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国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されたこともあり、近年サスティナビリティの取り組みに対する関心が高まっています。国内企業の9割以上を占める中小企業がSDGsに取り組むことは、社会の発展や環境保全はもとより、自社が永続的に持続するためにもとても意義深いことです。
しかし、未だにSDGsについて「詳細はよく分かっていない」「具体的な取り組み方法が分からない」という声が聞かれます。
実は、中小企業がSDGsに取り組むなら「ペーパーレス化」がオススメです。今回は、SDGsについて取り組みの意義を掘り下げつつ、ペーパーレス化がどうSDGsに貢献するか、どのように取り組めばよいかをご紹介します。
目次
- SDGsとは
- 企業にとってSDGsに取り組むメリット
- 日本のSDGs貢献のカギは中小企業の取り組みにあり
- SDGsに貢献する第1歩は「ペーパーレス化」から
- バックオフィス業務のペーパーレス化を実現するポイント
- SDGsへの取り組みは先例を参考に「できるところから」
SDGsとは
SDGs(Sustainable Development Goals)は、「2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標」です。2015年9月に開催された国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されました。
SDGs は、極度の貧困と飢餓の撲滅などを掲げ2001年に策定されたMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標)の後継として、先進国も含めた全ての国、企業や地方自治体、アカデミアや市民社会、そして個人一人の一人が取り組むべき普遍的目標として、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓う内容になっています。
SDGsには、17のゴールと169のターゲットが設定されており、次のような社会、経済、環境の3側面から世界が直面している課題が網羅的に示されています。
- 貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発課題
- エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消など、全ての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済課題
- 地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境課題
企業にとってSDGsに取り組むメリット
企業がSDGsに取り組むことは、CSR活動としても意義があります。SDGsに貢献する企業は社会貢献意欲の高い企業と見なされ、取引先や顧客から共感を得やすくなり、各方面と良好な関係を構築できます。
他にも、活動の内容次第では、経営面においても次のようなメリットを得ることができます。
SDGsに取り組めば、エネルギーの消費に対して意識改革が起こります。結果として電気やガスなどのエネルギー使用量を削減することができ、二酸化炭素や温室効果ガスの排出削減への意識も高まります。水も、使用管理を行うことで従業員一人ひとりが使用量を意識できるようになり、環境保全の意識が高まります。また、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)を実施することで、資源を大切にする企業体制が整備できます。
●社会面SDGsには、地域への貢献など社会的な取り組みも課題としてあげられています。雇用の創出や防犯・防災、寄付、ボランティアといった取り組みを通して地域に貢献することで、顧客や地域住民、従業員やその家族、その他利害関係者から寄せられる信用度や企業イメージの向上が期待できます。
社会をより意識することで、モラル違反やトラブルを起こす事態を未然に防ぐ効果も得られ、地域に愛される企業となれるでしょう。
例えば、エネルギーの消費削減など環境負荷を少なくする活動は、コスト削減や生産性向上にも直結します。SDGsへの取り組みをきっかけに、従業員の働き方にも変化が生まれ、積極的に新しい事業や企画にもチャレンジしやすくなり、イノベーションや新規事業にも着手できるでしょう。
また、外部パートナーも同じ志を持っていれば、協力することで新しい商品開発やサービスの構築もできるようになり、新分野への進出や新たなビジネスモデルへの挑戦も可能になります。
SDGsの取り組みが定着すると、企業や仕事に対して従業員満足度が高まり、仕事へのモチベーションアップにつながります。従業員を大切にする経営であれば、従業員が企業へ寄せる愛着心・忠誠心が増し、離職率が減少する傾向も見られます。優秀な人材も確保しやすくなり、慢性的な人材不足の解消も期待できるでしょう。
日本のSDGs貢献のカギは中小企業の取り組みにあり
「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2021」 によると、2021年時点で165ヵ国がSDGsに参加している中、日本の達成状況は世界18位です。2017年には80.2点を獲得して11位に上がったものの、SDGsが始まった2016年から2021年までの年平均順位は15.7位、平均スコアは78.6点に留まっています。
世界的に見ても、日本のSDGsはまだまだ伸び代があるようです。
カギとなるのは、国内企業の9割以上を占める中小企業の取り組みです。
ところが、2020年に経済産業省関東経済産業局が行った「中小企業のSDGs認知度・実態調査」結果概要 によると、2015年の採択から7年を経た今もなお、「SDGsについて認知していない」という中小企業は49.6%でした。2018年の調査では認知していない企業が84.2%だったことを思えば改善していますが、まだまだ充分とは言えません。
SDGsへの対応を検討している、もしくは既に対応していると回答した企業も8.2%に留まっており、90%以上の中小企業はSDGsに取り組んでいないことが分かります。
さらに、SDGsに未取り組みの企業に対してSDGsの印象を尋ねた結果では、「自社には無関係」と考える企業も多く、「優先度は低い」と回答した企業とあわせると半数近くになっています。取り組みの必要性は理解しているものの「取り組む余裕がない」という声も37.0%と、多くの中小企業がSDGsに対して消極的であることが分かりました。
しかし、SDGsは国家だけ、大企業だけが取り組むべき目標ではありません。企業規模にかかわらず、積極的に貢献すべき目標です。政府が設置した「SDGs推進本部でも、「より質の高いSDGsを達成するためには中小企業による推進が重要」として、民間セクターやNGO・NPOなど様々なステークホルダーとともに、中小企業・小規模事業者を含む企業のSDGs普及と啓発に取り組んでいます。
SDGsに貢献する第1歩は「ペーパーレス化」から
「中小企業のSDGs認知度・実態調査」では、SDGsに取り組んでいる・検討中の企業が現在課題に思っていることを尋ねたところ、「社会的な認知度が高まっていない」「取り組むメリットが明確にならない」などの回答に加えて、「何から取り組めばいいのか分からない」(14.6%)「取り組むための資金が不足している」(19.5%)「取り組むための人員が不足している」(19.5%)という回答もあります。
確かに、改めてSDGsに取り組むとなると、資金や人材が必要ではと懸念するのも当然でしょう。また、同調査でも、SDGsの取り組み企業が実際に検討・実施している具体的な取り組みは多岐にわたっており、何から始めればいいのか迷うのも致し方ないでしょう。
しかし、そこまで構える必要はありません。これから中小企業がSDGsに取り組むなら、オススメの方法は「ペーパーレス化」です。そもそも紙は木材からできているため、紙を使えば森林破壊につながります。ペーパーレス化の推進は、結果として伐採される木材量を減らし、環境保護に貢献することができます。
中でもバックオフィス部門は、業務上で使用する紙の量が膨大になりやすいものです。
例えば経理業務でみると、毎月の請求書や納品書、領収書で多くの紙を扱います。人事労務業務でも、労働条件通知書などの契約書類、勤怠管理や社内申請手続きの書類、給与明細など紙の書類が多く存在しています。これらの書類が全てペーパーレス化すると、SDGsの目標13(13-3気候変動の緩和、適応、影響軽減)と目標15(15-4山地生態系の保全)に貢献することになります。
紙に「印刷する」という点では、印刷がなくなれば廃トナーを始めとする産業廃棄物削減にもつながり、SDGsの目標12(12-5廃棄物の発生を大幅に削減)に貢献することになります。
さらに、ペーパーレス化が進めば、時間や場所を問わず業務を行うことも可能になり、これまで介護や育児のために休職・離職を余儀なくされた従業員も、在宅・テレワークで仕事を継続することができます。
SDGsには働き方の多様化の実現も目標に入っているので、ペーパーレス化はSDGsの目標8(8-8安全・安心な労働環境を促進)にも貢献することになります。
バックオフィス業務のペーパーレス化を実現するポイント
SDGsへの貢献活動としてバックオフィス業務をペーパーレス化するとしても、どこから手をつければよいかと悩む担当者も多いでしょう。
まずは、基幹業務システムをクラウドサービスなどに切り替えることで、紙の書類をデータで運用し、紙がなくても業務が滞ることのないプロセスにしましょう。いわゆる「業務のデジタル化」です。
具体的には、次のような業務をデジタル化していくとペーパーレス化を進めやすいでしょう。
例えば、請求書や領収書などの証憑類をデータで発行・受領するようにすれば、紙からの脱却は簡単です。2022年からは、電子帳簿保存法の改正で電子データ保存がしやすくなっています。また電子取引のデータ保存の義務化など厳しい要件もあり、今後はますますデータ管理の重要性が高まります。そうした意味でも、経理業務の紙からの脱却、DX化は喫緊の課題と言えるでしょう。
現在市場には、奉行Edge 発行請求書DXクラウドのように、請求書をWeb上で発行するシステムが多く提供されています。販売管理システムや債権管理システムを経由して会計システムと連携できれば、会計処理から入力作業をなくすことも可能です。
また、各部門からの提出・承認フローをデジタル化すれば、受領した紙の書類もデータで管理することができ、仕訳起票を自動化することもできるようになります。勘定奉行クラウドなら、各拠点・従業員からの証憑収集から会計処理、支払業務までのフローを完全デジタル化でき、簡単に業務をデジタル化できます。つまり、勘定奉行クラウドを活用すれば、会計業務のDX化とSDGsへの貢献を同時に実現することができます。
例えば、多岐にわたる人事労務手続きに必要な情報をデータで提出・収集できる仕組みがあれば、大量の個人情報をペーパーレスで管理できます。奉行Edge 労務管理電子化クラウドは、従業員とのやりとりをデジタル化し、身上異動などの申請・承認業務をペーパーレス化することができます。手続きが完了すれば自動的に情報を更新し、従業員から集めたデータを活用して、社会保険などの電子申請まで行うことができます。
また、年に1回の年末調整業務も、申告書の記入をシステムに直接入力してもらえば、紙の申告書を提出する必要がなくなり、ペーパーレスに貢献することができるうえ、業務時間も労力も大幅に削減することが可能です。奉行Edge 年末調整申告書クラウドなら、マイナポータル連携で従業員から各種控除証明書などをデータで受け取ることもできるので、控除証明書内容の入力自体も不要になります。
また、提出された申告書はWEB上で確認できるため、もし内容に不備があればオンラインで修正依頼をかけられます。
さらに、「人事労務業務の紙書類」の代表とも言える給与明細も、パソコンやスマートフォンから確認できるようにすれば、明細書発行のための用紙代やトナーの使用を削減できます。奉行Edge 給与明細電子化クラウドと給与奉行クラウドをセットで使えば、設定したスケジュールに沿って明細書を自動発行・自動配付ができます。
SDGsへの取り組みは先例を参考に「できるところから」
今、インターネットでは、多くの企業がSDGsへの取り組み内容を公表しています。OBCでも特設ページ「SDGsへの貢献」を設けており、企業としてSDGsにどのように取り組んでいるかをご紹介しています。
SDGsの取り組み内容は、企業規模にかかわらず取り組めるものから事業内容に即して取り組めるものまで、様々です。こうした各社の事例を参考に、少しずつ自社でできる取り組みを広げていくのもよいでしょう。
ペーパーレス化を進めるにあたっては、「ITツールの導入/刷新」のためのコストを懸念する企業も多いでしょう。確かに、網羅的にペーパーレス化に取り組むと、従業員一人あたりの月額利用料が高額になりがちです。しかし、「経理業務から」「給与明細から」というように、できるところからスタートすれば、コストを抑えつつペーパーレス化を実現することができます。
イメージ先行で導入費用を「高すぎる」と判断せず、担当者や従業員の時間削減から費用対効果を検証すれば、コストメリットは大きいはずです。
未来の地球のため、自社の未来のために、サスティナブル(持続可能)な取り組みをできるところから始めてみてはいかがでしょうか。
ペーパーレス化への取り組み事例は、こちらも参照ください。
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