

請求書の再発行は、紛失・記載ミス・支払方法の変更など、どの企業でも起こり得る請求業務の一部です。しかし、発行日や管理番号の扱いを誤ったり、再発行の書類に不備があったりすると、二重請求や支払日の混乱を招く可能性があります。
さらに、インボイス制度や電子帳簿保存法(電帳法)への対応が求められる昨今、請求書作成から保管までの要件は煩雑です。そのため、経理担当者には高度な基礎知識と正確な業務フローの遂行が求められます。
本記事では、請求書再発行の対処法、スムーズに処理するための手続き、社内外との連携ポイントを、具体的な文例や注意点とともに紹介します。取引内容の照合作業で迷ったとき、請求先から依頼が届いたときなど、経理の現場で起こりやすい状況に対応できるよう、実務で役立つ情報をまとめました。
目次
- 請求書は再発行しても良い?
- 請求書を再発行する際に日付や請求書番号は変更する?
- 【ケース別】請求書再発行の対応方法
- 請求書を再発行する手順
- 請求書の再発行を依頼された場合の文例
- 請求書を再発行する際の注意点
- 請求書を電子化すれば再発行がもっと簡単に
- 請求書の再発行に関するよくある質問
請求書は再発行しても良い?
結論から言うと、請求書の再発行は可能です。
請求書は取引内容を確認するための証憑であり、受け取った企業には一定期間の保存義務があります。紛失したままでは税務調査で指摘を受ける可能性もあり、支払日や支払期限日の確認ができず社内処理が滞ることも考えられます。
また、発行側が再発行を断ると、取引先での振込手続きが進まず支払いが遅れるリスクがあり、債権管理の観点でも望ましくありません。相手方から依頼があれば速やかに対応することが大切です。
ただし、再発行の際は二重発行による混乱を避けることも重要です。管理番号の調整や再発行である旨の記載など、相手方と社内の双方で正確に識別できるようにしておくと、経理業務の不備や混乱を防げます。
請求書の再発行は日頃の経理業務の中で起こり得る作業です。適切に対応することで、相手先との信頼関係を損なわずスムーズな取引を維持できます。
請求書を再発行する際に日付や請求書番号は変更する?
請求書を再発行する際、「日付は変えるべきか」「番号はどう扱うべきか」、判断に迷うこともあるでしょう。ここでは、再発行時における、日付の取り扱いと請求書番号について、具体的な記載例を用いて解説します。
●請求書の再発行時は当初記載していた日付を記載する
再発行する場合、最初に発行した日付から変更しないことが重要です。新しい日付に書き換えてしまうと、取引先の社内で「新たに請求が上がった」と認識され、請求が重複したと勘違いさせてしまう原因になります。支払日や支払期限日の管理に影響が出てしまうため、原則として初回発行時のまま記載しましょう。
また、二重発行を避けるため、備考欄などに「再発行」と明記しておくと安心です。必要に応じて再発行日も追記すれば、相手方にも状況が伝わりやすく、社内での経理業務の確認もスムーズになります。
支払期限がすでに超過している場合でも、請求書自体の日付を変更する必要はありません。新しい期限を設ける場合は、別途メールや書面で案内する形が適切です。この方法であれば、請求書の取引内容そのものを正確に保ったまま、相手先へ柔軟に対応できます。
●再発行時の請求書番号は枝番などを付けて区別する
再発行では、請求書番号に枝番を付けて、元の請求書と区別する方法が一般的です。
例えば元の番号が「20250101」であれば、「20250101-1」「20250101-A」などとすれば識別しやすくなります。
番号を区別しておくことで、社内でも「どれが原本で、どれが再発行分なのか」を即座に判断でき、煩雑になりがちな経理業務の負担軽減につながります。相手方にとっても、元の請求書から再発行されたものであると認識しやすく、支払処理の混乱を防げる点がメリットです。
以下で、具体的な書き方について解説します。

①発行日
再発行であっても、発行日は変更せずに、当初の日付を記載します。
②請求書番号
再発行の場合は、元の請求書に枝番を追加して記載します。枝番を付けることで、社内・相手先ともに「どれが再発行分なのか」を正確に把握でき、不備や重複処理を防ぐことができます。
③再発行の明記
書面上の混乱を避けるため、備考欄やタイトル付近に「再発行」と記載または押印すると識別がしやすくなります。
④振込先
基本的に変更せず、前回と同様の記載をしましょう。ただし、先方から振込先について再確認を求められた場合は、丁寧に対応することが大切です。振込先や口座名義などの情報も含めて正確に案内し、支払方法の誤認を防ぎましょう。
⑤備考欄
備考欄には振込手数料の負担と支払期日について記載します。また、「本請求書は20XX年〇月〇日発行の請求書の再発行です。」などと記載し、再発行日を明記することで、より明確に再発行であることを伝えられます。
これらの方法を組み合わせることで、再発行であることをより明確に伝えることができるでしょう。
【ケース別】請求書再発行の対応方法
請求書の再発行と一口にいっても、その背景には紛失、記載ミス、支払方法の変更、未入金などさまざまな事情があり、対処法は異なります。ここでは、代表的な4つのケースの実務手順について解説します。
●請求書の紛失による再発行のケース
相手から「請求書を紛失してしまった」と連絡を受けた場合、速やかに発行済みの請求情報と内容の照合を行いましょう。「いつ発行したものか」「どの取引内容に関する請求か」を相手方から確認し、管理番号や請求先情報と一致するかを丁寧に確認します。
内容の整合性が取れたら、再発行業務に進みます。二重発行による混乱を避けるため、再発行であることを明記し、案内状を同封して送付すると、相手先も理解しやすくなるでしょう。
●請求書送付後に記載内容の誤りが発覚し再発行するケース
金額や数量などの記載ミスは、請求先へ迷惑がかかるだけでなく、入金後の修正対応にも多くの手間がかかります。誤記に気づいた段階で、まずは取引先へ速やかに連絡し謝罪することが重要です。
そのうえで、正しい内容に修正した請求書を再発行し、挨拶状を添えて送付します。早い段階で対応することで、相手先の経理担当者にも迷惑をかけずにすみ、業務負担の軽減につながります。
●支払方法の変更による再発行のケース
支払方法や支払期日の変更は、取引条件そのものに関わるため、契約内容の変更として扱う必要があります。
双方が誤解しないよう、覚書などの書面で合意したうえで再発行するのが適切です。
また、支払期日を変更する場合は、遅延損害金や割賦条件などの扱いを明確にしておくと後々のトラブル予防になります。再発行後は、相手方の担当者にも新しい条件が共有されているか確認しましょう。
●未入金による再発行依頼のケース
支払日になっても入金が確認できない場合、まずは取引先へ確認します。取引先から「請求書が見当たらない」「支払処理が進められない」といった相談があった場合は、まずどの段階で請求書が届かなかったのかを確認します。そもそも請求書が届いていなかった、メール送信エラーで受信できていなかった、担当者間の引き継ぎができていなかったなど、原因はさまざまです。
こうした状況から、再発行が適切だと判断できる場合には、紛失時と同じ手順で再発行します。発行履歴を照合したうえで、再発行である旨を明記して送付しましょう。
一方で、支払能力に問題があると判断される状況では、将来的に債務不履行に発展するリスクも考慮し、状況に応じて催促状または督促状の送付を検討します。また、必要に応じて社内で債権管理の体制を強化し、適切な対応を進めましょう。
請求書を再発行する手順
ここでは請求書を再発行する際の具体的手順について説明します。
●基本的な請求書再発行の手順
以下が基本的な流れです。
- 再発行を求められた請求書の内容と請求済みの内容を照合する
- 該当する請求書を再発行する
- 状況の説明を添えた挨拶状などを添えて、再発行した請求書を送付する
1. 再発行を求められた請求書の内容と請求済みの内容を照合する
まずは、再発行依頼のあった請求書がどの取引に該当するものかを確認します。管理番号や取引内容、請求金額などが一致しているかを照合することで、二重請求や記載ミスの発生を防げます。
2. 該当する請求書を再発行する
内容の整合性が取れたら、再発行作業を行います。発行日や請求書番号の扱いを誤ると相手方での処理が滞るため、ルールに沿って作成すると良いでしょう。社内で共通ルールを作っておくことで、作業が効率化できます。このとき、再発行である旨を明記しておくと、社内外での確認がスムーズになります。
3. 状況の説明を添えた挨拶状などを添えて、再発行した請求書を送付する
再発行の理由や確認事項を簡潔にまとめた資料を同封すると、相手先の担当者が処理しやすくなります。これは、取引先との信頼関係の維持にもつながる対応です。
●請求書発行システムから再送する場合の手順
近年は請求書発行システムを利用する企業も多く、書類を印刷して郵送するのではなく、システムを使って再送するケースも一般的になりました。
例えば、PDFデータとして出力してメール添付で送付する方法や、システムの「再送」機能を用いて直接送信する方法があり、相手先がすぐ確認できる点がメリットです。
ただし、利用するサービスごとに操作手順が異なるため、誤操作による二重送付を防ぐためにも、日頃から再発行の手順を確認しておくことが重要です。社内で手順を共有しておけば、担当者間の対応が統一され、経理業務の正確性も高まります。
請求書の再発行を依頼された場合の文例
請求書の再発行は日常的に起こり得る業務のため、依頼を受けた際に迅速に案内できるよう、文例を準備しておくと便利です。特に紛失による再発行の場合は、相手先の社内処理が滞っていることもあるため、落ち着いた表現で状況が伝わるように、丁寧な文章を心掛けると良いでしょう。
以下は、取引先から「請求書を再発行してほしい」と依頼されたケースを前提とした文例です。相手方の紛失による再発行の場面で使用できる内容になっています。
件名:〇月分請求書の再発行について
株式会社〇〇
経理部 △△様
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
〇〇株式会社の〇〇です。
このたびお問い合わせいただいておりました、〇月分の請求書(請求番号:□□□)を再発行し、データをお送りいたします。
添付ファイルをご確認いただけますと幸いです。
なお、本メールに添付の請求書は再発行分となります。
以前お送りした請求書がお手元に残っている場合には、お手数ですが差し替えのうえ、旧請求書をご破棄いただけますようお願いいたします。
ご不明点などございましたらお知らせください。
引き続きよろしくお願いいたします。
請求書を再発行する際の注意点
請求書の再発行は決して珍しい業務ではありませんが、誤った対応をするとトラブルにつながる可能性があります。発行側としては、再発行であることを相手先に明確に伝えるなどの基本的なマナーをおさえたうえで、入金状況の確認や社内記録の管理なども正確に行う必要があります。
こうした対応は、経理だけでなくバックオフィス全体の信頼性にも関わるため、日頃から丁寧な運用を意識しておくことが大切です。
●再発行であることをわかりやすく明記する
請求書を再発行する際は、二重請求が発生しないよう、必ずわかりやすく「再発行」と明記します。赤字で目立たせる、再発行用のスタンプを押印するなど、視覚的に区別できる工夫があると誤認を防ぎやすくなります。
また、再発行した請求書を送付する際は、元の請求書を破棄してもらうよう送付状などで依頼しておくことも重要です。原本と再発行分が併存すると、相手先で重複処理が起こるリスクが高まるため、送付時点で明確な案内を行うことで混乱を防げます。
●入金状況を確認して取引先と情報を共有する
再発行後は、支払期日前後で入金状況を確認し、必要に応じて取引先と情報共有します。万が一、二重請求が発生した場合でも、早期に気づける体制を整えることで、振込の取消や返金対応などの手間を最小限に抑えられます。
入金確認は社内の債権管理にも直結するため、再発行した請求書だけでなく、発行履歴全体の整合性をチェックする習慣があると安心です。
●自社のミスで再発行する際は謝罪文を添える
金額の誤記や記載内容の不備など、自社側のミスによる再発行の場合は、必ず謝罪文を添えましょう。相手先では支払処理が止まり、経理担当者の作業が増える可能性もあるため、丁寧な文面で状況を説明することで信頼関係を損なわずに済みます。
●支払期日を過ぎた場合は契約内容を確認する
再発行依頼が支払期日を過ぎてから届いた場合は、まず契約書を確認し、支払期日や遅延損害金の取り扱いがどのように定められているかを把握しておく必要があります。場合によっては、相手先と期日を再設定したり、支払いに関する条件を再確認したりする対応が求められます。
●請求書を再発行した理由を記録する
再発行対応を行った際は、「なぜ再発行が必要だったのか」理由を社内で記録しておくと、後の債権管理や内部監査の際に役立ちます。紛失、誤送、記載ミスなど理由を明確にしておけば、再発行の頻度や原因の傾向も把握でき、業務効率の改善にもつながります。
請求書を電子化すれば再発行がもっと簡単に
請求書の再発行は、紛失や誤記、支払条件の変更など、どの企業でも発生するものです。しかし紙の書類での管理が中心だと、発行履歴の確認に時間がかかり、担当者が変わると情報共有が難しくなるなど、思わぬところで業務の滞りが生じることがあります。
また、インボイス制度開始以降は記録内容の正確性がより重要になり、再発行を確実に処理できる管理体制が求められています。
そこで鍵となるのが、請求書の電子化です。電子帳票として管理すれば、該当データの検索・照合・再送付が迅速に行え、再発行依頼にも短時間で対応できます。紙の原本を探す必要もなく、二重発行のリスクも抑えられるため、経理担当者の負担軽減に大きく貢献できるでしょう。
こうした再発行業務を効率化する手段として有効なのが、クラウド型の請求書発行サービスの導入です。
なかでも 「奉行Edge 発行請求書DXクラウド」は、
- 請求書作成〜送付〜再送までを一元管理
- 発行履歴が自動で蓄積され、再発行時の照合が容易
- 電子帳票として保存でき、インボイス制度にも適した運用が可能
といった仕組みにより、再発行作業のスピードと正確性を高めることができます。
再発行は「急ぎの対応」が求められることも多いため、電子化とクラウド管理は取引先への迅速な回答と、社内の業務効率化の両面で効果を発揮します。これを機に、請求書管理の流れを見直し、再発行の手続きもより確実に進められる体制づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
請求書の再発行に関するよくある質問
ここでは、請求書の再発行に関するよくある質問について、実務でよく発生する疑問をまとめ、判断の目安となるポイントを解説します。
- 請求書をなくした場合どうすればいい?
-
請求書を紛失してしまった場合は、発行元に再発行を依頼します。
その際、発行元が控えと照合できるよう、発行日・請求金額・請求内容などの情報をできる限り正確に伝えることが重要です。内容確認がスムーズに進むため、取引先にも負担をかけずに済みます。
- 請求書の発行は法律上義務?
-
請求書の発行そのものを、法律が義務づけているわけではありません。ただし、取引内容を記録し、双方で認識をそろえるためには請求書が最も一般的な手段であり、商習慣としてほぼ必須といえるでしょう。
また、税務上の証憑として重要であるため、企業間取引では請求書の発行が実質的に求められるケースが大半です。
- 請求書の代わりになるものは?
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取引内容・金額・支払期日などが確認できる書面やデータであれば、見積書、発注書、納品書、領収書といった帳票が代替資料として扱われる場合があります。ただし、相手先の経理処理では請求書が前提となっていることが多いため、必要に応じて正式な請求書の発行を求められることがあります。
- 請求書の再発行には手数料がかかる?
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多くの企業では手数料を設定していませんが、頻繁な再発行が必要となる取引や、多くの工数がかかる特別な再発行の場合、手数料を請求するケースもあります。
取引契約や業務委託契約の内容によって扱いが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
- 再発行にはどのくらいの時間がかかる?
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再発行に必要な時間は、発行元のフローによって異なります。
照合作業のみで済む場合は、当日〜翌営業日程度で対応してもらえることもありますが、記載内容の修正が必要なケースや、押印・郵送が必要な企業では数日かかる場合もあります。急ぎの場合は、PDFによる送付など、より迅速な方法を相談するのが良いでしょう。
- 請求書の再発行ができないケースはある?
-
原則として再発行は可能ですが、以下のようなケースでは対応できない場合があります。
- 取引そのものが確認できない
- 保存期間経過などの理由で、控えが残っていない
- 社内規定により再発行の手続きを制限している
再発行を依頼する際は、取引内容の情報をできるだけ正確に伝えることで、発行側の確認作業もスムーズになります。
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