上場審査基準とは?市場別、形式要件と実質審査基準を解説

上場審査基準とは何か?東京証券取引所における形式要件と実質審査基準をグロース・スタンダード・プライムの市場別に解説します。また市場別コーポレートガバナンス・コードへの対応も併せて押さえます。
2018年11月13日
更新:2022年2月3日

1.上場審査の基準である「形式要件」と「実質審査基準」とは

上場審査の基準には「形式要件」と「実質審査基準」があります。
形式要件とは、株主数や時価総額、利益の額など、上場申請をする場合に求められる要件であり、上場申請時に提出する資料やIPOファイナンスの状況により確認されます。
また、実質審査基準とは、上場会社になるための適格性を審査するための実質的な基準であり、形式要件を満たすことを前提に、この実質審査基準にパスしなければなりません。実質審査基準は形式要件に比べ、金額や数値などの明確な尺度があるわけではなく、申請会社が安定的・継続的に収益性を維持し、適切な管理体制を構築し、将来を見通した経営が適切に行われているかなどを、質的な側面から審査する基準であり、書類審査だけではなくヒアリングや実地調査などで確認されます。

2.東京証券取引所、市場別の「形式要件」と「実質審査基準」

東京証券取引所のグロース市場・スタンダード市場・プライム市場における「形式要件」と「実質審査基準」は以下の通りです。

※2021年8月4日、東京証券取引所「新規上場ガイドブック(新市場区分)」を参考に作成。
 詳細は、東京証券取引所ホームページをご覧ください。
 https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/index.html

2-1.グロース市場

高い成長可能性を有する企業向けの市場です。
高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方で、投資家にとっては事業実績の観点から相対的にリスクが高くなります。高い成長可能性は主幹事証券会社がビジネスモデルや事業環境をもとに評価・判断します。
上場を目指す企業は、高い成長可能性を有する企業であるため、多くはグロース市場を目指します。

東京証券取引所 グロース市場「形式要件」(一部抜粋)
項目 内容
(1)株主数
  (上場時見込み)
150人以上
(IPOファイナンスで500単位以上の公募を行うこと)
(2)流通株式
  (上場時見込み)
a.流通株式数 1,000単位以上
b.流通株式時価総額 5億円以上
c.流通株式比率 25%以上
(3)時価総額
(4)事業継続年数 新規上場申請日から起算して、1年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること
(5)純資産の額
(6)利益の額
※上記形式要件の他、公認会計士の監査意見、株式事務代行機関の設置、単元株式数その他についての要件がある。

出典)2022 新規上場ガイドブック(グロース市場編) 3.形式要件
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p64a-att/growth_5.pdf

東京証券取引所 グロース市場「実質審査基準」
項目 内容
(1)企業内容、リスク情報等の開示の適切性 企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること(※1)
(2)企業経営の健全性 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること(※2)
(4)事業計画の合理性 相応に合理的な事業計画を策定しており、当該事業計画を遂行するために必要な事業基盤を整備していること又は整備する合理的な見込みのあること
(5)その他公益又は投資者保護の観点から取引所が必要と認める事項
※1:「事業計画及び成長可能性に関する事項」の開示の状況を含めて確認。
※2:コーポレートガバナンス・コードの対象:基本原則。

出典)2022 新規上場ガイドブック(グロース市場編) 4.上場審査の内容
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p64a-att/growth_6.pdf

2-2.スタンダード市場

公開された市場の上場会社としてふさわしい時価総額(流動性)を持ち、上場会社に期待される基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場です。

東京証券取引所 スタンダード市場「形式要件」(一部抜粋)
項目 内容
(1)株主数
  (上場時見込み)
400人以上
(2)流通株式
  (上場時見込み)
a.流通株式数 2,000単位以上
b.流通株式時価総額 10億円以上
c.流通株式比率 25%以上
(3)時価総額
(4)事業継続年数 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3カ年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること
(5)純資産の額
(6)利益の額(連結経常利益金額に少数株主損益を加減) (最近1年間利益)
1億円以上
※上記形式要件の他、公認会計士の監査意見、株式事務代行機関の設置、単元株式数その他についての要件がある。

出典)2022 新規上場ガイドブック(スタンダード市場編) 2.形式要件
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p6i4-att/standard_4.pdf

東京証券取引所 スタンダード市場「実質審査基準」
項目 内容
(1)企業の継続性及び収益性 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること
(2)企業経営の健全性 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること(※)
(4)企業内容等の開示の適正性 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
(5)その他公益又は投資者保護の観点から取引所が必要と認める事項
※コーポレートガバナンス・コードの対象:全原則(プライム市場上場会社向けの原則を除く)。

出典)2022 新規上場ガイドブック(スタンダード市場編) 3.上場審査の内容
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p6i4-att/standard_5.pdf

2-3.プライム市場

多くの機関投資家の投資対象となるのにふさわしい時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場です。

東京証券取引所 プライム市場「形式要件」(一部抜粋)
項目 内容
(1)株主数
  (上場時見込み)
800人以上
(2)流通株式
  (上場時見込み)
a.流通株式数 20,000単位以上
b.流通株式時価総額 100億円以上
c.流通株式比率 35%以上
(3)時価総額 250億円以上
(4)事業継続年数 新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3カ年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること。
(5)純資産の額 50億円以上
(6)利益の額(連結経常利益金額に少数株主損益を加減) a.最近2年間の利益合計 25億円以上
b.売上高100億円かつ時価総額1,000億円以上
※上記形式要件の他、公認会計士の監査意見、株式事務代行機関の設置、単元株式数その他についての要件がある。

出典)2022 新規上場ガイドブック(プライム市場編) 2.形式要件
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p5pv-att/prime_4.pdf

東京証券取引所 プライム市場「実質審査基準」
項目 内容
(1)企業の継続性及び収益性 継続的に事業を営み、かつ、安定的な収益基盤を有していること
(2)企業経営の健全性 事業を公正かつ忠実に遂行していること。
(3)企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、機能していること(※)
(4)企業内容等の開示の適正性 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること
(5)その他公益又は投資者保護の観点から取引所が必要と認める事項
※スタンダード市場と大きな違いはないが、コーポレートガバナンス・コードについては、プライム市場上場会社向けの原則への対応(コンプライ・オア・エクスプレイン)が必要。

出典)2022 新規上場ガイドブック(プライム市場編) 3.上場審査の内容
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/new/guide-new/nlsgeu000005p5pv-att/prime_5.pdf

3.市場別、コーポレートガバナンス・コードへの対応

コーポレートガバナンス・コードは各市場のコンセプトに応じて適用範囲が決められています。
各市場の適用範囲は以下の通りです。

東京証券取引所 プライム市場「実質審査基準」
市場 プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
CGコード適用範囲 全原則の適用(より高い水準) 全原則の適用 基本原則の適用

▲コーポレートガバナンス・コードの適用範囲

参考)東京証券取引所 コーポレートガバナンス・コード
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/index.html

上場準備企業の多くはグロース市場を目指すため、コーポレートガバナンス・コードへの対応は基本原則のみとされています。しかし、上位市場で求められる要件についての知見を持ち、ガバナンスや人材の多様性などの答えのない課題にどう取り組んでいくのかを早期に考えることは、具備すべき要件であるかどうかに限らずに必要なことです。
時流や投資家のニーズをとらえ、非財務情報に関する企業価値向上の取り組みがこれからの上場準備には求められてきます。
執筆
IPO Compass編集部
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