- IPO Forum特別版 -
なぜ識学を徹底すると組織は伸びるのか?

開催情報
2019年9月9日(月)/東京
セミナー概要
上場経験者0人で、創業4年で上場を果たした「識学」。
その徹底した組織マネジメントとは?

「私が部下を育成しようとしてやっていたのは、結果的に真逆のことだった」
「そういった、部下を成長させるために真逆のことをやっているリーダーが、この世にはたくさんいると気づいた」―――。
自らを振り返りそう語ったのは、株式会社識学の代表・安藤社長。

「識学」は、株式会社識学が提唱する組織マネジメント理論。
その効果は、創業4年間で1000社が導入したという実績もさることながら、同社が上場経験者0人でも創業4年でIPOを実現したという事実からも伺えます。
上場するために必要な、「徹底的にすること」と「徹底的にしないこと」とは?

IPO Forum特別版として、そのポイントを解説いただきました。
IPO Forumとは?
セミナー総括
第一部 4期で上場できる組織のつくり方
[講師] 株式会社識学 代表取締役社長 安藤 広大 氏
◇「識学」とは?
人は、物事を正しく認識すれば正しく行動できますが、「誤解」や「錯覚」によって認識を誤ると行動も間違ってしまいます。
こうした、「誤解」や「錯覚」が起こるメカニズムをヒトの意識構造に基づき解明し、どうすれば起こさないのか、を体系化した学問が識学です。

「誤解」や「錯覚」には大きく分けて以下の2種類あります。
(1)
相互に発生する誤解や錯覚
人によって考え方や基準が異なるために発生する、物事に対する認識のずれのことです。認識がずれたまま進むと、後から認識を揃えるためのロスタイムが発生してしまいます。
(2)
事実に対する誤解や錯覚
事実として存在する社会の仕組みや出来事を、自分に都合の良いように解釈するために発生する認識のずれのことです。認識がずれたまま進んでも、事実に反した状態なので長続きしません。
「(2)事実に対する誤解や錯覚」の最たる例は、サービスと対価と給料の発生順序に対する認識です。

事実の仕組みに対する誤解・錯覚
事実の仕組みに対する誤解・錯覚
(セミナー資料より抜粋)

顧客へサービスを提供して対価をもらい、その結果、従業員に給料が支払われるのが事実。
しかし昨今、従業員自らが有益性を発揮しなくても給料をもらえるという勘違いが増えています。
利益も出ないのに給料を払い続ける会社は、従業員を解雇するか倒産するかのどちらかです。
事実に反した状態は、決して長続きしません。

◇創業4年で上場、ポイントは組織の動く「速さ」
上場経験者がいない株式会社識学が、創業4年で上場できたのは、組織の動く「速さ」が速かったからです。
「速さ」を手に入れるには、「速さ」を邪魔するものが何かを知る必要があります。
「速さ」を邪魔するもの、それこそが「誤解」と「錯覚」です。
例えば以下のものがあります。
  • (1)上司のあいまいな指示
  • (2)「納得できない」と言う部下
  • (3)「部下のモチベーションを上げよう」と、張り切る上司
  • (4)「皆で仲良く、協力して」と言う上司
「(1)上司の曖昧な指示」は例えば、「10kmをなるべく早く走れ」という指示があったとき、何分で走ったら早いのかという評価は人によってばらつきが出ます。
こうした、人によって結果に対する評価が分かれてしまうことを、識学では「不完全結果」と呼んでいます。
「不完全結果」は認識にずれを発生させ、最終的にロスタイムを発生させます。
逆に、誰が評価しても同じ結果になることを「完全結果」と呼びます。

不完全結果と完全結果
(セミナー資料より抜粋)

「10kmを60分以内で走れ」という指示であれば、「50分で走った」という結果だったとき、誰が評価しても「速い」と評価します。

求める期限(60分以内)と求める状態(10km走る)にずれがないとき、「完全結果」となるのです。

◇部下を成長させる時は、「速さ」を優先しない
上場のポイントとして「速さ」を上げましたが、「速さ」を落としても良い瞬間があります。
それは、「部下を成長させる時」です。

識学では、「成長」には「知識」と「経験」の両方が必要と考えています。
ミッションを遂行するのに必要な「知識」、そしてミッションを遂行し自らが出した結果に対して、他者から評価を得たという「経験」。

ここでのポイントは、「自らが出した結果」という点です。
上司が速さを重要視するあまり、部下の仕事を代わりにやり、「背中を見て覚えろ」では、部下は成長しないのです。
部下に任せなければ、経験させなければ、その会社に未来はありません。

今は上司が口を出した方が速くても、部下に経験を積ませていくと、ある時から部下に任せた方が組織の「速さ」は速くなり、利益も大きくなります。
そして一度逆転すると、未来永劫、この差が縮まることはありません。
何よりもこの逆転のタイミングは、皆さんが思っているよりも、早く訪れるのです。

◇高いところにいる人間には未来を見る責任がある
役割/責任の大きさ(高さ)と見るべき時間軸
(セミナー資料より抜粋)

責任の大きさは、その人が立っている高さを表します。
そして、高いところにいる人間は、未来を見る責任を負っています。

例えば、
・今この瞬間の「速さ」を優先し、部下の仕事を上司が率先してやってしまう会社。
・部下が将来的に生み出す利益を優先し、「速さ」は諦めても部下に経験を積ませ成長させる会社。

将来的に、どちらの会社が利益を多く生み出すでしょうか。
今この瞬間を見ているか、未来を見ているかによって、利益が反転するのです。

上場を目指し、上に立つ人間は、未来に利益を生む視点を持っていなければなりません。
当社が創業4年で上場できたのは、未来の利益を見据えて、「速さ」を追求した結果なのです。

第二部 ど素人集団での上場準備マネジメント
[講師] 株式会社識学 取締役 池浦 良祐 氏
◇管理部は全員上場未経験、上場を実現したポイントとは
識学通りにやっただけ

株式会社識学の1期目、管理部は私1人だけでした。
それも、上場準備に3年かかることも知らなくて、2期目に慌ててショートレビューをしたくらい、上場準備に関しては素人でした。
3期目になると管理部は9名にまで増えましたが、やはり全員とも上場の経験はありませんでした。

そんな管理部の体制で、なぜ株式会社識学が4期目にして上場できたのか?
それは、組織の動く「速さ」を、識学の実践によって向上させることができたからです。

「誤解」や「錯覚」による停滞を起こさせず、「速さ」を低下させないためのポイントは3つです。

(1)
誰の求めることを行うのか見誤らない
IPO審査において決定権を持つ人が求めていることのみに注力しました。「評価するのは誰?」を見誤ると、無駄な動きをしてしまい、組織の「速さ」は低下するためです。
(2)
求められることを「完全結果」で特定する
上場準備担当者は、決定権者から求められている状態をいかにずらさず組織内に作るかを優先すべきです。そのためには、求められていることを「完全結果」で特定しなければなりません。
(3)
他者からの評価(経験)を優先し、不足を認識する
「失敗をして何がダメかを早く知る」ことが組織の動く「速さ」を上げます。そのためには、失敗することをマネジメントサイドが容認し、証券会社・監査法人・監査役からの指摘は“歓迎”のスタンスでいるようにする必要があります。

誰の求めることを行うのか見誤らない
(セミナー資料から抜粋)

◇「ルールがあること、それを遵守させること=規律ある組織」がIPOを実現するための基本
ポイント以前に、識学理論の初期段階でお伝えする基本的な考え方がありました。
それは、「ルールは守るもの」という考え方です。

「あの人はいつも遅くまで頑張っているから、始業時間に少し遅刻しても許してあげて」なんて考え方は、絶対にしてはいけません。
これは例えば「信号無視しました。でも私は有名人なので許されますよね?」といったことがまかり通らないという感覚と同じです。

ルールは作った以上、守られなければ意味がありません。

そして、ルールがなければ、各々の自己判断が横行し、そのすり合わせがロスタイムとなるので、組織の動く「速さ」は低下していきます。
「ルールは守るもの」。これを全社員に認識させる必要があるのです。

◇「上場するために●●を準備する」では本質的な企業レベルの向上にはつながらない
上場準備をしていると、「上場するためにこれをやっている」という思考になりがちです。
本来は企業レベルを上げるための施策のはずなのに、いつのまにか上場が目的になってしまっているのです。

例えば、セキュリティに関する施策の場合。
「事故が発生しないように施策は行っている、仮に事故が発生しても守らないのが悪い・・・」というような思考で停止する組織では企業レベルの向上につながりません。

これは、「責任」に対する誤解や錯覚により、そういう状態となりやすいです。
識学の「責任」という理論を理解し、マネジメントサイドが実践すれば、自然と更なる打ち手を提案してくる組織になります。

当社では、「(事前の防止施策を行っていたのに)事故が起こった、でも、更なる事故を防止する施策は?または事故がおきても被害が最小限になるようにするには?」と考えPDCAを回すようにしていました。

識学を浸透することで、「ルールを守る」「企業レベルの基準を上げる」、そういった組織風土が醸成できていたために、社内に経験者不在の中、IPOを実現できたのではないかと思っています。

質疑応答
最後は質疑応答の時間が設けられ、ご来場者様からの質問に池浦氏が本音で回答してくださいました。
質問の一部を抜粋してご紹介します。

質問1.識学では、まず社長から識学の考え方を教えていくと思うが、その後メンバーに落としていくにはどうすればいいのか?
質問2.自分は部下の立場なので、上司に面と向かって識学を薦めにくい…。それでも明日からできる識学マネジメントを教えてほしい!
質問3.評価を「完全結果」にするため、基準を数値化するなど明確にする必要があると思うが、管理部門の評価は数値化するのが難しいのでは?

質問への回答が気になる方は、ぜひ株式会社識学の皆様に確認してみてくださいね。
ご参加者様のコメント
上場準備で活かせる話がいくつもあった」
「非常にシンプルな考え方でわかりやすかった」
自社のPDCAが遅いという課題があったため、非常に参考になった」
講師紹介
株式会社識学 代表取締役社長 安藤 広大 氏
株式会社識学 代表取締役社長 安藤 広大 氏
1979年、大阪府生まれ。
2002年、早稲田大学卒業。同年、株式会社NTTドコモ入社後、2006年ジェイコムホールディングス株式会社(現ライク株式会社)入社。
主要子会社のジェイコム株式会社(現ライクスタッフィング株式会社)で取締役営業副本部長等を歴任。
2013年、「識学」と出会い独立。
識学講師として数々の企業の業績アップに寄与。
2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。
株式会社識学 取締役 池浦 良祐 氏
株式会社識学 取締役 池浦 良祐 氏
大学卒業後、NTTドコモに新卒入社。
グループ企業の管理部門を経て一部上場の経営企画職へ転職。
その後ジャパネットたかたにて、コールセンター統括事業部やホールディングス体制強化に従事。
識学へは創業3ヶ月目から参画し営業以外の全部門を統括。この度の上場の陣頭指揮を執る。
株式会社識学 公式ホームページ
株式会社識学 公式ホームページ
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