導入事例
森下仁丹株式会社
長年のやり方を平準化できるシステム基盤として奉行V ERPを導入
- 所在地
- 大阪府大阪市
- 従業員数
- 連結231名、単体218名
- 売上高
- 連結74億92百万円、単体73億62百万円(平成22年3月末)
同社では、現在、カプセル事業とヘルスケア事業の2つの柱で事業を展開している。カプセル事業では、独自のシームレスカプセル技術で特許を有しており、生産ノウハウ・生産能力にも同社独自の強みを持つ。これらの独自技術を活かし、香料・原材料を受託開発することで、複数の大手メーカーから海外市場まで多くの提携実績を上げている。また、ヘルスケア事業では、セルフメディケーションをモットーに、「ビフィーナ」を代表とする健康食品や医薬品を開発し、店頭販売・通信販売にて全国のあらゆる年齢層へ提供している。
事業の成長を背景に、さらなる組織力強化を目指し業務の平準化を推進する同社が、新たなシステム基盤として選択したのは「奉行V ERPシリーズ」だった。
課題と効果
- 課題
- 自社の慣習に合わせてシステム変更が積み重なり、保守コストが増大。さらに属人的業務は企業リスクとなっていた。
- 様々な業種業態のグループ2社に対して、勤怠・給与計算サービスをより早く・より正確に提供したかった。
- 効果
- 奉行V ERPシリーズをものさしに業務の改善と平準化を実現。今までの手間やムダといった保守コスト・業務コストを削減できた。
- 企業独自の勤務形態・休暇制度と社員の支給条件に合わせて、就業奉行V ERP・給与奉行V ERPで設定でき、集計・計算・支給までのプロセスを自動化できた。
導入前の課題と導入に至る経緯
労基法改正をきっかけにシステムと業務の見直しを検討
独自業務を廃止し、業務の平準化を実現できるパッケージを選択
- 森下仁丹株式会社
総務部 人事グループ
グループリーダー橋井 康明 氏
同社では、古くからの伝統を生かしながらも社会の変化へ適応できる強い組織作りによって、事業の拡大を目指している。経営戦略上も、人に依存する仕事から組織として仕事ができる「平準化」を掲げ、人事労務の分野でも10年以上続いた独自の業務を見直す取り組みが始まった。総務部人事グループ グループリーダーである橋井様は、システム導入の経緯を以下のように語る。
「以前のシステムは10年以上使用しており、長年自社の慣習ややり方に合わせて変更を加えてきました。管理資料1つをとっても、項目並びを細かく指示してシステムを修正してもらっていましたので、使い勝手は良かったと思います。しかし、経営戦略の流れの中で、業務の平準化を検討したとき、今の業務は仁丹独自のやり方であり、マニュアル化ができないと感じました。また、業務のやり方を特定の担当者に依存している状態は、会社にとって大きなリスクとなっていました。そこで、労働基準法改正に伴うシステム改修をきっかけに、世間で一般的な仕組みに変更していきたいと考えました。」こうして、同社では、システムをものさしとして自社の業務を改善することを目的に、2009年8月にシステム選定を始めることとなった。
「標準的な管理の仕方や業務の流れを提供してくれるシステムを探していました。人事コンサルタントにも相談し、最も導入実績のあるパッケージシステムが、多くの企業の業務を凝縮した標準型になっているのではないかと判断し、奉行V ERPシリーズの導入を決定しました。」
旧システムから奉行シリーズへの移行については、導入を決定してから、わずか4か月という短期間での本稼働を実現した。人事給与の実務を担当する人事グループ リーダーの大山様は、システム移行を次のように振り返る。 「旧システムと奉行V ERPとの機能的な違いはいくつかありましたが、その違いは世間一般的ではない自社独自のやり方ではないかと疑うことで、業務の平準化を進めることができました。長年使ったシステムからの移行も、奉行のデータ移行機能や馴染みやすい操作性によって、抵抗なく行えました。」
- ビフィーナS(スーパー)
同社では、グループ2社に対して、勤怠管理・給与計算のシェアードサービスを行っている。同社のように、様々な業種・業態のグループ企業の人事労務業務を一元管理するためには、勤務形態や雇用形態の多様性にも柔軟に対応できるシステムが必要となるが、奉行V ERPシリーズであれば、このようなニーズにも対応が可能だ。
健康食品の通信販売のコールセンター業務を行う株式会社森下仁丹ヘルスコミュニケーションズでは、正社員とアルバイトで勤務シフトを組んでコンタクトセンターを運営している。雇用形態や時間帯別に時間給単価や時間外労働の割増率が異なるため、勤怠集計から給与計算までのプロセスが複雑であるが、それらを正確かつ効率的に管理する必要がある。奉行V ERPシリーズでは、勤務体系や社員情報の豊富な設定機能を用意しているため、様々な雇用形態の社員が混在していても、個々の支給条件に沿った正確な業務プロセスを確立することが可能である。
また、グループの本体である森下仁丹株式会社は、研究・製造・卸売といった複数の事業部と拠点で構成されている。特に滋賀工場は24時間稼働で、交替勤務制を採用している。2直・3直の連続勤務や深夜勤務のシフトに入った社員には、時間帯の勤務回数に応じた交替手当を支給している。就業奉行V ERPでは、企業独自の勤務時間・勤務回数を管理できることで、製造業の複雑な勤務形態においてもミスのない効率的な労働時間管理を実現できる。
さらに、森下仁丹グループでは、長年の歴史を通して社員が働きやすい職場作りに取り組んでいる。積立年休、育児休業といった休暇制度を充実させ、平成22年4月施行の労働基準法改正にもいち早く対応している。就業奉行V ERPでは、法改正への迅速な対応はもちろん、企業独自の休暇管理や労働条件に応じた有休の付与・取得・残管理までを一元管理できるため、同社のように多様な休暇制度を持つ企業にも柔軟に対応できる。
- 時間帯別の時間給や割増率の設定と就業・給与奉行V ERP連動により、アルバイトの煩雑な勤怠集計から給与計算までの業務プロセスを確立
- 24時間・交替勤務の工場スタッフに対して、勤務時間帯・勤務回数の自動集計により、正確な交替手当の支給が可能に
- 柔軟なシステム設定で、企業独自の休暇制度や法改正へ迅速に対応でき、安定稼働している
- 帳票作成サービスPlay@Liteにより、既存のタイムレコーダを活かした就業奉行とのデータ連携、独自の給与明細書の出力が可能
導入効果と今後の展望
グループ2社の人事労務システムを本稼働。業務コストの削減を達成
2010年2月からグループ2社の人事管理・給与計算・就業管理システムの導入準備を行い、4か月で本稼働を始めることができた。奉行V ERPシリーズの導入から1年が経過した今、導入効果について橋井様は以下のように語る。
「旧システムは独自開発システムでしたので、要望がある度にシステム改修を依頼しており、結果的にシステム改修費用も多く掛かっていました。奉行V ERPシリーズを導入した最大の効果は、業務が合理的になり、今まで掛けていた手間やムダという業務コストを低減できたことだと言えます。標準的な業務のものさしができたことで、追加開発が不要となり、長い目でみると保守コストを低減できると考えています。」
最後に橋井様に今後の展望について伺った。
「月次や年次の給与業務を本稼働しましたが、まだ利用しきれていないシステム機能を活用することでさらなる業務の平準化を進めていきたいですね。OBCには、他の企業がどのようにシステムを活用しているか教えてほしいです。例えば、人事奉行V ERPには基本的な社員区分や個人情報が整いましたが、退職社員のデータの大半がまだ紙ベースでの管理になっています。いずれは、全ての人事情報を電子化し、必要なときに人事奉行V ERPから閲覧できるのが理想です。
今後の展望としては、「平準化」を他の全ての業務について同じように進めていきたいと考えています。人に仕事が付いているというリスクを全ての業務から無くしていく取り組みを推進していきたいですね。」
森下仁丹グループでは、次の百年も継続成長する企業として、全事業・全社員が時代の変化に対応できる組織力が求められる。同社は、奉行V ERPを基盤に組織の土台としての仕事の平準化を実現した。今後もさらなる平準化を推し進め、事業の成長を目指していく。
会社概要
- 会社名
- 森下仁丹株式会社
- 業種
- 医薬品製造業
- 従業員数
- 連結231名 単体218名
- 売上高
- 連結74億92百万円、単体73億62百万円(平成22年3月末)
- 資本金
- 35億3740百円
- 上場
- 東証・大証2部上場
- グループ会社
- 2社
- 事業内容
- 医薬品、医薬部外品、医薬用具ならびに食品等の製造・販売
- URL
- http://www.jintan.co.jp/