企業のリスク予防はストレスチェックでできる!
すべての企業が確実に実践できる予防法

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メンタル不調の未然防止を目的としてストレスチェック制度が施行されて丸2年が経過し、ストレスチェックは企業におけるメンタルヘルス対策の中心となってきました。しかし、メンタル不調による労働災害は増加傾向であり、依然として企業は労務リスクを抱えている状況です。つまり、せっかくストレスチェックを実施しているにも関わらず、その結果を企業のリスク予防にうまく活用できておらず、効果に繋げられていないことが窺えます。では、どのようにストレスチェックを活用すれば、リスク予防の効果を上げることができるのでしょうか。本記事では、企業の実情を見ながらその解を提示していきます。

メンタルヘルス対策への取組状況

厚生労働省による「企業のメンタルヘルス対策への取組状況」(図1)の調査結果から、企業の実情を読み取ることができます。 取組内容のトップ3では、ストレスチェックがダントツ1位であり、全事業所の約9割が実施しています。しかし、2位の「労働者への教育」、3位の「事業所内での相談体制の整備」は事業所規模が小さくなるにつれて実施比率が下がり、積極的な取組には至っていません。

図1:メンタルヘルス対策への取組内容(複数回答)

メンタルヘルスケア対策への取組内容

図2:集団分析の実施状況

集団分析の実施状況

さらに、ストレスチェックに取り組んだ事業所のうち「ストレスチェック結果に基づいた集団ごとの分析」を実施した割合は約44%に留まり(図2)、ストレスチェックの結果が企業のメンタルヘルス対策に活用されていないことがわかります。
(図1・2の出所:厚生労働省発表 平成28 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況)

この傾向の背景には、以下の2つの要因が考えられます。

1、ストレスチェックの「受検」までしか実施していない

多くの企業がストレスチェックを受検させることはできていますが、受検結果から組織のストレス状況を分析し、改善に活かすことまではできていません。組織分析は制度上任意であり、国から具体的なやり方も示されていないため、企業は受検結果を活用する術を持ち合わせていないのが現状です。

2、専門家の支援を受ける体制がない

従業員1,000名以上の事業場には、産業医を専属で置く法的義務があり、専門家による教育研修や相談を受ける体制が整っていますが、1,000名未満の企業では専門家にコストをかけて取り組む余力がないというのが実情です。

このように、せっかくストレスチェックを実施しているにも関わらず、その結果をストレスによるうつ病や離職などの企業リスクの未然防止に活用できている企業は少ないといえます。そこで、ストレスチェックの有効性を改めて考え、リスク予防に活用している企業が実践している手段をご紹介していきたいと思います。

企業のリスク予防に効く!ストレスチェックの3つの特長

多くの企業が受検にとどまっているストレスチェック制度ですが、実は企業のリスク予防に効果を発揮します。この有効性を理解するところからスタートしましょう。

1、従業員専用のセルフ点検の手段である

ストレスチェックは、従業員がストレス傾向を自覚するために研究開発された優れた検査方法です。法定の年1回の受検だけでなく、企業活動の中で随時自己点検するためのツールとして活用しない手はありません。

2、高ストレス者への早期対処で問題を未然に防止する

高ストレス者を放置すると業務による精神疾患などの問題に発展するリスクが高くなります。ストレスチェックによって企業は高ストレス者を認識することになりますので、早期に対処できる体制を整えておくことで問題の未然防止につながります。

3、分析できればストレスを醸成しない職場へ改善ができる

従業員の受検結果は、会社全体や各部門のストレス課題を映す鏡です。受検結果を活用できれば客観的に傾向や原因を捉えて、経営者や部門責任者とともに適切な改善策を検討することが可能です。

企業に損失を与えかねないリスクの未然防止は、経営者の大きな関心事であり、人事総務部門に対しても、毎年ストレスチェックを実施するなら企業のために役立てることを期待しているのではないでしょうか。

2,000社が効果を実感した
ストレスチェックをリスク予防につなげる仕組みとは?

中堅・中小企業が限られた人員と予算でリスク予防に取り組むためには、ストレスチェック制度を最大限に活用していくことが重要です。そのためには、誰でも簡単にストレスチェック結果を活用できる仕組みが不可欠であり、ITをベースにしたストレスチェックの運用が効果的です。ストレスチェックにシステムを活用する2,000社の企業は、データを活用してリスク予防に取り組んでおり、その手段には3つの共通する仕組みがあります。

【仕組み1】セルフチェックで高ストレス予備軍を早く減らす

リスク予防の第一歩は、従業員本人にストレスを自覚させることです。中でも心身への負荷が高まった人にはできるだけ早い段階で自覚させることが、高ストレスの抑止につながります。具体的には、以下の流れで仕組み化して効果をあげています。

①高ストレス予備軍を発見する

遅刻や残業が多いといった「勤怠の乱れ」や転勤や家族の介護などの「環境の変化」がある者はストレスが高まっている可能性があります。人事総務部門では、以下の兆候にあてはまる従業員がいないかを勤務状況や異動の経歴から随時観察して、早く発見するように努めています。

<高ストレス予備軍の兆候>

  • 欠勤もしくは遅刻がある
  • 残業が長期間続いている
  • 有休が事後に申請されている
  • 転勤や昇格をして間もない
  • 家族の介護や育児と仕事を継続している
②高ストレス予備軍へセルフチェックを実施する

高ストレス予備軍に該当した者には、ストレスチェックの調査票を使ってセルフチェックを実施します。早い段階で点検できるように長くても1か月以内に期間を限定して回答を求めるのがポイントです。また、年1回の法定受検では実施者の高ストレス判定と面接指導が必要ですが、セルフチェックには課せられていませんので、必要になった人に・必要な時点で何回でもチェックできる環境を用意しています。

③進捗状況に応じてセルフチェックを促進する

2週間程度で対象者の回答状況を確認し、未回答者にはチェックするように案内をします。対象者が周囲の目を気にしないようメールなどでの個別連絡が適しています。

【仕組み2】高ストレス者が能動的に利用できる手段を提供する

高ストレスと診断された従業員は、病気ではないと軽視したり一方で周囲に気づかれたくないことから、ストレスへの対処には消極的です。現にストレスチェック全受検者のわずか0.6%しか、医師による面接指導を利用していません。リスク予防に成功している企業では、できるだけ人を介さずに高ストレス者が直接利用できる手段を複数用意するとともに、利用を促す活動を丁寧に実施しています。

・専門家に相談しやすくする仕掛け

医師の面接を受けやすくするためには、高ストレス者と企業側のやりとりを周囲に知られない仕掛けが必要です。そこで有効な方法としてやりとりを電子化しています。面接希望の申込みをパソコンなどで行える環境を整えることで、面接対象となった案内や面接を申込んでいない者への勧奨もメール等で個別に行うことができます。
その他にも、移動の時間やコストをかけずに訪問できる面接機関と提携したり、業務への支障を気にしないで利用できるよう、上司との調整も人事総務部門が行うなど高ストレス者に配慮した取り組みを行っています。

<面接指導を利用しやすくする工夫>

  • パソコンなどから面接担当者へ直接面接を申込みできる
  • 勤務場所や自宅の最寄りの面接機関を用意する
  • 仕事の合間や帰宅途中で時間を確保するよう、上司へ説明する
・自らストレス抵抗力を高める仕掛け

職場のストレスは、高ストレス者だけでなく職場全員によって形成され、環境の悪化を招きます。職場全員がストレスに対抗する思考や行動がとれることで、良好なコミュニケーションにつながります。しかし、専門家による研修を全員が受講するとなると膨大な時間とコストがかかります。そこで、インターネットを利用して自己学習できる環境を用意し全従業員を教育する、といった手段を取っています。面接指導をためらう高ストレス者にも自分でケアする選択肢を提供しているため、企業としてストレスへ対処する責任を果たしていることにもなっています。

【仕組み3】部門ごとのストレス要因を特定する

リスク予防に最も効果的な対策は、「ストレスを醸成する職場環境」を改善することです。そのために有効なのがストレスチェック結果の組織分析であり、部門ごとのストレス要因を分析特定します。『分析』というと難しく感じますが、データを見る順番さえ分かれば簡単に行えます。組織分析をリスク予防に活用している企業では、実際に以下の3つのステップで数値を見ていき、部門ごとの改善策を見いだしています。

・簡単に分析できる3つのステップ
  1. ①ストレス度合の総合点で部門を比較する
    組織分析ではストレス度合いを「健康リスク」という総合評価で示します。社内の部門同士を比較して点数が低い部門をお手本とします。
  2. ②お手本部門と対象部門のストレス要因を2つの切り口で比較する
    お手本部門がなぜストレスが低いかを「仕事の量とコントロール」と「職場の支援」の2つの切り口から把握できますので、対象部門と大きく開きがある領域を確認します。
  3. ③各切り口でお手本部門と開きがある軸を見る
    ストレスの高低の要因を2軸に展開して把握します。お手本ができている軸が対象部門に不足している要素であり、その要素を取り入れることが改善策となります。この軸は21個の要素で構成されますので、各要素の開きをみて改善策を具体化していきます。

図3:組織分析の例

組織分析の例
・ストレスチェックの設問数が多いほど分析結果をフィードバックしやすい

57設問で受検すると上記に述べた「21個」の要素で測定できますが、80設問で受検した場合にはなんと「43個」の要素から部門の長所と短所を把握することができます。より多くの長所と短所がわかることで、各部門の長所を褒めて短所を改善する提言がしやすく部門責任者も受け入れて改善する動機づけとなります。そのため、リスク予防に取り組む企業の大半が80設問を採用しています。回答時間は57設問で10分、80設問で15分と従業員にはさほど大きな負担がかかりません。設問内容が増えますので、マンネリ感を抱く従業員にも新鮮な気持ちで受検してもらうことができます。

ご紹介した3つの仕組みは、ストレスチェックのフレームだけで運用でき、特別なコストやノウハウを必要としません。OBCでは、3つの仕組みが手に入るシステム活用法を『ストレスリスク予防モデル』として多くの企業へ紹介し、どんな企業でも実践できています。無理なく・手軽にできる手法だからこそ、継続的に実践してストレス低減につなげることが可能なのです。

成功事例でみる!HowToストレスチェック活用

『ストレスリスク予防モデル』を採用してリスク予防へつなげた成功企業がどのように実践して効果を実感できたかを見ていきましょう。

事例企業は、全国で保育園を運営する従業員1,000名の企業です。本社のみが従業員50名以上となり、ストレスチェックの対象となりました。せっかくストレスチェックを実施するならリスク予防につなげたいと考え、『ストレスリスク予防モデル』を採用しました。

①転勤先の目が行き届かない拠点でも従業員自身でストレスに気づけた

同社では、本社から地方拠点の責任者として転勤する者が多く、制度上は受検義務がありません。しかし、新しい勤務地や役職に就いた者へ配慮が必要と考え、ストレスチェックの受検対象としました。各自のパソコンで受検させ、未受検者には自動的に勧奨するメールが送られることで、勤務地を問わずに受検でき受検率も95%まで向上しました。転勤者本人が前年と比較してストレス要因の変化がわかるため、自身の仕事状況と照らし合わせて残業を控えたり、有休を取得するようになりました。

②全員がストレスへの抵抗力をつけ、コミュニケーションが変わった

高ストレスと判定されても面接を申し込まない者がおり、ストレスが蓄積されることに不安を抱えていました。全受検者がWeb上でストレスに対応する学習を行ったことで、各自が受け止め方や行動を意識的に変える努力をするようになりました。高ストレス者からは、同僚も同じ考え方をマスターしているため、安心してコミュニケーションがとれるようになったとうれしい意見をもらいました。

③基準値との比較によってストレス要因から改善策が見えた

ストレスチェックの1年目は受検率アップに終始しましたが、2年目は80設問で受検したデータが揃ったことで、全国平均と比較して同社にはストレスが高い・低い要因があることがわかりました。組織の生産性につながる要素を活かしつつ、活性度を下げる要素を減らすために何が必要かを衛生委員会で議論するようになり、経営者へ改善策を報告できるようになりました。

さいごに

ITをベースにストレスチェックを運用することで、企業はデータを活用して手軽にストレス低減やリスク予防につながる取り組みが可能になります。大企業のように専門家にコストをかけることも、特別なノウハウも必要ありません。
多くの企業で実証されたリスク予防に効果がある 「奉行処方箋:ストレスリスク予防モデル」を、貴社でもぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?

奉行処方箋モデル:ストレスリスク予防モデル