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OBC働き方改革推進チーム
総務人事のご担当者様にとって、年末調整時期は1年のうちで一番忙しい時期にあたります。年末調整には、【年末調整の準備→年末調整計算・過不足税額の精算→源泉徴収票の配付・法定調書申告】というステップがあり、それぞれのステップに多くの時間がかかるためです。本コラムでは、10月下旬から11月下旬に行われる年末調整の準備にスポットライトを当てて、準備業務の時間を減らす方法を解説いたします。
目次
1 年末調整の準備に時間がかかる原因とは
年末調整の準備として、年末調整書類の「配付回収」「内容確認」「給与システムへのデータ入力」の3つの工程が必要となります。
<準備に必要な年末調整書類>
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
年末調整の準備に時間がかかるのは、それぞれの工程において時間がかかるポイントがあるためです。まずは各工程で時間がかかるポイントを見ていきましょう。
「配付回収」で時間がかかるポイント
まずは、「配付回収」で時間がかかるポイントから紹介していきます。
・ポイント1:対象者の確認
申告書は全員に配付をすればいいわけではなく、年末調整の対象者にのみ配付をする必要があるため、対象者をチェックする必要があります。そのためには、給与システムで年間の支給額を確認したり、退職者や非居住者がいないかを確認したりしなければいけないため、時間を要します。
・ポイント2:部署や拠点ごとに仕分け・配付(発送)
各従業員への配付は、多くの企業において、部署や拠点ごとに担当者を決めて代行してもらっています。そのため、総務人事のご担当者様は、部署や拠点ごとに必要な枚数を確認して、仕分けを行ってから配付をしなくてはいけません。離れた拠点へは発送手続きが必要になるため、事務作業が発生することになります。
・ポイント3:回収・提出状況の管理
部署や拠点ごとに決めた担当者から申告書を回収するため、まとめて回収ができる分そこまで時間はかかりませんが、提出状況の管理には時間を要します。Excelなどの管理表を作って一人一人の提出状況を確認するため、1枚ずつ申告書を目視で確認しなくてはいけません。
「内容確認」で時間がかかるポイント
次に、申告書を回収した後の「内容確認」で時間がかかるポイントを見ていきましょう。
・ポイント1:給与所得者の配偶者控除等申告書の間違いチェック
平成30年の1月から始まった配偶者の税額控除を見直す制度により、配偶者控除と配偶者特別控除を申告するための「給与所得者の配偶者控除等申告書」が新たに追加されました。これまでは、配偶者控除を受けるにも、配偶者特別控除を受けるにも、配偶者の「所得の見積額」を記載するだけでよかったのですが、今後は従業員本人の「所得の見積額」も記載する必要があります。さらに、従業員本人と配偶者の所得金額に応じた控除額を記載しなければならず、従業員にとっては書類の作成作業が複雑化するため、前年以上に間違いがないか慎重にチェックする必要がありそうです。
※より詳細な『配偶者(特別)控除改正』内容の解説と実務テクニックの詳細はコチラ
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・ポイント2:給与所得者の保険料控除申告書の間違いチェック
保険料控除申告書では、証明書との突合せが必要になるため時間を要します。特に間違いとして多いのが、保険料の「申告額」ではなく「証明額」を記載しているケースです。「証明額」は証明年の1月から証明日までに支払った金額であるため、証明年の12月末までに支払った「申告額」が書かれていなければいけません。保険料の区分間違いや控除額の計算間違いもよくあることです。
・ポイント3:差し戻し・再回収
申告書に誤りがある場合は、従業員へ差し戻す必要があります。拠点の従業員であれば再度発送の手配をかけなければならない上に、誤っている点をメールや電話などで伝えなければいけません。また、回収の期限に間に合わせるため、再回収が可能な期日をしっかりと管理する必要もあります。
「給与システムへのデータ入力」で時間がかかるポイント
最後に、「給与システムへのデータ入力」で時間がかかるポイントを確認します。
・ポイント1:給与システムへ手入力
一般的に年末調整の計算は給与システムで行っているため、申告書に書かれた情報を給与システムへ入力する必要があります。紙の情報を転記するため、どうしても手入力で行う必要があり、時間がかかります。
・ポイント2:ミスがないかの確認
給与システムへ入力した後、正しく数字などが入力されているかをチェックします。過不足税額に関わるため、慎重にチェックをしなければならず、多くのご担当者様が時間をかけています。
2 年末調整の準備に時間を費やさないためには? 時間削減を実現する具体的な解決手法をご紹介!
ここまでで、年末調整の準備には時間がかかるポイントが多くあることを再認識いただけたかと思います。では、年末調整の準備に時間をかけないためには、どうすればよいのでしょうか?時間がかかりやすいポイントが非常に多い年末調整の準備には、年末調整の準備業務専用のシステムを導入することをお勧めいたします。この章では、一般的にはあまり知られていない、年末調整の準備に特化したシステムをご紹介いたします。
対象者チェック・配付・提出状況管理が不要に!
まず、申告書配付の対象者がすぐにわかる必要がありますが、システムを利用することで、対象者が自動判定されます。年末調整が必要な従業員へのみ、申告書提出の連絡を行うことが可能です。通知を受け取った従業員は、パソコンやスマートフォンを使って、Web上の個人ページで申告書情報を入力できるようになります。紙を使わないため、仕分けや配付(発送)作業は必要ありません。Web上での申告書の提出が完了すると提出状況が更新され、管理者はリアルタイムに提出状況を知ることができるようになるため、Excelなどの管理表で提出状況を更新する時間が削減されます。
ミスのない入力と差し戻し機能でスムーズな内容確認を実現!
記入間違いや金額の計算間違いをチェックしなくても済むようにするためには、従業員の間違いを減らす仕組みが必要です。申告書の申告画面では、入力欄ごとにガイドが表示されるため、従業員は迷わず情報を入力することができます。
配偶者控除等申告書では、従業員本人および配偶者の合計所得金額を元に、配偶者(特別)控除が受けられるかを自動判定し控除額が表示されるため、従業員の申告ミスを最低限に抑えることができます。
保険料控除等申告書では、記入すべき「申告額」についての説明を確認することができます。また、金額を入力するだけで決められた計算式に沿って自動計算され、従業員自らが電卓を使って計算をする必要がないため、計算間違いも防ぐことができます。
提出された申告情報はWeb上で確認することができ、万が一内容に不備がある場合は、画面上でコメントをつけて差し戻しの処理を行うことができるため、電話やメールなどの手段を使わなくても簡単に差し戻せるようになります。
入力時のミスを最小限にとどめることができ、差し戻しの処理も簡単に行えるため、内容確認の時間を大幅に削減することができるのです。
ワンタッチでデータ入力が完了!
年末調整の準備に特化したシステムは、給与システムにそのまま連携可能なデータが出力されるようになっています。転記をする必要がないため、データの手入力や入力後のチェックが不要になります。
3 おわりに
年末調整に時間がかかるのは計算だけと思われているかもしれませんが、意外と準備にかかる時間は馬鹿にできないものです。準備にかかる時間を見直して、年末はゆとりをもって業務を行えるようにしてはいかがでしょうか。
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