

2024年8月に東証グロース市場へIPOを果たした株式会社オプロ。IPO準備を進めるなかで、内部統制の強化と業務効率化の両立が課題となっていた同社は、勘定奉行クラウドの導入により、業務工数を約40〜50%削減することに成功しました。IPO準備を牽引したお二人に、導入の経緯や活用状況、導入効果について伺いました。
この記事でわかること
- IPO準備において顕在化した現行システムの課題
- システムリプレイスの決断を後押しした2つの要因
- 奉行シリーズの追加導入によって得られた効果
- 株式会社オプロが考える、奉行シリーズの導入をおすすめしたい企業像
クラウドを活用した帳票DXソリューション及び販売管理ソリューションを展開する株式会社オプロ。IPOを視野に入れた体制整備を進めるなかで、当時使用していたオンプレミス型システムには、仕訳の承認機能がなく、1人が操作中は他者が操作できないという制約がありました。内部統制の強化と業務効率の向上、その両立が急務となっていたのです。
こうした課題を解決すべく導入したのが、「勘定奉行クラウド」です。複数名による同時並行作業が可能になったことなどにより、業務工数の約40〜50%削減を実現しました。ログの可視化や権限分離によって、監査法人への対応もスムーズに進んでいます。今回は、IPO準備を牽引した管理部 経理・財務チームリーダーの加邉友晃様と、同チームの久保怜至様に、導入の経緯と現在の活用状況をお聞きしました。
<導入前の課題>
- 以前のオンプレミス型システムでは、監査に耐えうる内部統制要件を満たせていなかった
- 1人がシステムを操作している間は他の担当者が入力・更新を行えず、業務効率が低下していた
- 出力できる帳票の種類が限定的で、今後の事業成長に求められる管理体制の構築には不十分だった
<導入後の効果>
- 起票・承認・修正のログが可視化され、権限分離も実現したことで、監査に耐えうる内部統制要件を満たした
- システムの操作権限や履歴が可視化され、内部統制に必要な根拠資料をスムーズに準備できる体制が整った
- 奉行シリーズで周辺業務のデータ連携が進み、固定資産管理の法改正対応も効率化された
【会社情報】
企業名:株式会社オプロ
設立:1997年4月4日
社員数:125名 ※2026年5月31日現在
市場:東京証券取引所 グロース市場(証券コード 228A)
上場日:2024年8月21日
事業内容:他社クラウドサービスとの連携により、データの入力・加工・出力をシームレスに処理する帳票DXソリューションと、サブスクリプションビジネスに特化した販売管理ソリューションを提供している。企業の業務効率化とデータ活用を多角的に支援するクラウドカンパニー。
【インタビュイー紹介】
管理部 経理・財務チーム アシスタントディレクター 加邉 友晃 様
経理・財務チームのリーダーとして業務を牽引し、同社のIPO準備プロジェクトにおいてもチームリーダーとして推進役を担う。
管理部 経理・財務チーム アシスタントマネージャー 久保 怜至 様
入社時より経理業務に従事し、IPOプロジェクトのメンバーとして監査対応や各種手続きなどの実務を幅広くサポートする。
目次
1.急成長するSaaS企業のIPO準備。オンプレミス型会計システムが抱えていた内部統制の課題
-御社の事業内容についてお聞かせください。
加邉様)当社は、クラウドを活用した帳票DXソリューション及び販売管理ソリューションの提供を主軸に展開しております。具体的には、金融/行政機関向け電子申請サービス「カミレス」や、Salesforceやkintoneなどのクラウドサービスと連携し、帳票の作成・出力・配信までをシームレスにつなぐサービス「帳票DX」などを手がけております。また、サブスクリプション型ビジネスを営むSaaS企業向けの収益管理プラットフォーム「ソアスク」を提供することで、企業の収益化戦略を支援してきました。
-IPOを目指すことになった経緯をお聞かせください。
加邉様)当社は2021年にIPO準備を開始しました。当時はコロナ禍で、SaaSへの注目が急速に高まっていた時期でもありました。当社のSaaSビジネスも順調に成長しており、その成長をさらに加速させるため、IPOに向けた準備を進めることになったのです。
主幹事証券会社からは「順調に進めば最短で2024年9月に上場可能」というスケジュールを提示されていました。しかし、予定通りにIPOまで進められる企業は限られているとも聞いており、社長には「それなら、さらに前倒しを目指そう」という前向きな姿勢がありました。そこで社内では、1か月前倒しした8月上場を目標に掲げ、プロジェクトを立ち上げたのです。情報統制の観点から、準備の初期段階は経営層とプロジェクトメンバーのみで進めました。
-IPO準備を進めるにあたり、以前の会計システムにはどのような課題があったのでしょうか?
加邉様)当時は他社サービスのオンプレミス版を使用しており、内部統制と業務効率の双方で大きな課題を抱えていました。なかでも早急に解決すべきだったのは、仕訳の承認機能が存在しなかった点です。内部統制および監査対応の観点から、会計システムの刷新は避けられない状況でした。
加えて、他社サービスのオンプレミス環境の制約により、1人の担当者が操作している間は他の担当者が入力・更新を行えないという非効率さも生じていました。出力できる帳票の種類も限定的で、上場企業に求められる管理体制の構築には機能面が不十分だったため、会計基盤そのものを見直す必要があったのです。
2.即断を後押しした理由は直感的な操作性とデータ移行への安心感
-システムのリプレイスにあたり、他社のクラウドシステムとの比較検討は行われたのでしょうか?
加邉様)他社システムとの比較検討は行わず、勘定奉行クラウドのみの検討で導入を決定しました。以前から勘定奉行クラウドの品質の高さを認識していたことに加え、証券会社や監査法人にも広く知られているサービスであるため、IPO準備を進めるうえでも安心感がありました。費用面でも十分に納得できる提案をいただき、迷うことなく1社目で導入を決断しました。
-実際の操作性や使い勝手について、どのような印象をお持ちでしょうか?
加邉様)非常にわかりやすく、期待以上の使いやすさでした。以前使用していたシステムは画面が古くアナログな印象でしたが、勘定奉行クラウドはデザインがモダンで、直感的に操作できる仕様になっています。取引先などのマスター機能もしっかりと備わっており、必要な情報をすぐに検索・入力できる点も好印象です。一目で操作方法が理解できるUIは、導入を後押しした大きな要因の1つでした。
久保様)私も、直感的に操作できるデザインに使いやすさを感じています。アイコンがわかりやすく配置されており、操作の見当をつけやすい設計です。ダッシュボードに主要な操作や確認したい情報が集約されている点、データ入出力の機能配置が一目で把握できる点も魅力的でした。ヘルプページも充実しており、自分で考えながらより良い使い方を模索できる点も高く評価しています。
-以前のシステムからのデータ移行について、懸念はありましたか?
加邉様)システムのリプレイスにおいて、過去データの移行がもっとも難易度が高く、大変な作業になるだろうという懸念がありました。しかし、OBCには以前使用していたシステムからの移行実績が豊富にあり、データ移行をお任せすることができました。移行漏れなどのリスクを防ぎ、不安要素だった移行作業を安全かつ確実に進められる見通しが立ったことは、導入を決断する大きな決め手となりました。
久保様)事前の要件定義から、移行後の運用を見据えたマスターのデータ設計について提案をいただけた点も非常に心強かったです。打ち合わせでは、システムの特性に合わせた最適なデータの持ち方をアドバイスいただきました。
たとえば、以前は補助科目を利用して取引先を管理していましたが、奉行シリーズが持つ取引先マスターを活用した管理方法をご提案いただいています。結果として、単なるデータの移し替えにとどまらず、より効率的で精度の高い管理体制を構築することができました。
3.内部統制を強化し業務工数を半減、監査法人対応もスムーズに
-システムのクラウド化によって、業務効率はどのように変わりましたか?
加邉様)体感として、業務工数を約40〜50%削減できました。オンプレミス環境では1人が操作している間は他の作業が止まっていましたが、現在は複数名での同時並行作業が可能です。税理士とのデータ共有においても、以前はデータを記録媒体に保存して郵送していたのですが、今はクラウド上でタイムリーに確認できるようになりました。こうした付帯業務がすべてなくなったことで、経理業務全般のスピードが飛躍的に向上しています。

久保様)税理士との連携がスムーズになった点は、特に大きな変化です。問い合わせを受けた際も、自分のパソコンで勘定奉行クラウドを開き、同じ画面を見ながら即座に回答できるようになりました。場所や時間を問わずリアルタイムで同じ情報を共有できるため、コミュニケーションのロスが解消され、やり取りの効率が格段に上がっています。
-IPO準備の核となる内部統制や監査対応において、勘定奉行クラウドはどのように寄与しましたか?
加邉様)システムの操作履歴が可視化され、審査における正確性の担保が容易になりました。以前は誰が起票や操作を行ったのか把握できませんでしたが、現在は起票・承認・修正のログをシステム上で確実に追跡できます。IPO準備では、入力担当と承認担当の権限を完全に分離し、4名体制で厳格に運用してきました。監査法人に対しても、システムの設定画面やログを直接提示できるため、機能面での細かな指摘を一切受けることなく、非常にスムーズに審査を通過できたのです。
-IT統制やセキュリティの観点では、どのような成果がありましたか?
久保様)IT監査への対応工数を大幅に削減しながら、高い安全性も確保できています。勘定奉行クラウドは「SOC1® Type2」「SOC2® Type2」を取得しており、OBCから入手したSOC報告書を監査法人に提出することで多くの監査項目をクリアできました。以前のオンプレミス環境では、サーバー管理からセキュリティの担保まで、すべて自社で行う必要がありましたが、クラウド移行後はそうした運用負担やセキュリティの懸念から解放されています。システムの自動アップデートやバックアップによって、常に最新のセキュリティが維持される環境は、IPO準備を進めるうえで非常に心強い要素でした。
【関連コラム】
-IPO後を含め、固定資産奉行や給与奉行など、他のシリーズを追加導入された理由と効果をお聞かせください。
加邉様)周辺業務についても、勘定奉行クラウドの導入をきっかけに、奉行シリーズへ段階的に移行していきました。
まず給与については、従来は会計と同じくオンプレミス型のシステムを利用しており、承認機能がないことやクラウド化できていないことに課題を感じていました。勘定奉行クラウドを実際に使うなかで、操作性や運用面に非常に良い印象を持っていたため、同じ奉行シリーズであればシステム連携もしやすいと考え、給与奉行への移行を決めました。
法定調書については、それまで税理士事務所に作成を委託していましたが、社内で内製化する方針になりました。給与奉行と連携できれば、給与データを活用して効率的に作成・申請まで進められるため、法定調書奉行もあわせて導入しています。
固定資産については、以前はExcelで管理していました。IPO準備の観点で必ずしも問題があったわけではありませんが、償却率が古いままになっていたこともあり、修正時には慎重な確認が必要でした。運用負荷や手作業によるミスのリスクを減らすため、固定資産奉行を導入しました。
また、法改正への対応もシステム化の大きなメリットです。以前は税制改正などの情報を自分たちで確認し、必要に応じて税務署のセミナーを受講することもありました。奉行シリーズでは、必要な法改正情報の案内やセミナーが提供されますし、法改正に対応したプログラムが提供されるため、自社で対応内容を調査・反映する負担を大きく軽減できます。
4.充実したサポート体制と業界内の高い信頼。IPO準備企業に奉行シリーズを推奨する理由
-導入後のサポート体制について、どのように評価されていますか?
久保様)ヘルプページの充実度と、疑問を迅速に解消できる問い合わせ窓口を高く評価しています。
たいていの不明点は、システム上のヘルプページを検索するだけで自己解決できる設計です。それでも解決が難しいケースでは、チャットや専用の電話窓口を通じて的確なサポートを受けられます。疑問が生じても、業務を長時間止めることなく解決に導ける環境は、日々の運用における大きな安心感につながりました。
-IPO準備を進めるにあたり、どのような課題を抱える企業に奉行シリーズを推奨したいとお考えですか?
加邉様)内部統制の構築を急ぐ企業に対して、強力な選択肢になると考えています。
奉行シリーズなら、起票者・承認者の権限をシステム上で厳格に設定でき、IPOに不可欠な管理体制を無理なく整備できます。加えて、証券会社や監査法人といった関係者の間で、奉行シリーズへの知名度と信頼が確立されている点も大きな強みといえます。審査の過程でシステムの妥当性について疑義が生じにくく、IPOに向けた手続き全体を円滑に進めることが可能です。
奉行シリーズは、IPO準備の経験がない担当者がプロジェクトを推進する組織にも、ぜひ検討していただきたいサービスです。私たち自身もIPO実務は初めての経験でしたが、直感的でわかりやすい設計のおかげで、迷うことなく業務を定着させられました。専門知識が不十分な状態からでも、外部審査に耐えうる水準の基盤を確実に構築できる。それが、奉行シリーズの本質的な価値だと実感しています。
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