経営計画の大きなビジョンは鳥の眼で!足元の予算は虫の眼で! 2つの眼でIPO後を見据え、 社長の想いを叶えることが重要!

POINT
・中期経営計画の策定は合理性が大事。
・予算統制は上場審査上、最重要項目。
IPO準備段階の中期経営計画策定での重要なポイントとは?合理的で実現可能性の高い中期経営計画策定がIPOへの第一歩。
2018年12月
更新:2022年6月30日
  • ※本コラムは、2018年12月時点の記事です。2022年4月4日より新市場区分(東京証券取引所:プライム・スタンダード・グロース)に再編されています。旧市場名は新市場名に読み替えてご覧ください。

1.中期経営計画策定の考え方

 IPOを目指される企業にとって「中期経営計画」はIPOの魂といっても過言ではないと思います。 上場されたあと「イヤー、想いは達成できると思っていたんだけどね…」は通用しません。 上場後大幅な業績の下方修正を行った企業の中には、株価が低迷し、投資家からは嘘つきと呼ばれ、従業員は優秀な人材から辞めていく等の非常事態へ転落したケースも散見されます。 最近の上場審査においても「中期経営計画の確からしさ」が担保できずに審査をクリアできなかった事例もでてきています。

 上場準備で行う中期経営計画の策定業務は取引所の審査をクリアするためのものではなく、上場後社長が自信をもって中期ビジョンを実践するための練習だと思ってください! マザーズ市場に上場し、成長された社長の多くが「経営計画の統制に自信がでた!」とコメントされています。 私どもプロの見解としては、上場準備でどこまで予算統制制度を会社のものとできるかでその後の成長スピードも変化すると考えています。

2.中期経営計画の策定にあたっての2つの要素

 さて、少し実務的な話しとなりますが、中期経営計画の策定にあたっては2つの大きな要素があります。
2-1.新規事業
(1)ここがPOINT
中期経営計画の審査は過去、現在から未来の合理性を導き出す!

(2)解説:合理性のない経営計画はNG
 多くの企業が企業成長を新規事業に求めます。しかしながら上場審査においては、根拠のない経営計画は認められません。 過去どのような契機でどのように事業が大きくなってきたかを基軸に現在のビジネスモデルや課題に未来の計画を照らし合わせて経営計画の合理性を審査します。 新しいことにネガティブなわけではありません。新規事業を計画に織り込んでいるのであれば、その実績や根拠がみたいということです。 この確認は主幹事証券会社のご担当により毎月実施されます。予定されていないM&Aなども同様です。上場後の資金使途にM&Aを対象とできないのも実現可能性の観点からです。
2-2.予算統制
(1)ここがPOINT
予算統制は上場審査の中で、最も重要な要素!

(2)解説:高すぎる予算はNG
 多くの企業では予算統制の手法として「高めの予算」の設定を行い、各営業担当にストレスをかけていきます。 実際の達成はうまくいけば100%を超えますが多くのパタ―ンでは90%位にとどまります。このような考え方が、上場審査ではNGとなります。 もちろん上振れだったら良いというわけではありませんが、少なくとも予算が下振れしている状況では上場審査をクリアすることは難しくなります。
 また、社内予算と外部予算の2重統制を取られるケースもありますが、きっちりと管理ができれば良いのですが、なかなか難しいのも現実です。 また、●●部門は対予算達成率90%で▲▲部門では120%で全体として100%をキープしたような場合も、各部門の予算と実績の差異について相当な確認が行われます。

3.審査質問事例

(1) ●●事業の▲▲サービスについて平成●年度~平成●年度では平均5%の成長を示していますが、ご提出いただいた中期経営計画では平均10%の伸び率を予定されています。その根拠となる考え方や算定にあたった資料をご提出ください。

(2) 同業他社と比較した場合の貴社の特徴、優位点、劣位点についてお教えください。

(3) ○○セグメントの貴社市場シェアは年々低下傾向にありますが、その要因と今後の対応についてお教えください。

(4) 直前期及び申請期の年度計画の策定に当たって作成した基礎資料をご提出ください。また中期経営計画の基礎資料についてもご提出ください。

(5) 中国を中心とした東南アジアへの展開に関して、販売見通しをご回答ください。

(6) 平成○○年○月度の実績を踏まえた今期の着地見込みを、貴社単体及び連結に関してご回答ください。

(7) Ⅱの部○○ページの「業界の状況」では貴社の属する業界はシュリンクするとされておりますが、そのような状況下で貴社の売上高が今後3年間で12倍まで伸びる根拠を具体的な資料に基づき合理的にご回答ください。
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執筆
株式会社タスク 代表取締役社長 竹山 徹弥氏
株式会社タスク 代表取締役社長 竹山 徹弥氏
1973年、アメリカ・ニューヨーク州生まれ。2003年に㈱タスクに参加し、2008年に取締役事業部長、2010年に常務取締役、2011年に専務取締役を経て2014年より現職。現在ではAIプロファイリング事業など新たな情報社会に向けたサービス展開を軸に7つの事業を統括する。著書に「経営者のためのIPOバイブル」等。
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