

2025年12月に東証グロース市場へのIPOを果たした株式会社FUNDINNO。内部統制要件に対応できる「勘定奉行クラウド」などを導入した結果、監査法人からも評価されるガバナンス体制の構築につながりました。IPO準備を牽引したお二人にお話を伺いました。
この記事でわかること
- 株式会社FUNDINNOがIPO準備で直面した内部統制上の課題
- 奉行シリーズの導入を決断した要因
- 監査法人からも評価される内部統制を実現できた理由
- IPO準備企業に奉行シリーズを勧める理由
株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」など非上場株式の取り扱いを主軸とする株式会社FUNDINNO。同社はN-1期としてのスケジュールが固まり、上場に耐えうる体制構築が急務となりました。従来のシステムではID数に制限があり、データも分断されていたため、手入力作業が残存。月次決算には10営業日以上かかっていたといいます。
そこで同社は、内部統制要件に対応できる「勘定奉行クラウド」などを導入しました。その結果、月次決算は4〜5営業日へと短縮。監査法人からも評価されるガバナンス体制の構築につながっています。今回は、IPO準備を牽引した執行役員CAO コーポレート本部長の高木崇様、コーポレート本部 経理・財務部長の谷口幹樹様にお話を伺いました。
<導入前の課題>
- システムの分断による手入力作業が常態化し、月次決算に10営業日以上を要していた
- 会計ソフトのID数制限や承認フローの未整備により、IPOに求められる内部統制が構築できていなかった
- 科目・部門コードが不足しており、監査や審査で求められるデータの抽出・加工に多大な工数がかかっていた
<導入後の効果>
- ワークフローシステムなどとの自動連携により手作業が削減され、月次決算を4〜5営業日へと大幅に短縮できた
- 権限分離や仕訳と証憑の直接紐づけが実現し、監査法人からも評価されるガバナンス体制を確立できた
- 必要な数値をシステムから一括で抽出できるようになり、主幹事証券会社や監査法人への対応が円滑になった
【会社情報】
企業名:株式会社FUNDINNO
設立:2015年11月26日
社員数:130名(役員を除く)※2026年1月31日現在
市場:東京証券取引所 グロース市場(証券コード 462A)
上場日:2025年12月5日
事業内容:国内シェアNo.1の株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」を運営。未上場ベンチャー企業と投資家をつなぐプラットフォームを主軸に、クラウド経営管理ソフト「FUNDOOR」や、未上場株式を売買できるセカンダリーマーケットの提供も手がける。資金調達から経営支援、出口戦略の創出まで、スタートアップのエコシステムを包括的に支援している。
【インタビュイー紹介】
執行役員CAO コーポレート本部長 高木 崇 様
2024年2月に入社し、管理部門の責任者としてIPO準備に本格着手。主幹事証券会社および東京証券取引所(上場審査部)との窓口を担当し、上場に耐えうる仕組みの構築とガバナンス強化を牽引。
コーポレート本部 経理・財務部長 谷口 幹樹 様
証券会社や銀行などでの財務・管理会計の経験を活かし、同社の財務経理全般を統括。システム連携による決算業務の早期化や、開示書類の作成体制構築を推し進めた。
目次
1.IPO準備段階で顕在化した、旧会計システムの内部統制上の課題
-御社の事業内容についてお聞かせください。
高木様)弊社は、非上場株式の取り扱いを主軸に事業を展開しております。祖業である「FUNDINNO」では、ECF(株式投資型クラウドファンディング)を通じて、投資家と発行会社をつないでいます。加えて、特定投資家向け商品「FUNDINNO PLUS+」や、スタートアップ向けクラウド経営管理ソフト「FUNDOOR」も提供しています。スタートアップへのリスクマネー供給を促進し、日本経済の成長に貢献すること。それを社会的な使命として掲げ、事業を推進してまいりました。
-IPOに向けた準備は、どのような経緯で本格化したのでしょうか?
高木様)大きな転機となったのは、2024年8月に以前から付き合いのあった証券会社が主幹事証券会社に決定し、N-1期(上場前年度)への移行が一気に現実味を帯びたことです。その直前には「FUNDINNO PLUS+」の実績が伸長し、スタートアップ特有の先行投資による赤字から、収益化へ向かう道筋も見え始めていました。私が2024年2月に入社した時点では、IPOへの本格着手を検討しているフェーズでしたが、近い将来の準備開始を想定して、4月から管理体制の構築をスタートさせていました。結果としてその後、想定より早いスケジュールでN-1期へ突入する形となりましたが、段階的に基盤を整えていたこともあり、限られた期間の中でも上場審査に耐えうる体制を構築できたと考えています。
-IPO準備を本格化するにあたり、以前の会計システムにはどのような課題がありましたか?
谷口様)課題は、内部統制と業務効率の両面にありました。以前の会計ソフトは最大3IDまでしか利用できず、同時入力に制約がありました。加えて、申請と仕訳承認の権限を適切に分けられず、内部統制の観点でも不十分な状態だったのです。当時は、ワークフローや支払いも別々のシステムで運用していたため、データが分断されていました。そのため、伝票を確認しながら手入力する作業が多く残存しており、業務負荷は小さくありませんでした。
さらに、科目・部門・取引先コードを十分に設定できなかったことで、管理会計や開示書類の作成にも支障が出ていました。予実分析も限定的で、経営管理の精度を高めにくい状況だったのです。また、クラウド環境ではなかったことによる不便さもありました。社内ネットワークからしかログインできず、柔軟な業務対応が難しかったうえ、データ連携の処理にも時間を要したため、決算早期化への対応は容易ではありませんでした。
2.内部統制要件への対応と補助金の活用が、導入決定の後押しに
-複数のシステムを比較検討されたと伺っています。それぞれの評価をお聞かせください。
谷口様)当初は、他社のクラウド会計システムを有力候補として検討していました。理由は、当局へ定期提出する日々の貸借対照表(BS)を算出できる機能を備えているためです。ただ、要件定義書を作成し、検証を進めるなかで、経理担当者の立場から見ると操作画面に独特のクセがあり、扱いにくいという判断に至りました。
高木様)勘定奉行は、以前在籍していた企業で導入しており、当時から操作性の高さには好印象を持っていました。他システムも比較対象として検討していましたが、その流れで勘定奉行クラウドも候補に加えています。一方で、私自身には過去の経験から一定の懸念もありました。約10年前に奉行のクラウドシステムを利用した際、処理速度に課題を感じた記憶があったためです。
ただ、現在の勘定奉行クラウドを実際に確認すると、その印象は大きく変わりました。当時のイメージとは異なり、動作は非常に軽快で、画面も直感的に操作できました。誰でも迷わず使える操作性を高く評価し、導入を決めました。
-最終的に奉行シリーズの導入を決断された要因は何でしたか?
高木様)最大の決め手は、IPOに向けて求められるIT統制や内部統制の要件に十分対応できること、そして他システムと連携しながら業務の自動化を進められることでした。審査対応ではシステムの信頼性が重視されますが、奉行シリーズは監査法人からの評価も高く、導入時に大きな指摘を受けることもありませんでした。さらに、外部パートナーによる支援体制も整っており、短期間での円滑な移行を進めやすい点も後押しとなりました。
また、費用対効果の高さも重要な判断材料でした。IT導入補助金の活用提案も受け、実際に200万〜250万円ほどの補助を受けられました。必要としていた機能を満たしながら、コスト面でも十分に納得できたことが、導入の最終判断につながりました。
3.月次決算を大幅に早期化し、監査法人からも評価される内部統制を実現
-実際に奉行シリーズを導入されたことで、業務効率にはどのような変化がありましたか?
谷口様)もっとも大きな成果は、決算業務の大幅な早期化です。以前は月次決算の締めまでに10営業日以上かかっていましたが、現在は4〜5営業日で完了しています。ワークフローシステムと勘定奉行クラウドを連携させ、業務プロセス全体を見直した効果といえるでしょう。各部門が請求書を直接申請できる仕組みを整えたことで、経理部門は手入力中心の業務から確認業務へと役割をシフトできました。内部統制の強化と業務負担の軽減を、同時に実現できています。
-固定資産奉行クラウドも導入されていますが、その効果についてはいかがでしょうか。
高木様)会計データと固定資産データを自動連携できるようになり、手作業による突合作業は不要になりました。以前は会計ソフトと固定資産管理が分かれており、固定資産はExcelで別管理していたため、双方のデータを手動で照合する必要がありました。こうした運用には手間がかかるうえ、監査法人から管理方法について指摘を受ける場面もあったのです。奉行シリーズに統一したことで、データの正確性が高まり、経理担当者の負担も大きく軽減されました。
-内部統制やセキュリティの観点では、監査法人からどのような評価を受けましたか?
谷口様)高く評価されたのは、仕訳データと証憑を直接紐付けたうえで、システム内に保存できる機能です。監査法人からは「仕訳を確認すれば対象の証憑をすぐに閲覧できる点が優れている」との評価をいただきました。加えて、SOC1やSOC2報告書に対応していることも大きな強みです。上場企業に求められるセキュリティ水準を満たしている点は、安心材料になりました。
高木様)IPO準備で求められる厳格なセキュリティ要件を、自社で一から整備せずに済んだ点も重要でした。障害対応やバックアップ、パスワードポリシーの設定といったIT統制上の要件が、あらかじめシステム側で担保されています。そのため、監査法人からガバナンスやシステムの信頼性について指摘を受けることはありませんでした。安心して審査に臨めたことは、非常に大きかったです。
-サポート体制や、クラウドシステムとしての運用面についてはいかがでしょうか。
谷口様)電話ですぐに相談できるサポート体制を高く評価しています。他社システムでは、問い合わせ窓口が予約制で、回答まで時間を要することもありますが、OBCのコールセンターは連絡したその場で的確に対応してくれます。疑問が生じても業務を止めずに解決できる。この安心感は大きいですね。
高木様)サーバーの保守運用から完全に解放されたことも、クラウドならではの大きな変化です。オンプレミス環境を使っていたころは、サーバーの入れ替えや定期メンテナンス、障害対応に多くの手間と時間を割いていました。当時はそれらが手間ではなく、「当たり前」だと思っていました。しかし、現在はシステムが自動で更新され、安定稼働も確保されています。だからこそ、本来注力すべき経理業務や上場準備に集中できました。
4.事業成長を支えるシステムの拡張性と、IPO準備企業に奉行シリーズを勧める理由

-今後の事業展開や、実現したい社会のビジョンについてお聞かせください。
高木様)政府が掲げる「スタートアップ育成5か年計画」においても、リスクマネーの供給は、まだ十分とはいえない状況です。弊社は、非上場企業への資金供給をさらに活性化させ、日本経済の成長を後押しする存在でありたいと考えています。
現在の資金調達手法は、銀行融資やベンチャーキャピタルからの出資、そして一部企業に限られるIPOに偏っているのが実情です。そこで弊社は、上場を契機に認知をさらに高め、クラウドファンディングによる資金調達を「第3極」として定着させたいと考えております。発行会社と投資家をつなぎ、スタートアップを支える新たな仕組みを広げていくこと。その先に、より多くの企業が挑戦できる社会を実現したいと考えています。
-IPOを目指すなかでシステム選定に悩む企業へ向けて、奉行シリーズをお勧めする理由をお聞かせください。
高木様)IPO準備では、内部統制の構築と決算業務の早期化が中核的な課題になります。そうした課題を抱える企業にとって、奉行シリーズは非常に有力な選択肢です。システム移行や新たな運用体制の構築に不安があっても、外部パートナーの紹介を含む導入支援や導入後のサポート体制が整っているため、ガバナンス体制を着実に整備していけます。
谷口様)UI/UXに優れているので、使い勝手に優れています。加えて、他の会計ソフトからの移行や引き継ぎも進めやすく、導入時の負担を抑えやすい点も魅力でした。監査法人やIPOにかかわる関係者のあいだでの認知度と信頼性も高く、審査の過程で余計な懸念を招きにくいことも、安心して上場準備を進めるうえで大きな後押しになったと感じています。
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