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e-Gov(イーガブ)とは?利用のメリット・デメリットや電子申請時の賢い活用方法

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業務のDX化が進められる中、行政手続きの電子申請が注目されています。諸外国に比べると日本での利用率はまだまだ低いものの、電子申請をはじめとする電子行政サービスの利用は、少しずつですが増加傾向にあるようです。
しかし、電子申請手続きに欠かせないサービス=e-Gov(イーガブ)については、まだ「よく知らない」という担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、e-Govについて、概要やメリット・デメリット、賢く使いこなす方法などを詳しく解説します。

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目次

e-Govの基礎知識〜行政手続きに欠かせないサービス

e-Govは、総務省が運営する「電子政府の総合窓口」ポータルサイトで、大きくは「各府省における行政情報の総合的な検索・案内サービス」と「各府省に対するオンライン申請・届出などの手続きの窓口サービス」という2つの役割があります。
近年の経済社会のIT化に伴い、2008年に厚生労働省のIT戦略本部が中心となって、オンライン上に電子政府が設けられました。その窓口となるのが、e-Govです。
電子政府立ち上げの主な目的は、24時間365日体制で国民や企業が情報取得や手続きを主体的に行えるようにすることと、行政事務の簡素化やシステムの最適化を行うことにあります。そのため、各自治体で管理する住基ネットを基盤とすることで、役所の窓口時間にとらわれることなく行政機関への申請や届出を行うことができます。
2022年10月31日現在、厚生労働省で3,936、国土交通省で185、経済産業省で140の手続きがインターネットを通じてe-Govで申請できるようになっており、雇用保険関係や社会保険関係など、厚生労働省が取り扱う申請・届出等については、すでにほとんど手続きがオンライン化されています。

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電子申請以外にも!?e-Govの「3つの機能」とは

実はe-Govには、窓口業務として主に次の3つの機能があります。

①各種行政手続きの電子申請・届出

e-Govでは、行政機関への手続きを、オンラインで自宅やオフィスにいながらワンストップで行えます。
企業が行う行政手続きのうち、雇用保険関係、労働保険関係、社会保険関係、労働基準法関係、最低賃金法関係などは、すでに電子申請が可能です。特に現在は、資本金または出資金の額が1億円を超える法人に対して、次の手続きで電子申請が義務化されています。

一部の法人に電子申請が義務づけられている手続き一覧
  • 健康保険・厚⽣年⾦保険関係
    • 被保険者報酬⽉額算定基礎届
    • 被保険者報酬⽉額変更届
    • 被保険者賞与⽀払届

  • 労働保険関係
    ※継続事業(⼀括有期事業を含む)を行う事業主が提出する以下の申告書
    • 年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、⼀般拠出⾦申告書)
    • 増加概算保険料申告書

  • 雇⽤保険関係
    • 被保険者資格取得届
    • 被保険者資格喪失届
    • 被保険者転勤届
    • ⾼年齢雇⽤継続給付⽀給申請
    • 育児休業給付⽀給申請

※ 電子申請義務化に関する詳細は、コラム「社会保険・労働保険の電子申請義務化に向けて今から準備しておきたいこと」を参照ください。

これまでの手続きは、紙の書類を用意し郵送や窓口に出向くのが通例でしたが、手続きごとに窓口が異なるため、複数の手続きをまとめて行うと相当の時間や労力がかかっていました。しかしe-Govなら、パソコン等から手続きを行え、かつ、24時間受付のため届出時間の制約もありません。e-Govで全て完結するため、複数の窓口を回る必要もなく業務負担の軽減になります。また、紙の書類で手続きするよりもスピーディーに進められ、郵送コストも削減できます。さらに、e-Govを介してインターネットバンキングやモバイルバンキングなどから保険料を電子納付も可能です。

②法令や行政手続きなどの検索

e-Govには、政府の統計情報や報道発表資料など、あらゆる行政サービスの情報が集約されているため、電子申請の手続き方法や、企業に求められる申請・届出内容を簡単に調べることができます。
また、憲法、法律、政令、勅令、規則など、法令や行政の正確な情報もオンライン上で簡単に検索できるため、企業経営や会社設立に関する法的な手続き等も、関係各所に出向いて調べる必要がありません。

③政策についての意見・要望の提出

e-Govには、パブリックコメント制度(意見公募手続き)において政府に意見や要望を届ける機能もあります。
パブリックコメントとは、行政や公共機関が政令や政策などを定める際に、国民に対して意見や要望を公に集める制度のことで、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を目的としています。e-Govを利用することで、簡単に個人の声を直接政府に届けることができます。
新たに募集が開始されたパブリックコメントの情報だけでなく、募集終了案件や結果が公示された案件なども閲覧できるので、意見を提出した案件がどうなったかも確認することができます。

e-Govで電子申請するメリット・デメリット

行政手続きを電子申請すると、業務において次のようなメリットがあります。

○ 行政機関の窓口に行かなくて済む

e-Govは、オンラインに接続できるパソコン等があれば、自宅や職場からでも手続きが行えるため、行政窓口に出向く必要はありません。また、所定の申請内容を入力しクリックするだけで受理されるので、窓口のように長い待ち時間が発生することもありません。
現在はWindowsだけでなくMacにも対応しているので、端末OSを問わず利用できるということも大きなメリットです。

○ 24時間365日いつでも手続きできる

e-Govでの電子申請受付は、毎日24時間対応しています。年中無休で、早朝や夜間、日曜・祝日など、申請者の都合に合わせて電子申請を行えるため、自社の業務時間に合わせて手続きを済ませられます。

○ 手続き業務で発生するコストを減らせる

電子申請をすれば、紙書類がなくなり、業務のペーパーレス化を実現できます。提出書類の控えをファイリングして保管することもなくなるため、印刷コストや管理コストが削減できます。また、手続きのために行政機関に足を運ぶということもなくなり、交通費などの経費負担もなくなります。

一方で、直接e-Govで電子申請を行うには、まだいくつか課題もあります。次のような点は、事前にしっかり理解しておきましょう。

● e-Govで電子申請できないケースがある

2022年10月現在、一部の健康保険組合への電子申請はe-Govに対応していません。そのため、自社が健康保険組合に所属する場合は、事前にe-Govでの電子申請に対応するかどうかを確認しておくことが必要です。
もしe-Govに非対応の場合は、マイナポータル経由で電子申請を行うことになります。ただし、マイナポータル経由でも電子申請ができない手続きがあります。そのような場合は、紙やCD-ROMなどで申請することになります。
健康保険組合の電子申請受付体制については、厚生労働省サイトでも公表されています。(厚生労働省PDF「健康保険組合における電子申請受付体制状況について」参照)

● 手続き段階でミスを発見しにくく入念なチェックが必要

e-Govでの手続きでは、直接e-Govで必要事項を入力し、必要書類などをアップロードして電子申請を行います。
このとき、手続きの段階では紙に出力しないため、不備の有無や内容の照合などの確認作業をすぐに行えず、入力ミスに気付きにくいという難点があります。後日返戻があってはじめて不備に気付くことも多く、返戻があると、また入力から手続きをし直さなければなりません。

● アプリケーションが最新バージョンか利用のたびに確認が必要

e-Govで電子申請を行うには、専用のアプリケーションをインストールする必要があります。
このアプリケーションは、利便性の向上、機能改善、セキュリティの維持・向上などを目的に、たびたびバージョンアップが行われますが、アップデートは各自で行わなければなりません。
アップデートが未対応のままでは電子申請を行えないため、アプリケーションが最新バージョンになっているか、毎回利用する前に確認することが求められます。

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e-Govで電子申請するために準備すること

e-Govで電子申請を行うには、次の4つの準備を行う必要があります。

  1. 電子証明書の取得
  2. アカウントの取得
  3. ブラウザの環境設定
  4. アプリのインストール

ここで重要になるのが、「電子証明書の取得」と「アカウントの取得」です。
電子証明書とは、信頼できる第3者(「認定局」と呼ばれる指定機関)が「間違いなく本人である」ことを電子的に証明するものです。電子証明書を取得するには、申請者の住民票と印鑑証明書、代表者の印鑑証明書や商業登記簿謄本などの書類をすべて揃え、認定局に申請する必要があります。企業の場合、1社ずつ取得する必要があるため、グループ企業などで親会社がまとめて取得することはできません。必ずグループ企業各社で申請・届出を行ってください。
アカウントは、個人・企業を識別する「IDとパスワード」です。e-Govでは、「e-Govアカウント」「GビズID」「Microsoftアカウント」のいずれかでログインできます。

e-Govアカウント e-Govサービス共通のアカウントで利用できるアカウント。
e-Govアカウントを利用する場合は、2要素認証または追加認証の設定が必要になります。
詳しくはこちら
※ 登録の前にe-Govアカウント利用規約を確認ください。
※ 2要素認証とは、メールアドレス・パスワードの他にスマートフォン等にインストールしたAuthenticatorなどの認証アプリも利用して認証する方法です。
GビズID 1つのID・パスワードで様々な法人向け行政サービスにログインできる認証システム。
GビズIDには「gBizIDエントリー」「gBizIDプライム」「gBizIDメンバー」の3種類があり、e-Govではいずれのアカウントでも利用可能です。ただし、「gBizIDメンバー」のアカウントで労働保険関係の電子申請を行う場合には、労働局への届出を事前に行っておく必要があります。
詳しくはこちら
Microsoftアカウント Microsoft社のサービスアカウント。

参考:e-Gov「利用準備」

電子証明書とアカウントを用意できたら、ブラウザの環境設定からポップアップブロックの解除を行います。操作画面上で別のウィンドウを表示する場合があるためですが、ポップアップブロックが有効のまま利用すると、正しく表示されない場合があります。
アプリはWindows版、Mac版が用意されています。自社に必要なアプリをインストールしたら、アプリを起動させ、マイページから画面に従って電子申請をしてみましょう。

電子申請にはe-Govと連携可能な人事労務サービスがオススメ!

e-Govによる電子申請は、業務メリットは大きいものの、e-Govの操作面で「画面が見づらい」「異なる手続きをするたびに再度ログインし直さなければならない」「エラーの内容がわからない」「申請書の名称を把握していないと検索がしづらい」「入力しづらい」など、使い勝手に課題があるという声が多く聞かれます。
一部の企業からは「そもそも電子申請の方法を学ぶ時間が取れない」という声もあり、現場の進め方に見合う使い勝手のよい仕組みかどうかは、担当者としても気になるところでしょう。

実は、e-GovはAPI連携が推奨されているため、市場ではe-Govと連携できる労務管理系のクラウドサービスが多数提供されています。普段業務で利用しているサービスから、従来業務の延長線上で電子申請が行えるなら、操作性にも安心でき、手続きも格段に進めやすいでしょう。

電子申請を行う場合は、まず現有の労務管理システムがe-Govに対応しているかを確認しましょう。電子申請可能な書類はサービスによって異なるため、自社で頻繁に行う手続きを中心に電子申請が可能かどうかも確認すると安心です。
また、健康保険組合に加入している企業の場合は、e-Govが非対応の可能性が高いため、e-Govだけでなくマイナポータルにも連携しているかもチェックしておきましょう。

例えば、奉行Edge労務管理電子化クラウドも、e-Gov、マイナポータルとAPIで連携する労務管理サービスです。
奉行Edge労務管理電子化クラウドでは、従業員情報をデータとして収集し、そのデータを活用して電子申請が行えるため、入力ミスなど手続き段階での不備を減らすことにもつながります。収集した従業員データは自動的に人事データベースに反映されます。
従業員の入社から退職までに発生する手続きをすべてデジタル化できるので、身上異動書などの紙の書類が不要になります。

奉行Edge労務管理電子化クラウドから電子申請する際は、サービス内の電子申請ボタンをクリックすれば、申請に必要な情報がデータベースから収集されます。あとは、申請内容と添付ファイルを確認するだけで、e-Govが奉行クラウド上で利用者認証を行い、電子申請が完了します。

マイナポータル連携での電子申請も、e-Gov連携申請分と同様の進め方ができます。そのため、健康保険組合の場合でも、手続き方法を変えることなくスムーズに電子申請が行えます。
申請内容の審査が終了すると、サービスからメール通知がされます。申請状況・コメントの確認や公文書のダウンロードも、すべてサービス上で行えるので、わざわざe-Govやマイナポイータルにアクセスする必要はありません。
また、公文書データは奉行クラウド上で適正に保管されるので、従業員用のデータを本人にメール等で通知すれば、手続き業務は全て完了となります。申請データの保管期間も、e-Govの場合はステイタスが「手続終了」となってから90日間とされていますが、奉行Edge労務管理電子化クラウドなら無期限で保管できます。
このようなサービスを活用すれば、正確なデータベースの構築と電子申請までを一気に進めることができ、紙の書類やExcelの管理に比べて大幅に業務時間を削減することができます。

奉行Edge労務管理電子化クラウドでの中途採用者の入社手続き削減例

※OBC調べ:担当者1名で中途採用者(配偶者・被扶養者あり)1名の入社手続きを実施した場合

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おわりに

ペーパーレス化や業務のDX化が求められる昨今、デジタル化の流れは一層加速しています。電子申請による手続き業務は、早晩「標準スタイル」になっていくことは間違いないでしょう。
今のうちにe-Gov対応の労務管理システムやサービスを導入して電子申請に慣れ、バックオフィス業務改善のきっかけにしてはいかがでしょうか。

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