TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)2025年総括と今後の展望

このエントリーをはてなブックマークに追加
article148_visual

2025年は一般市場の新規上場が66社と大幅に減少した一方、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)は46社となり、初めて東証グロース市場(41社)を上回りました。新規上場企業数の推移と分析、トレンド・トピックを、J-Adviserの船井総合研究所が解説しました。

■執筆:株式会社船井総合研究所
IPO支援、J-Adviserサービスなら船井総合研究所

1.はじめに

2025年における新規上場企業数は東証グロース市場の上場維持基準の見直し等が影響し、一般市場が66社と前年86社から大幅に減少しました。グロース市場への新規上場企業数が前年64社から41社に大幅に減少したことが主な原因です。一方で、プロ投資家向け市場であるTOKYO PRO Market(東京プロマーケット)は46社が新規上場を果たしました。これは、前年実績の50社には及ばなかったものの東証グロース市場への新規上場企業数(41社)を初めて上回る結果となりました。
本コラムでは、急激に上場企業数が増えている東京プロマーケットの2025年の注目トピックなどを振り返ります。

2.TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)の新規上場企業数の推移

東京プロマーケットの新規上場企業数は、2022年が21社、2023年が32社、そして2024年が50社と右肩上がりで成長を続けてきました。2025年は46社となり、初めて東証グロース市場の新規上場企業数(41社)を上回る結果となりました。2025年の国内新規上場全体における東京プロマーケットのシェアは40%以上に達しており、IPO市場の伸びを牽引する存在となっています。この勢いは2026年に入っても衰えておらず、2026年3月末時点の新規上場社数は、東証グロース市場の4社に対し、東京プロマーケットは13社に達しています。

東京プロマーケットの新規上場企業数の推移
▲東京プロマーケットの新規上場企業数の推移
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

東京プロマーケットの新規上場企業数が増加している要因として、たとえば以下が挙げられます。

  • 東京プロマーケットの認知度向上
  • 東京プロマーケットから他市場へのステップアップ上場やファイナンス事例などの実績増加
  • 東証グロース市場の上場維持基準の見直し
  • J-Adviser数の増加
  • 一般市場から東京プロマーケットへの目標市場変更 など

3.TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)の新規上場企業分析

●業績

東京プロマーケットの新規上場企業の業績推移を見ると、2022年は不動産業などの大型上場により、売上高中央値が約25.6億円、経常利益中央値が約2億円と高水準でした。しかし、上場社数が急増した2023年は多様化が進み、売上高約14.4億円、経常利益約1.2億円へと縮小しました。2024年は上場数が50社に達し、売上高中央値は約23億円へと回復した一方で、経常利益は8,100万円となりました。
2025年は、売上高中央値が前年同様の約23億円を維持しつつ、その内訳は売上0円の創薬ベンチャーから200億円超の企業まで広範囲に及びました。また、経常利益の中央値は約9,200万円ですが、22億円の黒字から赤字企業まで分散しており、東京プロマーケットが先行投資型から安定企業まで多様なフェーズの企業を受け入れる市場であることが表れています。

東京プロマーケットの新規上場企業数の業績規模
▲東京プロマーケットの新規上場企業数の業績規模
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

※2025年IPOの株式会社エクシオホールディングスについては、ホールディングスとしての1期目を迎えていない時期にIPOを実現したため、実態ベースでの業績把握を目的として、株式会社エクシオジャパンの売上・経常利益の額を用いて計算しています。

●本社所在地

東京プロマーケットは東京以外に本社がある会社の上場割合が一般市場と比べて高い、という特徴がありました。しかし近年は東京が本社の企業が増え、2022年から2024年にかけては、その比率が約半数(44~47%)に増加しました。2025年は、東京本社企業は17社(37%)に減少し、一般市場へのIPOにおける東京本社企業の割合が約7割であることと比べると、依然として東京以外に本社がある会社の新規上場が多いのが特徴です。
また、2025年の特徴としては、大阪本社企業が前年の5社から10社(22%)へと倍増しました。加えて、長野県から初の東京プロマーケット上場企業(株式会社北條組)が誕生しました。

東京プロマーケットの新規上場企業の本社所在地
▲東京プロマーケットの新規上場企業の本社所在地
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

●設立年数

東京プロマーケットは、これまで社歴の長い企業の上場が多い市場として認識されてきました。
しかし、2025年は設立5年以下の企業の割合が前年の6%から13%へと上昇しており、社歴の長短による明確な偏りは必ずしも見られない状況に変化してきています。

東京プロマーケットの新規上場企業数の社歴
▲東京プロマーケットの新規上場企業数の社歴
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

●業種

サービス業が11社(約24%)で最も多く、次いで情報・通信業(約20%)、不動産業(約15%)、卸売業(約15%)と続きます。一般市場が情報・通信業21社(約32%)、サービス業18社(約27%)で約6割を占めていることと比較すると、多種多様な業種が上場していることがわかります。

東京プロマーケットの新規上場企業の業種
▲東京プロマーケットの新規上場企業の業種
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

●監査法人

大手監査法人による担当事例もありますが、東京プロマーケットでは準大手やその他の監査法人が担当するケースが多いことが特徴です。2025年は、大手監査法人の実績としてはPwC Japan有限責任監査法人(4社)と有限責任監査法人トーマツ(1社)であり全体の約9%にとどまります。一方、準大手監査法人である仰星監査法人・三優監査法人・東陽監査法人はそれぞれ1社で合計しても全体の約7%、そのほか残りの約84%は中小監査法人や新興監査法人です。中でも、監査法人コスモス(5社)、OAG監査法人(5社)、そして監査法人FRIQ(4社)などは存在感を強めています。

東京プロマーケットの新規上場企業の監査法人の実績
▲東京プロマーケットの新規上場企業の監査法人の実績
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

●J-Adviser

J-Adviserは年々増えており、2025年は、新たに株式会社タナベコンサルティングとブリッジコンサルティンググループ株式会社が加わり、21社となりました。単にJ-Adviser数が増えたということではなく、当社(船井総合研究所)のような経営コンサルティング会社や一般市場IPOの主幹事証券も担当している証券会社の参入という質の変化が見て取れます。

2025年におけるJ-Adviserの実績
▲2025年におけるJ-Adviserの実績
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

4.TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)のトレンド・トピック

●グロース市場との比較

2025年は、東京プロマーケットの新規上場社数が46社であり、初めて東証グロース市場の新規上場社数(41社)を上回りました。なお、2026年3月末時点の新規上場社数は、東証グロース市場の4社に対し、東京プロマーケットは13社と大幅な差が生まれております。

東京プロマーケットと東証グロース市場の新規上場企業数の比較
▲東京プロマーケットと東証グロース市場の新規上場企業数の比較
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

この背景には、東京プロマーケットの認知度向上やJ-Adviserの増加(21社)といった環境整備に加え、東証グロース市場の上場維持基準の見直しがあります。特に東証の「フォローアップ会議」では、上場後に高い成長を実現する企業が少数に留まる現状が問題視され、グロース市場の上場維持基準として「上場5年後に時価総額100億円以上」を求める新基準の適用(2030年より適用開始)が決定されました。成長性の実現がこれまで以上に厳しく問われる中、高い成長への具体策が未定の段階でグロース市場を目指すのは困難な状況にあります。そのため、まずは東京プロマーケットに上場して知名度や信用力を高めつつ、内部管理体制等を整備してから一般市場へ挑むという考えが広まりつつあると言えるでしょう。

参考)市場区分の見直しに関するフォローアップ

●ステップアップ上場

東京プロマーケットからのステップアップ上場は、2024年末時点で累計13社(東証6社、地方証券取引所7社)となりました。
そして2025は新たに4社(東証グロース1社、名証ネクスト2社、福証Q-Board1社)がステップアップ上場を果たし、累計実績は17社となりました。ステップアップ上場を果たした企業は、成長の足掛かりとして東京プロマーケットを活用したと言えるでしょう。
その中でも特筆すべき事例は、2025年に東証グロースへ市場変更した株式会社AlbaLinkです。同社の時価総額は、東京プロマーケット上場時には21億円でしたが、グロース市場上場時には約7倍の151億円に大幅に増大しました。

東京プロマーケットから一般市場へのステップアップ上場
▲東京プロマーケットから一般市場へのステップアップ上場
※2025年12月時点における東京証券取引所のデータを集計し、株式会社船井総合研究所にて作成

5.J-Adviser契約から1年未満の短期上場実現事例(アイテル株式会社)

2025年11月18日に上場したアイテル株式会社は、同年1月のJ-Adviser契約から約11か月という短期間で上場を実現しました。同社がもともと一般市場を目指して内部管理体制等を高い水準で整備していたことが、その背景にあります。
東京プロマーケットには企業の規模や成熟度に応じた柔軟な審査体制があり、一般市場への準備実績がある場合、目標市場を切り替えることで審査をスムーズに進めることが可能です。J-Adviserである船井総合研究所が支援した本件は、これまでの準備資産を活かし、効率的かつ迅速に上場を果たした「目標市場変更」の一つの形と言えます。

6.最後に

2025年は、東京プロマーケットの新規上場企業数が初めてグロース市場を上回り、上場戦略の初期段階において東京プロマーケットを活用するという選択肢が、実務レベルで定着した一年と言っても過言ではないでしょう。2024年12月に開設されたFukuoka PRO Marketに加え、2026年春には札幌証券取引所による新市場「Sapporo PRO Frontier Market」の開設も予定され、プロ向け市場は全国的な拡大局面を迎えます。
また今後は、東京プロマーケットにおいて資金調達や売買機会の提供といった市場機能の強化も議論される見通しです。
船井総合研究所への相談も急増しており、市場への関心度や期待感の高まりを感じています。上場をご検討の企業様は、早急な情報収集をお勧めします。

■TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)のJ-Adviserも一般市場のIPOコンサルも可能!

関連コラム

月2回程度、IPO準備に役立つ情報を配信!
IPO Compassメルマガ登録はこちらから!
メルマガ登録
新規CTA