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2020年春、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が発出されて以降、多くの企業が在宅勤務/テレワークの導入検討を進めるようになりました。
感染リスクを減らし安心して業務に就いてもらうためにも、企業には在宅勤務/テレワークを継続することが求められていますが、一方で課題となっているのが「業務・管理面において総務人事部門としてどのように対応するべきか」という点です。
今回は、「Withコロナ」時代に「新たな働き方」となった在宅勤務/テレワークについて、総務人事部門が取り組むべきポイントを考えていきます。
目次
「Withコロナ」時代の働き方=在宅勤務/テレワークで露見した課題
OBCでは、緊急事態宣言が全国に拡大していた2020年4月27日~5月1日の5日間で、奉行シリーズをご利用のお客様に対して在宅勤務/テレワークの実態調査を行いました。そこで得られた回答から、コロナ禍における企業の「在宅勤務/テレワークの導入状況」や課題が見えてきました。
調査結果によると、新型コロナウイルス感染拡大防止対策として在宅勤務/テレワークを推奨していた企業は53%と過半数を超えていましたが、実際に在宅勤務/テレワークを実施できた人は38%に留まっていたことがわかりました。また、「(実施)意思はあるものの、まだ実施に至っていない」という人も約36%いたのです。
さらに、在宅勤務/テレワークの業務上、課題になっている、もしくは課題になると思う要因について尋ねたところ、どうしても出社せざるを得ない業務の多さも浮き彫りとなりました。
特に、総務人事部門においては、個人情報を取り扱うことも多いため、実施できる端末に制限があったり機密情報を取り扱う業務があったりして、なかなか在宅勤務/テレワークに適した体制をとることが難しい側面もあります。このことは、OBCで実施した別の調査でも、データの持ち出し・紙・承認などの「業務ルールが対応していない」ことを問題視していることが明らかになっています。
政府は、「新しい生活様式の実践例」で在宅勤務/テレワークを「コロナ禍における働き方の新しいスタイル」に位置づけています。「初めて、かつ急きょ導入したことで、取り組み方が分からなかった」という声も聞かれますが、これは改めて従来の業務体制や就業規則を見直すよいきっかけとなります。
「Withコロナ」時代も事業存続・成長を進める以上、今回見えてきた課題を基にして、在宅勤務/テレワークなど「新しい働き方」に適したルールを早急に整備しなければなりません。
これからの総務人事部門に求められるのは
在宅勤務/テレワークに合った「業務体制」と「人事労務管理」
新型コロナウイルスによる影響の長期化・深刻化が予測される中、感染再拡大に備えた対策が急務となっています。特に総務人事部門としては、自部門だけでなく全社に対して在宅勤務/テレワークを効果的に導入・運用できるよう、ルール設計や運用を行わなければなりません。
そこで、以下の2つのポイントに重点をおいて、働く環境の整備を早急に進めましょう。
1.在宅勤務/テレワークを前提にした総務人事業務の見直し
在宅勤務/テレワークを導入するには、リモートに適したインターネット環境、強固なセキュリティ、クラウドサービスに代表されるリモート対応のシステムを整備する必要があります。しかし、それだけで「業務が遂行できる」ものではありません。
先のアンケート調査でも見られたように、「出社せざるを得ない」といった業務そのものが在宅勤務/テレワークに適していないことが問題となっているからです。
例えば、「在宅勤務/テレワークを行いたくてもできなかった」要因の一つに、「書類は紙ベースで管理し、印鑑決済型フローのため、出勤を要する」というものがあります。
先のアンケート調査でも、総務人事業務における「在宅勤務/テレワークの障壁となっている(と思われる)業務」をみると、タイムカードなどでの勤怠管理、給与明細発行から配付、年末調整の手続き、従業員からの各種申告書の手続き対応など、紙の書類で行っている業務がいかに多いかがよく分かります。
「総務人事業務で障壁となっている」ということは、総務人事担当者だけでなく従業員にとっても在宅勤務/テレワークの障壁となっていることを意味します。紙で行う手続きのために公共交通機関を使って出社を求めるのは、コロナ禍において従業員の精神面にストレスを与えることにもなりかねません。
こうした業務を思い切ってペーパーレス化するだけでも、在宅勤務/テレワークが可能になり、業務上のやりとりが簡易かつスピーディーになっていくのです。
また、本当に人がやるべき業務なのか…つまり、システムなどで自動化できないか、ということも検討する必要があります。
今や、RPAやAI、IoTといった最新テクノロジーを活かしたクラウドサービスは、市場に多く提供されています。基幹システムをクラウドサービスに切り替えるだけでも、自動化できる業務が増え、わざわざコロナ禍に出社しなくて済むようになり、さらには業務効率化の足がかりにもなります。
これからの業務体制には、このような「出社リスクを減らす」対策も必要になるでしょう。
2.在宅勤務/テレワークに即した人事労務管理
在宅勤務/テレワークの実施にあたっては、人事労務管理面でこれまでの概念では想定もしなかった問題が多く発生しやすくなります。そのため、在宅勤務/テレワークに適した新しい「仕事のルール」や「マネジメント方法」などの設計・運用も必要になってくるでしょう。
これからの人事労務管理については、以下の3つの点について早急に新ルールを検討しましょう。
A)勤怠(労働時間)管理
企業には、従業員の労働時間を把握・管理する義務があります。在宅勤務/テレワークにおいても、従来の労働時間制度に基づき適正に把握しなければなりません。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、労働時間の記録は原則として「パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録」を基礎とするように示されています。
しかし、在宅勤務/テレワークでは、社内勤務のように始業、終業、休憩時間を把握することが難しくなります。中にはカメラで自宅の作業場を常に監視している企業もあると言われていますが、監視行為自体が非生産的であり、パワーハラスメントにも抵触するうえ、従業員のモチベーション低下につながりかねません。また、在宅勤務/テレワーク時においても、残業が発生すると残業代を支払わなければなりません。
労働時間制の設定や休憩時間の取り扱い、時間外労働、休日労働といった勤務時間の管理方法を充分検討し、始業・終業時間や勤務申請・承認など在宅勤務/テレワーク下での勤怠ルールを定め、適切な労働時間管理ができるようにしましょう。
B)人事評価基準
人事評価の主な項目には「業績評価」(成果やそのプロセス)・「能力評価」(業務に生かせる技術や知識)・「情意評価」(規律性や責任感、モチベーション、態度など)があります。特に業績評価は、職性や業務内容などによって「プロセス重視」「成果重視」というように基準に違いが生じることがあります。
しかし、在宅勤務/テレワークでは出社頻度が下がり、上司と部下が対面し関われる時間がとりにくくなるため、プロセス重視型など従来の評価基準では評価しづらくなります。
適正に評価が行われないと、従業員のモチベーション維持や生産性にも影響が出かねません。
在宅勤務/テレワークにおいても適正かつ公正な人事評価ができるよう、評価基準を見直す必要があります。
C)マネジメント
在宅勤務/テレワークでは、マネジメントの方法も見直さなければなりません。
リクルートマネジメントソリューションズが、従業員規模300名以上の企業を対象に2020年3月26日~28日にかけて実施した「テレワーク緊急実態調査」でも、テレワーク経験の有無に関わらず、管理職から以下のような不安が上がっています。
「顔を合わせず、集まらず」の在宅勤務/テレワーク環境では、業務の進捗確認、チームでの協業状況、部下の体調管理などが難しくなります。
しかし、在宅勤務/テレワーク時代のマネジメントは、管理職レベルが工夫して乗り切れるものでも、乗り切っていい課題でもありません。管理職とともに、全社課題として「従業員のモチベーションを保つ適度な強制力」と「コミュニケーション頻度とのバランスを取るマネジメント」を検討する必要があります。
おわりに
世界各国の状況を見るかぎり、人と新型コロナウイルスとの戦いは数年、あるいは十数年と長期化が予想されます。これまでグローバル市場での競争に力点を置いてきた企業にとっては、これからは新型コロナウイルスが存在する世界でどう事業を継続していくか、ということにも取り組まざるをえなくなりました。
その中で総務人事担当者として考えるべきことは、「いかに従業員を、会社を守るか」です。従業員が働きやすく、その生活や健康を守るために必要な組織、体制を早急に整える必要があります。
とはいえ、手探りで対応していくことはありません。業務体制にしても人事労務管理のあり方にしても、クラウドサービスをはじめとする多くのシステムが在宅勤務/テレワークに適した環境整備のためのソリューションとして役立ちます。
奉行クラウドも、給与計算業務をはじめ、勤怠管理業務、年末調整業務、社会保険の手続き業務など、多角的にサービスを提供しています。このようなサービスをうまく活用して、「在宅勤務/テレワークを主体とする業務スタイルへの切り替え」を進めることが、これからの総務人事部門に求められるのです。
また、在宅勤務/テレワークは、育休明けも子どもの預け先がない従業員の早期復帰や、定年退職者の再雇用にも活かすことができるなど、「人材活用」にも利用できます。「出社ありき」の業務スタイルを在宅勤務/テレワークに切り替えることで、企業は有能な人材を確保・維持することも可能になります。
新型コロナウイルスへの対策、対応に意識を奪われがちですが、この状況をチャンスと見て業務や人事労務管理のスタイルを見直しましょう。
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