IPO Forum フォローセミナー 第1回
IPOのための事業計画書作成

開催情報
2019年12月11日(水) 14:00~16:00/東京
セミナー概要
上場審査で求められる、「合理的な中期経営計画とは?」

IPO実現のための必須テーマ全8回 少人数徹底解説セミナー 今回は、第1回「IPOのための事業計画書作成」です。

上場審査では、事業計画書がしっかりとした根拠に基づいているかを判断するため、 申請直前期の年度計画に対する達成度、申請期の年度予算に対する達成度を月単位で求められます。 本セミナーでは、企業成長や上場審査に求められる事業計画書のつくり方のポイントを解説します。
セミナー総括
IPOのための事業計画書作成
[講師] 株式会社タスク
代表取締役社長
竹山 徹弥氏




◆ 審査で求められる、「合理的な」経営計画。計画の合理性は“過去”にあり。
未上場スタートアップ企業の経営者であれば、「経営計画は感覚で、頭の中にある」という方も多いのではないでしょうか。しかし、上場審査で求められる中期経営計画は、感覚を根拠にすることはできません。
では、どういった経営計画であれば、「合理的」なのでしょうか。
結論から言うと、計画の合理性は「過去」にあります。過去の変遷、実績に基づいた計画こそが、「合理的」な計画といえます。 たとえば、これまで前々年、前年と、3%ずつ売り上げが拡大している事業について、感覚で「今期は7%くらい拡大しそうだ」と思ったとしても、審査においてはその「感覚」は理解されません。 また経営計画の根拠となった基礎資料の提出を求められます。
経営計画は根拠となる、「過去の事業の変遷」、「現在の事業の特徴」を分析し、「今後の計画」を策定していく必要があります。
それぞれの記載ポイントについて解説します。

◆ 過去の事業の変遷 定性的な説明は定量データとリンクするように。
先述の通り、合理的な経営計画を示すために欠かせないのは、過年度の分析です。特に売り上げ伸び率などの定量データに着目しつつ、これまでの沿革を説明します。
過年度の確認事項として、下記のような項目を記載することで、どのような人がどのような目的で会社を作り、これまでどう成長してきたのかを説明することが必要です。

・会社設立の経緯
・代表取締役社長の詳細経歴
・沿革(特に最近5年間の事業の変遷)
・売上総利益分析

特に、沿革(特に最近5年間の事業の変遷)と、売上総利益分析は、詳細に記載することが望まれます。
沿革では、事業別、部門別、可能であれば品目別など、細かな単位で成長の軌跡を検証します。
沿革を記載する際に注意したいのは、売上総利益分析の定量データと紐づいた説明とすることです。売上総利益分析の、伸び率に着目し、伸び率が大きく変化(増減)したタイミングで、いったい何があったのか。どういうことが事業転機としてあったのかを記載します。 沿革と売上総利益分析は、表裏一体の関係で記載するのがよいです。

◆ 現在の事業の特徴 強みは経営戦略につながるものを。弱みには必ず対応策を。
過去の事業の変遷の次は、現在の企業について、以下のような分析を行います。
・事業の特徴
・製品及びサービスの特徴
・SWOT分析
・業界分析

「事業の特徴」では、過去の変遷を踏まえた現在の、ビジネスモデルの特徴を記載します。何が収益源線であるのかを明確にします。「製品及びサービスの特徴」では、ただ文章で説明するのでなく、写真や図を使い、できれば他社の差別化要因等も記載します。
専門的な技術やサービスの説明であっても、誰でも理解できる方法で説明することが望まれます。

自社の分析や業界分析では、他社との比較を行うことで、立ち位置がより明確になります。
特に、価格の面について、他社と比較して高いのか、安いのか、中くらいなのかという観点で、他社との差別化要因を踏まえて記載を行うことで、今後の計画(経営戦略)部分へとつながるストーリーを作ることができます。
比較を行う他社や業界は、自社の捉え方により決定してよいですが、あまりに飛躍した考え方は受け入れられません。
競合となる他社が、大企業の一事業部門であるケースなど、金額などの情報が公開されていない場合は、公開されている有価証券報告書の数値を基に推定した値を記載して問題ありません。

SWOT分析では、自社の強み・弱みといった内部環境分析と、機会・脅威といった外部環境分析を行います。この時、「強み」については、経営戦略につながるものを記載することが重要です。
「弱み」「脅威」については今後取り組むべき「課題」と置き換えるととらえやすいのではないでしょうか。課題については、対応策を必ずセットで記載し、こちらも今後の戦略につながるようにします。
現在についての説明や分析においても、過去の変遷と同じく、定性的な説明は必ず定量データ(数値)とセットで考えるようにすることが望ましいです。
すでに上場している同業他社について、有価証券報告書の情報などをもとにSWOT分析を行うことで、自社の強みや今後の戦略のヒントが見えてくることもあり、有効です。

◆ 今後の計画 新規事業は取扱注意!
今後の計画は、5フォース分析などの分析手法を踏まえて事業戦略を立案します。
5フォース分析は、マイケルポーターが提唱した業界分析手法です。「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の5つの要因が収益性を左右するというものです。これらの要因に対する対応策を考えることが、今後の戦略につながります。
参入障壁は高いのか?低いのか?特許等の有無は?仕入の金額が上がった場合に売価に転嫁できるか?など、それぞれの視点で記載します。


経営戦略についても、マイケルポーターの競争戦略類型にあてはめて説明することで理解しやすいものになります。
競合他社よりも低いコストを実現することにより、競争優位を確立する「コストリーダーシップ戦略」、競合企業とは異なる特徴を活かして差別化を実現することによって競争優位を確立する「差別化戦略」、特定の地域や市場などに集中する「集中戦略」などの視点から説明します。
現在の分析からの、つながりを意識していくことで、裏付けのある合理的な計画となります。こちらも、定量データを説明する定性的な戦略を考えていくことが重要なポイントです。

また、今後の計画を策定する上で注意が必要なのが新規事業です。合理的な計画のためには、過去と現在を踏まえたものである必要がありますが、新規事業には「過去」がありません。実績値のないものについて、今後の定量的な計画を合理的に策定することは大変困難です。
新規事業は、事業継続のために必要なものではありますが、見通しの立たないものを定量的な計画に組み入れてしまうことは、審査においては「蓋然性がない」とみなされてしまう危険があります。
新規事業についてばかり記載し、それを軸に計画を立ててしまうと、新規事業しか成長の要素がないと判断されてしまう可能性もあります。根拠のないものは予算としては組み入れないなど、記載の方法を考慮する必要があります。

◆ 中計は、上場後のIRにつながるもの!審査のために作るものと思うべからず。
計画策定を、根拠資料を用意しながら行うのは大変なことではありますが、上場後は、広く投資家向けに自社の事業についての説明や、計画を示していく必要があります。
経営計画は、上場後のIRにつながってゆくものです。また中期経営計画を合理的根拠に基づいて策定することで、上場後においても投資家保護の観点から中期経営計画を合理的かつ適切に運用できるようになります。 上場審査のためと思わず、上場後を見据えて作成していくことで、自社にとってもメリットのあるものとなるでしょう。

◆ このほかセミナーでは、下記のテーマについてお話がありました。
・定量的情報の策定アプローチ(あるべき自社のB/Sを知るには?上場準備コストの組み入れ)
・予算統制制度等手続き上のポイント(策定手順の記載、見直し、修正基準等)
・審査質問事例から考える事業計画のあり方
・各ステージにおける経営計画のコントロールポイントと、上場審査の観点の相関性及び上場のメリット等
・事業計画ひな型
・昨今のIPO動向とIPOスケジュール


◆ 当日は、多くの取締役の方、経営企画の方にお越しいただきました。
終了後にご回答いただいたアンケートでは、以下のようなコメントを多数いただきました。
・審査質問の視点から見た事業計画の作り方が分かりやすかった。
・中計、予算の重要性と大変さが実感できました。勉強になることばかりでした。
・経験に基づいたお話や具体的事例が多く理解しやすかった。

◆ 竹山氏によるコラムはこちら
経営計画の大きなビジョンは鳥の眼で!足元の予算は虫の眼で! 2つの眼でIPO後を見据え、 社長の想いを叶えることが重要!
講師紹介
株式会社タスク<br>代表取締役社長<br>竹山 徹弥氏
株式会社タスク
代表取締役社長
竹山 徹弥氏
1973年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。2003年に㈱タスクに参加し、2008年に取締役事業部長、2010年に常務取締役、2011年に専務取締役を経て2014年より現職。現在ではAIプロファイリング事業など新たな情報社会に向けたサービス展開を軸に7つの事業を統括する。著書に「経営者のためのIPOバイブル」等。
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「この1冊ですべてがわかる 経営者のためのIPOバイブル 第2版」(中央経済社)

著書「この1冊ですべてがわかる 経営者のためのIPOバイブル 第2版」(中央経済社)

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※掲載している情報は記事更新時点のものです。
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