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「定年再雇用」で企業がやってしまいがちな3大失敗

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「定年再雇用」で企業がやってしまいがちな3大失敗

人材不足や少子高齢化が叫ばれる昨今、定年を迎えたキャリアのある働き手を再雇用する動きが注目されています。2013年に改正高年齢者雇用安定法が施行され、従業員の希望があれば定年を迎えた後でも、最長で65歳まで雇用を延長することが企業に義務づけられました。定年再雇用は、従業員側には定年後も収入が得られる、企業側には勤労意欲と能力のあるシニア世代を労働力として確保できるというメリットがあります。とはいえ、「定年再雇用で失敗してしまった!」という話はよく耳にするもの。今回は、企業が陥りがちな3大失敗と、失敗しないために企業はどうするべきかについてお話しします。

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目次

3大失敗その1
定年再雇用した人材をうまく活用できない

定年前と再雇用後では、従業員が所属する部署や仕事内容が変わるというのはよくあること。ベテランであっても新しい仕事を覚えるには時間がかかり、期待したほどの即戦力にはならないというケースが多く見られます。こうした失敗の原因になるのは、長年、一緒に働いてきた従業員とあって、何となくその人のことを知っているつもりになっていた、という思い込みです。

これを防ぐためには、その従業員の特性やこれまでに培ってきた能力をしっかり見直し、活かす方法を考えることが大切。CUBICなどの適性検査を実施し、性格や価値観、社会性、意欲といったさまざまな特性を数値化して、人材情報を客観的に見える化することも有効な手段です。

再雇用にあたって、どのように仕事に取り組むかはそれぞれの従業員によって異なります。新しい部署や仕事内容においても気持ちを切り替え、これまでに培ってきた能力や経験を活かして働けるのか、モチベーションが上がりきらずに「そこそこ」の働きしかできないのかには、本人が持つ能力や経験だけではなく仕事に対する意欲や姿勢が大きく影響するものです。そのため、客観的に評価された特性データをもとに従業員ごとの再雇用後の役割を考える必要があります。

例えば協調性や能力が非常に高く、同僚や部下からの評価も優れている人は適応力が高く、組織における自分の立場を客観的に見ることができる傾向があるため、これまでとは違う新しい組織で新しい仕事内容を与えたとしても柔軟に対応できるでしょう。一方、能力は高いものの協調性はあまり高くはない人には、これまでと同じ業務でアドバイザー的な立場を与えた方が今後の活躍が望めます。このように、適する役割に応じた職種や所属部署、仕事内容などを計画することで、企業にとっては戦力になり、従業員にとってはいきいきと活躍できる職場環境が生まれるといえるでしょう。

3大失敗その2
雇用形態の変更に伴う賃金トラブル

定年再雇用の際には、多くの企業では1年更新で再雇用契約を結ぶ形を取っていて、雇用形態も非正規に変わるのが一般的です。これにより、賃金は定年前の50~60%にダウンすることも少なくはありません。

このような賃下げは、賃金トラブルに発展する可能性があります。2016年には、「定年再雇用で業務内容が同じなのに賃金が下がるのは不当だ」と、従業員が企業を相手取って裁判を起こしました。一審では賃下げが違法であると判断されましたが、高裁では賃下げには合理性があると判決が一転。退職金や年金の受け取りを踏まえて、不合理ではないと判断した結果でした。
2020年※からは、正規・非正規の雇用形態の違いによって、使用者が不合理な待遇差を設けることが禁止されます。(※大企業における施行時期。中小企業は2021年から)定年再雇用の賃金の決め方は、より一層難しい問題をはらむこととなるでしょう。

このような賃金トラブルが起きないよう、仕事の内容や責任の範囲などを考慮した適正な賃金を設定し、契約時にしっかりと説明した上で従業員の同意を得ておくことが重要です。そして、常に自社の賃金分布を把握・分析し、待遇格差がないかをチェックできるようにしておきましょう。

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3大失敗その3
労働契約更新の際の労使トラブル

企業には、就業規則に定める解雇事由や退職事由に該当しない限り、希望する従業員全員の雇用を65歳まで継続することが課せられています。上でお話ししたように、定年再雇用では1年ごとに契約を更新するのが一般的ですが、毎年きちんと労働契約通知書を取り交わし、解雇の際には速やかに雇用契約期間満了予告通知書を発行して、しっかりと説明を行うようにしましょう。

また、2012年8月の労働契約法改正により、労働契約法第18条第1項で、有期労働契約が通算で5年を超えて更新された場合に従業員が申込みを行えば、無期労働契約に転換できるという、いわゆる「無期転換ルール」が定められました。つまり、60歳から65歳まで労働契約を更新した場合、従業員側に無期労働契約に転換できる権利が発生するということ。もし、企業側が無期労働契約を望まないのであれば、適切な対応をしておき、トラブルを未然に防ぐことが大切です。

「無期転換ルール」には、定年前の事業主に定年後も引き続いて雇用される場合、その期間は、継続雇用される従業員に無期転換申込権が発生しないこととする特例が設けられています。この特例の適用を受けるためには、適切な雇用管理に関する計画を作成し、本社・本店の所在地を管轄する都道府県労働局長に認定の申請を行うことが必要です。また、特例の適用を受けるにあたっては、従業員の理解を得ることも重要。事前に労使間できちんと合意を行い、その上で申請手続きを行うようにしましょう。

定年再雇用にまつわる3大失敗をご紹介しました。あなたの会社でもこのような失敗に陥ることのないように、次の点に注意しつつ、お互いに気持ちよく働ける環境を保てるよう心がけてはいかがでしょうか?

  • 人材を見える化し、適材適所を心がけ、いきいきと活躍してもらいましょう
  • 待遇格差のない適正な賃金を保つために、分析・把握できるようにしておきましょう
  • 労働契約管理をきちんと行い、労使間の認識を合致させておきましょう

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