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新潟中央社労士事務所所長新島 哲
中小企業の社長に賃上げの話題を振って、「賃上げっていいよね」というリアクションはまずないと思います。では、賃上げをしたくないのか聞いてみると、そこは違うようです。賃上げをしたくないのではなく「無理のない賃上げの仕方がわからない」という方が多いようです。そこで、今回は会社に〝無理のない賃上げ方法″をお伝えします。
目次
1 社員に説明できる仕組みを作る
「業績が上がれば賃上げをする。」ということがわかっていても、毎回社長が一生懸命帳面を見ながら考えるようでは、社員にもわかりづらくなります。どれだけ頑張ったら、どれだけ給料が増えるのか。具体的な方法があってそれが社員に伝わらなければ、頑張ろうという気は起きないでしょう。そこで、社員にきちんと説明できる仕組みが必要となります。以下で具体的な仕組みをみていきましょう。
2 業績に応じて給与を増やす仕組み
業績に応じて賃上げをする仕組みですが、一般的には昇給と賞与、この二つで実行します。
昇給については、粗利益の予算達成率と評価に応じてその金額を決めていきます。利益が増えて昇給するお金ができたら昇給するということです。
賞与については、会社に残ったお金の一部を配分する仕組みにします。粗利益や営業利益の一定割合を人件費の総額と決めます。そこからすでに支払った人件費を引いたものを、その賞与の総額とします。
昇給と賞与、どちらも会社にお金が入ったら支払うという仕組みですから、無理なく支払うことができます。それぞれについて、もう少し具体的に見ていきましょう。
昇給の仕組み
粗利益の予算達成率に応じて昇級の金額を決めます。例えば達成率が100〜105%だったら、2000円昇給、105%〜110%の場合は4,000円、このように定めます。もちろん、支払いに無理がない範囲で定めます。評価によってさらに差をつけても良いでしょう。
賞与の仕組み
賞与は会社全体で稼いだ利益を配分するものと定義づけて発表、仕組みを公開します。
業績に応じて無理なく支払うことができますし、社員が頑張りに応じて賞与が増えるということで、業績向上への意識づけも行えます。
業績に応じて賞与を決める方法は色々ありますが、一つ例をあげて見ますと、粗利益の一定割合を人件費総額として、そこから賞与の金額を決める方法があります。
例えば粗利益の40%を人件費と決めます。半期が終わったら、稼いだ粗利益に40%をかけた金額を人件費総額と決めます。そして、そこから月給や残業手当、福利厚生費など半期で使った人件費を引きます。そして残ったのが賞与総額です。これを社員みなさんに配分します。
みんなで頑張って粗利益が増えれば賞与の総額が増える。粗利益が増えても、残業が増えて人件費が増えたら賞与は増えないということです
このような方式を入れれば、会社の業績に応じて給与や賞与などの人件費総額が決まりますので、会社にとって無理なく人件費を支出することが可能になります。
もう一つ、どうやって社員一人一人の賞与を決めるかという方法も決める必要があります。総額が増えたり減ったりすることは理解できても、いちばん気になるのは、やはり自分の賞与がどうなるかということです。
業績を向上させることが目的なわけですから、業績を向上させるためにやるべきことをやったかで評価し、個別の賞与金額を決めるべきでしょう。
3 会社と社員が共に潤う環境へ
働き方改革にもつながるところですが、賃上げの仕組みができることで、業績向上にやるべきことが明らかになり働きやすくなる。早く帰れるようになる。そして業績が向上したら自分の賞与が増える、昇級金額も増える。もちろん業績が向上すれば会社も潤う。無理なく賃上げを実現させて、会社と社員がともに潤う環境を作っていきましょう。
新島 哲 新潟中央社労士事務所所長
最大手スーパーで取締役直轄の経営管理部や3店舗の総務課長・副店長として勤務後に独立。経営と人事の実務に熟知したコンサルタント。法律や理論一辺倒のアドバイスではなく、現実的な対応策をアドバイスしている。その取り組みはマスコミにも取上げられ、新潟日報やBSNイブニングニースなどテレビ出演実績多数。著書「知ってたつもり会社のルール100の疑問」は県内書店で販売ランキングNO1を実現した。
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