導入事例
トナミ国際物流株式会社
同時に、人事労務業務の大幅な効率化を実現
- 所在地
- 神奈川県横浜市
- 従業員数
- 140名
このような中、グループ企業の内部統制構築と業務効率化を同時に実現できるシステムとして同社が選んだのは「奉行V ERPシリーズ」であった。
課題と効果
- 課題
- 東証一部上場企業を親会社に持つトナミグループの一員となったことで、グループ子会社各社においても内部統制の構築に迫られた。
- 手書きの出勤簿による勤怠管理や、残業時間数や残業代の個別集計など、勤怠管理業務の作業が煩雑なうえ作業時間が膨大であった。
- 人事情報管理はシステム化されておらず、人事情報が紙やデータに分散されていた。
- 効果
- 強固なセキュリティやログ管理機能等を搭載した「奉行V ERPシリーズ」を導入することで、内部統制のうち、人事・労務部門における体制構築を実現することができた。
- タイムレコーダーによる打刻管理と就業管理システムの導入により、勤怠管理の大幅な効率化を実現。
- 「奉行V ERPシリーズ」による人事情報の一元管理を実現。基本情報はもちろん、資格免許の取得状況や期限管理、研修・試験の受講履歴なども一元管理できるようになった。
導入の背景と課題
内部統制の構築をきっかけにシステムの見直しを検討
システム化により勤怠管理業務の効率化を目指す
トナミ国際物流株式会社様は、港湾輸送と通関業務を事業の中核とし、特に、海外企業と国内の輸出入企業との取引における保管から通関・納品までを一貫してサポートできる、国際複合一貫物流を強みとして成長を続けてきた。同社が、一部上場企業であるトナミホールディングス株式会社(当時:トナミ運輸株式会社)の子会社となり、国際物流部門を担う中核企業としてトナミグループの一員となったのは2005年のことである。その後2009年より、上場企業グループとして、グループ子会社各社においても、人事労務に関する内部統制の構築へと本格的に取り組むこととなった。
システムの見直しに至る経緯について、同社の統括管理本部担当者様は次のように振り返る。
「現在も、トナミグループ全体で内部統制の強化に取り組んでいますが、2年前に人事関連の内部統制について検討が始まったことが、当社の人事労務管理システム全体を見直すきっかけとなりました。
内部統制に対するグループの方針としては、まずは、業務について統一のマニュアル化を実施する必要がありました。システムに対しては、仕様書のあるもの、つまり内部統制に対応したものでなければならないということが条件として提示されていました。そのため、アクセス制御やログ管理ができるなど、内部統制機能が充実しているシステムであることも重要でした。」
また、システムの見直しに際しては、同時に解決すべき業務に関する課題もあった。
「以前の勤怠管理は手書きによる出勤簿で管理しており、印鑑を押した出勤簿を10日毎に回収し、チェックと入力を手作業で行っていました。また、残業代についても、当社では140人の社員の内、管理職を除く約100人に関しては残業手当が支給されます。これらの膨大な勤怠集計と残業手当を、二人掛かりで10日かけて全て手計算をしていました。」
人事労務における内部統制の構築と、業務のさらなる効率化を実現するため、同社では、人事労務システム全体を見直すこととなった。検討に際しては、グループ企業各社が既に導入しているシステムの比較を行った。その結果、奉行V ERPシリーズが、業務及び内部統制への要件を最も満たせるシステムと判断し、グループ統一での導入が決定した。
選定のポイントと導入後の効果
煩雑な勤怠計算業務が、締め後1分で完了
奉行V ERPシリーズによる大幅な業務効率化を実現
「奉行V ERPシリーズを導入してから、業務のスピード感が全然違います。二人掛かりで10日掛かっていた勤怠計算も、今では勤怠を締めから1分で計算が終わるようになりました。」 奉行V ERPシリーズ導入による効果は大きいと評価する。
導入後は業務プロセスが一変した。同社では、タイムレコーダーから読み込まれる前日の打刻情報を、毎日10分程度の時間で、出退勤の打刻一覧画面を見ながら確認と修正を行う。承認後の確定した打刻情報は、労働基準監督署対策として紙に出力し、ファイリングを行っている。
このように、日次で勤怠情報のチェックプロセスを細かく行っておくことで、勤怠の締日には、締め作業から1分で残業代や勤務日数等の計算が終わってしまう。
同社は通関業という業態の特徴として、海外との取引を行っていることから、土日や祝日にも出勤しなければならないことも多くあるという。海外との時差により定時過ぎに届いたFAXを、残業をして処理を行うこともある。このような変則的な就業時間に対応するため、同社では変形労働時間制を採用している。
就業形態も複雑だ。現在約140名の社員が在籍するが、取引先である商社への出向社員も多い。また、資格免許を持つ人材の再雇用も積極的に行っており、事情によっては就業時間を短くするなど、労働時間に関しては柔軟な対応を行っている。
「残業が22時を過ぎると深夜割増が付くため、従来はその手計算が非常に大変でした。今は深夜割増も気にすることなく自動で計算されるので非常に業務が効率化されました。また、変形労働の複雑な残業時間計算や、複雑な就業形態についても全て問題無く管理することができています。」
奉行V ERPによる人事労務基盤が、制度の承認と運用を実現
奉行V ERPシリーズで人事労務業務の基盤を構築したことが、思わぬ効果にもつながった。リーマンショックが日本経済を襲った際、輸出入業への影響は大きく、同社も例外ではなかった。この経営危機を乗り越えるため、同社では雇用調整助成金を使った休業制度を取り入れた。同制度は、雇用調整のため労働者を一時的に休業させる場合に、賃金の一部が助成される制度である。
「当社でも、リーマンショックを乗り越えるため、ひとり月3日間休業させることにしました。助成金を受けるためには、社員全員が同じ日数分休業することを管理でき、また、休業事実を証明できなければなりませんでした。申請を行う際、奉行V ERPシリーズの機能を使った管理の仕組みを説明したところ、助成金の申請が承認されることとなりました。ひとり3日間の休業をいつ取ったか、また本当に休業したかといった管理を140名分行うことは、奉行V ERPシリーズ無しでは決して実現できませんでした。」
こうして、経営の難局も、奉行V ERPシリーズによる人事労務のシステム基盤によって乗り切ることができた。
- 横浜本社、東京営業所をはじめ、各拠点にタイムレコーダーを設置。打刻データは本社の統括管理本部にて一括で管理を行う
- 出向社員の勤怠については、メール送付されてくる出勤簿を基に日次で勤怠データを管理している
- 勤怠締後は給与奉行V ERPと直接データ連携し、残業代の計算や勤務日数に関する項目に自動的に反映
- 人事奉行V ERPの導入により、人事情報のペーパー管理を廃止し、データ管理を実現。様々な資格免許の管理や、研修・試験履歴をはじめ、全ての人事情報を一元管理
- 奉行V ERPシリーズに標準搭載されている、利用者管理やセキュリティ管理、ログ管理機能により、グループ全体での内部統制の構築を実現
今後の展望
人事労務の業務基盤が整った
今後はさらなる成長を目指し、グループ全体の業務効率化を目指す
内部統制と業務の効率化を実現することができた。しかし、そこに至るには就業規則を含めた抜本的な業務の見直しを行うなど、苦労もあった。
「システムを導入する1年前から就業規則の見直しを開始しました。見直しを開始する当初から、労働組合の人員を含めて、どう変更すべきかを一緒に考えました。半年掛かりの作業でしたが、実はその期間が一番苦労しましたね。
奉行V ERPシリーズに就業規則を合わせるため、例えば、残業代の計算についても、小数点第3位まで計算していたものを、第2位に変更したり、有休を付与するタイミングや時間外の計算方法なども変更を行いました。このような過程があって、今では就業規則とシステムがきれいにリンクしています。」
「専門性の高い職種ですので再雇用も多く、社員の年齢分布がいわゆる逆ピラミッド型で高年齢化の傾向があります。それを解消するための取り組みとして、ここ数年は、新入社員の採用にも力を入れています。」奉行V ERPシリーズの導入により、人事労務の業務基盤が整った同社。今ではトナミグループのモデル企業として、人事労務のマネジメントを参考にするため、グループ各社から見学に来ることもあるという。今後もさらなる成長を目指し、新たな人材の育成や、グループ全体としての効率化も目指していく。
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会社概要
- 会社名
- トナミ国際物流株式会社
- 資本金
- 6,000万円
- 従業員数
- 140名
- 事業内容
- 物流業・一般港湾運送事業・通関業