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<奉行V ERPクラウド導入事例インタビュー>上場企業仕様で開発された奉行シリーズの早期導入で、IPO準備を着実に推進――公認会計士CFOのIPOシステム戦略

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■回答者:株式会社GRID
執行役員/CFO 公認会計士 小林 剛氏
執行役員/総務部 部長 藤原 拓氏

※回答者の役職・肩書は、取材時点(2025年11月)の情報です。
株式会社GRID ホームページ

「インフラと社会を、その先へ」をミッションに掲げ、電力、製造・運輸、都市・交通等の社会インフラ企業に対し、計画策定業務の現場オペレーションを最適化するためのAIエンジン及びシステム開発・運用保守を一気通貫で提供する株式会社GRID。2009年に再生エネルギー事業の会社として設立し、2014年にはAI開発事業に転換、2023年7月には東証グロース市場へのIPOを果たしています。
そんな同社がIPO準備中の2019年に導入したシステムが「奉行クラウド」です。IPOとその後のバックオフィスを支えるシステムとして奉行クラウドに何を期待し導入したのでしょうか。IPO準備そして上場後の同社のバックオフィスを共に支えてこられた同社の執行役員/CFO(公認会計士)の小林 剛氏と執行役員/総務部 部長の藤原 拓氏にお伺いしました。

導入製品:
勘定奉行V ERPクラウド
法定調書奉行iクラウド
奉行iクラウド HR DX Suite モデル1

※奉行クラウド HR DX Suiteとは、人事・労務・総務関連製品をまとめて提供するパッケージ商品の名称です。株式会社GRID様はHR DX Suiteで、給与奉行クラウド、総務人事奉行クラウド、奉行Edge 労務管理電子化クラウド、奉行Edge 給与明細電子化クラウド、奉行Edge 年末調整申告書クラウド、奉行Edge マイナンバークラウドの6製品をご利用されています。

1.なぜIPO準備の初期段階で奉行シリーズの導入を決断したのか

-IPOを実現されるまでの流れを時系列で教えてください。

藤原様)当社は2019年にIPO準備を開始し、IPOに向けて課題のあった当時の会計システムを勘定奉行にリプレイスしました。その後、2019年の終わりに労務デューデリジェンスを受け、2020年の始めに監査法人のショートレビューを受けました。そして2023年7月に、約3年半のIPO準備を経て、東証グロース市場に上場しました。

-IPOに向けたシステム導入はショートレビュー後が一般的です。なぜ早いタイミングで奉行シリーズの導入を決断されたのでしょうか。

藤原様)当時、IPO引受業務経験のある証券会社出身のメンバーがIPO実現に向けてジョインしていました。その担当者が当時の会計システムにおける内部統制上の課題を理解していたため、ショートレビューを待たずに内部統制に対応している勘定奉行にリプレイスしました。また、このタイミングで、給与奉行、人事奉行、マイナンバー、年末調整申告書、給与明細電子化などのHR系システムと法定調書奉行も導入しました。

株式会社GRID 執行役員/総務部 部長 藤原 拓氏
▲株式会社GRID 執行役員/総務部 部長 藤原 拓氏

2.IPO準備で直面した“内部統制”の壁と奉行シリーズの選定理由

-会計システムにおける内部統制上の課題とは何でしょうか?

小林様)承認機能がない、操作ログが取れないといった点です。また、入力形式が仕訳入力形式ではなく、「貸借が合わない」など、財務会計上ありえない事態も起こっていました。これではIPOを目指すうえで致命傷になりかねません。
私は元々監査法人で監査を担当していましたので、会計システムには発見的統制機能であるログ機能は必須であると考えています。たとえば、実際の監査手続きでは、権限マスタや仕訳の作成・修正・承認について、誰が・いつ・何をしたかをログで確認します。権限が勝手に誰かに変更されていることや、日ごろ承認をしないはずの社長が承認している伝票が存在したとしたら、明らかにおかしいですよね。こういった事態が起きてしまっても、ログがあればすぐに確認ができます。
勘定奉行ではログ機能はもちろん搭載されていますので重要な変更はすべてログで確認ができます。ログ機能以外にも、仕訳伝票を削除したい時には、必ず反対仕訳を作成する、などの防止的統制機能も搭載されています。実際に使ってみても、それらの機能の組みあわせで、不正が起こらないという安心感を持つことができました。
さらにこれらの内部統制対応機能が奉行シリーズすべてのグレードで搭載されており、上場企業への豊富な導入実績から上場後も使い続けられるという安心感も相まって、奉行シリーズへのリプレイスを決定しました。

3.成長スピードを支える上場企業仕様のシステム導入が鍵、“先手のシステム化戦略”

-IPO準備の早いタイミングで勘定奉行以外にも、幅広くシステムを導入した理由は何ですか?

小林様)IPO準備中は事業成長のスピードが速く、突然新規事業が立ち上がることなどもあります。さらに上場後は適時開示が求められます。スピーディな対応が求められる中、そのスピードについていける上場企業仕様のシステムでバックオフィスを固めておくことが大事だと考えたからです。その点、奉行シリーズは上場企業仕様で開発されたシステムであり、上場企業の豊富な導入実績もありましたので、安心して導入することができました。
IPO準備段階では、システムにコストをかけることをためらう経営者も多いと思います。右肩上がりの業績を求められるIPO前に、システム導入費用がかさむことを嫌がるのは当然です。しかし当社の場合は、IPO準備の初期段階で上場企業として今後求められるであろうシステムの導入を社長が決断してくれたおかげで、その後のシステム対応に煩わされることがありませんでした。今振り返ってみると、先手を打ったシステム導入は、IPO準備をスムーズに進めることに一役買ったと思っています。

株式会社GRID 執行役員/CFO 公認会計士 小林 剛氏
▲株式会社GRID 執行役員/CFO 公認会計士 小林 剛氏

4.導入後の変化とクラウド活用で実現した業務効率化

-機能性や操作性の面で、業務で活かすことができている点はありますか?

藤原様)労務管理の観点では、労務デューデリジェンスの結果に基づき、就業規則を全面改訂し、給与計算のルールを新しく構築しました。奉行では、規程に合わせた計算式(みなし残業代の単価割り戻し計算など)を細かく設定することができるため、新しいルールに合わせて難なく設定できました。
また、従業員の入社以降の労務手続きをすべてデジタル化することができ、非常に便利です。たとえば入社前に新入社員がスマホ等で提出した必要書類を奉行に取り込み、健康保険組合などの提出先に電子申請が可能です。

小林様)直感的で高い操作性により新入社員でも簡単に操作できています。
画面設計も実務に即していて、次に何をすればいいかが視覚的にわかります。実際に当社も勘定奉行の画面設計に従って利用することで、標準的な業務フローを自然と実現できました。
機能面では、帳簿の出力パターンの登録も非常に便利で、業務効率化につながっています。以前、大手のシステムを利用していた経理メンバーが、出力パターン登録機能が大手システムにはなかったとも言っていました。実務を理解しているからこその、かゆいところに手が届くシステムであると感じます。

-“クラウドならでは”の便利さやメリットはありましたか?

小林様)勘定奉行クラウドの専門家ライセンスを利用して、顧問税理士の先生に会計データを確認してもらっています。クラウドのため、最新データをリアルタイムで共有することができており、「●●の点は、監査法人とも確認をしてください」と先生からアドバイスをいただくこともあります。情報共有に時間をかけずに確認いただけるので、非常に便利です。
日々の業務で言うと、銀行の入出金データが自動でダウンロードされており、ワンクリックで自動的に仕訳が作成される点も便利です。

-そのほか、OBCならではの安心感はありますか?

藤原様)サポートセンターをよく利用しています。こちらの画面をサポートセンターのエージェントの方が一緒に見てくれて、操作方法を教えてくれるリモートサポートが大変便利ですね。またHR系は法改正が多いので最新情報のキャッチアップが大変なのですが、OBCでは法改正セミナーを開催してくれるので助かっています。

5.IPO準備中も、上場後も、監査法人からの指摘ゼロ、奉行シリーズの安心感

-監査法人から奉行シリーズについて指摘を受けたことはありますか?

小林様)IPO準備中も上場後の今も、奉行シリーズについて一度も指摘されたことはありません。監査法人から見て、奉行シリーズは指摘することがないシステムであり、「課題としてあがってこないこと自体が素晴らしい」のだと評価しています。
公認会計士でもある私の持論ですが、財務会計システムは企業の根幹を支える財務情報を管理する重要なシステムですので、アグレッシブである必要はありません。よく会計システム上で管理会計も行いたいと考える方がいらっしゃるのですが、システムの基盤を考える上で財務会計と管理会計は切り離して考えたほうが良いと思っています。財務会計システムはあくまでも揺るがない「安心・安全」なシステムであることが重要です。その点、実務の目線で充実した機能を持ちつつ、必要以上にアグレッシブにならずに守りをしっかり固められる奉行シリーズが最適であると感じています。

株式会社GRID 執行役員/CFO 公認会計士 小林 剛氏

6.今後の展望──奉行クラウドを基盤とした管理会計の高度化

-奉行クラウドを基盤として、今後どのような進化を目指していますか?

小林様)管理会計の高度化ですね。勘定奉行で管理している実績数値をAPIで管理会計システム等に連携し、実績と見通しを掛け合わせた様々な数字を即時に把握したいと考えています。これが実現できれば、多面的かつ迅速に経営状況を分析することができ、日頃の経営判断や戦略に活かすことができます。
私が過去に所属していた大手企業でも管理会計は行っていましたが、当時はAPIという発想がなかったので、Excelのバケツリレーで必要な数値を各部署に埋めてもらい管理会計のための資料を作成していました。その結果、私の手元に戻ってきたときには数値がおかしくなっている、ということも・・・。Excelで管理会計を実現されている企業もたくさんありますが、やはり多くの企業は大変な労力を要していますし、システム化のメリットは大きいと思います。
勘定奉行から信頼できる実績の数値をAPIで管理会計システムに連携させることで、管理会計の質が格段に向上し、近い将来、経営管理の高度化が実現できると確信しています。

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