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債権管理とは?
具体的な債権回収フローと業務の課題、管理方法を解説

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債権管理は、自社が保有する「売掛金」や「貸付金」などの債権を適切に管理することです。これにより、入金漏れを防ぐことができます。債権管理をしっかり行っていないと、黒字倒産といった不測の事態を引き起こしかねません。健全な経営を行うために、債権管理を徹底しましょう。
本記事では、債権管理を行う必要性と具体的な業務フロー、債権管理の方法などについて詳しく解説します。

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目次

債権管理は、売上のスムーズな回収に不可欠

債権管理とは、売掛金や貸付金といった企業の持つ債権の管理を行うことです。通常、一般企業は事業を行うことで自社の利益を上げることを目的に活動しています。商品やサービスの開発や宣伝、販売をしても、最終的に「売掛金を回収すること」ができなければ、それまでの事業活動はすべて無駄になってしまいます。商品やサービスは販売して終わりではなく、その後、売上を回収して初めて自社の利益となるのです。

債権管理は、この「売上を回収する」という行為をスムーズに行うために欠かせません。現在どのような債権を持っているのかがわからなければ、入金が予定どおり行われているかどうかがわかりませんし、督促もできません。自社の取引先の支払能力を確認し、債権管理表を作成して、正しく債権を管理することが大切です。

債権管理の目的

債権管理の目的は、債権を回収することです。ここでは、その目的をもう少し細分化して見ていきましょう。

・入金の時期と金額を把握する
債権管理をすることで、自社が将来、いつ、いくらの現金を手に入れられるのかが正確にわかります。債権管理をしないまま曖昧な経営を続けていると、売上が立っているのに請求書が発行されないという事態になる可能性があります。

・債権の回収漏れを防ぐ
売掛金や貸付金は、それぞれ支払期限や返済期限が定められています。この期限に間違いなく回収できているかどうかを確認するためにも、債権管理が重要です。債権管理表を作成して、いつ、いくら、誰から入金があるはずなのかを可視化し、回収漏れを防ぎましょう。

・債権の時効消滅を防ぐ
債権の回収が予定どおり行えなかった場合は、時効になる前に回収する必要があります。時効は、債権の権利を行使できるときから10年、または、その事実を知ったときから5年です。通常は、売掛金の支払期限から5年と考えていいでしょう。
この期間が経過してしまうと、債権の回収ができなくなります。債権管理を行って回収漏れを確認した際は、すみやかに督促などを行う必要があります。

与信管理との違い

債権管理と似た言葉に「与信管理」があります。与信管理とは、取引先の信用がどの程度あるのかを評価し、管理することです。債権管理が債権に関する管理全般を指すのに対し、与信管理は取引先の信用情報の管理のみを指します。与信管理は、債権管理の一部だといえるでしょう。

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債権管理の必要性

債権管理を正しく行うことは、企業の経営を安定させるためにとても重要です。債権管理を行わなければならない3つの理由を見ていきましょう。

資金繰りを健全にする

「今、自社がどの取引先に対していくらの債権を保有しているのか」「いつ、いくら回収できる予定なのか」これらの情報がしっかり管理されていないと、自社のキャッシュフローを正しく予測できません。

例えば、「再来月の末日に500万円の支払いをしなければならない」という予定があるとき、債権管理ができていないと、それまでに該当の金額を用意できるかどうかの判断ができません。債権管理がしっかり行えていれば、キャッシュが足りるかどうかを事前に把握し、足りない場合もスピーディーに対処することができます。「100万円足りないが、翌月10日に300万円の入金がある」といったことがわかれば、短期間のみの融資を申し込むことも可能です。

さらに、債権管理には新規の取引先が信用できるかどうかの確認も含まれます。信用情報を確認し、それにもとづいた取引の仕方を検討することで、未払いのリスクをできる限り軽減することができます。
健全な資金繰りは、企業が経営を存続させるための重要なポイントです。黒字倒産を招かないためにも、債権管理の徹底が求められます

自社の信用につながる

債権管理は、取引先や従業員から信用されるためにも大切です。「取引先からの入金が遅れているため、支払いを待ってほしい」といった依頼をしたことのある経営者もいるかもしれませんが、このような行為は信用の低下を招きます。繰り返し同じことが起こると「債権管理がしっかりできていない」「管理体制に問題がある」とみなされてしまうでしょう。

これは、融資の依頼をする際も同様です。回収できていない債権が多くあると、売上が良くても資金繰りに問題があるとみなされかねません。債権管理を徹底し、売上を正しく回収できる体制をとることが大切です。

正確な申告に必要

債権管理は、正しい申告のためにも必要です。企業では、売上が立ったとき、売掛金を回収したとき、回収不能になったとき、それぞれの状況に応じた記帳が必要です。これらがあいまいなまま事業を続けていると、正しい決算書類を作れません。自社の売上と利益、税金の申告を正しく行うためにも、債権管理が求められます

債権管理の手順

債権管理は、売上が発生する前の段階からスタートします。債権管理の手順を5つに分け、それぞれ何を行うのか見ていきましょう。

1. 与信管理

新規の取引先と契約を締結する際は、与信管理を行います。どのような企業なのか、問題なく支払いを行えるのかどうかを確認するために、チェック項目をつけて信用を数値化します。このようなチェックを「コーポレートチェック」と呼びます。

与信管理の具体的な方法は企業によって異なりますが、取引先に関するさまざまな情報を集めて分析し、信用力を評価するのが一般的な流れです。情報収集の過程では、企業の信用情報照会ができるサービスを活用する場合もあります。
評価をしたら、それに応じて与信限度額の設定を行ってください。取引を信用度合いにもとづいた金額に制限することで、万一の際のリスクを限定できます。

なお、与信管理は新規に取引を開始するときだけでなく、定期的に見直しを行うのが一般的です。企業の状況は刻々と変化します。年に1回程度は信用情報を再確認し、限度額についても見直しを行いましょう。

2. 売上管理

多くの企業では、1ヵ月単位で売上の管理を行います。1ヵ月間の取引先ごとの売上を取りまとめて、確定させてください。どの時点で「売上」とみなすかは、企業により「出荷時点」「納品時点」「検収完了時点」などさまざまです。自社の基準に則って、漏れがないように売上を取りまとめてください。

また、売上は仕訳をする必要もあります。この仕訳も、売上管理の一環です。10万円の売掛金が発生した場合、仕訳は下記のように行います。

●売上を計上した場合の仕訳
借方 貸方
売掛金 100,000 売上 100,000

3. 請求管理

売上が確定したら、取引先に対して請求を行います。請求書を作成し、送付してください。送付方法は、郵送やメール、システム上でのやりとりなどさまざまです。取引先との取り決めに従って実行しましょう。

また、債権管理表への債権の記入も行います。債権管理表に決まったフォーマットはありませんが、売掛金の発生日、金額、回収期日、実際の回収日、繰越額が一覧で確認できるようにしておくのがおすすめです。なお、債権管理表は、売掛金残高一覧表、売掛金年齢表などと呼ばれることもあります。

4. 入金管理

請求をした後は、取引先からの入金を確認します。入金情報はインターネットバンキングなどで確認できるほか、入金があった際に通知をもらえるサービスなどもあります。
入金後は、請求内容と合っているかどうかの確認を行い、債権管理表を更新します。なお、入金額と請求額が一致しない場合は、下記のような要因が考えられます。

<入金額と請求額が一致しない主な要因>

  • 振込手数料が差し引かれている
  • 消費税の計算方法が異なるため誤差が出ている
  • 似た名称の企業と見間違えている
  • グループ内の別名義の企業から送金されている
  • 複数の請求書分をまとめて入金した
  • 請求書の一部のみが支払われている

これらの要因を検討した上で、なお不明点がある場合は、取引先に問い合わせて事実確認を行いましょう。

入金内容が確定した後は売掛金の消込をします。10万円の債権に対し全額が入金された場合、下記のように仕訳を行います。

●売掛金の消込をした場合の仕訳
借方 貸方
普通預金 100,000 売掛金 100,000

5. 滞留債権管理

滞留債権とは、回収予定日までに回収ができていない債権のことです。回収期限が過ぎた売掛金は、滞留債権の代表例だといえます。ただし、例えば取引先が倒産してしまった場合など、回収ができない見込みの債権は「不良債権」となり、滞留債権とは区別して考えます。

債権管理では、滞留債権の特定と督促を行います。まずは、債権が回収予定日に漏れなく入金されているかどうかを確認しましょう。入金予定額と入金額が合わない場合、何が原因になっているのかを確認します。どの取引先からの入金が遅れているのか、債権管理表と入金状況を照らし合わせることが大切です。

滞留債権の特定ができたら、次に先方への通知を行います。いきなり督促状を送るとトラブルを招く可能性もあるため、まずは支払いを失念していないかどうか確認するといった内容での催促を行うほうが無難です。あらかじめ次の期限を切ってお願いをすることで、先方の行動を促してください。
それでも入金されない場合は、内容証明郵便の送付や法的手続きといった次の段階を検討することになります。

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債権管理業務の課題

債権管理業務には、ミスが発生しやすい、全体が見えにくいといった問題が発生しがちです。自社内で下記のような課題が発生していないかどうか、確認してください。

人的ミスが発生しやすい

債権管理業務を手作業で行っていると、漏れや間違いといったミスが起こりやすくなります。債権管理は、与信チェックや入金確認、請求書発行、入金消込など、多くの作業が伴います。管理する債権が多くなればなるほど、消込間違いや記帳漏れといったミスが発生する可能性が高まります。
しかし、債権管理のミスは、取引先との信頼関係にも関わる重大な問題です。できるだけ人の手による作業を減らすといった工夫を行いましょう。

拠点ごとの管理になりがち

複数の拠点を有する企業では、債権管理業務を拠点ごとに行うケースが多くあります。手作業で管理を行う場合は、拠点ごとに確認したほうが隅々まで目を配りやすいかもしれません。
しかし、拠点ごとの管理をしている場合、本社が全体像を把握するために再度情報の正確性を精査したり、集計をしたりしなければならず、余計な手間がかかります。管理ルールが徹底されないこともあるため、一元管理できる体制をとるのが望ましいと考えられます。

債権管理が行える主なツールやサービス

債権管理にはいくつかの方法があります。ここでは、債権管理に関する主なツールやサービスをご紹介します。

Excel・スプレッドシート

Excelやスプレッドシートを利用した管理は、最も手軽でコストをかけずに行える方法です。反面、手間がかかり、ミスが起こりやすいという難点もあります。

販売管理システム

販売管理システムは、受注から請求、入金までの一連の業務の管理にも対応しています。こうした機能を使用して債権管理を行うことも不可能ではありませんし、債権管理機能がオプション設定されているものもあります。ただし、より高度な機能を求める場合は、債権管理システムが便利です。

債権管理システム

債権管理システムは、請求書の発行、入金と連動しての自動消込、支払期日を過ぎた債権の督促、売上管理など、債権に関する業務の効率化に役立ちます。クラウドサービスにすれば、請求情報を複数拠点から確認することも可能です。

請求代行サービス

請求代行サービスは、請求を外部企業に委託できるサービスです。手数料がかかりますが、請求業務の手間を省けます。また、多くのサービスでは、未払いに対する保証が受けられます。

債権管理トラブルを防ぐポイント

続いては、債権管理に関するトラブルをできるだけ防いで、スムーズに業務を進めるためのポイントを紹介します。この機会に、自社の債権管理体制を見直してみてはいかがでしょうか。

債権管理システムを導入する

債権管理システムを導入すれば、正確性の高い債権管理表を作成できます。入金消込業務の自動化ができるだけでなく、記帳に必要なデータの出力や、入金が遅れている債権の自動抽出なども容易です。
回収予定表の出力や相殺処理、前受金処理などにも対応できるシステムなら、それぞれの企業の運用に沿って便利に活用できるでしょう。

取引先の状況を随時確認する

取引先の資金繰りの悪化やトラブルは、与信管理に影響する重要な情報です。随時取引先の情報を集めて、問題が発生するリスクが高いと判断される場合は取引を控えるなど、万一の際に大きな損害を被らないように手を打っておくことが大切です。

与信管理の徹底

中小企業の中には、取引先ごとの与信管理を行わない事業者もいます。しかし、与信管理を行い、あらかじめ限度額を定めておくことは、安全な取引を行うために重要です。
特に新規の取引を行う際は、信用できる相手かどうかを十分調査し、適切な与信限度額を設定しましょう。

万一に備える

綱渡りの経営を行っていると、取引先の入金遅延といったトラブルが発生した際、資金ショートを起こすリスクが高まります。日頃からある程度余裕のある経営を心掛けるとともに、経営セーフティ共済への加入を検討するなど、トラブル発生時に対処できる体制を作っておくことが大切です。

勘定奉行クラウド

債権管理方法を見直してみよう

債権は、場当たり的に処理するのではなく、きちんと一覧表を作って厳密に管理する必要があります。健全な資金繰りを保ち、入金漏れを防ぐために、債権管理方法の見直しを行いましょう。

OBCの「債権奉行クラウド」は、あらゆる基幹システムと自動連携が可能な債権管理システムです。銀行データの自動取得や入金情報の自動照合にも対応していますから、債権管理にかかる手間を大幅に削減できます。現在の業務フローを変えない形での導入も可能ですから、ぜひご相談ください。

石割 由紀人

■監修者
石割 由紀人

公認会計士・税理士、資本政策コンサルタント。PwC監査法人・税理士法人にて監査、株式上場支援、税務業務に従事し、外資系通信スタートアップのCFOや、大手ベンチャーキャピタルの会社役員などを経て、スタートアップ支援に特化した「Gemstone税理士法人」を設立し、運営している。

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