしょう。
「勘定奉行iクラウド」は、同一法人内の店舗・事業所であれば、部門・補助科目・取引先などを利用し、拠点別の数字を集計・分析できます。一方、店舗や事業所がそれぞれ別法人になっている場合には、法人ごとの会計環境が必要です。複数法人のデータを本部から一元管理するのであれば、「奉行iクラウド Group Shared Model」など複数法人向けモデルの利用を検討するとよいでしょう。
必ずしも、すべての子会社の会計ソフトを同時に変更する必要はありません。
M&A直後の子会社や海外法人など、既存システムをすぐに変更できない場合、連結会計のデータ収集や内部取引の照合を効率化する目的で「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」を活用できます。
なお、グループ全体の日常会計を標準化することが目的であれば、「勘定奉行iクラウド」などへ会計基盤を共通化する方法が適しています。
同モデル単体では「管理連結」まで対応可能ですが、「制度連結」までをシステム単体で完結できるわけではありません。グループ各社のデータ合算や共通分析軸による横断分析、管理会計上の連結処理(管理連結)には対応していますが、有価証券報告書等に必要な「制度連結(連結財務諸表や連結CFの作成)」を完了させるには、専用の連結会計システムとの併用をおすすめします。
なお、その前工程となる子会社データの収集や内部取引の照合については、「奉行AIエージェント 連結会計支援クラウド」を活用できます。
Excelを分析や報告資料の作成に利用すること自体には問題ありません。ただし、子会社からの会計データ収集、最新版の管理、転記・再集計までExcel中心で行っている場合は、見直しを検討するとよいでしょう。というのも、法人が増えるほど、ファイルの提出確認、最新版の判別、コピー・転記、フォーマット修正などの作業が増えてしまい、月次・連結決算の遅延や作業ミスにつながりやすいためです。
グループ全体で会計データを共有・分析する必要性が高まっている場合には、「奉行V ERPクラウド Group Management Model」など、クラウド上で各社のデータを集約し、横断的に確認できる仕組みへの移行を検討するとよいでしょう。
従来の業務を実現しつつ、自動化で生産性が上がる
勘定奉行の機能・操作性を踏襲した英語対応 海外現地法人で使えるクラウド会計システム
グループの複数企業のシステムを共通化できる業務クラウド
SaaSの統一プラットフォームでグループ全社のDX化を推進し、経営力を強化
連結会計業務の手順をAIエージェントが徹底サポート