導入事例

株式会社ラーンズ

  • その他
  • さらなる成長を目指すため、販売仕入管理業務の仕組みを再構築
    教材出版業界の特殊な業務プロセスの効率化を「商蔵奉行V ERP」で実現
    所在地
    岡山県岡山市
    従業員数
    81名

    株式会社ラーンズ様は、株式会社ベネッセコーポレーションの高校採用教材部門が独立し、教科教材専門出版社として2001年4月に設立された。高校生向けの問題集や参考書を中心とした、教材の企画・制作から出版・販売までを行っている。 2009年には、ベネッセコーポレーションの創業事業である生徒手帳事業も加わり、学校生徒指導領域全般に事業活動を拡大することとなった。

    設立以来、事業の拡大と成長を続ける中、同社では、提案型営業のさらなる強化と、営業効率の一層の向上を実現することが大きな課題となっていた。2010年には組織再編により営業体制の強化を図ると共に、それを支援する販売基盤を再構築すべく、以前より検討していた販売仕入管理システムの整備を本格的に加速させることとなった。

    課題と効果

    課題
    1. システム管理と販売仕入管理業務をアウトソーシングしていたこともあり、会社としての業務ルールの平準化・体系化が十分で無かったため、業務改善への着手が困難だった。
    2. 親会社の大規模システムの一部を使用していたため、システムに合わない業務も多く、手作業や二重入力が発生。人的資源活用による業務運用がなされていた。
    3. 受注と出荷業務が完全に分断されていたため、正確な数字の把握ができず、経営意思決定のための情報活用が困難な状態だった。
    効果
    1. システム導入を機に社内業務のルール化・平準化を実現。アウトソーシングにかかるコスト削減も実現可能に。
    2. ほぼ全ての業務をシステム化することに成功。業務効率化と手作業によるリスクを削減できた。
    3. 受注と出荷業務を一体化したことで、正確な出荷量と売上との比較が可能となり、今後の成長に向けた経営意思決定への情報活用が可能となった。

    導入前の課題と導入に至る経緯

    親会社の大規模システムの利用と業務アウトソーシングにより、経営支援と業務効率化の両面で大きな課題

    • 株式会社ラーンズ
      代表取締役社長
      岩下 洋子 氏

    「この会社をどうしていこうかと考えようにも、とにかく、どこに、いくら掛かっているのかといった情報が、全くわからない状態でした。」
    以前のシステムについて、こう穏やかに語るのは、株式会社ラーンズ 代表取締役の岩下氏である。

    同社では、以前より親会社であるベネッセコーポレーションのシステムを利用して、販売管理業務を行っていた。 システムの管理はグループ企業へと委託し、さらに、受注から出荷に至る業務全般を外部にアウトソーシングしていたため、販売管理費のコントールが困難となっており、また、事業体本体の活動状況が十分に把握できないという大きな問題を抱えていた。

    一方、アウトソーシング先の業務フローについても、多数の問題点があった。大規模なシステムの一部を使用しているため、自社の業務に合わせられない部分は手作業で運用する必要があり、システムにより標準化できていない業務が少なくなかった。また、受注業務と出荷業務が分断されているため、一連の業務プロセス上のいたる箇所で二重入力や二重チェックが発生。 言わば、人的資源活用による業務運用がなされている状態であった。

    「当時のシステムは、受注と売上の管理が一つではなかったので、“モノの出”と“お金の入り”は複数の集計結果を見比べる必要がありましたから、正しい数字を確認することがとても困難な状況でした。
    今後、会社が成長していくためには、必要な数字をきちんと見ることができる、身の丈に合った自社のためのシステムを必要としていました。」(岩下氏)

    このような背景の中、経営支援と業務効率化との両面において課題の多かった当時の仕組みを見直し、販売仕入管理システムの刷新を図ることを決定。こうして、新たな販売仕入管理の基盤システムとして「奉行V ERPシリーズ」を導入することとなった。

    選定ポイント

    パッケージシステムを軸に、特殊な業務プロセスはカスタマイズにより解決

    • 株式会社ラーンズ
      総務部
      川手 享一 氏

    システムの選定にあたっては、複数案から検討を行った。総務部の川手氏は奉行シリーズに決定したポイントについて、次のように語る。
    「当社の業務は一部の特殊な業務を除けば、パッケージシステムの標準機能で運用できると感じていました。一方で、特殊な業務に対応するためのカスタマイズ部分の設計がポイントになると考えていましたが、納得のいく仕組みをご提案いただけたのが奉行シリーズを導入する決め手となりました。」

    同社は、学校を相手としたB to Bのビジネスでありながら、先生個別のニーズにも細かく応えていく、B to Cとしての要素も非常に強い。そのため、個別ニーズに応えられる「サービス」の提供につながるシステムを、どう構築していくかという点も大切にしてきた。そういう点で、カスタマイズによる特殊業務への対応は必要不可欠であったと言える。

    システム概要

    教材出版業界の特殊な取引形態管理や見本・献本の出荷管理などをカスタマイズにより実現

    • 株式会社ラーンズ
      総務部 部長
      中島 弘章 氏

    株式会社ラーンズ様の販売仕入業務プロセスは、教材出版業界ならではの特殊性を持つ。今回のシステムのポイントとして、担当システムベンダーである株式会社NTTデータセキスイシステムズの上席コンサルタント 宮下氏は次の点を挙げる。

    一つ目は、取引形態パターンの複雑性に見られる。同社の商品を購入する直接的な顧客は、主に学校と先生である。学校や先生からの注文を同社のお客様センターが直接受けることもあるが、取次会社(教科書供給所)や書店を通じて注文を受けるケースも発生する。
    また、請求については、取引形態パターンによって請求先が変化し、取次会社へ請求を行う場合には、注文元の書店情報を請求書に記載する必要がある。そのため、どのパターンによって受注したかが把握できるよう、商流管理が必要となる。

    二つ目は、見本・献本への対応である。 取扱う商品の特性上、内容を比較検討するための見本品を無料で配布するケースが多い。また、注文部数に応じて先生の指導用の商品を無料で追加する「献本」の考え方を、システムで表現する必要があった。これらの見本・献本については、売上金額は発生しないが、出荷量と在庫数管理に反映する必要がある。

    さらに、問題集と解答とで冊子が分かれている場合の構成商品の管理や、その場合の見本・献本の出荷管理など、複雑かつ多様なパターンへの対応をシステムで実現しなければならなかった。

    今回のシステム導入に、プロジェクト責任者として携わってきた事業企画課 課長の中原氏は、システムが稼働するまでの経緯を次のように振り返る。
    「今までは、受注から先を全てアウトソーシングしていたこともあって、業務は完全なるブラックボックスでしたから、現場での暗黙知による作業が多く、ラーンズ側としてコントロールしている業務上のルールがほとんど無かったと言えます。マニュアルが十分に整理されていない中で、業務プロセスをひとつずつシステムに置き換えていく作業は非常に苦労をしましたが、進めていく内に、自社の業務の全体像が少しずつ見えていきました。
    プロジェクトにとっては、カットオーバー日である9月1日に、滞りなく出荷ができ、納品書が出せる状態になることが必達のミッションでしたが、そういう状態でしたので、テスト稼働時には、受注内容ごと、締めを迎える等の業務のプロセスごとに問題が起こりました。しかし、システムベンダーにも協力いただきながら、9月1日には何とか予定どおり稼働することができました。」

    システムフロー図

    学校と先生との関連付け、商流となる書店の管理、直送先の管理等、株式会社ラーンズ様が必要とするマスター管理は、商蔵奉行の豊富な標準マスターを活用することで全て運用が可能となっている。見本・献本のロジックや出荷関連の出力等、特殊な業務プロセスのみ最小限のカスタマイズで補った。

    システムのポイント
    1. パッケージを軸としながら、取引形態、献本の計算と管理、構成商品などの教材出版業特有の業務についてはカスタマイズで実現
    2. 商流の管理を実現し、取次会社(教科書供給所)への請求時に書店情報を表示可能に
    3. 納品予定日はリードタイムを加味した自動計算がかかる
    4. 出荷商品のピッキングではクラス毎等の梱包分けに対応。作業指示書、ピッキングリストは梱包単位の出力を実現
    5. 株式会社ラーンズ様本社と、アウトソーシング先とをネットワークで接続。15台で使用

    導入効果と今後の展望

    システムによる業務効率化と社内業務のルール化・平準化を実現
    次の成長へ向けた販売基盤の構築に成功

    • 株式会社ラーンズ
      教育出版事業部 部長
      三田村 有 氏
    • 株式会社ラーンズ
      教育出版事業部
      事業企画課 課長
      中原 茂樹 氏

    システムの本格稼働から3ヶ月が経った。今回のシステム導入の効果について中原氏は次のように語る。
    「今は、手作業が無くなり業務をほぼシステムに乗せることができましたので、効果のひとつとしては、業務の効率化が実現でき、手作業によるリスクが削減できるようになりました。また、十分に平準化されていなかった業務ルールを、社内に徹底できるようになったことが、なにより大きな効果でした。これは当社設立以来、初めてとも言える劇的な変化でした。」
    また、教育出版事業部 部長の三田村氏は次のように続ける。
    「そういう意味では、今回、システム導入をきっかけとして、会社の仕組み作りや、社員の意識喚起ができたと言えます。」

    本格的な検討から約5か月で、販売仕入業務の基盤構築を成功させた同社。社員へのさらなる意識喚起やルールの徹底、そして、生徒手帳事業のシステム化など、まだまだ解決すべき課題も残るが、ひとまずは大きな成果を残せたと評価する。また、販売管理費のコスト削減という点では、来期以降、効果が見えてくるのではないかという確かな感覚があるという。

    最後に、同社の今後の事業展望について岩下様にお伺いした。
    「私どもは教科のプロフェッショナルですので、プロとして感度を磨きながら、先生と子供達のために何ができるかを考えていく集団でありたいと思っております。 数字的な目標というよりは、例えば、子供達がセンター試験の会場でボロボロになった私達の参考書を持っている姿、喜ぶ姿を見たいですね。生徒手帳についても、単なる規則集ではなく、学校に対する帰属意識の象徴となるような役割を担う商品でありたいと思います。そういうゴールの姿をイメージできる商品づくりを今後も目指していきたいと考えています。」
    強固な販売基盤が構築できた今、次のステップを目指しさらなる成長を続ける同社。今後益々奉行シリーズの活用に期待がかかる。

    会社概要

    会社名
    株式会社ラーンズ
    業種
    教材出版・手帳事業
    従業員数
    81名
    資本金
    1,000万円
    事業内容
    高等学校向け教材の企画・編集・出版・販売
    中学校、高等学校の生徒手帳、大学の学生・就職手帳などの製作・販売
    URL
    http://www.learn-s.co.jp/
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