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インセンティブ(報奨金制度)とは?具体例や導入メリットを解説

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インセンティブ(報奨金制度)とは?

インセンティブ制度は効果的に活用すれば、従業員のモチベーションと生産性のアップにつながります。しかし、制度設計に失敗すると逆効果にもなりかねません。
インセンティブ制度のメリットやデメリットと、導入する際に気をつけたいポイントについて解説します。インセンティブ制度の導入を検討している労務担当者は、ぜひ参考にしてください。

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目次

インセンティブとは企業から従業員の成果に対して支払われる報酬などのこと

インセンティブとは、動機や刺激、奨励といった意味の言葉です。多くの場合、企業から従業員の成果に対して支払われる報酬や表彰、人事評価などを指します。
ただし、インセンティブの支払いは企業の義務ではありません。企業は従業員に対して労働の対価を支払う義務がありますが、インセンティブ制度を設けるかどうかは、各企業の判断に任せられています。

売上のほか、採用に対してインセンティブを支払うケースもあります。下記に主なインセンティブの具体例を挙げました。

・売上によるインセンティブ

売上や契約件数などの成果に応じて支払われるインセンティブがあります。また、コールセンターなどでは商談を取り付けた件数に対してインセンティブを支払うケースもあります。

・リファラル採用のインセンティブ

従業員が自分の人脈から人材を紹介する、「リファラル採用」にインセンティブを支払う企業もあります。紹介した人が採用に至った場合などに従業員に報酬が支払われます。

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インセンティブと歩合、モチベーションの違い

インセンティブと似たような用語として使われるものに、「歩合」と「モチベーション」があります。ここでは、それらの違いを説明します。

歩合との違い

歩合とインセンティブは非常に似ていますが、支給条件や支給されるものが異なります。インセンティブは、事前に定められた目標を達成することで支給されるもので、金銭とは限りません。一方、歩合は実績に応じて支給される金銭です。

「1ヵ月の売上が500万円を超えたら超えた分の5%を支給」「四半期ごとの成績上位3名を表彰」といったものはインセンティブ、「売上の5%を給与に上乗せ」「契約1件ごとに1万円を支給」などは歩合に該当します。

モチベーションとの違い

インセンティブはモチベーションアップにつながる施策ですが、モチベーションと同じ意味ではありません。インセンティブはあくまでも外部からの働きかけであり、モチベーションは自発的な意欲です。

インセンティブは、従業員のモチベーションに働きかける1つの方法です。しかし、インセンティブがモチベーションにつながるかどうかは、それぞれの従業員の考え方やインセンティブの内容によって変わります。

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インセンティブの種類

インセンティブは、必ずしも金銭で支払われるとは限りません。成果を上げた従業員に対して支払われる報酬全般がインセンティブです。従業員の意欲につながる報酬を用意することが、インセンティブ制度の成功につながります。ここでは、主なインセンティブの種類について見ていきましょう。

金銭等によるインセンティブ

金銭的な価値のあるものを支給するインセンティブは、従業員に対する評価を数字で表しやすい方法です。具体的には、給与やボーナス、金券、物品などが挙げられます。
なお、金銭的なインセンティブは、所得税の課税対象になります。社会保険料の算定をする際も、賞与として取り扱われて社会保険料の対象となり、賞与支払届の提出が必要となる可能性もありますので、自社の制度を年金事務所等に伝えて確認をしておいた方がよいでしょう。

評価等によるインセンティブ

従業員のモチベーションは、金銭だけに左右されるものではありません。インセンティブとして一定の評価等を与える方法もあります。
例えば、成績上位者10名を褒賞旅行に招待する、忘年会で1年間の成績上位者の表彰を行う、成績が基準を超えると昇進するといった制度が該当します。

インセンティブ制度を導入するメリット

インセンティブ制度を導入することで、売上の底上げなどのメリットが得られる可能性があります。続いては、インセンティブ制度導入によって期待できる3つの大きなメリットをご紹介します。

1.評価基準が明らかになる

インセンティブは、売上や契約件数といった明確な数字によって与えられる報酬ですから、従業員の目標が明確になりやすいというメリットがあります。
また、一定の基準を超えさえすれば、確実に金銭や表彰といったわかりやすい報酬を得られるのも大きなメリットです。インセンティブが与えられる基準をクリアすることは、従業員の達成感ややりがいにもつながります。

2.モチベーションアップ

インセンティブは成果に対する報酬ですから、従業員のモチベーションアップにつながるというメリットもあります。
個人がいくら成績を上げても給与が変わらない企業では、従業員が「がんばってもがんばらなくても同じ」とやる気をなくしてしまうおそれがあります。インセンティブという明確な報酬を用意することで「インセンティブをもらいたいから、あと◯◯件契約を取ろう」といったモチベーションにつながりやすくなるのです。

さらに、従業員だけでなく求職者のモチベーションにもつながる可能性があります。インセンティブによって高年収を得ている従業員がいれば、求職者にとっても「がんばり次第で高い収入が得られる」と感じてもらえますから、意欲的な人材の採用につなげやすいでしょう。

3.生産性アップやエンゲージメント向上

従業員一人ひとりが意欲的に業務にあたれば、会社全体も活性化し、売上の底上げ、生産性アップが期待できます。また、チーム全体の成績に対してインセンティブを与える制度にして、チームワークを強めたり、他のチームと切磋琢磨をしたりするという効果も考えられます。

インセンティブ制度のデメリット

大きなメリットのあるインセンティブ制度ですが、期待どおりの成果が得られない可能性もあります。インセンティブ制度を導入する際に把握しておきたいデメリットをご紹介します。

チームワークが乱れる可能性がある

個人に対してインセンティブを支給すると、チーム全体の輪が乱れる可能性があります。例えば、成績上位5名に対してインセンティブを与えるという仕組みを作った場合、チーム内で足を引っ張り合いが発生してしまうかもしれません。

個人の売上に対するインセンティブだったとしても、チームメンバーそれぞれの成績やインセンティブが明らかになることで、成績下位の従業員が卑屈になってしまったり、成績上位者がおごってしまったりして、チーム内がギスギスしてしまうおそれもあります。

プレッシャーにつながる可能性がある

インセンティブは、あくまでも成果を上げた従業員にプラスアルファとして支給されるものです。しかし、インセンティブの制度設計によっては、従業員が「もっと成果を上げなければならない」とプレッシャーを感じる原因にもなりかねません。

例えば、従業員のほぼ全員がインセンティブの対象であったり、インセンティブ以外の給与が低かったりすると、成果を上げなければという気持ちが強くなってしまうでしょう。反対に、インセンティブの基準によっては、「どうせ達成できない」と投げやりになってしまう従業員が出てくるかもしれません。

従業員同士の協力体制が生まれにくくなる可能性がある

売上等の成果に対してインセンティブを支給している場合、従業員同士の協力体制が生まれにくくなるデメリットがあります。

例えば、新規契約数に応じてインセンティブを支給する場合、契約を取るコツをほかの従業員に教えるよりも、自分でそのコツを使って開拓したほうが多くの成果を上げられます。仕事が忙しくても顧客を囲い込んで、ほかの従業員に仕事を回さないといった問題が起こる可能性もあるでしょう。チームの成績に対してもインセンティブを支払うなど、健全なチームワークが阻害されない仕組みづくりが大切です。

目標設定に影響が出る可能性がある

担当顧客やエリアなどの不公平感を防いでインセンティブを支給する方法に、目標を達成した従業員に対するインセンティブがあります。しかし、目標を自分で設定する場合、インセンティブのためにあえて低い目標を設定してしまうことも考えられます。

目標達成に対してインセンティブを支給する場合は、目標設定が妥当かどうかを管理者等が確認する必要があります。ただし、管理者による考え方の違いなどが影響して、明確な数字によってインセンティブを支払う場合に比べ、評価が人によってぶれるというデメリットもあります。

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インセンティブ導入時のポイント

インセンティブ制度を導入する際は、デメリットをできるだけ軽減し、メリットを強く得られるようにしなければいけません。インセンティブ制度を導入する際に意識したい5つのポイントをご紹介します。

インセンティブの基準を明確にする

インセンティブ制度を導入する際、最も気をつけなければならないのが、明確な基準を設けることです。評価者の主観によらない公平な基準がなければ、インセンティブ制度を正しく機能させることはできません。従業員のモチベーションにつながり、具体的な目標が明らかになるように基準を設定してください。

なお、インセンティブの基準を決めるときは、対象者や支給条件のほか、支給内容、支給方法などについても定める必要があります。

・対象者

インセンティブ制度の対象者が全従業員なのか、一部の部署の従業員だけなのかを決めます。売上に対するインセンティブの場合は、営業部が対象になることが多いでしょう。しかし、その場合、営業を支えるバックオフィス業務の従業員が、不公平に感じることがないようにしなければいけません。また、管理職や派遣社員、アルバイト社員などを対象に含めるかといったことも検討が必要です。

・支給条件

インセンティブが支給される条件についても、明確にしておきます。ただし、達成条件によっては、インセンティブのための不正や受注の調整が起こる可能性もあるので注意が必要です。
仮に「月間売上1,000万円以上」といった条件をつけた場合、売上を立てる月をわざとずらしてインセンティブを受けられるように調整する従業員が出てくるかもしれません。また、従業員間での仕事の融通や紹介がしにくくなる可能性もあります。
実際の業務内容を踏まえ、従業員のモチベーションアップと業績アップにつながる条件を定めることが重要です。

・支給内容

支給条件を満たした従業員に対して支給するインセンティブの内容も決めておく必要があります。現金や表彰、ストックオプション、研修旅行など、支給内容はさまざまです。従業員の希望やインセンティブの条件等に見合った内容を検討しましょう。
ただし、一度決定したインセンティブの内容を引き下げるとモチベーションダウンにつながるおそれがあります。成果に対して高すぎるインセンティブを設定してしまわないように気をつけてください。

・支給方法

最後に、いつ、どのように支給するのかを決めます。支給条件を満たした月の翌々月の給与時に上乗せするなど、わかりやすい方法がおすすめです。条件達成から支給までが長すぎると従業員のモチベーションアップ効果が薄れる可能性がありますし、短すぎると計算や確認が間に合わないおそれがあります。バランスを考えて決定しましょう。

具体的なフローを規定する

インセンティブの枠組みが決まったら、次に、具体的な支給フローを規定します。例えば、「1ヵ月の売上1,000万円超でインセンティブを支給する」という規定だけでは、誰が、いつ、どのように判定するのかがわかりません。
インセンティブの支給対象となるかどうかの確認を行うタイミングと、評価者、給与計算を行う部署への情報共有と方法、金額の計算方法等について、具体的に定めておく必要があります。

また、「粗利の◯%」といったインセンティブの場合は、端数の処理方法や粗利の計算方法などについても明確にしておかなければいけません。実際に支給する場合を想定して、フローや計算方法に問題がないか検討します。

公平な制度設計になっているかチェックする

インセンティブの内容と実際の業務内容を照らし合わせて、公平な制度になっているかどうか確認します。
例えば、担当エリアや担当顧客による不公平感はないでしょうか。たまたま、良い顧客の多い地域やまとまった受注をくれる顧客の担当になったからという理由でインセンティブの対象になるようでは、インセンティブ制度の効果が正しく得られません。

このような問題を解消する方法として、営業成績ではなく目標の達成度合いに応じてインセンティブを支給する方法があります。しかし、この方法をとる場合は、目標設定が妥当であるかどうかをチェックする必要があります。

無理な目標設定を行わない

あまりに高い目標設定をすると、多くの従業員が「どうせインセンティブの対象にはならない」と感じてしまう可能性があります。これでは、インセンティブの意味がありません。
どの従業員であっても、「がんばれば自分もインセンティブがもらえるかもしれない」と思える目標を設定します。

制度の見直しを行う

インセンティブ制度は、一度設定したら終わりではなく、定期的に効果測定と制度の見直しをします。インセンティブ制度導入前と導入後の売上や従業員のモチベーションなどを確認し、期待どおりの効果が得られているかチェックします。

同時に、従業員に対するヒアリングも大切です。インセンティブに対する不満や感じている課題、希望などを確認し、必要に応じて制度の見直しを検討してください。

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効果的なインセンティブ制度の在り方を検討しよう

インセンティブ制度は、うまく活用すれば生産性アップや従業員のエンゲージメント向上といった多くのメリットを得られる制度です。業務内容や既存の評価制度、賃金規定、現場の従業員の希望などを確認した上で、それぞれの企業にとって適切な制度設計を目指してください。

インセンティブを金銭で支払う場合は、支給方法や税金の計算等についても検討しなければいけません。賞与として支給する場合は、利用している給与計算システムが対応できるかどうかも確認しておきましょう。
給与奉行クラウド」なら、四則演算や条件式、二次元テーブルを組み込んだ計算式など、柔軟な設計によりインセンティブを自動算出可能です。また12回分の賞与処理ができるため、夏季や冬季のボーナス支給だけでなく、毎月のインセンティブや歩合給、決算賞与などを支給している場合にも対応できます。「給与奉行クラウド」をぜひ活用してみてはいかがでしょう。

山本 喜一

■監修者
山本 喜一

特定社会保険労務士、精神保健福祉士
大学院修了後、経済産業省所管の財団法人に技術職として勤務し、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。退職後、社会保険労務士法人日本人事を設立。社外取締役として上場も経験。上場支援、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。

 

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