TOKYO PRO Marketの活用 ~2019年過去最多の9社上場!柔軟な上場基準で上場メリットを享受~

株主数や利益基準などを設けない柔軟な上場制度が特長の「TOKYO PRO Market」は、2019年過去最多の9社が上場、そして歯愛メディカル、Global bridge HOLDINGS、ニッソウがマザーズ等の一般市場へのステップアップを果たしている。J-Adviserである宝印刷・大村氏がその仕組みと魅力を解説する。
2020年4月9日
TOKYO PRO Marketは、2019年に過去年間最多の9社が新規上場し、総上場社数が30社を超え、存在感が大きくなってきました。当該市場の概要と、その魅力や活用法等をご紹介します。

1.TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)とは
 東京プロマーケットは東京証券取引所(東証)が運営するプロ投資家(※)向け市場です。一般の投資家が売買できないため、投資家向けのメディアに載るケースは少なく、これまで知名度が低い点が指摘されてきました。
※ 特定投資家(機関投資家、上場企業、資本金5億円以上の株式会社、3億円以上の金融資産を持ち証券会社へ特定投資家として申し出た個人等)と非居住者を併せて特定投資家等(プロ投資家)といいます。

 一方で、東京プロマーケットに上場すると「東証上場企業」として詳細な企業内容の開示を行っているため、上場前に比べ信用力が大きく向上すると評価されるようになりました。 上場企業としてふさわしい内部統制が必要であるなどの実質基準を満たさなければ上場できませんが、株主数や利益の額・企業規模等の点での形式基準はありません。 また、上場時の審査及び上場後の管理業務を「J-Adviser」と呼ぶ機関が行うアドバイザー制度を採用している点に特徴があります。 
2.TOKYO PRO Market上場のメリット
 東京プロマーケット上場の際にファイナンスを行って資金を調達するケースもわずかにありましたが、プロ投資家向けの市場であり流動性が非常に少ないため、 資金調達や既存株主の資金回収を目的とした上場は困難な状況です。また、監査法人への監査報酬、J-Adviserへの報酬など、非上場の時と比べコストが上昇します。

 それでは何故、どのようなメリットを感じて東京プロマーケット上場を目指す企業が増加しているのでしょうか。大きく分けると以下の4つのメリット(活用法)が考えられます。

(1)
人材獲得における優位性
東証上場企業としてのステータスは、人材獲得に際する信用力の向上につながります。 東京プロマーケットに上場した企業の9割以上が実際に従業員数を増加させています。地方に拠点のある企業や、知名度の低い企業、就職人気の低い業種の企業等からは、特に注目を集めています。
(2)
海外事業の拡大
海外での事業拡大を目指す場合、販路拡大・パートナー探し等の局面において、東証上場企業というステータスは、透明度の高い財務内容・高い信用力といった観点で、プラスの効果があります。
(3)
対金融機関における信用力の向上
財務諸表に監査法人の監査証明が付いていること、適時開示が行われている等の観点で、金融機関からの信用力が高まります。借入に対する経営者保証がはずれる等のメリットがあります。
(4)
M&A、オーナーシップ
事業提携や買収の局面で、上場企業として企業内容を開示していることが有利に働くことが期待されます。 また、マザーズなどの一般市場に上場する場合は、流動性確保・株主作りのために外部株主が増えますが、 東京プロマーケット上場の場合はこの点で形式基準がないため、株主構成を大きく変化させずにオーナーシップを維持したまま上場することが可能です。
3.ステップアップ市場としてのTOKYO PRO Market
 一般市場に上場する場合は上場申請前に直前二期間の監査証明が必要ですが、東京プロマーケットは直前一期間のみで大丈夫です。 また、必ずしもファイナンスを必要としないことから、業績が右肩上がりでなくとも上場することは可能です。 従って、将来的には一般市場に上場を検討しているけれども、まずは東京プロマーケットに上場してそのメリットを享受したいという企業も出てきています。
 東京プロマーケット上場からのステップアップとしては、2017年12月に「歯愛メディカル」がジャスダックへ、 2019年12月に「global bridge HOLDINGS」がマザーズへ、2020年3月に「ニッソウ」がセントレックスへ上場した事例があります。
4.TOKYO PRO Market上場企業としての義務
  東京プロマーケット上場企業は、一般市場と同様に適時開示(決定事実、発生事実、決算情報等)の義務があります。 また、通期・半期の年2回、有価証券報告書・半期報告書と類似した「発行者情報」の開示が必要です(四半期開示は任意で可能)。 これらの開示に関しては、J-Adviserが継続的にサポートすることになっており、J-Adviserからの指導・助言を受けながら上場企業としての責務を果たしていきます。
 J-Adviser契約は上場時に継続して維持することが求められています。J-Adviserとの契約解除は、上場のメリットが感じられなくなった場合や、一般市場にステップアップする場合等があり、上場廃止になります。

最近5年間の上場会社数の推移。2020年は3月末までで2社が新規上場、1社がセントレックスへのステップアップによる上場廃止(ニッソウ)(2019年末まで)
最近5年間の上場会社数の推移(2019年末時点)。2020年は3月末まででは2社が新規上場、1社がセントレックスへのステップアップによる上場廃止(ニッソウ)
5.TOKYO PRO Market上場へのプロセス
 東京プロマーケットへの上場を目指す場合、J-Adviserを選定し、上場適格性の調査・確認を受ける必要があります。 上場直前期の監査証明が出るめどが立ちましたら、担当J-Adviserによる審査を受け、問題が無ければ東証に意向表明を行います。 その後は担当J-Adviserが取引所から審査内容の確認を受ける形ですので、上場予定会社が取引所から直接審査を受ける必要が無いこともメリットのひとつかもしれません。
 一般市場とは異なり、上場申請が受け付けられた段階で公表され、ファイナンスが無い場合は上場承認の一週間後に上場となります。
6.「伴走者」としてのJ-Adviser
  東京プロマーケット上場では、先述の通り東証の他市場と異なり形式基準がない代わりに、J-Adviserを選定しJ-Adviserの支援のもと上場準備を進めていきます。 そして、東京プロマーケット上場後も継続して開示のサポートなどを行い、上場前から上場後まで企業の成長をもっとも近くで支える「伴走者」となります。

TOKYO PRO Market上場への流れ(参考:東京証券取引所ホームページ)
TOKYO PRO Market上場への流れ(参考:東京証券取引所ホームページ)

 宝印刷はJ-Adviserとして新規上場で7社の実績があり、他のJ-Adviserからの異動で4社、計11社のJ-Adviserをつとめています(2020年3月末時点)。東京プロマーケット上場にご興味がありましたら、是非とも宝印刷にお問い合わせください。

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執筆
宝印刷株式会社 常務執行役員/企業成長支援部長 大村 法生氏
宝印刷株式会社 常務執行役員/企業成長支援部長 大村 法生氏
1986年に東京大学法学部を卒業後、野村證券株式会社に入社。20年以上にわたりIPO関連業務に携わる。2005年に公開引受部次長、2011年から同部東京エリアヘッドを歴任。2018年に宝印刷株式会社に顧問として入社。同年7月執行役員に就任。2019年7月より現職。
宝印刷株式会社 ホームページ
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