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【2026年版】社会保険料控除とは?年末調整の対象と控除額の計算方法、注意点を解説!|社会保険・労働保険|OBC360°|人事労務システムの総務人事奉行クラウド|人材・人事管理・総務システムのOBC

作成者: 人事給与|2026年10月23日

社会保険料控除とは、本人や生計を一にする配偶者・親族の社会保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。年末調整では、対象となる保険料の種類や控除額の計算方法、必要書類を確認したうえで手続きを進める必要があります。また、2026年度は健康保険料率や介護保険料率の改定に加え、子ども・子育て支援金制度への対応も必要です。本記事では、社会保険料控除の対象となる保険料や申告方法、2026年度の料率改定と子ども・子育て支援金への対応について解説します。

この記事でわかること
  • 社会保険料控除の仕組みや、年末調整の対象となる保険料の範囲
  • 年末調整で社会保険料控除を処理する際の手続きや、必要書類・申告書の書き方
  • 前納した保険料や後期高齢者医療制度の保険料など、ケース別の取り扱いと注意点
  • 年末調整のデジタル化によって業務効率を改善する方法

目次

社会保険料控除とは?

社会保険料控除とは、毎年1月1日〜12月31日までに納付された社会保険料に対して受けられる所得控除のことをいいます。社会保険には、年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険があり、この中には、労働者自身が全額、または企業と折半という形で保険料を支払うものもあります。労働者にとっては所得税や住民税の負担が大きくなることもあるため、支払った社会保険料の全額を控除して税負担を減らすことを目的としています。

厚生年金保険料や健康保険料などが給与から天引きされている会社員にとっては、社会保険料控除は年末調整や確定申告の際に適切に申告・手続きを行うことで税負担が軽減される仕組みです。日々の給与計算が反映されるこの控除について、企業の経理・人事労務担当者は、従業員の負担軽減につながる制度であることを正しく理解しておく必要があります。

社会保険料控除の対象者

控除の対象となるのは、従業員自身の社会保険料のほか、従業員が支払った、生計を一にする配偶者や親族などの社会保険料も含まれます。そのため、たとえば親の国民健康保険料、配偶者や20歳を超えた子供の国民年金なども、従業員自身が支払ったことが明確であれば控除ができます。人事労務担当者は、こうした家族分の保険料が申告に含まれるケースがある点を押さえておく必要があります。

「生計を一にする」という判断基準については、同居している家族の場合は、生活費や日常の支出を共有していることが要件です。また、別居であっても、継続的に学費・療養費・生活費などを送金しているようなケースであれば該当します。
つまり、生活に必要な費用を実質的に分担している関係があれば、控除の適用対象と見なされると考えてよいでしょう。

社会保険料控除の対象となる保険料

社会保険料控除の対象となる保険料は、健康保険料や国民年金保険料、厚生年金保険料など、全部で14種類にのぼります。控除額に上限は設けられておらず、過去分や前納分の保険料であっても12月31日までに納付済みであれば控除の対象です。一方で、未納分は控除対象に含まれないため、注意が必要です。

年末調整でできる社会保険料控除の対象となる保険料等は、次の通りです。

  1. 健康保険、国⺠年⾦、厚⽣年⾦保険および船員保険の保険料で被保険者として負担するもの
  2. 国⺠健康保険の保険料または国⺠健康保険税
  3. ⾼齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
  4. 介護保険法の規定による介護保険料
  5. 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
  6. 国⺠年⾦基⾦の加⼊員として負担する掛⾦
  7. 独⽴⾏政法⼈農業者年⾦基⾦法の規定により被保険者として負担する農業者年⾦の保険料
  8. 存続厚⽣年⾦基⾦の加⼊員として負担する掛⾦
  9. 国家公務員共済組合法、地⽅公務員等共済組合法、私⽴学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛⾦または納⾦等
  10. 労働者災害補償保険の特別加⼊者の規定により負担する保険料
  11. 地⽅公共団体の職員が条例の規定によって組織する互助会の行う職員の相互扶助に関する制度で、⼀定の要件を備えているものとして所轄税務署⻑の承認を受けた制度に基づきその職員が負担する掛⾦
  12. 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の公庫等の復帰希望職員に関する経過措置の規定による掛⾦
  13. 健康保険法附則または船員保険法附則の規定により被保険者が承認法⼈等に⽀払う負担⾦
  14. 租税条約の規定により、当該租税条約の相⼿国の社会保障制度に対して⽀払われるもののうち⼀定額

※ 日本の社会保障制度に対して⽀払われる当該租税条約に規定する強制保険料と同様の⽅法、ならびに類似の条件、および制限に従って取り扱うこととされているものに限る

出典:国税庁「社会保険料控除」より

なお、社会保険料控除には金額の上限や納付期限の指定がなく、該当年以外の保険料を前納した分や過去の未納分も、12月31日までに納付した保険料であればすべて今年の控除対象となります。反対に、該当年の社会保険料であっても、未納であれば控除の対象外となるため注意が必要です。確定申告でも社会保険料控除の適用を受けられますが、会社員の場合は年末調整での手続きが一般的です。

【2026年度改定】社会保険料率改定に伴う社会保険料控除の変更点

2026年度は、健康保険料率や介護保険料率の改定に加え、子ども・子育て支援金制度の開始により、給与から控除する社会保険料の計算に変更が生じます。給与計算では、新しい料率を反映する時期と支援金の控除開始時期を確認する必要があります。ここでは、2026年度の変更内容と給与計算への反映時期を整理します。

●改定の概要

2026年3月分の保険料から、協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率が改定されます。
健康保険料率は都道府県支部ごとに異なり、支部ごとの改定幅も異なります。また、全国一律の介護保険料率は1.62%です。
給与計算を行う際は、自社が加入する都道府県支部の健康保険料率や、改定後の介護保険料率を確認します。

●保険料控除のタイミングの注意点

新料率を給与計算に反映する時期は、事業所が社会保険料を当月に控除しているか、翌月に控除しているかによって異なります。翌月控除の事業所では2026年4月支給分の給与から、当月控除の事業所では2026年3月支給分の給与から新料率を適用します。
自社の給与計算ルールを確認し、変更後の料率を反映する支給月を特定します。

●子ども・子育て支援金との関係

2026年4月に、子ども・子育て支援金制度が開始されました。協会けんぽでは、2026年4月分から支援金率0.23%が加わり、従業員の本人負担分である半分(0.115%)は健康保険料などと同様に給与から控除されます。
子ども・子育て支援金は、2026年3月分に改定された健康保険料・介護保険料よりも1か月遅れて始まっています。給与計算では、各料率の対象月と、自社の控除方法に応じた給与への反映時期を分けて確認します。

年末調整で社会保険料控除を申告する際の確認事項

社会保険料控除の手続きでは、申告に必要な書類や控除額の計算方法、申告書の記入方法を確認します。従業員本人の社会保険料は企業側で把握している一方、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を従業員が負担した場合は、申告書や社会保険料控除証明書を基に照合する必要があります。

●申告に必要な書類

年末調整の手続きでは、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入し、該当する「社会保険料控除証明書」を添えて提出してもらいます。
なお、転職者については特別な配慮が必要です。
年度の中途で雇用した従業員については、「給与所得者の保険料控除申告書」に離職期間中に納付した保険料を記入し、控除証明書と以前の勤務先が発行した源泉徴収票を添付のうえ、提出してもらいます。

出典:国税庁 PDF「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」

出典:国税庁 PDF「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」

出典:日本年金機構 PDF「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について」

●社会保険料の控除額の計算方法

社会保険料控除の額は、その年中に実際に支払った社会保険料や、給与から差し引かれた社会保険料の合計額です。控除額に上限はなく、対象となる社会保険料の全額を所得から差し引きます。
社会保険料控除は、給与収入から直接差し引くものではありません。給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を算出し、そこから社会保険料控除などの所得控除を差し引いて課税所得を求めます。

●社会保険料控除の申告書の記入方法

社会保険料控除の申告書には、加入している社会保険や公的年金などの保険料に関する情報を記入する欄があります。ただし、給与から天引きしている従業員本人分の社会保険料については企業側で把握しているため、従業員に記入を求めることは基本的にありません。
一方、従業員が自分で支払った家族分の国民年金保険料などについては、支払先として日本年金機構などの具体的な名称を記入してもらう必要があります。証明書類として日本年金機構などから送付される社会保険料控除証明書を回収し、従業員の手元にある証憑と申告内容が一致しているかを確認したうえで年末調整に正確に反映させましょう。
以下では、申告書の具体的な書き方を紹介します。

  1. ① 社会保険の種類
    給与天引きされている自身の社会保険料以外で、従業員本人が⽀払っている社会保険の種類を記入します。
  2. ② ⽀払先の具体的な名称
    社会保険料を⽀払った機関・法⼈名を記入します。
  3. ③ 保険料を負担することになっている人(氏名)
    「保険料を負担することになっている人」として、ここには社会保険の対象者の名前を記入します。
  4. ④ 本年中に⽀払った保険料の金額
    控除証明書等に記載されている、1年間に支払った保険料の合計額を記入します。
  5. ⑤ 合計(控除額)
    本年中に支払った社会保険料の合計金額を記入します。

年末調整の社会保険料控除で注意したいポイント

年末調整の社会保険料控除では、保険料の支払時期や支払者によって、控除できる年や控除を受ける人が異なります。ここでは、次の3つのケースについて、年末調整での取り扱いを整理します。

  • 保険料を前納した場合の控除時期
  • 後期高齢者医療制度の保険料を支払った場合の判定
  • 被扶養者本人が支払った保険料の扱い

●保険料を前納した場合

12月までに翌年分の国民年金保険料を支払った場合、支払った年の社会保険料控除の対象となります。このことは国税庁の規定で定められているため、年末調整では支払った年に控除できる点を担当者として把握しておきます。
なお、会社員の場合は本人が厚生年金に加入しているため、国民年金を支払うケースとしては、配偶者や親族などの国民年金保険料を本人が負担している場合が考えられます。
また、国民年金保険料の前納は最大2年分まで可能で、「2年前納」制度として知られています。「2年前納」制度では、2年分の保険料を前払いすることで、毎月納付する場合よりも割引される仕組みになっています。この制度を利用して一括納付した場合も、支払った全額を支払った年の社会保険料控除の対象とすることが可能です。なお、支払った年に全額を控除するか、各年分に分けて控除するかは選択できますが、収入が多い年に全額を控除することで税負担を軽減できるメリットがあります。
いずれの前納方法を選んだ場合でも、年末調整で社会保険料控除の適用を受けるには、従業員が支払った国民年金保険料やその他の掛金に対する社会保険料控除証明書を日本年金機構などから受け取り、「給与所得者の保険料控除申告書」に添付して提出してもらう必要があります。
免除・納付猶予などを受けた期間の保険料を追納した場合も、支払った年の社会保険料控除の対象となります。納付額が増えることで将来の年金受給額も増える点を、従業員に案内します。

●後期高齢者医療制度の保険料を支払った場合

本人(申告者)が生計を一にする家族の後期高齢者医療保険料を実質的に負担して支払った場合、その支払い分も社会保険料控除の対象になります。
ただし、家族本人の年金から後期高齢者医療保険料が特別徴収されている場合は、その家族本人が支払ったものと見なされるため、申告者が控除を受けることはできません。支払方法によって控除の取り扱いが変わるため、注意が必要です。
なお、口座振替で支払った場合は、口座名義人が被保険者本人か、もしくは被保険者と生計を一にする配偶者や親族であれば、その口座名義人に対して社会保険料控除が適用されます。納付書払いの場合は、自治体によってはクレジットカードやスマートフォン決済アプリでの納付も可能ですが、この場合も、カードやアプリの名義人が社会保険料控除の対象となります。

●被扶養者が支払った保険料の場合

被扶養者が自分で支払ったと見なされる社会保険料(例:後期高齢者医療保険料が本人の年金から特別徴収されているケースなど)は、扶養している申告者の社会保険料控除の対象にはなりません。これは、実際に支払いをした人に控除が適用されるという、社会保険料控除の基本的な考え方に基づいています。

年末調整のデジタル化で業務効率を改善する

年に一度しかない年末調整は、従業員が手続きや必要書類の作成に慣れていないことから、不備や記入ミスが発生しやすく、担当者にとっても手間がかかるものです。そこで、負担を軽減するために、年末調整業務をデジタル化して自動化・省力化することをおすすめします。

年末調整をデジタル化することで、申告書の配付や回収、給与システムへの入力業務までの一連の流れを効率化できます。特に、申告書のデータ入力まで自動化すれば、従来に比べて業務時間を8割も削減することが可能です。

特に注目すべきは、奉行Edge 年末調整申告書クラウドのようなマイナポータル連携に対応しているサービスです。従業員側でマイナポータル連携の手続きをしていれば、企業は社会保険料控除証明書類などの提出なしに控除内容を把握することができ、証明書などの電子データについても一括で取り込むことができます。

こうしたクラウドサービスを導入することで、年末調整業務の効率化と正確性向上を同時に実現できるでしょう。

おわりに

社会保険料控除は、従業員本人が負担した社会保険料だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料も対象となる場合があります。年末調整では、対象となる保険料や必要書類、控除額の計算方法を確認し、申告内容を正しく反映することが求められます。
また、2026年度は健康保険料率や介護保険料率の改定に加え、子ども・子育て支援金制度への対応も必要です。人事労務担当者は、自社の社会保険料の控除方法に応じて、改定後の料率や支援金分を給与に反映する時期を確認します。
年末調整では、制度改定への対応だけでなく、従業員から提出された申告書や証明書類の確認も欠かせません。対象となる保険料や支払者、支払時期を整理したうえで処理を進めることで、控除漏れや計算ミスを防ぎ、年末調整業務を円滑に進められます。

社会保険料控除に関するよくある質問

従業員の配偶者や親の公的年金から特別徴収された介護保険料は、従業員の控除対象として扱える?

配偶者や親の公的年金から特別徴収された介護保険料は、従業員の社会保険料控除の対象にはなりません。公的年金から天引きされた介護保険料は、その年金を受給している本人が支払ったものとして扱われるためです。
一方、生計を一にする配偶者や親族の介護保険料を普通徴収によって従業員本人が支払った場合は、従業員の社会保険料控除の対象になります。企業では支払額を把握できないため、従業員から保険料控除申告書で申告してもらい、徴収方法や実際の支払者を確認します。

年の中途で入社した従業員の、前職分の社会保険料はどのように処理すればよい?

年の中途で入社した従業員については、前職の源泉徴収票に記載された給与や社会保険料を確認し、前職分を含めて年末調整を行います。
また、前職を離れてから入社するまでの期間に、従業員自身が国民年金保険料や国民健康保険料を支払っている場合もあります。その場合は、保険料控除申告書と必要な証明書類を提出してもらい、年末調整に反映します。

従業員が証明書を提出できない場合、どう対応すべき?

従業員が社会保険料控除証明書を提出できない場合は、申告する保険料の種類を確認します。給与から天引きされた本人分の社会保険料は企業側で把握しているため、証明書は不要です。一方、国民年金保険料など、支払額を証明する書類の提出または提示が必要な保険料もあります。
紛失などによって提出できない場合は、従業員に再発行を案内し、証明書を確認してから控除処理を行います。

従業員に社会保険料控除の手続きを案内するとき、何を伝えるべき?

従業員には、給与から天引きされている本人分の社会保険料は、保険料控除申告書への記入が基本的に不要であることを伝えます。
一方、自分で支払った国民年金保険料や、従業員本人が負担している配偶者・親族の社会保険料については申告が必要です。申告対象となる保険料・必要書類・提出期限を案内します。

従業員が別居後も子の国民年金保険料を支払っている場合、全額を社会保険料控除の対象として扱える?

別居している子の国民年金保険料でも、従業員が実際に支払い、支払時点で子と生計を一にしている場合は、社会保険料控除の対象となります。別居していることだけを理由に、対象外になるわけではありません。
ただし、別居後に生計も別になった場合は、生計を一にしていた期間中に支払った金額だけが対象です。年末調整では、社会保険料控除証明書を確認するとともに、支払時点で生計を一にしていたかを従業員に確認します。

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