コロナ後の台湾、現状と今後
~現法の企業体制維持 及び ガバナンス体制強化~

2020年11月11日
セミナー概要
コロナを経て落ち着きを取り戻した台湾。しかし、台湾現地法人の売上・キャッシュは大幅に減り、2020年10月時点でも渡航制限が解除されていない状況で、今年度の内部監査は見送らざるを得ない企業が少なくない。
先が見通せない状況で、日本本社と台湾現地法人に今、求められているものは何か?
本セミナーでは、世界各国に直営拠点をもつ会計のプロフェッショナル・フェアコンサルティンググループがこれからの台湾現法の企業活動維持及びガバナンス体制構築手法を“アウトソーシング”や“会計システム統合”で解決した事例で解説する。 (セミナー案内状ダウンロード
セミナー総括

1.台湾における新型コロナウイルスの状況

2020年1月21日、武漢から帰国した台湾人女性の新型コロナウイルスの感染が初めて確認され、3月19日には台湾渡航が禁止されました。
台湾政府主導のコロナ対策が功を奏し、4月13日以降から11月現在まで、域内感染ゼロの状態が続いています。
現在は、日常生活におけるコロナウイルスの影響はほぼ皆無であり、安定した状態が続いています。しかし、以前のように日本人がノービザで渡航することはできません。渡航するためには、事前に日本でビザを取得し入境後14日間の隔離措置が必要です。出張をともなうビジネスの影響は大きいと言えます。

台湾におけるコロナウイルスの状況
▲台湾におけるコロナウイルスの状況

2.台湾子会社を持つ日系企業からの相談に見る現状と課題

台湾に子会社を持つ日系企業は現在どのような状況なのか、当社にいただくお問い合わせ内容から現状と課題を解説します。

1つ目は、「営業税・法人税の納税延期・分割納付申請」
コロナ禍で売り上げが減少したことにより、資金繰りが圧迫されている企業が増えています。政府としては資金繰りの支援策として納税延期等を認めました。申請条件がさほど厳しくなかったことから数多く申請されています。

2つ目は「新規進出・駐在手続き、入国可否」です。
コロナ禍においても、台湾への進出意欲は高く、たくさんのご相談をいただいています。法人設立の登記手続きは書類のやり取りのみで可能なため、渡航する必要はありません。ただし、日本のメガバンク以外の台湾ローカルの銀行で資本金口座の開設が必要な場合は、必ず支店で代表者の面談、面前自署が必要です。つまり台湾に渡航し14日間の隔離措置を受ける必要があるのですが、そもそも隔離用ホテルの予約が取れないという問題が起こっています。

法人設立は渡航せずに可能。ただし口座開設のために渡航が必要なケースも。
▲法人設立は渡航せずに可能。ただし口座開設のために渡航が必要なケースも。

3つ目は「駐在員帰国時の所得税の取り扱い」です。
3月19日以前に台湾に出張等で渡航し、日本に帰国できなくなった方がそのまま台湾子会社で仕事をすることになったケースが多く見受けられました。台湾子会社で仕事をしていても、日本本社が給与を支給した場合には、日本本社は台湾子会社に代わりに支払った給与を請求することができます。その場合、台湾で個人所得税の源泉徴収が発生してしまいます。しかし、日本を出国したときには一時的な出張の予定だったため、当然非居住者設定などをしていませんので、日本でも源泉徴収がされてしまい、日台で二重課税となってしまいます。

対応としては、日本で外国税額控除を受ける、もしくは租税協定の適用申請をするといった方法がありますが、それでも解消できない場合は二重課税になってしまった分を会社が負担するか検討が必要です。

4つ目は「撤退の検討」です。
コロナ禍による業績悪化の影響もあり、相談件数は増えています。
清算には通常約1年から 1 年半程度の期間を要しますが、渡航せずに書類のやり取りで清算することができます。

最後に5つ目は「海外子会社の決算」です。
これまでは本社から出張で決算締め作業をし、実地棚卸を行っていたという企業が、今年はリモートで対応することになりました。しかし、言語やコミュニケーションの問題に直面したため、当社が子会社の代わりに決算締めや実地棚卸をするケースが増えています。

3.新型コロナウイルスがもたらす環境変化にどう対応すべきか

上記、5つのお問い合わせから、台湾子会社が抱える2つの課題が見えてきます。

①売上減少に伴う資金繰り
②グループ管理の課題

台湾での新型コロナウイルスの影響は他国に比べて大きくはありませんが、ビジネス上のインパクトは決して小さくありません。 売上減少で資金繰りに頭を悩ませる企業が増えており、これまでは出張で対応してきた子会社管理がままならない状態が続いています。
しかし、コロナ禍が始まってまもなく1年が経とうとしている今、来年度に向けて子会社管理体制の整備に動き出す企業が増えています。
整備のための手段として注目されているのが、以下の2つです。

1.外部リソースの活用(アウトソーシング)
2.ボーダレスなDX(デジタルトランスフォーメーション)

コロナ禍の前から当社には内部監査のアウトソーシング依頼が増えていました。現地の日本人会計士による内部監査によって、コストをかけずにより正確な監査が実現できるからです。 コロナ禍になり、人の移動が制限される中、内部監査だけでなく、管理系業務のアウトソーシングのニーズは右肩上がりで増えています。

また、これまでは二の足を踏んでいた全世界の会計システムを統合する企業も増えています。
国内の非主要子会社や海外子会社との会計データのやり取りは電子メールやExcel頼みのため、タイムリーに業績が把握できない、決算時には集計に時間がかかるなどの問題が慢性化していました。 コロナ禍が始まってすぐの3月決算が、欧米企業に比べて大幅に遅れた原因も、この“子会社管理体制の整備不足”です。

日本企業は欧米企業ほど会計システムの統合が進んでいない
▲日本企業は欧米企業ほど会計システムの統合が進んでいない

4.台湾進出(アウトソーシング)事例

台湾におけるアウトソーシング事例をご紹介します。

コロナ禍にも関わらず、台湾進出のご相談を数多く受けています。しかし、現在台湾への出張は可能なものの、14日間の隔離措置や隔離用ホテルが予約できない等の問題があり、渡航が難しい状況です。 また口座開設の面談のために台湾に渡航せざるを得ない場合は、ビザを取得し隔離措置を経て入境しますが、そのビザ取得の書類が頻繁に変わるなど、日本本社からの対応が困難です。

当社では設立を急ぐ企業に対しては、バーチャルオフィスをご用意し、登記手続きの支援を行っています。 また、口座開設の際にはビザ取得のための支援も行っています。アウトソーシングを活用することで、費用や日数、人的コストをかけずに設立が可能です。

台湾現法設立・ビザ取得(アウトソーシング)事例
▲台湾現法設立・ビザ取得(アウトソーシング)事例

5.会計システム統合によるDX(デジタルトランスフォーメーション)事例

前述のように、ここ最近会計システムを統合する企業が増えています。
これまでは海外子会社用会計システムというと欧米系のERPシステムが主流だったため、コストが高い、現地で使いこなせない、導入に時間がかかる等の問題がありました。 しかし、クラウド時代になりリーズナブルな海外子会社用会計システムが登場しています。その一つが「勘定奉行クラウドGlobal Edition」(以降、勘定奉行クラウドGE)です。
勘定奉行クラウドGlobal Editionの6つの導入メリットをご紹介します。

<6つの導入メリット>

① 日本語で直接レポーティング
ベトナム語など日本人には難解な言語も自動翻訳。摘要やメモ欄も理解でき会計データの詳細を把握可能。
② 多彩な管理軸
これまでの海外子会社用システムでは、勘定科目マスタ以外の管理項目が存在しなかったため、すべてを勘定科目で表現し、勘定科目数が膨大になっていた。 勘定奉行クラウドGEは、取引先別・店舗(部門)別と言った多彩な管理軸で、本社及び子会社でも作業効率が大幅に改善。また債権回収状況も把握可能に。
③ 直感的でわかりやすいGUI
勘定奉行クラウドGlobal Editionは現在20か国以上に導入されているが、現地スタッフも半日のトレーニングで直感的に操作可能。
④ 拡張性
連結会計システムや現地の税務システムとも連携が可能。
⑤ セキュリティ
Microsoft Azureを採用。世界トップレベルのセキュリティを実現。採用に当たり、情報システム部門等社内の理解も得やすい。
⑥ 短期間でリーズナブルな導入・展開
導入にかかる期間は1社あたり1~2か月。現地に渡航も不要。短期間・低コストでの導入を実現。


勘定奉行クラウドGlobal Edition導入効果
▲勘定奉行クラウドGlobal Edition導入効果

コロナ禍を機に、海外子会社管理の再整備が求められていますが、それは言い換えると生産性向上とデジタルトランスフォーメーションを同時に実現することでもあります。 人の移動が制限されることと相反して、データの移動は加速するこの時代、海外子会社管理は現地アウトソーシングの活用と、デジタルトランスフォーメーションが必須なのではないでしょうか。


※本イベントレポートの内容は2020年11月11日時点の情報です。最新情報はフェアコンサルティングまでお問い合わせください。

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IPOを目指す企業の海外進出


講師紹介
フェアコンサルティグ 台湾<br>坂下 幸紘氏
フェアコンサルティグ 台湾
坂下 幸紘氏
大学卒業後、国内大手メーカーにて約10年にわたり、工場での固定資産管理・原価管理を中心とした工場会計、子会社への内部監査・経理指導、本社での予算業務・経営分析などの管理会計を中心に担当してきた。 現在フェアコンサルティングでは、前職の経験を生かしながら日系企業の台湾進出サポートや進出後の財務・会計・税務面での支援業務を行っている。
株式会社フェアコンサルティング 玉村 健氏
株式会社フェアコンサルティング 玉村 健氏
大手外資系コンサルティングファームを経て、日本トップシェアの連結会計システムベンダーで製品企画や中西日本地域コンサルティング部門責任者として従事。 フェアコンサルティングでは、日本企業にグローバルソリューションを提案する部門の責任者を務めるとともに、 システムソリューション事業責任者としてグループマネジメントシステムやクラウド型グローバル会計システムのソリューション提供を行っている。
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