- 株式会社文華堂
- 代表取締役
伊東 剛氏 氏
- 株式会社文華堂
- 伊東 優子氏
- 株式会社文華堂
- 大平 絵美氏
- 株式会社文華堂
- 川口 優代氏
検討のきっかけ
業務は属人化し、データが繋がらない状態
「クラウド化」と「システムに業務を合わせる」という
2つの視点で業務フローを変えたい
当社は1868年に創業し、企業理念の「創意工夫・技術錬磨・未来創造」のもと、名刺や印鑑、家系図などの制作・印刷を手がけています。さらに近年では中小企業におけるDX人材の育成を支援するDX学校も運営。当社においてもDX化に注力し、企業競争力の向上や従業員が働きやすい環境づくりなどを目指しています。
今回のDX化の目的は主に2つです。一つ目は「業務フロー可視化による業務改善」です。当社においては業務が属人化しており業務改善に着手しにくい状態が続いていました。具体的には担当者しか業務がわからない状態だったため、第三者が見た際に今の業務のやり方が正しいのか、そもそもその業務は必要なのか等も分からない状態でした。二つ目は「受注・販売管理の効率化」です。当社では手書きを中心としたアナログなやり方がずっと続いてきており、部署や店舗の間での情報連携においてミスや非効率が発生していました。具体的には店頭で受付した注文内容は印刷指示書に手書きで記録するのですが、この一枚の紙がいわば情報連携の命であり、手書きであるために読み違えが起きたり、紙の所在が分からなくなってしまうこともありました。また、紙をベースとした管理であったために支店の受注や売上の情報を適切に把握できていない状態でした。こうしたなか、印刷指示書の手書きや紙による情報連携などのアナログなやり方を脱却するためにDX化が必要不可欠と考え始めたのです。
DX化については2つの視点で進めようと考えていました。一つ目が「クラウド化」です。これまでオンプレミスのシステムを使ってきましたが、クラウド化は世の中の当然の流れとも言え、クラウド化することでデータを部署や店舗を越えて自動で繋げられるだけでなく、テレワークなどの柔軟な働き方も実現できるからです。二つ目は「システムに業務を合わせていく」ことです。ここは特に重要な点です。DX化の際には独自のシステムを構築するか、システムを利用するか、どちらかを選択することになりますが、前者の場合は結局のところ「人」に合わせた業務を維持することになり、属人化が解消されません。その一方で後者の場合は標準化された業務のやり方をするために属人化が起きにくく、業務フローも可視化されているため、業務改善も進めやすい。そんな考えがありましたから、自社の業務に合わせてシステムを構築するのではなく、パッケージシステムに自社の業務を合わせることを前提にして、システム選定を始めました。
導入の決め手
販売管理に欠かせない多岐にわたる項目を管理できるのは
奉行だけだった
今回、6つのクラウド型パッケージシステムのなかから選定したのですが、自社の業務に最もフィットしていたのが奉行でした。当社の場合、取扱商品が多いだけでなく、色や素材など、販売管理において把握しなければならない情報が多岐にわたり、多くの管理項目が必要でした。そんななかで奉行だけが唯一必要十分な管理項目を備えていました。ほかのサービスを導入したケースをシミュレートしたのですが、その場合は業務のやり方をガラッと変える必要があるだけでなく、管理しきれない項目を管理するための紙やExcelが別途必要になるという結論になりました。そうなれば結局効率化は図れないですし、データもつながらなくなってしまいます。
また、近年はAPIなど便利な機能はあるものの、利用するサービスにおいてもメーカーを極力集約すべきと考えています。というのも、メーカーで操作画面が大きく変わるため、サービスの習得や使いこなしに影響が出るからです。当然同一メーカーのサービスを使ったほうが、習得期間が短く済み、生産性向上を実感しやすいですし従業員の負担も少ない。当社では請求書の電子発行も実現したいと考えていて、そのためのサービスを揃えていたことも導入の後押しになりました。

導入効果
業務フロー可視化で得た気づきをもとに業務の見直しが加速。「もっとよいやり方」を模索する従業員の姿も
長年やってきた業務のやり方を変えるわけですから、やはり相応に苦労しました。業務のやり方が変わると聞いて困惑した従業員もいましたが、大切なのは「システムに業務を合わせていく」という覚悟だと思います。実際、奉行に業務を合わせていくなかでこれまでのやり方を変えなければならない業務も出てきました。例えば受注について、従来はお客様のお名前と商品名の両方をシステム上で表示していましたが、今後はどちらを表示するか選択が必要になりました。また、請求書については問い合わせ番号と請求書番号を別にする運用を変えるべきか決断を迫られました。この他にも様々な決断が必要となりましたが、変えていい業務と変えるべきではない業務のやり方を精査する、という考え方のもとで導入を進めていきました。こうした考え方のもと、最終的に受注についてはお客様の名前を表示し、請求については問い合わせ番号と請求書番号を同一にする運用に変えることとなりました。
導入後には業務フローを可視化できたことで業務改善が進み、生産性向上を実現できています。受注については1日20枚程度あった手書きの印刷指示書をデジタル化でき、業務時間を1日1時間短縮。再注文であれば過去の注文データをそのまま活かせるようになり、手書きをなくせました。請求書作成については、従来は伝票と鑑を別々のシステムから出力していたためにホチキス止めが必要でしたが、奉行クラウドから両方の書類を出せるようになったことでホチキス止めがなくなり4時間の短縮に。請求書の約半数はデジタル化でき、法令対応などもスムーズです。DX化でデータがつながり情報連携もずいぶんと進みました。印刷指示書の読み違えのリスクがなくなったほか、従来だと書類を探して対応していた見積り依頼や問い合わせについてはシステムで検索すれば即座に回答できるようになりました。
DX化でさまざまな変化がありましたが、一番驚いたのは経理担当者の年間労働時間が240時間も減っていたことです。業務時間の削減が漸次積み重なっていくとこのような驚くべき結果も得られるということでしょう。現在は業務の属人化をなくそうと業務の取捨選択を行っており、古くからの慣習でやってはいたものの「よく考えるといらないよね」となってやめた業務も出てきました。また、資料は紙ではなくデジタルで共有するようになっています。勤怠管理ほか従業員向けのDX化も進展するなかで「ほかによいやり方がないか」「デジタルで変えていこう」という空気が広がっているのも大きな成果ですね。

- 導入効果
- パッケージシステムの活用で属人化を防止
- システム間のデータが繋がる状態を実現
- 経理担当の年間労働時間を240時間削減
- DX化を機に業務の取捨選択が進むように
- 販売管理・請求書発行を奉行で揃えて、従業員がスムーズに習得
今後の展望
従業員満足がお客様満足につながる
DX化でワクワクできる職場へ
当社では従業員満足がお客様満足につながると確信しており、ワクワクできる職場づくりや従業員同士のコミュニケーションの質向上などを目的としたDXにも取り組んでいます。例えばチャットの導入のほかシフトや健康診断の希望日時、アンケートの提出などでもデジタルを活用しています。もちろんリアルな報連相も大切ですが、チャットなど従業員が気軽にコミュ二ケーションできる場を作ることも大変重要だと思います。
前述した通り、DX化の成果を実感したことで従業員のデジタル感度はだいぶ上がっていると思います。これからのお客様サービスや働きやすい職場づくりをデジタルでどのように進めていくか、心底ワクワクしているところです。
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企業情報
1868年創業、1979年設立。
名刺や印鑑、家系図のほか各種印刷物の制作、印刷を中心に近年ではDX人材の育成を支援するDX学校を手がける。
日本中、世界中から広島平和記念公園に届く平和への願いと祈りが込められた折り鶴を回収し、それを『おりづる再生紙』としてリサイクルして様々な価値ある商品を展開していくプロジェクト「おりづる再生プロジェクト」も行う。
「創意工夫・技術錬磨・未来創造」を企業理念に、お客様企業の企業価値向上を目指している。
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- 会社名
- 株式会社文華堂
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- 所在地
- 広島県広島市中区国泰寺町2丁目5番3号
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- 従業員数
- 16名