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管理会計と制度会計の違いとは?2つの会計の概要と円滑化のポイント

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企業会計は、「管理会計」と「財務会計」の2つに大別されます。財務会計は、企業の財政状態を外部に報告するためのものであり、そのうち会社法や金融商品取引法などの法律に基づくものを「制度会計」と呼びます。管理会計と制度会計は目的も手法も異なるため、適切な経営管理と税務処理を行うためにも正確な理解が必要です。
そこで本記事では、経営判断の材料となる管理会計と、法的ルールに則って作成される制度会計の違いや特徴、さらには業務効率化に役立つ会計システムの活用方法について解説します。

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目次

管理会計と制度会計の違い

企業経営において、会計情報は重要な役割を果たしています。企業会計は目的や活用の場面に応じて「管理会計」と「制度会計」に大別され、それぞれが異なる機能を持つ点が特徴です。両者の違いを正しく理解することは、業務効率化や経営基盤の強化につながります。
ここでは、管理会計と制度会計の違いについて解説します。

●目的の違い(社内向けor社外向け)

管理会計は、社内で経営判断を行う際に活用される会計手法です。そのため、主な目的は、経営者が事業の方向性を判断するために必要な情報を社内向けに提供することにあります。たとえば、部門別の収益性や資金繰り、コスト構造などを可視化し、無駄な支出の削減や、利益率向上に向けた対策を立てる際に役立ちます。

一方の制度会計は、税務署や銀行、投資家、株主といった外部のステークホルダーに向けて、経営状況を明確に示すことを目的とした会計です。企業には決算書や財務諸表を作成し、公正かつ客観的な情報を提供する責任があります。これらの情報は、ステークホルダーの判断材料となるため、制度会計には透明性と正確性が強く求められます。

●規制する関連法律の有無

管理会計は、法律や会計基準に基づく運用義務がない会計手法です。会計期間や帳票形式に関する制約もなく、各社が目的に応じて自由に設計・運用できます。任意に実施することで、経営判断に必要な情報を柔軟に抽出可能な点が特徴といえるでしょう。

一方の制度会計は、会社法や金融商品取引法、法人税法などの法令に基づいて実施されるものです。会計期間は1年・半年・四半期などと定められており、帳簿や報告書の作成に際しては公認会計基準や処理ルールに従う必要があります。企業の外部に向けて正確かつ公平な情報を開示するため、厳密な運用が求められる点も特徴です。

管理会計の基礎知識

企業の経営戦略を立てるうえで、管理会計の知識は欠かせません。ここでは、主に社内での意思決定に活用される管理会計について、制度会計との違いを踏まえながら、定義・種類・メリットについて解説します。

●管理会計とは?

管理会計とは、経営者の意思決定に必要な情報を提供するための、社内向けの会計手法です。財務状態や収益性、コスト構造などを数値で表すことで、自社の会計状況を可視化し、経営判断の材料とすることができます。制度会計と異なり、法的な形式に縛られず、経営課題に応じて柔軟に活用できる点が大きな特徴です。

●管理会計の種類

管理会計にはさまざまな手法があり、企業の目的や課題に応じて使い分けられます。代表的なものに、予算と実績の差を分析する「予実管理」、資金の流れを可視化する「資金繰り管理」、コストを把握する「原価管理」、そして経営の全体像を掴む「経営分析」があります。

・予実管理

予実管理とは、設定した予算と実際の実績を比較し、その差を分析して経営に反映させる管理手法です。ここでの予算とは売上やコストなどの目標値を指し、実績との差異が生じた場合には、その原因を洗い出し、必要な対応策を講じます。この管理手法を継続することで、無駄な支出の抑制や収益性の改善を図ることができ、事業計画の見直しや戦略立案の精度向上にもつながります。

・資金繰り管理

資金繰り管理とは、現金の過不足を把握するために、企業の入出金の流れを可視化する管理手法です。日々の売上入金や仕入れ代金、人件費などの支出を明確に管理することで、将来的な資金不足のリスクを早期に察知できます。安定した経営を維持するためには、資金繰りの可視化と継続的なチェックが欠かせません。資金がショートする前に、金融機関への融資相談や支払いスケジュールの調整などの対策を取れる点がこの管理手法の大きなメリットです。

・原価管理

原価管理とは、企業活動において発生するさまざまなコストを把握し、無駄を削減するための管理手法です。対象となる原価には、製品の製造に必要な材料費、作業に従事する従業員に支払う労務費、プロジェクト遂行や事業運営に伴う経費などが含まれます。原価管理によって、事前に設定した目標原価と実際の原価の差異を把握・分析し要因を特定したうえで、改善策を講じることが重要です。原価管理を徹底することで、利益率の向上や価格戦略の見直しにつながります。

・経営分析

経営分析とは、決算書や財務諸表をはじめ、競合他社の業績データや市場動向などの外部情報を活用して、自社の経営状況を多角的に評価する手法です。売上や利益の推移、資産・負債の構成などを示した財務指標に基づき、経営の健全性や成長性を明らかにしていきます。ここで得られた分析結果は、次期の事業計画や投資判断、組織改革などにも反映されるため、経営戦略の立案に欠かせない基礎資料であるといえます。

● 管理会計のメリット

管理会計は、経営者の意思決定を支える手段として有効です。情報の可視化によって経営判断の質が向上するほか、部門ごとの損益把握によって従業員の意識改革にもつながります。

・経営判断に有益な情報が得られる

管理会計では、経営に必要な情報が可視化されるため、データに基づいた意思決定が可能です。経営者は状況に応じた予算計画や事業計画を立てることで、無駄なコストを抑え、重点分野への投資を実行できます。こうした計画に基づいた資源の配分は、経営の効率化を促進するとともに、戦略の実行力を高めることにもつながるでしょう。

・従業員の意識向上を見込める

管理会計を導入すれば、部署や個人単位での損益状況をより精緻に把握できるようになります。数値に基づいた評価制度を構築すれば、従業員一人ひとりのコスト意識が高まり、日々の業務に対する主体性や責任感も向上するでしょう。こうした取り組みは、モチベーションの向上だけでなく、チーム全体の生産性や組織全体の業績改善にもつながります。

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制度会計の基礎知識

制度会計は、財務会計のうち、法律に基づいて運用される会計手法です。企業の財務状況や経営成績を、ステークホルダーに正確かつ公正に報告する役割を担っています。ここでは、制度会計の基本的な位置づけと、関連する主要な法律について解説します。

●制度会計とは?

制度会計は、財務会計の一部として位置づけられています。財務会計は、企業の財務状況や経営成績をステークホルダーに報告することを目的とする会計手法です。このうち、会社法や金融商品取引法、法人税法などに基づき、法律上求められる形式で作成・開示されるものが制度会計にあたります。制度会計によって法的枠組みに沿った正確かつ公正な情報を開示することで、ステークホルダーの適切な判断に貢献できます。

●制度会計に関連する主な法律

制度会計は、会社法や金融商品取引法、法人税法など、さまざまな法律に基づいて運用されます。各法律が企業による財務諸表の作成や情報開示を定めており、制度会計の実務に大きな影響を与えているといえます。

・会社法

会社法は、企業の設立や運営、組織構造など、会社に関する基本的な仕組みを定めた法律です。この法律では、株式会社に対して貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書といった財務諸表の作成を義務付けています。また、これらの財務諸表は定時株主総会で報告する必要があります。会社法に基づく会計は、ステークホルダーに対して企業の経営状況を正確かつ公正に開示する役割を担っています。

・法人税法

法人税法は、法人の所得に対する税金の計算方法や申告手続き、納付方法などを定めた法律です。この法律では、企業の財産や損益の状況を明らかにするため、課税所得を算定し、決算を確定することを規定しています。法人税法の目的は、企業間における課税の公平性を確保することにあり、企業には法的要件に沿った正確な会計処理と税務申告が求められます。

・金融商品取引法

金融商品取引法は、経済の健全な発展と投資家保護を目的として、金融商品の取引ルールを定めた法律です。特に上場企業に対しては、投資家に対する適切な情報開示のために、有価証券報告書などの作成・提出を義務付けています。金融商品取引法による情報開示の徹底は、資本市場全体の透明性と信頼性向上のためにも重要です。

●制度会計の作成で従うべき「企業会計原則」

制度会計を行ううえでは、「企業会計原則」という基本ルールに従う必要があります。この原則は、財務情報の信頼性や比較可能性を高め、企業の経営状況を正確に示すために不可欠とされています。

・真実性の原則

企業の財政状態や経営成績について、真実を表示することを求める原則です。会計処理においては、恣意的な操作を排除し、客観的で検証可能な情報を提示する必要があります。たとえば、収益や費用の認識の意図的な先送りや損失を隠すような処理は認められません。財務諸表を利用するステークホルダーに対して、信頼性の高い情報を提供することが、この原則の目的です。

・正規の簿記の原則

一般に公正妥当と認められる簿記基準に従い、正確かつ体系的に会計帳簿を作成するという原則です。取引の発生から記録、集計、財務諸表作成に至るまで、一貫性と整合性をもって処理することが求められます。取引記録に漏れや誤りがあると財務諸表の正確性に重大な影響を及ぼすため、日々の正確な記帳と記録管理が欠かせません。

・資本取引・損益取引区分の原則

資本の増減に関する取引と企業活動に伴う利益や損失の取引を、明確に区分して処理することを求める原則です。増資による資金調達と営業活動による収益を混同して記録すると、財務諸表の正確な分析が困難になります。そのため、両者を厳格に区別して記録することで、企業の財政状態と経営成績を適正に評価できます。

・明瞭性の原則

ステークホルダーが財務諸表を容易に理解できるよう、明確かつわかりやすい形で表示するという原則です。複雑な取引や事象であっても、内容に応じてわかりやすく分類し、情報を読み取りやすいよう整理することが求められます。たとえば、項目名や注記を明示することで、財務諸表を読む側が正確に内容を把握でき、意思決定を行いやすくなります。

・継続性の原則

毎期同じ会計処理の方法や基準を適用する原則です。たとえば、減価償却方法や棚卸資産の評価方法を会計期間ごとに変更すると、期間同士の比較が困難になり、財務情報の信頼性が損なわれます。これを避けるため、一度採用した会計方針は原則として継続することが求められ、やむを得ず変更する場合には理由や影響の明示が必要です。

・保守主義の原則

将来にわたる不確実な事象に備え、利益の過大計上を避け、損失の可能性を重視して慎重に会計処理する原則です。具体的には、売上の未確定分は計上を控え、将来発生する可能性のある損失は早期に見積もって反映させる姿勢が求められます。この原則に従うことで、財務諸表の安全性や信用性を高めることができます。

・単一性の原則

財務諸表は、利用目的にかかわらず、すべて単一の会計方針に基づいて作成するという原則です。たとえば、税務申告用と株主向け報告用で異なる会計処理を行うと、情報の整合性が損なわれ、誤解や混乱を招くおそれがあります。ステークホルダーに対して一貫した財務情報を提供するためにも、この原則の遵守は重要です。

●管理会計や制度会計をスムーズに行うポイント

管理会計や制度会計を円滑に運用するためには、日常の経理業務を効率化し、正確な数値を迅速に把握できる体制を整えることが重要です。特に、入力・集計・帳票作成といった作業の手間やミスを減らすことが、制度会計の信頼性や管理会計の分析精度を高めるポイントになります。
この課題を解決する手段の一つが、管理会計と制度会計の双方に対応した会計システムの活用です。
たとえば「勘定奉行iクラウド」では、以下のような機能を通じて、両会計のスムーズな実行を支援します。

  • 制度会計帳票に加え、管理会計用の帳票作成に対応
  • 管理会計用の自由な科目体系・部門体系を設定できるため、自社の視点での分析が可能
  • 予算実績管理により、目標との乖離をタイムリーに把握
  • 各種配賦基準に基づき共通費を自動配賦し、部門別損益を効率的に算出

これらの機能により、煩雑な作業を軽減しつつ、信頼性の高い会計データを経営判断に活かせる環境を整えることができます。

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管理会計や制度会計に関するよくある質問

管理会計や制度会計に関しては、実務を進める中で疑問が生じることも少なくありません。ここでは、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。基本的なポイントを押さえておくことで、実務をよりスムーズに進める助けとなるでしょう。

財務会計と制度会計の違いは?

財務会計は、企業の財政状態や経営成績を、外部のステークホルダーに報告することを目的とした会計です。企業活動の成果を第三者に対して適切に伝える必要があるため、統一されたルールに基づいて情報を開示します。
この財務会計のうち、会社法や金融商品取引法、法人税法といった法律に基づいて実施されるものが制度会計です。制度会計では、法令に沿った正確な情報開示とコンプライアンス遵守、内部管理の強化が求められます。財務会計の一種である制度会計は、より厳格な法的枠組みに則った運用を行う点が特徴です。

管理会計や制度会計を英語で何と言う?

管理会計は英語で「Management Accounting」と表現されます。「Management」は、経営管理のために情報を収集・活用する性質を表しています。一方、制度会計は「Financial Accounting」と呼ばれます。「Financial」は、企業の財務情報を扱うことを意味しており、外部への財務報告を目的とした会計であることを意味します。

管理会計に簿記は必要?

管理会計を正確に行うにあたって、簿記の知識は非常に有益です。簿記とは、企業活動に伴う取引を記録・計算・整理する技術であり、会計情報の土台を形成するものです。会計情報を簿記によって正確に取り扱うことで、信頼できるデータとして経営判断に活かすことができます。近年では会計ソフトの普及により、基礎的な簿記知識のみで管理会計業務を進められる場面が増えていますが、正確な情報活用のためには簿記についての理解が依然として重要です。

管理会計と制度会計を理解し、経営効率化を実現しよう

管理会計と制度会計は、それぞれ異なる目的と役割を持ちつつ、いずれも企業経営を支える重要な仕組みです。本記事で解説した内容を踏まえ、両者を正しく運用することが、迅速な経営判断と健全な企業成長につながります。
管理会計と制度会計を効率よく運用するためには、特に会計業務の正確性とスピードが欠かせません。そこで、煩雑になりがちな作業を支援するツールとして、会計システムの導入は有力な選択肢となるでしょう。

管理会計と制度会計の両方に対応できる柔軟性と即時性を備えた会計システムは、幅広い企業で活用されています。 そのなかでもクラウド会計ソフトは、自社にサーバーを設置する必要がないという手軽さが魅力です。業務の面では仕訳入力から財務諸表作成までを効率化し、正確性の向上やヒューマンエラーの軽減に寄与します。リアルタイムでの情報共有や運用コストの最適化といったメリットも備えており、管理会計・制度会計の双方を支える手段として、中小企業にも導入しやすいといえるでしょう。
経営効率化に向けて、ぜひ最適な会計ソリューションの活用をご検討ください。

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