IPOを基礎から学ぼう!IPOのメリットとデメリット

POINT
・資金調達力の向上や知名度・信用力の向上、人材確保の優位性、そして管理体制の強化・充実などにより企業成長を加速させることが、IPO最大のメリット
・経営者個人にとっては、創業者利潤の実現や株式の公正な価格形成、財産価値の増大などのメリットがある。
・上場会社となることで、会社情報の開示義務とその体制整備、株式買占めへの対応や株主対策、事務負担の増加など、責任や負荷が生じる。
IPOには、企業成長を加速させるなどの多くの
2019年6月17日
はじめに
 IPOをすることにより、企業成長を加速させるなどの多くのメリットを享受することができます。 その一方で、上場会社となることによる責任や負荷などのデメリットもあります。 そのため、IPOを目指すかどうかを検討する際には、IPOが経営者の夢や目標、ビジョンを実現させるための、経営者が検討すべき重要な経営戦略であることを踏まえたうえで、そのメリットとデメリットを正しく理解し、検討することが大切です。
1.IPOのメリット
◇ 会社にとってのメリット
(1)
資金調達方法の多様化と資金調達力の向上
証券市場から様々な形での資金調達(時価発行増資・新株予約権付社債の発行等)が可能となり、直接金融の恩恵を受け、自己資本が充実し財務体質の強化が図られ、成長を加速させるためのベースとなります。
(2)
知名度・信用力の向上と人材確保の優位性、従業員の士気高揚
実質的に約400万社と言われている日本企業の中の上場企業約3600社の1社に選ばれることで会社の知名度は高まります。 知名度の向上は営業所のメリットや優秀な人材の確保、従業員の士気高揚などにもつながり、企業成長を大きく加速させます。 また、金融機関の信頼性も向上し、資金調達と同等な潜在的なメリットも享受できます。
(3)
管理体制の強化・充実
IPO準備の過程では、上場会社としてふさわしい内部管理体制を構築することが求められます。 その結果、管理体制が強化・充実されることにより、組織が属人的経営から組織的運営に転換され、企業規模拡大にも耐えうる組織基盤が構築されます。

◇ 株主にとってのメリット
 経営者は、IPO時の株式の売り出しによって投下資本の一部を回収し、創業者利潤を実現することができます。
 また、株式が証券市場で流通し、公正な株価が形成されることによって、株式の換金性が増大し、株主の財産形成が図られます。
2.IPOのデメリット
(1)
会社情報の開示義務とその体制の確立
上場会社となることにより、有価証券報告書や四半期報告書の発行義務を負うとともに、決算短信を発表するなど、投資家に対して情報を適時かつ適切に公表する、いわゆる適時開示が必要となります。 また、適時開示を行うためには、その体制を確立する必要があります。
(2)
敵対的買収等、株式買占めへの対応
株式市場では、市場で不特定多数の株主が自由に売買することができることから、常に買収のリスクにさらされます。 経営のっとりを目的とした敵対的買収への対策をどのようにしていくか、という点に関しても、IPO準備の段階から念頭に入れておく必要があります。
(3)
株主対策
IPOすることによって、不特定多数の株主が存在するようになります。 一般株主の多くが興味を持っている配当、株式売却などの経済的利益をどのように維持していくか、必ずしも友好的な株主ばかりとは限らない中で、円滑な株主総会運営などの対策が必要となります。
(4)
事務負担の増加によるコストの発生
上場により株式の流通性が高まり、株式の異動が頻繁になり株式事務の負担が増えます。また、適時開示体制を確立するために、人員確保をはじめとしたコストも増加します。
3.昨今変わりつつある論点
(1)
“資金調達”手段はIPOだけではない、CVCによる投資の時代に
 IPOのメリットとして必ず挙げられる“資金調達”ですが、最近では、大手企業がオープンイノベーションを見据えて成長性の高いベンチャー企業等へ資金提供するCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)からの投資が急増しています。 2018年度のCVCによる投資額は約3500億円と5年前の8倍となり、IPOにおける資金調達額を上回っています。 資金調達方法が多様化している今、IPOだけが選択肢ではありません。 自社の技術やサービスを必要としている大手企業との協業なども視野に入れることで新しい可能性が生まれるかもしれません。
(2)
日本では稀な“敵対的買収”が成功、伊藤忠商事VSデサント
 ここ数年の日本における“敵対的買収”は、1~2件/年と数が少なく、また規模も大きくなったため、目立った例はありませんでした。
 しかし、2019年3月、伊藤忠商事によるデサント株の敵対的買収が成立しました。元々デサントの筆頭株主であった伊藤忠商事は、かねてよりデサントの経営に不満を持ち、2019年1月にTOBを発表、3月には敵対的買収が成立しました。
 今回は日本企業同士でしたが、グローバル化が進む中で、今後敵対的買収が増える可能性は否定できません。特に成長著しいIPO企業は買収防衛対策を早めに行っておくことが肝要です。
(3)
目先の“株主対策”よりも成長性・将来性が求められる時代に
 上場企業の配当と自社株買いを合わせた株主還元が2018年度に過去最高の15兆円となりました。 株主還元策を講じるということは、例えば、急速な成長が見込めない成熟企業の株価の下支えになったり、 自社の株価が割安な状態であることのアピールにつながって株価が上昇するなど、株価を調整する効果が見込めましたが、最近では、効果が継続しないなど、思うような効果が得られないケースもあります。
 従来であれば、株主に喜ばれていた株主還元策も、企業そのものの成長性・将来的が見込めないと歓迎されない風潮が出てきていると厳しい状況と言えます。
執筆
IPO Compass編集部
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