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障害者雇用は、共生社会の実現を目指す法律上の義務であると同時に、人材不足が深刻な現代における重要な経営課題です。
法改正により法定雇用率が引き上げられ、中小企業を含む多くの法人に新たな対応が求められています。本記事では、身体障害者や精神障害者、知的障害や発達障害など、多様な特性を持つ方々の能力を最大限に発揮し、会社の価値を向上させるためのノウハウや、活用できる最新の助成金制度を網羅して解説します。
障害者雇用とは、障害者雇用促進法に基づき、共生社会の実現を目的とした制度です。一定規模の会社には「法定雇用率」以上の雇用義務があり、未達成時は納付金の徴収や社名公表の対象となります。
民間企業の法定雇用率は、2025年4月から2.5%(従業員40.0人以上が対象)、2026年7月からは2.7%(従業員37.5人以上が対象)と段階的に引き上げられます。以下、詳しく説明します。
障害の有無にかかわらず、個々人がそれぞれの希望やスキルに合った仕事において活躍できる社会を構築していくこと――それが、障害者雇用の目的です。身体や精神に障害を持つ人も、障害を持たない人も、社会を担う一員であることに違いはありません。障害者雇用の制度が設けられた背景には、すべての人との「共生社会」の実現という理念があるのです。
厚生労働省は、この共生社会を実現するため、民間企業や国、地方公共団体、都道府県教育委員会などに対する雇用義務の制定や各種助成制度を通して、障害者雇用を推進しています。
障害者雇用枠の対象となる障害者のうち、身体障害者は「身体障害者手帳」の、知的障害者の場合は「療育手帳」の保有が条件となります。精神障害者については「精神障害者保健福祉手帳」を所持しており、さらに症状が安定していて、就労可能な状態である障害者が対象です。後述する、民間企業の「障害者の法定雇用率」の対象になるかどうかは、これらの各種手帳によって確認が行われます。
厚生労働省は、一定規模以上の従業員を雇用している民間企業に対して、障害者を常用雇用する義務を課しています。これを「法定雇用率制度」といいます。2025年4月から2026年6月までは、常用労働者40.0人以上の民間企業に対して、2.5%の障害者雇用義務が課せられています。これは「常時雇用する労働者が40.0人以上であれば、1人以上の障害者を雇用しなければならない」ことを意味します。なお、国・地方公共団体は2.8%、都道府県等教育委員会は2.7%が適用されます。
法定雇用率は段階的に引き上げられており、2026年7月からは、常用労働者37.5人以上の民間企業に対して2.7%の雇用義務が課せられる予定で、今後の義務強化を見据えた採用計画が求められます。
民間企業における法定雇用障害者数は、以下の計算式で求めます。
<民間企業における雇用率設定基準>
法定雇用障害者数=企業全体の常時雇用する労働者の総数×法定雇用率(2.7% ※2026年7月以降)
2026年7月以降で、常時雇用の従業員が120人の会社の場合、120人×2.7%=3.24人となります。小数点以下は切り捨てとなるため、この会社には3人以上の障害者雇用義務が生じます。
ちなみに、「1人」というカウントの方法は、勤務時間や障害の程度によって下記のように定められています。短時間労働者を「0.5人」としてカウントする場合があるので注意しましょう。
出典:厚生労働省 PDF「障害者雇用率制度について」
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上 30時間未満 |
10時間以上 20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者 | 1 | 0.5 | - |
| 重度身体障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 知的障害者 | 1 | 0.5 | - |
| 重度知的障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 精神障害者 | 1 | 1(※) | 0.5 |
※当分の間の措置として、精神障害者である短時間労働者は、雇入れの日からの期間等にかかわらず、1人をもって1人とみなすこととしている。
出典:厚生労働省 PDF「障害者雇用率制度について」
法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業主には、調整金や報奨金が支払われます。2024年4月1日以降、調整金は超過1人あたり月額2万9,000円(支給対象10人を超えた分は1人あたり月額2万3,000円)、報奨金は超過1人あたり月額2万1,000円(支給対象35人を超えた分は1人あたり月額1万6,000円)に支給額が調整されています。
出典:厚生労働省 PDF「障害者雇用調整金・報奨金の支給調整について」
一方、雇用義務を達成していない従業員100人超の会社は、不足1人あたり月額5万円の障害者雇用納付金を納める義務があります。法定雇用率の段階的引き上げにより、今後は納付金の対象となる会社が増える可能性もあるため、早めの対応が重要です。
厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業(常用労働者40.0人以上)に雇用されている障害者の数は70万4,610.0人で、前年より2万7,148.5人増加(対前年比4.0%増)し、22年連続で過去最高を更新しました。
障害種別では、身体障害者は37万3,914.5人(対前年比1.3%増)、知的障害者は16万2,153.5人(同2.8%増)、精神障害者は16万8,542.0人(同11.8%増)と、いずれも前年より増加しており、特に精神障害者の伸び率が顕著でした。
実雇用率は14年連続で過去最高となる2.41%を記録しましたが、法定雇用率達成企業の割合は46.0%にとどまっており、半数以上の会社がいまだ基準を満たしていない実情があります。
出典:厚生労働省 PDF「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」
実雇用率を企業規模別に見ると、1,000人以上の大企業が2.69%と当時の法定雇用率を上回っている一方、40.0〜100人未満の小規模企業では1.94%、100〜300人未満の中小企業では2.18%にとどまっています。
法定雇用率の達成割合も、1,000人以上の大企業では57.5%に達している一方、300〜500人未満では40.3%、500〜1,000人未満では44.5%と、中堅・中小企業での達成が難しい現状が続いています。
2025年4月〜2026年6月までの民間企業の法定雇用率は2.5%(常用労働者40.0人以上の企業が対象)ですが、2026年7月以降は民間企業の法定雇用率が2.7%へと引き上げられます。
達成割合が46.0%にとどまる現状では、今後の引き上げによってさらに多くの会社が義務未達成となる可能性があります。厚生労働省では、雇用状況に改善が見られない会社に対して「障害者雇入れ計画作成命令」から「適正実施勧告」「特別指導」を経て、最終的には社名の公表という段階的な指導を行っています。なお、令和6年度は企業名の公表対象となった会社はゼロでしたが、法定雇用率の引き上げを控え、早めの対応が求められています。
2026年に向けた障害者雇用の法改正は、義務の強化と柔軟な算定の両面がポイントです。主な変更点は以下の通りです。
これらの制度改正と支援制度を活用した早期の体制構築が求められます。
近年、障害者雇用を取り巻く環境は大きく変化しており、特に2024年から2026年にかけては段階的な法改正が行われています。人事労務担当者として最も注視すべきは、法定雇用率の引き上げと、それに伴う「雇用義務が発生する会社の範囲の拡大」です。
民間企業における法定雇用率は、共生社会の実現に向けた動きから、以下の通り段階的に引き上げが実施されています。
| 時期 | 法定雇用率 | 雇用義務が発生する会社の規模 |
|---|---|---|
| 〜2024年3月 | 2.3% | 従業員 43.5人以上 |
| 2024年4月〜2026年6月 | 2.5% | 従業員 40.0人以上 |
| 2026年7月〜 | 2.7% | 従業員 37.5人以上 |
出典:厚生労働省 PDF「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
法定雇用率の引き上げによって、雇用義務が発生する対象企業の範囲も拡大します。
「除外率制度」とは、障害者の就業が物理的・環境的に困難とされる特定の業種に限り、雇用義務を軽減する経過措置のことです。具体的には、雇用義務人数の計算元となる全従業員数から、除外率分の人数を差し引くことができます。
しかし、障害者の職域拡大を進める「共生社会」の実現に向け、この制度は段階的に縮小・廃止される方向です。2025年4月からは、すべての対象業種で一律10ポイントの引き下げが実施されました。
| 対象業種 | 除外率 |
|---|---|
| 非鉄金属第一次製錬・精製業、貨物運送取扱業など | 5% |
| 建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業、郵便業など | 10% |
| 港湾運送業、警備業 | 15% |
| 医療業、高等教育機関、介護老人保健施設など | 20% |
| 金属鉱業、児童福祉事業 | 30% |
| 幼稚園、幼保連携型認定こども園 | 50% |
| 船員等による船舶運航等の事業 | 70% |
※飲食・小売・一般的な製造業などは、当初から除外率の設定はありません。
出典:厚生労働省 PDF「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
今回の「10ポイント引き下げ」により、これまで除外率が10%以下だった倉庫業や空港運輸業などの業種は、ついに制度の対象外(除外率0%)となりました。
また、引き続き対象となる業種でも「計算上の分母」が大きくなるため、結果として追加で1〜2名の雇用が必要になるケースが多くの会社で発生しています。
法定雇用率の引き上げと、この除外率の引き下げが重なることで、会社の採用ハードルは確実に高まっています。自社がどの区分に該当するかを改めて確認し、採用枠の再設計を行うことが重要です。
2024年4月より、週の所定労働時間が「10時間以上20時間未満」の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者についても、新たに雇用率上「0.5カウント」として算定できるようになりました。これまでは週20時間以上の勤務が必須でしたが、この緩和により、体調管理等の理由で長時間労働が難しい層の雇用も促進されています。
また、週20時間以上30時間未満で働く精神障害者に関する「算定特例」も延長されています。本来、短時間労働者は0.5カウントが原則ですが、精神障害者の場合は「当分の間」、雇い入れからの期間等に関係なく「1カウント」として算定可能です。短時間からのスモールステップ雇用が法定雇用率の達成に向けた現実的な選択肢となったといえます。なお、これに伴い従来の「特例給付金」は廃止されています。
出典:厚生労働省 PDF「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
障害者雇用の義務が強化される一方で、会社の負担を軽減し、雇用をスムーズに進めるための支援策も大幅にアップデートされています。
まず、2024年4月より「障害者雇用相談援助事業」が本格始動しました。これは、障害者雇用の経験が少ない会社に対し、認定を受けた専門事業者が、雇い入れから職場定着までの一連の雇用管理を原則無料でアドバイスする制度です。「どのような業務を切り出せばよいか」「合理的配慮をどう進めるべきか」といった具体的な悩みを、外部の専門家とともに解決できる体制が整いました。
また、助成金制度も「現実に即した形」で新設・拡充されています。
特に注目すべきは、職場実習(インターンシップ)や見学の受け入れに対する助成金の新設です。これにより、正式な採用前に自社とのマッチングを慎重に確認しやすくなりました。
既存の助成金についても、以下のような実務的な拡充が行われています。
出典:厚生労働省 PDF「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
民間企業が障害者雇用を成功させるには、「社内理解・環境整備・外部連携」を軸とした9つのステップを計画的に進めることが重要です。単に採用枠を埋めるだけでなく、事前の準備を丁寧に行うことで、現場の混乱を防ぎ、長期的な定着へとつなげることができます。具体的な手順は以下の通りです。
計画性のない採用は、現場の負担増や早期離職といったトラブルを招く恐れがあります。まずは自社の現状を分析し、外部の支援を受けながら一歩ずつステップを踏んでいきましょう。
障害者雇用は法的義務の履行だけでなく、会社に多角的な利益をもたらす経営戦略です。主なメリットとして、SDGsに貢献できて取引先や株主からの信頼が向上すること、公的支援を受けられること、多様な人材を確保でき、組織力向上につながることなどが挙げられます。
障害の有無にかかわらず、個々人がそれぞれの希望やスキルに合った仕事において活躍できる社会を構築していく共生社会の実現には、多様な人材を雇用する会社の存在が不可欠です。
会社による障害者雇用は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標である「8 働きがいも経済成長も」「10 人や国の不平等をなくそう」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」などにつながります。障害者雇用という会社としての社会的責任(CSR)を果たすことで、取引先や株主などからの信頼を高められるでしょう。
障害者雇用によって、会社は行政などから各種助成・支援を受けられます。
労働力不足の現代において、自社の労働力を確保できるだけではなく各種助成・支援も受けられるのは、会社にとって大きなメリットです。
障害者が会社でストレスを感じることなく働く環境を整えるためには、障害者のための個別の調整や変更、いわゆる「合理的配慮」が必要となります。
これまで当たり前に行っていた業務フローをあらためて見直すことは、それまでの社内の属人的な業務手順を見直すいいタイミングです。誰にとってもわかりやすく無駄のないフローへの改善は、結果として会社としての業務効率化につながるはずです。
障害者雇用は、単なる義務の履行に留まらず、独自の強みを持つ優秀な層へアプローチする絶好の機会です。
特定の分野で突出した集中力や専門性を持つ人材も多く、欠点ではなく「秀でた能力」に着目したマネジメントを行うことで、一般雇用以上の戦力を確保できるケースが少なくありません。
また、近年のAIやデジタルツールの進化によって業務上の物理的な障壁が取り払われ、職域が大きく拡大するとともに、会社側のマネジメント負荷も軽減されています。テレワークなどの柔軟な働き方を組み合わせることで、多様な人材がそのポテンシャルを最大限に発揮し、会社の生産性向上に直結する貢献を期待できる時代となっています。
ダイバーシティ(多様性)とは、性別、人種、障害の有無を問わず、多様な背景を持つ人材を活かす考え方です。障害者雇用を推進し、「違い」を前提とした組織を構築することは、単なる社会貢献ではなく、会社の採用競争力や成長を支える重要な戦略となります。
障害者との共生は、社員同士の助け合いや配慮の文化を育むだけでなく、従来の固定観念を打ち破る新しい視点や発想をもたらします。特筆すべきは、障害者にとって働きやすい環境を整えることが、結果として全社員のメリットに繋がる点です。
例えば、通院や体調への配慮は「育児・介護中の社員」の柔軟な働き方を支え、テレワークの導入は「病気のリスクを抱えるシニア層」の活躍を助けます。また、業務の標準化(マニュアル化)は、若手社員の早期戦力化にも有効です。このように障害者雇用を通じて組織全体の「働きやすさ」をアップデートすることは、多様な人材が定着する強固な組織づくりに直結します。
障害者雇用を成功させるには、本人への配慮と同時に「周囲の環境」を最適化することが不可欠です。主な注意点として、受け入れ態勢の整備や業務上のミスマッチの防止、周囲に過度な負担がかからないよう配慮することなどが挙げられます。
障害者を雇用するにあたって、会社は従業員に対してどのような点に気をつけるべきなのか、障害者差別となる行為とはどのようなことか説明し、周知と理解をしてもらう必要があります。同時に、障害に応じた職場環境を整えておくことも重要です。
障害者がストレスなく働くための支援機器導入などにコストがかかる場合もありますが、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の機器を借りれば、一定のコスト削減は図れるでしょう。
障害者を雇用して実際にどのような仕事をしてもらうのかは、個々人の障害の程度や内容によって判断する必要があります。雇用しようとする障害者に何ができるのか、何を苦手としているのかなどを事前にヒアリング、あるいはトライアル雇用などの制度を活用して見極め、無理なく安全に行える業務を託してください。
また、業務に入る際にも、それぞれの障害の程度に合った説明を行うとともに、きめ細やかなフォローをしていく仕組みを構築するようにしましょう。
障害者雇用で雇用された従業員が働き続けるためには、周囲の従業員の配慮やサポートが不可欠です。しかし、ともに働く従業員が差別をしないよう配慮したり、コミュニケーションをとろうとしたりすると、周囲に大きな負担がかかるかもしれません。
障害者の周囲の従業員に理解を求めることは必要ですが、彼らの負担にならないような業務フローや仕事内容を検討する必要があります。また、障害のある従業員へのフォローは、入社後も継続して行っていくものです。障害のある従業員は、業務の状況によって障害の程度が変化することもありますので、周囲の従業員にもストレスがなく働けるように配慮する必要があります。
障害者雇用を行う民間企業は、採用から定着までの各フェーズで公的支援を受けられます。「トライアル雇用助成金」「特定求職者雇用開発助成金」「キャリアアップ助成金」「在宅就業障害者特例調整金・報奨金」「就労支援機器の紹介・無料貸出」などがあり、これらの制度を組み合わせて活用することで、採用コストや環境整備の負担を大幅に軽減しながら、安定した雇用体制を構築できます。
「トライアル雇用助成金」とは、会社がハローワークや民間の職業紹介事業者から紹介を受けた障害者を、一定期間雇用した際に支給される助成金です。会社は障害のある求職者の適性やスキルを確認し、継続雇用へ移行するかどうかを判断できるため、障害者雇用に際して不安を抱える会社にはおすすめです。
トライアル雇用助成金は、勤務時間が異なる2つのコースが設定されています。
「特定求職者雇用開発助成金」は、障害者や高年齢者など、就職が特に困難な求職者をハローワーク等の紹介により継続して雇用する民間企業に対して支給される助成金です。
障害者雇用においては、主に以下の2つのコースが活用されています。いずれも、採用から半年ごとに分割して支給される仕組みとなっており、返済不要の資金として雇用環境の整備に充てることが可能です。
本助成金を受給するためには、「事前の求人提出」と「紹介」が必須です。直接採用や求人サイト経由、ハローワークのオンライン自主応募などは対象外となるため注意しましょう。
また、過去3年以内に当該事業所で就労経験がある場合や、採用前後6か月間に会社都合の解雇(退職勧奨含む)を行っている場合は支給されません。障害者トライアル雇用から継続雇用へ移行する場合、要件を満たせば本助成金へ切り替えて受給することが可能です。
出典:厚生労働省 PDF「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内」
非正規雇用労働者の会社内でのいわゆるキャリアアップを促進するため、正規雇用化や処遇改善などの取り組みを実施した会社に対して支給されるのが、「キャリアアップ助成金」です。
障害者正社員コースでは、下記のいずれかの場合に1年間で33万~120万円の助成金が支給されます。
このほか、キャリアアップ管理者を置き、キャリアアップ計画書の作成・提出を行うことが条件となります。
ちなみに、ここでいう「多様な正社員」は、一般的な正社員に比べて、勤務地・勤務時間・職務内容などが限定的な正社員を指しています。
「在宅就業障害者特例調整金・報奨金」は、自宅や就労移行支援事業所などで働く障害者(在宅就業障害者)に対し、業務を直接、または在宅就業支援団体を介して発注し、対価を支払った会社に支給される制度です。
法改正により算定方法が見直され、現在は年間35万円以上の小口発注から支給対象となるなど、より活用しやすい制度となっています。支給額は、年間発注総額を評価額(35万円)で割り、定められた額を掛けて算出します。
常時雇用する労働者が100人を超える会社:「特例調整金」の対象(調整額 21,000円)
常時雇用する労働者が100人以下の会社:「特例報奨金」の対象(報奨額 17,000円)
直接雇用が難しい場合でも、在宅で働く障害者へ仕事を依頼することで、障害者雇用納付金制度に基づいた支援を受けることが可能です。なお、支給額には上限がありますので、詳細な要件は高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)へ確認することをおすすめします。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、障害者が就労する際に役立つキーボード・マウス補助具や筆談支援機器などの紹介・貸出を行っています。
下記サイトにて紹介されている機器は、原則6ヵ月間、無料貸出が可能です。
出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「就労支援機器貸出について」
障害者雇用の計画立案から定着支援まで、フェーズに合わせて「地域障害者職業センター」「ハローワーク」「障害者就業・生活支援センター」などの専門機関・外部機関を無料で活用できます。自社だけで抱え込まず、これらの機関と連携することが、トラブル防止と安定した雇用継続への近道です。
地域障害者職業センターは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が運営しており、全国の各都道府県に1ヵ所ずつ設置され、障害者に職業評価、職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などを提供している施設です。障害者の雇い入れ計画や必要な配慮、業務指導方法などについての専門的な助言や、助成金の申請受付などを行っています。
ハローワーク(公共職業安定所)は、障害者求人の受付や紹介、トライアル雇用の手続きなどが可能な国(厚生労働省)の機関。障害者の雇用管理上の配慮について相談をしたり、一部助成金の申請をしたりすることも可能です。設置箇所は全国544ヵ所と多いため、気軽に活用しやすい相談窓口です。
障害者就業・生活支援センターは、全国336拠点が設置され、障害者の就業支援と生活支援を一体的に行う機関です。基本的には障害者の仕事や生活の相談・支援を行う機関ですが、会社からの雇用管理相談にも応じていて、障害者の職場適応支援を行っています。
雇用後の定着やトラブル防止のため、会社は「ジョブコーチ(職場適応援助者)」や「障害者雇用支援人材ネットワーク事業」といった、専門的な伴走支援を受けられます。
ジョブコーチ(職場適応援助者)は、障害者が職場に適応する際に課題を抱えた場合、障害者と会社の双方に対するアドバイスを行う存在です。会社に対して、雇用した障害者の障害特性に配慮した雇用管理を支援します。
ジョブコーチには下記の種類があります。
一般的にジョブコーチは、就労当初に週3~4日程度の集中的支援を行い、その後、週1~2日の支援に移行。最終的には、数週間から数ヵ月に1回のフォローアップに入ります。
障害者雇用支援人材ネットワーク事業は、障害者を雇用、あるいは雇用を予定していて、雇用管理に際して具体的な助言や支援を希望する会社などに対し、さまざまな分野の専門家(障害者雇用管理サポーター)が障害特性を踏まえた雇用管理(合理的配慮の提供、社内教育・人的環境整備など)に関する助言を行う仕組みです。専門分野や障害者種別、地域、料金の有無等で、条件に合うサポーターを障害者雇用支援人材ネットワークシステムで検索して依頼します。
障害者雇用は法律上の義務ですが、人材不足を解消し企業価値を高める経営戦略でもあります。身体障害者から精神障害者、発達障害や知的障害まで、特性に合わせた配置と業務内容の切り出しが重要です。
成功には職場実習やトライアルコースを利用し、本人の適性と配慮事項を把握することが欠かせません。ジョブコーチ等の支援機関と連携し、柔軟な勤務時間やIT活用による職場環境の改善を実施することで、現場の生産性も向上します。今後、社会的責任を果たす取り組みは、新卒や転職市場での競争力強化にも繋がります。
ただし、人事労務業務は「仕事は増えても人は増えない」部門のひとつ。今後予想される「一人総務時代」を見越し、業務の効率化を図るなら、バックオフィス業務をアシストしてくれる総務人事系システムをおすすめします。
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■監修者
山本 喜一
特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。
一定規模以上の民間企業には、障害者雇用促進法に基づき、法定雇用率以上の障害者を雇用する義務があります。2026年4月時点では従業員40.0人以上の会社に2.5%の雇用義務が課されていますが、2026年7月からは従業員37.5人以上の会社に対し2.7%へと引き上げられます。未達成の場合、不足1人あたり月額5万円の納付金徴収や、社名の公表対象となるリスクがあるため、計画的な採用が必要です。
民間企業の法定雇用率は段階的に引き上げられています。現在は2.5%(従業員40.0人以上の企業が対象)ですが、2026年7月からは2.7%(従業員37.5人以上の企業が対象)へと変更されます。なお、国や地方公共団体は2.8%、都道府県等の教育委員会は2.7%が適用されています。会社は今後の義務強化を見据え、対象となる従業員数や必要雇用人数の再確認など、計画的な採用活動が求められます。
直接的な刑罰はありませんが、経済的・社会的なペナルティが段階的に課されます。常用労働者100人超の会社で未達成の場合、不足1人あたり月額5万円の「障害者雇用納付金」を納める義務が生じます。また、雇用状況に改善が見られない場合は、行政による指導や勧告が行われ、最終的には「社名の公表」に至ります。社名の公表は会社のブランドイメージや採用に甚大な影響を及ぼすため、実質的に厳しい制裁として機能しています。